スケベ提督と元ブラック鎮守府   作:ルフレオ

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 何故か最近になって、信じられないほどにアクセス数とお気に入り数が増加しており、少し動揺しております。

 原因分かる方おりましたら教えて下さいませ…。



空母と食堂

 

 私、加賀は今、少々頭の中で処理するのに時間がかかる光景を目にしていた。

 

 

 

 同じ一航戦であり、私の高い目標でもある赤城さんと共に間宮食堂へとやってきて大好物である『赤城スペシャル』(メガ盛りカツカレーに唐揚げ特盛りの専用メニュー)をいつものように注文しているときでした。

 

 注文を終えたその瞬間、見慣れぬ和服の見慣れぬキレイな腕が赤城さんの肩を掴む。

 肩を掴まれた赤城さんは、何故だかその一瞬で真っ青な顔色になって目の焦点も合わずに明らかに動揺している様子。

 

 赤城さんの肩を掴んだのは、鳳翔さんでした。

 

 

「そこに直りなさい。赤城」

 

「………はい」(呼び捨て!?)

 

 

 

 

 

 

 そして今に至る。

 

 

 皆が集まる広い食堂のど真ん中。

 私の目の前には冷たい床の上で正座をさせられている赤城さん仁王立ちで構える珍しく機嫌の悪そうな鳳翔さん。

 

 頼れるリーダー力と大らかな人間性。同じ一航戦である私の目から見ても、異常な程の練度に達する弓の腕から(神通さんを除けば)舞鶴鎮守府最強を謳われる赤城さんが公共の場で正座をしている異様な光景に、私含む舞鶴鎮守府全体が困惑していた。

 心なしか、普段はあれほど凛々しくて頼もしい赤城さんの背中が小さく見える。

 

「……さて、赤城。

 あなた、今食堂で何を頼もうとしていましたか?」

 

「あ、え、えと…その、モ、モーニングセットを「嘘おっしゃい」

 

 嘘は秒で見抜かれる。

 普段の優しい鳳翔さんはどこへ行ってしまわれたのかしら…?

 

「す、すみません。その、ア、赤城スペシャルを…。

 で、でも本当に少々の量ですから」

 

「少々?

 メガ盛りカツカレーに唐揚げ特盛りという高コスト高値段高カロリーの赤城スペシャルが少々?」

 

「あ、いやその…」

 

「あなたの注文する赤城スペシャル。

 あれ一杯だけで戦艦の砲撃三発分に相当するほどお金がかかるという事は知ってますよね?

 佐世保時代では、月に一度しか注文を認めないメニューでしたよね?

 こちらで注文するにしても、月に一度だけのルールは守るようにと伝えていますよね?

 提督は艦娘にはとことん甘いのできっと止めたりしないでしょうから、必ずあなた自身が自制をする事と伝えてますよね?

 間宮さんにお聞きしましたが、ほぼ毎日のように注文してるそうですね?

 どういう事ですか?あなたが我慢すれば、武蔵さんが一度くらい戦場に出られたのではなくって?」

 

「・・・」(返す言葉もありません…)

 

 鳳翔さんの怒りの原因が分かった。

 まさかあの料理一つがそれほど限定的なメニューだとは知らなかった。

 今まで赤城さんはそんな事一言も言わなかったし、提督も何も言わないものだからてっきり佐世保鎮守府では定期的に食べられているものなのかと…。

 

「た、確かに、量はすごいのですけれど、え、えと……ワ、私は非常に燃費が悪い航空母艦なんです…!

 なのでどうしても大量の資源補給が必要になるんです!分かって下さい!」

 

「ふむ…なるほど、それはその通りですね。

 確かに、あなたの力を存分に発揮するためには、大量の補給が必要になります。

 その点を考慮すれば、あの料理人泣かせのメニューをつい食べてしまう事も致し方ないのかもしれませんね」

 

 若干鳳翔さんの口調が和らぎ、名前も呼び捨てからさん付けに戻った。

 赤城さんの表情にも光が戻る。

 

「それでは?

 赤城さんはどのくらいの頻度で出撃していますか?」

 

「え?」

 

 再び赤城さんの表情に焦りが見える。

 

「加賀さん、嘘偽りなく教えて下さい」

 

 突然、鳳翔さんが私に微笑んだ。

 だが決して安心できるような微笑ではない。

 その柔らかな笑顔の下に潜む隠しきれない憤怒の感情。

 関係ないはずの私まで身震いをしてしまいそう。

 

「そ、そうですね。

 た、確かに燃費が悪いのはそうですが、それを加味しても赤城さんは優秀な艦です。燃費が悪いのも承知の上で提督はよく任務に駆り出して「加賀。本当は?」

 

「すみません、0です」(呼び捨てにされた…)

 

 

 そうなのだ。

 実は赤城さんはなんだかんだ一度も戦場に出ていません。

 理由は単純に鎮守府二位の高練度(練度91)と空母艦特有の高燃費である事から中々戦場に駆り出す機会がない事。

 元とはいえ、ブラックな運用をされていた舞鶴及び大湊出身の艦娘達は佐世保鎮守府組に比べると練度が低めだったので、提督は基本的に佐世保組の艦娘を積極的に使おうとはしなかった。

 おまけに、まだ潜水艦が在籍してないのも相まって資材の確保が安定しない舞鶴の状況下で、更に高燃費な赤城さんとなるといよいよ戦場には出せない。

 

 なお、同様の理由で武蔵も一度も出撃が出来ていない。そろそろ鬱憤が爆発する事でしょうね。

 

 

「加賀さん!?何故裏切るのですか!?同じ一航戦の誇りはどうしたというので「誰が発言を許しましたか?赤城」

 

「はい、すみません」(あ、呼び捨てに戻っちゃいました)

 

「赤城、あなたが舞鶴に異動してから戦場に出た回数は未だ0…という事で間違いないですね」

 

「………はい」

 

「補給が必要でしたか?」

 

「………いえ」

 

「では何故赤城スペシャルを注文していましたか?

 それもほぼ毎日」

 

「………美味しい、、から、です」

 

「海へ出なさい、今すぐに。

 久しぶりにご教授致しましょう」

 

「加賀さん!!後生ですから助けて下さい!!!」

 

「………骨は拾いますので」

 

 

 

 

 

 

 その日、近海から赤城さんの悲鳴が響き渡ることとなる。

 

 

 

 

 

「え、えと…加賀さん。

 赤城さんのこと、助けた方がいいのでは?」

 

 翔鶴は連れて行かれた赤城を心配し、どうしたものかと困り果てている。

 優しい翔鶴に感心しながらも、無用の心配よと微笑む。

 

「鳳翔さんと赤城さんの付き合いは提督との時間よりも長いのよ?

 あの程度ただのじゃれ合いにすぎないわ」

 

 というか、赤城さんの食い意地には私も思うものがあります。

 今回の一件で少しは大人しくなるといいのですけど。

 

「そ、そうなのでしょうか…?」

 

「そうよ翔鶴姉。

 赤城さんはそう簡単に音を上げたりしないわよ!なんたって私達正規空母のリーダーなんだから!」

 

 今現在、海の上でヒィヒィ音を上げてる事と思いますが。

 

「というか、加賀さんだって行かなきゃじゃないの?

 加賀さんだってあの赤城スペシャルよく食べてんじゃない、ん?」

 

 

 五航戦(瑞鶴)が水を得た魚のようにイキイキと煽りだす。

 ニヤニヤと口元をヘラつかせ、腰に手を当てて何か言いたげな様子で顎を浮かせてこちらを見下してるような気がする。

 頭にきました。

 

「………黙りなさい、五航戦」

 

 あの赤城さんが恐れる鳳翔さんのご教授。

 私が耐えられるとも確証を思えませんし、まだ死にたくありません。

 なので赤城さんには申し訳ないのだけど、知らぬ存せぬで白を切らせて頂きます。

 

「加賀さんサイテー!!

 華の一航戦だったら連帯責任よ!連帯責任!!」

 

「あら?その理屈なら五航戦も連帯責任になるのかしら?」

 

「へ?」

 

「あなたこそよく赤城スペシャルを頼んでそのたびに残しているでしょう?余った分は駆逐艦の子達に回しているとも聞くわ。

 赤城さんと同じ事をしようとするのはいい事だけれど、そのたびに残してしまうのは看過できないわ。

 あなたこそ、今すぐ海に立つべきよ。連帯責任としてそっちの五航戦(翔鶴)も…」

 

「ちょっと待ちなさいよ!!なんでその恥ずかしい話知ってんのよ!!!」

(赤城さんの真似じゃないっつーの!!どちらかというとアンタ(加賀さん)に追いつきたくて同じご飯にしたのよ!!)

 

「その駆逐艦の子が教えてくれたのよ。

 文句は野分と嵐に言いなさい」

 

 瑞鶴達がまだ舞鶴に異動する前の大湊時代、一時は心無い言葉で責めた野分とも今では残したご飯を代わりに食べてくれ、とお願いを出来るほど仲良しになっている。

 

「グヌヌ‥!!その挑発乗ってあげるわ!!今すぐ海に出てやろうじゃない!!

 行こう翔鶴姉!!加賀さんを今度こそ二人でぶっ潰してやるわ!!」

 

「え?あ、私も?

 ま、まぁ私は別に、憧れの加賀さんと演習できるのだから問題ないのだけど」

 

「さぁ、海に出なさい五航戦's。

 己の胃袋も把握できない未熟者に身の程というものだけでも把握させてあげるわ」」

 

「ハ!ハイ!!よろしくお願いします!」(今纏められた!?)

 

「上等よ加賀ァ!!!

 今日こそその澄ました顔面に爆撃喰らわしてやるんだから!!」

 

 

 

 

 

 

 

 海の方から、数度の轟音が響き渡り始めた。

 

 あぁ、お優しい提督。

 せっかくの資源を食い潰してしまう蛮行をどうかお許しください…。

 

 

 

 

 

 

 〜〜〜

 

 

 

 

 その日の日中。

 近海からは空母艦達の悲鳴が響き渡った。

 

 その日の日没。

 司令室からは男の悲鳴が響き渡った。

 

 

 





 こんな事がしょっちゅう起きてるからいつまで経っても武蔵は倉庫番なんでしょうね。
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