スケベ提督と元ブラック鎮守府   作:ルフレオ

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吹雪と遠征

 

 新しく大湊の艦娘達が加わった事で任務の内容もガラリと変わった。

 以前までは艦娘の数が極端に少なかった為、想定外の有事が発生した際にすぐに対応できるよう、どうしても近海の海域へしか向かわせられなかった。

 

 しかし大湊組が加入した事で人数が増え、有事の際に対応できる艦娘が確保できるようになった。

 大湊組は駆逐艦が大半を占めている。

 従って遠征に適した艦が増え、資材の供給も安定しだした事でようやく空母や戦艦クラスの運用も視野に入るようになった。武蔵が狂喜する日も遠くない。

 

 とはいえ、駆逐艦の練度が低めなのは相変わらず。

 まだしばらく遠方海域への出撃は無理だと思っていたんだが…、ある日、天龍が司令室まで足を運んできた。

 

『明日の海域攻略なんだが、普段より遠方に向かわせてくれねぇか?もちろんチビ共の練度じゃまだ厳しいのは分かってる。だから俺と神通と青葉をメンバーに加えてくれ。絶対に守り切ってみせる。どうだ?』

 

 

 う〜ん。正直な話、遠方海域となると撤退するのに時間がかかる。

 そうなると轟沈する可能性は今までよりも格段に高くなるので俺としてはやめてほしい。

 が、天龍がわざわざ提案してくれたのだからそれを一蹴するのも悪いと思い、受け入れる事にした。

 それに、神通も向かってくれるのならきっと大丈夫だろう。

 

 

「許可しよう。ただし、大破艦が出た時点で即撤退する事だ」

 

「!! おう!明日の成果を楽しみにしてろ!」

 

 天龍はご機嫌に笑い、部屋を出ていった。

 部屋を出る天龍を見送った後、今日の秘書艦である赤城が少し意外そうに提督の背中を見つめた。

 

「止めないのですね。今の練度でも安心して向かえる駆逐艦は夕立ちゃん位のものでは?」

 

「天龍が守ると言ったんだ。俺はその言葉を信じる」

 

「フフ、かっこいいですね。 あ、駆逐艦の子は誰を向かわせますか?」

 

 

 赤城の言葉に少し考える。

 普通に考えるなら比較的練度の高い夕立とかなんだろうが…。

 

「そうだな……吹雪、響、不知火を向かわせる。夕立は近海の遠征に加える」

 

「あら?遠征と海域攻略の二部隊を編成するという事ですか?」

 

「近海での資材集めを兼ねた…もしもの時の救援部隊としてな」

 

 別に皆の事を信頼してない訳じゃない。が、念には念を押すに越した事はないだろう。

 

 

 

 〜〜〜

 

 

「よし、いいかお前ら!今回の海域は遠出だ!大破艦が出たら即撤退だが、目標は最終への到達とドロップ艦の確保だ。あのバカ(提督)へのいい土産になるからな」

 

「て!天龍さん!司令官をバカなんて呼び方してはダメですよ!!」

 

 吹雪です。

 今回は神通さんを旗艦に据え、天龍さんと青葉さんを新たに加えて不知火ちゃん、響ちゃんと私が随伴艦として部隊編成され、初めての遠方海域の攻略に向かっています。

 

 天龍さんは提督への意見が通った事が相当嬉しかったらしく、後ろ姿からすでに楽しそうです。

 一方、青葉さんは何故か神通さんの事を怖がってるみたいでしきりに飲み物を進めたり、肩を揉んだりと露骨にご機嫌取りをしています。

 私達が知らない所で神通さんに弱みでも握られたんでしょうか?

 神通さんもなんだか青葉さんを見る目が据わっていました。少なくとも何かはあったみたいですね。

 

「クゥゥーーーー!!!遠方海域は久しぶりだな!前任のクソ野郎の時以来か? 俺が旗艦じゃないのは気にくわねぇが…それでも十分だ!!やっぱあの提督は分かってんな!!」

 

「えぇ、提督は素晴らしい方ですよ」

 

 天龍さんが提督を褒めたら途端に神通さんがすごく嬉しそうに頷きました。神通さんは滅多に笑顔を見せない方なんですけど、いざ笑うとあんなにカワイイんですね…。

 

「指揮は的確ですし、お仕事も真面目にやります。よく見れば目元や髪型はよく手入れされてますし、意外と見た目を気にされてるのもなんだか可愛らしいです。少しだけ、その…、セクハラが目立つ方ですが、まぁ…そこさえ目を瞑ればとても魅力的な人ですよね」

 

「お、おうそうだな…。……なぁ神通。前から薄々感じてたんだけどお前、あの提督の事、好きなのか?」

 

「へっ!!?ななな、な!何故そう思うのですか!!?」

 

「お前、提督の事になるとよく喋るからな」

 

「あ、やっぱり天龍さんもそう思うかい?」

 

 響ちゃんも会話に割り込んで神通さんへと興味深そうに目線を向けました。天龍さんと響ちゃんの二人に見抜かれた神通さんは取り乱しながら必死に弁解を挟むも、二人の耳には届いていなかった。

 

「お?響もそう思うか?」

 

「私も薄々だよ。口には出さないだけで、案外気付いてる子は多いんじゃないかな?」

 

「お二方!!その話青葉にも詳しく聞かせて下さい!!」

 

 青葉さんがこの話に衝撃を受けたようで天龍さんへと一瞬で距離を詰める。ここが戦場だということを完全に忘れているようだ。

 その手には砲塔ではなく、いつの間にかメモ用紙とペンが握られていて完全に取材をする報道陣の姿になっていた。

 今深海棲艦が攻めてきたら即死亡ですね。

 

「青葉さん!!その話は後でいいじゃないですか!!」

 

(あ、否定はしないんですね)

「そ、そうですね。とても…とても気になる特大スクープですけど…ここはグッと堪えて、帰還したときのお楽しみにします!」

 

 

 そして私達は再び陣形を組み直し、目標海域へと進み出した。

 

 道中、様々なはぐれと遭遇し、そのたびに海戦が勃発したがそれでも大きな被害はなく、随分と深い所にまで足を運ぶことが出来た。

 神通さんの私怨とかストレスとかがこもってたであろう高火力砲撃が炸裂しまくったのが大きいだろう。

 

 うん、神通さんをからかうのはやめておきましょう。

 

 

 

 その時、海中からおぞましい怪物のような声が響いた。

 

 

 

「ヲヲ…!!ヲヲヲヲヲ!!!!」

 

 

 全員が即座に戦闘態勢へと移行し、声の方向へと砲塔を向ける。

 やがて、一匹の深海棲艦がその姿を現した。

 黒い姿に水色の美しい瞳。

 特徴的な怪物のような帽子を頭に乗せた人型の深海棲艦。

 間違いない。奴は…

 

「ク、空母ヲ級…」

 

 海の魔女…もしくは遠い世界の提督方にアイドルとも呼ばれている強力な敵艦だ。

 マ、マズイです…。

 被害は少ないとはいえ、燃料も弾薬も軒並み使っている私達にはあまりにも分が悪い。

 

 

「ヲヲヲ……!!」

 

 

「なんだヲ級でしたか」ドォン!!

 

 

 

 

 ヲ級は沈みました。

 

 

 

 

「あ、あれ?神通さん。今のって空母ヲ級ですよね…?」

 

「? はい、そうでしたけど」

 

「今一撃で沈めてませんでしたか?」

 

「こういうのは先手必勝ですよ。さぁ、次の海域へと進みましょう」

 

 

 待って下さい。待って下さい。

 空母を一撃で沈める軽巡なんて聞いた事がないですよ。

 しかもあれだけ強キャラ感満載で出てきたヲ級をあんなにあっさりと。あれだけかっこよく登場したのに出番が終わった途端にあっさり退場させられたヲ級が敵ながら不憫で仕方ないです。

 そしてその砲撃を毎日のように顔面で受け止める司令官の鬼耐久にも驚きです。

 

 

 空母ヲ級を一撃で沈めた神通さんに人知れず震える青葉さんを他所目に不知火さんがポツリと呟いた。

 

あの人(神通さん)一人でいいじゃないですか」

 

 私も心の中で強く頷いた。

 

「…神通をメンバーに入れたのはミスだったかな…。…って、あれなんだ?」

 

 

 神通さん一人で海域を攻略しつつある事実に打ちひしがれてる天龍さんでしたが、ふと海面を見つめて首をかしげた。

 つられてその先を私も見てみる。

 

 ヲ級が沈められた辺り、何かが浮かび上がってきてるように気泡が音を立てて上がってきている。

 

 そして、一人の艦娘が姿を現した。

 

 

 特徴的な紫が強いピンク色のショートヘアーはどことなく青葉さんを彷彿とさせ、身に纏う白と青緑色のセーラー服は軽巡洋艦の球磨さんと同じものだ。

 

 気だるそうに伸びをして、辺りを見渡してから気まぐれに立ち上がる姿はどこか猫を思わせる。

 

 あの艦娘は確か…球磨さんの妹だったはずです。

 

 

「おやおや?これは初めましてですね。どーも青葉です!私達の鎮守府には球磨さんも在籍してますからきっと気に入ってくれると思いますよ!」

 

 

 それだけではまだ終わらなかった。

 そこから間髪入れず、もう一隻浮上してくる艦娘がいた。

 

 

「って、あれ?あ、皆さん!!もう一隻浮上艦を発見しました!!」

 

「本当かよ!?すげぇな!!あのバカもきっと喜ぶぜ!」

 

 その通りです。

 司令官は私達、艦娘が大好きなのだとはっきり公言しました。

 人数が増える事はさぞお喜びになるはずです!

 

 

 さて、二隻目は一体誰が?

 

 

 

 浮かんで来たのは白い髪の少女だった。

 艤装から判断するに、駆逐艦だろう。

 少し長い前髪に片目が隠れており、その顔の全体を見る事は敵わないが白いセーラー服に黒タイツを履き込み、特徴的な金色の髪留めは白い肌によく似合う。

 

 と、というかこの人駆逐艦……なんですよね?そうなんですよね?

 なんというか、その……胸が大きすぎませんか?

 私や響さんはともかく、不知火さんに神通さん…い、いや下手すれば青葉さんや天龍さんよりも大きいんじゃ?

 

 

「………ウソ…」

 

 

 彼女の姿を見た途端、二人の艦娘がひどく取り乱した様子で浮上した艦娘の肩を抱き上げた。

 

 

 不知火さん、そして青葉さんだ。

 

「お、おい!!いきなりどうしたんだ!!?」

 

「この子は……この子は、私の妹です!!」

 

 

 

 〜〜〜

 

 

 

 〜夕方〜

 

 吹雪達からの無線でドロップ艦を確保したと聞き、すぐに帰投した吹雪達を迎えに走った。

 無線で届いた連絡だと今回の海域攻略では多くの収穫が得られたそうだ。ヲ級を沈めた事で練度も大きく上がったようで何より。

 というかヲ級を一撃で沈めたって何?

 俺そんな砲撃を毎日のように顔面で受け止めてたの?

 

 まぁそれはいい。

 そんな事よりも、今回一番の収穫である二隻のドロップ艦だ。

 

 

 かたや球磨の妹。

 かたや陽炎と不知火の妹であり、嵐と野分の姉。

 

 

 

「軽巡、多摩です。

 猫じゃないにゃ」

 

「駆逐艦、浜風です。

 これより貴艦隊所属となります」

 

 武闘派が集う球磨型の妹であり、猫キャラ代表ともいうべき多摩。

 かつては大湊に所属し、囮艦として沈んだ駆逐艦、浜風。

 

 二人の艦娘が新加入し、提督は思わず飛びかかってしまいそうになった。

 が、そこを堪えて一度深呼吸をした。

 

(神通の前だし、また海に放り投げられるのがオチだ)

 

 

 とりあえず好意的に握手位はしておこうと思い、手を差し出す。

 そして目の前に広がったのは、並んで立つ二人の驚く程整った顔立ちと確かに膨らんだその胸元。くびれのしっかりとしたお尻と多摩の生足に浜風の黒タイツ。

 これらが俺の心の弱い部分をあっさりと破壊した。

 

「ちょっとパンツの色を教えて欲しいのですが」

 

 

 神通は主砲を構えると(以下略

 

 

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