スケベ提督と元ブラック鎮守府   作:ルフレオ

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 タイトルに①などと書いてありますが、②を書く予定もストーリーも考えておりません。
 鳳翔さんが立ち去る前には描くつもりですけど…



神通の恋模様 ①

 

 

 少々オイタを働いた青葉を無理矢理演習場へと連れ出した神通。

 これ以上ないほどにボコボコにされた青葉は衣笠に引きずられるように部屋へと連れて行かれた。

 

 ちょっとお灸を据えるだけのつもりだったようだが、軽巡より高火力高耐久の存在である重巡の青葉が相手という事もありつい熱が入ってしまったらしく、若干反省している。

 

 

「うぅ〜…ん。

 少し肩が凝ってしまったかもしれませんね…」

 

 

 軽く肩を回しながら私の足は自然と司令室へと向かっていた。

 一つ目は私がボコボコにしすぎたせいで青葉さんが部屋から出てこなくなってしまった事を謝罪する為。

 二つ目は司令室を訪れる理由を得たので気兼ねなく提督の顔を見る為。

 二度のノックをして中から提督の許可の声が聞こえるのを待つ。

 

 

 しかし、その日は提督自らがゆっくりと部屋を開けた。

 

 

「シーーッ……静かにな…」(小声

 

 

 提督に言われた通りに物音を立てぬように部屋に入ると、何故静かにと言われたのかすぐに分かった。

 司令室に備えられた客人用の立派な長椅子。

 しかし、今日は椅子としての役割は機能していなかった。

 

「スゥ…、ポヒィ〜…」

「スヤァ…、ンぅ‥」

 

 椅子の上では、夕立さんと時雨さんが肩を寄せ合い、気持ちよさそうにお昼寝をしていました。

 夕立さんの頭には提督の着けている軍帽が被せられ、時雨さんの膝の上にはお布団の代わりに提督の白い軍服が被せられていた。

 

 微笑ましい光景に思わずクスリとなる。

 仮にも提督の権威の象徴ともいうべき白い軍服と帽子を駆逐艦の掛け布団代わりに使うとは、見る人が見れば発狂モノですよ?

 

「遊び疲れて眠っちゃったみたいなんだ。

 起こさないよう、静かにな」(小声

 

「ッフフ、相変わらずお優しいですね」(小声

 

 ふと机の上を見ると、まだ処理の済んでいないであろう書類が数枚。

 提督も書類のことを気にしているようだけれど、目の前で仲良く眠る二人の寝顔にメロメロになってダラシなく顔がにやけている。

 

 

 さながら娘の寝顔を見つめる父親のようだ。

 あぁ、もしも提督に子供が出来たならば、きっと子育て熱心のいいお父さんになるのでしょうね…。

 願わくば、その子を身籠るのは私であって下さい………なんて、届くはずもない(と、勝手に思ってる)願い事を想い、一人で微笑んで考えを捨てた。

 

「お仕事、終わっていないのでしょう?」(小声

 

「ハハ…実は、な」(小声

 

「私もお手伝いしますよ、提督」(小声

 

 提督は嬉しそうに笑うと、すぐに机の前へと座った。

 私も並んで隣の秘書艦の机に腰掛け、なるべく音を立てぬように作業に取り掛かる。

 

 

 

 

 

 〜〜〜

 

 

 

 

 数刻後、私と提督は事務作業を終えた。

 

「本日もお疲れ様でした」(小声

「あぁ、神通こそお疲れさん」(小声

 

 長椅子を見ると、そこではまだ時雨さんと夕立さんが気持ちよさそうに寝息を立てている。

 ただ、最初見た時とは体勢が変わっており、夕立さんが仲良く寄せ合った肩の上から時雨さんの膝の上に転がり落ち、提督の白い軍服を枕として軍帽は椅子の下へと転がり落ちていた。

 時雨さんは変わらずに首を折った姿勢のままでコクリ、コクリと揺れている。

 

「起きませんね…?」(小声

「しょーがない。あのままずっと寝てたら首を悪くしそうだし、俺の部屋に運ぼうか」(小声

 

 提督は音を立てぬよう慎重に立ち上がると、まず時雨さんの膝の上で眠る夕立さんに近付く。夕立さんの腕を優しく掴んで首に回し、上体を起こすと首の裏、膝の下に手を差し入れてひょいっと軽々しく持ち上げた。

 その持ち上げ方はいわゆる『お姫様抱っこ』。

 皆の憧れである抱き上げ方をあの提督にしてもらえれるだなんてあまりにも羨ましい。

 思わず夕立さんに嫉妬してしまいそうだ。

 

「流石力持ちですね」(小声

 

 まだ幼さの残る少女の姿をした夕立さんとはいえ、完全に脱力している身体を軽々と持ち上げるのは中々難しいだろうに、提督はいとも簡単に持ち上げた。

 夕立さんが起きてしまうのを気にしたのか、提督は何も喋らなかった。

 代わりに口元を緩ませて嬉しそうに笑顔を作ると、私に司令室の奥にある提督の自室を顎で指差した。

 

 意図を理解した私は二人を起こしてしまわないよう慎重に個人部屋のドアを開く。

 提督は私に向かって一つウインクを飛ばす。言葉の代わりになるお礼を言っているように感じた。

 部屋の中に入った提督は、すぐさま一つ敷かれた敷布団へと夕立さんを横にする。

 

「次は時雨だな」(小声

 

「あ、私が運んできますよ」(小声

 

 

 流石に提督ばかりに仕事をさせるわけには行かない。

 今回は私が手を挙げる。

 しかし、それを遮るように提督は首を振った。

 

「ダメ、俺が運んでくるから神通は布団をもう一つ敷いててくれ」(小声

 

「で、ですが…」(小声

 

「せっかくの男手だ。たまには身体を動かさせてくれよ」(小声

 

 

 提督はそう言ってくれますけれど、私の立場からすれば、鎮守府の最高責任者に力仕事をさせるというのは少し思うものがある。

 そう簡単に食い下がる訳にもいかない。

 

「これは命令だ。

 それに…、俺が時雨のスベスベの太ももとかお尻が触れなくなっちゃうだろ?」(小声

 

 

 

 主砲を構える……………ことはせずに、クスリと笑った。

 もちろん、彼の言葉には多少の下心も含まれてるのだろうけど、それでも彼は決して一線を超える事はしないと……信じて……ます…から…………うん。

 

 

「必要以上に触らないでくださいね?」(小声

 

「ニシシ♪どーだろな」

 

 イタズラな笑顔を浮かべた彼は部屋を出ていき、時雨さんを迎えにいった。

 その間に私は敷布団を持ってきて、夕立さんの隣に並べる。

 

 この舞鶴鎮守府に初めてやってきた時、私達佐世保鎮守府組は舞鶴鎮守府の整備を目的としてやってきていました。

 

 そのため、この提督の私室だって私達は整備をするために荷物だって運び入れましたし、配置さえ変わっていなければどこに何があるのかしっかりと把握しています。

 

 もちろん、提督が後からこっそりと運び入れた大量の春画の隠し場所も…。

 

 

 と、敷布団を並べた時、ふと部屋の隅に読みつくされてすっかりくたびれている本があるのが目に入った。

 もしや春画だろうかと直感した私は、燃やしてやろうと手に取る。

 それはただの花図鑑だった。

 

 

 

(提督が花を?

 あ、そういえば、以前プレゼントして下さったネックレスにも花が入っていましたね。もしかしてこれを見て選んだのでしょうか?)

 

 

 

 興味本位で私は花図鑑を開いてみた。

 本当になんとなく開くと、本の中でも特に開き癖のついた一ページが開かれてしまう。

 そこは、提督が読み込んでいるのであろう『リナリア』の特集が組まれた一ページだった。

 

 

 

 

(あ、これ…ネックレスに入っていた花です。

 そういえば提督もこの花はリナリアだと言っていましたっけ?

 ……花言葉?

 色や形、伝承等に基づいて、その植物に込められた特別な思いのこと…。

 へぇ〜…知りませんでした。ただの花にも何か特別な意味が込められていたりするのですね。

 あぁ…なんてロマンチックなんでしょうか…。

 

 ワ、私も提督に何か素敵な意味を持つ花をプレゼントすれば、この想いが届き、あわよくば結ばれるような事もあるのでしょうか…。

 あぁ、でも…あの提督に限ってそんな甘い展開ある訳ないですものね…)

 

 

 

 まさかとっくに自分がそんな甘い展開に巻き込まれているとは思いもしない神通は残念そうに一人溜息を吐いた。

 

 

 

 

 

 

 

(あ、そういえばこのリナリアにはどういう意味があるのでしょうか?)

 

 

 

 

 

 

 と、神通が提督の込めた淡い想いに気付く数秒前!

 

 

 

 

 

 

「神通〜ドア開けてくれ…」(小声

 

「あ、申し訳ありません」(小声

 

 

 

 その提督が部屋の扉を叩き、慌てて本を閉じて元の場所へと戻した。

 

 

 

 

「悪い悪い、間違えてドア閉めちゃってさ」(小声

 

「いえ、こちらこそ気付かずに申し訳ありません」(小声

 

 

 運んできた時雨さんを布団に下ろすと、私達は静かに部屋を出る。

 

 

「じゃ、俺は間宮食堂で夜飯食べてくるよ。神通は?」

 

「お供しますよ」

 

 

 こうして、二人は特に急接近する事も秘めた想いに気付くこともなく、一体何度目になるかという特に何もない一日を終えた。

 

 

 

 

 

 

 

 ね?超進展遅いでしょ?

 

 





 Q:時雨と夕立はどんな遊びをして寝てたの?

 A:(何故か)司令室で鳳翔さんの居酒屋ごっこをしてるとき、酔い潰れて眠っちゃった客を演じてたら本当に寝ちゃった。
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