スケベ提督と元ブラック鎮守府   作:ルフレオ

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神通と朝チュン

 

 チュンチュン

 

 

「んぅ…、朝…?」

 

 鳥の鳴き声で私は目を覚ました。

 一糸纏わぬ裸体だった。服の代わりに毛布を被せられていた私は、ゆっくりと上体を起こす。

 枕の横には丁寧に折り畳まれた私の制服があり、時計の音だけが部屋に響く。

 

 そこは見慣れた自室ではない。

 ここは提督の部屋だ。

 隣を見てみると、さっきまで誰かが寝ていたであろうスペースには誰もいない。

 太陽が差し込む明るい部屋の中で、私は一人だった。

 

 

(───あ…そうでした。私、昨晩ここで提督と…)

 

 

 寝起きの頭が少しずつ覚醒しだす。

 そしてふと思い出した。

 

 提督に純潔を捧げた、昨晩の事を。

 

 

(大変失礼ながらどことなく童貞臭い方だと思ってましたけど…イ、意外とリードも上手で手慣れてましたね…。

 キスをしていればついつい夢見心地になってしまいましたし、緩急のつけ方と焦らし方がとても上手で、指の動きなんて自分でする時とは比べ物にならないくらい…。

 ……………待って待って待って!待って下さい!!

 段々と思い出してきちゃいました!!!!)

 

 

 勝手に昨晩の記憶が甦り、勝手に恥ずかしさと幸福感と達成感に頭を支配されてそのまま爆発した私は、誰もいない部屋の中で一人布団を抱きしめて悶えながら唸り声を上げた。

 どうか誰にもこの醜態を見られませんように…!!

 

 

 数刻唸った後、落ち着いた私はいそいそと着替え始めた。

 

 

(ま、まずは落ち着いて…えっと…。

 ご、ご飯にしましょうか。鳳翔さんに報告………は、流石にしなくていいですよね?

 流石に、純潔を散らした事まで知らせる必要ありませんよね?

 というか、私がそんな事口にしたくありませんし」

 

 

 服を着て簡単に髪だけ整えた私は、部屋を出る前、机の上に書き置きを見つけた。

 

 

『神通へ

 おはよう、よく眠れたか?

 昨日の執務の残りをやっときたいので、お前を残して先に部屋を出る事を許してくれ。

 

追記:お前の寝顔があんまりにも可愛かったから写真撮っちゃった(*゚▽゚)ノ

 許してくれたまえ』

 

 

 追記の一言にクスリと笑う。

 

 寝顔を撮られるなんて結構恥ずかしい事だと思いますけど、その数倍恥ずかしい事を済ませた間柄だと思えばどうという事はありません。

 

 机に手を伸ばし、書き置きの紙を拾い上げる。

 すると、裏にも何か書かれている。

 裏にもあったんですねと思いながら、それを読んでみた。

 

 

 

 

『めんご、写真撮る為に青葉のカメラ借りに行ったらお前と寝たのバレちった(*・ω・)ノ』

 

 

 

 ・・・え?

 

 

 

 そこから更に下の方。

 字形は変わっているが、文章が続いている。

 

 

追記その1:青葉、見ちゃ…ってはいませんが、サイコーの特ダネゲットしちゃいました!!号外で青葉新聞発行しちゃいますね!!(舞鶴鎮守府のジャーナリストより)

 

追記その2:衣笠です。ごめんなさい神通さん。私が気付いた時には既に数部印刷されてばら撒かれてました…。

 量産は食い止めましたが、既に誰かの目に入ってるかも…。

 それと、その…よければ、感想とか聞かせてほしいです(衣笠より)

 

追記その3:声ちょっと漏れてましたよ!!

 鎧袖一触!!中々情熱的でしたね神通さん!(一航戦の赤い方より)

 

追記その4:赤城さんの言ってる通り、少々寝づらいものがありました。他の子達には気付かれてないでしょうけど、気を付けて下さい。

 それと赤城さん、鎧袖一触の使い方間違えてます(加賀です)

 

 

 

 ・・・え?

 

 

 皆さんの追記の一言にどんどんどんどん顔が熱くなっていく。

 こ、声外に漏れちゃってたんですか…!?

 

 

 ……………提督の書き置きをシュレッダーにかけるよりも更に細切れに破れ捨てた私は、すぐに艤装を展開する。

 

 何故艤装を……ですか?

 

 

 一航戦のお二人に顔合わせする事よりも先に…。

 

 

 新聞発行を阻止しようと動いてくれた衣笠さんに感謝する事よりも先に…。

 

 

 面白おかしく醜態を広めようとした青葉さんをぶち殺す事よりも先に…(!?)

 

 

 

 

 砲弾ぶち込まないといけない人がいますから!!!

 

 

 

 

 

 

 

「テーートクウウゥゥゥゥ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 神通の砲撃が舞鶴鎮守府に響き渡った。

 

 

 そして、もう何度目になるだろうかという砲撃音に重なって響き渡る提督の悲鳴は、もはや舞鶴鎮守府の風物詩になりつつあった。

 

 

 

 

 

 

 〜〜〜

 

 

 

 

 〜食堂〜

 

 

「ケサノアオバシンブンミタ…!?」

「サスガハジンツウサンダヨネ…!!コウドウガハヤスギル!!」

「ジンツウサンッテセイヨクモケッコウツヨイノネ!」

「ミテアノハズカシソウナカオ!!カワイイ!!」

 

「・・・」プルプル

 

 

 青葉新聞はやはり一足遅かったようで、既に戦艦・空母を中心にチラシが回ってしまっていた…。

 おかげで鎮守府の至る所で噂される羽目になり、今日一日は私の居場所はどこにもなさそうです…。

 提督…!!!なんて事してくれたんですか!!

 

「ま、まぁその…、なんだ、神通。

 不必要に噂を広めるような真似はしないので、安心してくれ」

 

 武蔵さんがさっきから目を合わせてくれません。

 

「あの…金剛さんは?」

 

「まだ部屋でダウンしている。

 ようやくお前と提督が付き合った事の精神ダメージが回復し、一安心していたその時に青葉からの号外が配られたらしく…」

 

『武蔵さんんん!!!!

 金剛さんが心臓停止しちゃってます!!!』

 

 死んでた金剛を吹雪が見つけた事でようやけ武蔵の名が呼ばれた。

 一時は呼吸困難に陥っていた金剛が現在は心臓麻痺。

 私達が結婚なんかしたら多分死にそうですね。

 

 

 

 

 〜〜〜

 

 

 

 

 

 〜司令室〜

 

「やっと書類纏まった…!手伝ってくれてありがとな」

 

「いえいえ、私も久しぶりに提督とご一緒できて楽しかったです」

 

 神通の怒りの砲撃を受けた事で真っ黒になった顔と焦げた髪を揺らしながら、司令室に佇む提督と神通と初夜を明かした事をまだ知らない鳳翔。

 目の前にはとんでもない量の書類と、昼飯代わりであろうおにぎりが二つに飲み物代わりかそれとも眠気覚ましのつもりか、レッドブルが二缶積まれていた。

 

「しかし、流石は鳳翔だよな。仕事が早い」

 

「いえいえ、そんな事ありませんよ」

 

 本日の秘書艦には鳳翔が手を上げてくれた。

 佐世保からのお客様である鳳翔を働かせるのは少し気が引けたが、久しぶりに執務をしたい、と気を使った言い方をしてくれた鳳翔を無下にすることも出来ず、今日限りの秘書艦をやってくれている。

 

 

 それにしても、鳳翔の事務処理の速度は異次元といっていい。

 俺も神通もそこそこ早い方だと思うのだが、まだそこから更に数段早い速筆と書類の理解力。

 

 俺が以前勤めていた佐世保鎮守府の前任の提督…現在は元帥に昇格されている凄い方なのだが、その前任提督の秘書艦こそが鳳翔だったという話だ。

 相当敏腕だったはずの前任にも涼しい顔でついていったという鳳翔の処理能力。

 鳳翔無双の片鱗を見た気がする。

 

「少し遅くなりましたが、お昼の時間ですよ。食堂へ参りましょう」

 

「ん、そうするか」

 

 

 なんとか書類の山を全て片した俺達は思いっきり伸びをする。長く椅子に座ってた事ですっかり身体が硬くなっており、関節が音を立てている。

 こんな時は艦娘の皆(主に神通、もしくは弥生か吹雪)に癒してもらうのが一番!!

 

 

 

 ガガガ…

「球磨だクマー!!提督応答するクマー!!」

 

 

 食事処へ向かおうとした時、突然通信がかかってきた。

 現在、球磨を旗艦として近海の哨戒任務に当たってもらっている。

 

「はいはい提督ですよー。どうした?」

 

「ドロップ艦が出たクマー!!

 任務が終わったらナデナデするクマー!!」

 

 

 

 ここで一方的に無線を切られた。

 え?ナデナデしてとか可愛すぎない?

 

 

「幸先いいですね」

 

「あぁ、さて、誰がドロップしたクマかな」

 

 

 球磨達の帰投を心待ちにし、今度こそ食事処へと向かう。

 

 もちろんそこで神通と鉢合わせる事となる。

 鎮守府中に話が出回ってしまった事にぶつけようのない鬱憤を抱えた神通から、八つ当たりという名の主砲をぶち込まれる事となった。

 

 





 次回追加される新艦娘は三隻です。
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