今回神通は登場しません。まぁたまにはね…。
哨戒任務より帰投した球磨率いる第一艦隊を出迎える。
帰投した第一艦隊は俺の姿を見るなり、見事な敬礼をし、一列に並んだ。
「作戦終了クマ。報告見るクマ?」
「見るクマアァァァァーーー!!!!!!」
今回の旗艦は球磨。
随伴艦より一歩前へ出て、今回の成果を発表する。
「海のどっかでちっこい奴を何匹かぶっ飛ばしてきたクマ!」
「ヨシ分かった!!」
「真面目にやって下さい」
鳳翔に背中を小突かれる。
「おとと…ごめんって。でもどうせ後で報告書来るんだからさ、今聞いても無駄無駄」
「…そんな適当でいいのですか」
鳳翔は呆れ果て、深く溜息をついた。
「さて、と。球磨。今回のドロップ艦はその子達か?」
「そうだクマ!今日は三人も仲間が増えたクマ!」
球磨の後ろに控える見慣れない子達に視線を送る。
球磨は嬉しそうにニヤリと笑うと、後ろの子達にはにかんだ笑顔を向ける。
「ほら、自己紹介しとくクマ!」
ドロップ艦は計三名。
それぞれ別の艦種だ。
「高速戦艦、榛名。着任しました。
よろしくお願い致します」
「ねえねえねえ!あたし、伊26潜水艦!ニムでいいよ!よろしくね!」
「木曾だ、お前に最高の勝利を与えてやる」
「フッフッフ〜!!球磨の手に掛かればこんなモンクマ!!」
「おぉっ!三人も一気に…。物凄い戦果だな!」
戦艦、潜水艦、軽巡一隻ずつとは中々運がいいものだ!
しかもそのうち一隻は球磨の姉妹艦である木曾。
球磨のテンションが一段と高かったのも納得である。
「そうクマそうクマー♪
分かったら早くナデるクマ!」
球磨はさっと頭を差し出す。そういえば通信でそんな事言ってたっけ。
球磨はこうやって子供扱いされるのを嫌がる子だと思ってたけど、案外そうでもないのかな?
右手を頭に乗せ、球磨の特徴的なアホ毛ごと髪を押し潰し、なるべく髪の流れに沿うように撫でてやる。
その髪はフワフワとしていて柔らかく、触り心地がいい。
「意外と柔らかい髪だな。まるでぬいぐるみみたいだ」
「ぬいぐるみじゃないクマ!でもナデナデはしてくれクマー♪」
相当気に入ったのか、しばらくはご機嫌そうに目を細めていた。
が、このままではキリがないと痺れを切らした鳳翔が軽く咳払いをした事で、球磨の頭から手を離す。
「新規の子達は司令室まで同行してくれ。
第一艦隊は任務ご苦労様。
すぐに入渠に入って、各自身体を休めてくれ。旗艦の球磨は後で報告書提出するように。
以上、解散!」
最後に一つ敬礼をすると、皆も同じように綺麗に敬礼を返してくれた。
〜〜〜
ドロップ艦の皆と秘書艦の鳳翔を連れ、司令室へと向かう道中。
後ろをついてくる榛名が道すがらに聞いてきた。
「こ、ここの提督はお優しい方なのでしょうか?」
?
優しい人なのかどうかをその本人に聞くとは変わった子だな。
「う、う〜ん…。ま、まぁ皆は優しい人だって言ってくれるぞ?」
……自分で自分の事を褒めるってクソ恥ずかしいな。
「よかった。榛名、安心しました。
こんなに大きな鎮守府をまとめ上げる提督…。
一体どんなお方なのでしょう」
──ん?なんか会話が噛み合ってないような気がする。
「えと…ここの提督の事が気になるのか?」
「はい!帰投する道すがら、随伴艦の陽炎さんが提督の事をとても素敵な方だと教えて下さったんです!
一体どんなお方なのか、榛名は今から楽しみです!」
………分かった。
この子、俺が提督だって気付いてないんだな。
そういえばさっきの初対面でも俺が提督だとは一言も言ってないな。
それに、提督の象徴とも言うべき大本営から支給されるあの白い軍服を俺が着ていないのも大きいだろう。
あれ生地が分厚かったりだとか付けてる勲章だとかで、重くて肩が凝るから嫌いなんだよ。なので普段は脱いでいる。
動きづらいし、艦娘の皆とも触れ合いやすくなるし。
その為、今俺が着てるのは私服のジャージ一丁と軍服の下ズボンだけ。
今の姿をみて俺の事を最高司令官だと見抜ける奴はそういないだろう。
榛名が提督の正体に気付いていない事を察した鳳翔が、すぐに教えてあげようと駆け寄る。
「あ…その、榛名さん。今目の前におられる方が「きっといい人だよ!!提督は!」
が、俺はそれを制止する。
せっかくの面白い状況だ。もう少し楽しませてもらおうではないか。
「不安もありますが、初対面の挨拶ですもの。
榛名、気合入れて参ります!」
「そのイキだ!!何事も初対面が大切だぞ!!」
思わず吹き出してしまいそうになる。
もうすでに初対面終えてるというのに。
(提督も人が悪いですね)
鳳翔は少し困ったような苦笑いを浮かべ、提督の後ろをついていくのだった。
〜〜〜
「という訳で、俺が提督だ」
「申し訳ありませんでしたァァ!!!!!」
仕舞ってた軍服を着込んで司令室の机に腰掛ける俺の姿に途端に真っ青な顔となってブンブン頭を下げる榛名。
せっかくのキレイで長い髪が乱れてしまっているぞ。
首を痛めたりしないか心配だ。
「まさか提督自らお出迎えに来られていたとは思わずに!!
数々のご無礼をお許しください!!」
「HAHAHA!!
「そこまで思い詰めなくとも大丈夫ですよ」
俺は笑い飛ばすようにわざと明るく振る舞った。
その笑顔に安心したのか、榛名の顔が若干和らいだ。
「心配させちゃってごめんて!」
その言葉を聞いて落ち着きを取り戻した榛名は、静かに微笑んだ。
そして、今度は隣でナイスおっぱいを揺らすスクール水着姿の艦娘が好奇心に満ちた明るい表情で詰め寄って来た。
「ねえねえねえ!アナタが提督なの?
ニムね!アナタの事お手伝いさんかと思ってた!」
「す、すまない提督。俺もだ、てっきり憲兵の人間かと…」
続けて木曾も申し訳なさそうに頭を下げる。
勝気の強いリラックマとネコ娘の進化系みたいな二人の姉とは違い、とてもしっかりとした応対を見せる木曾に内心カッコいいと思ってしまった。
「FUHAHAHA!!そんな真面目な男に見えてたか!!」
「あ、あぁ…。お前のような提督もいるんだな…。
なんだか、肩の力が抜けたよ」
「ねえねえ提督!!
ここの鎮守府に潜水艦ってニムだけなんでしょ!?球磨さんから聞いたよ!!
ニムはすぐにでもオリョール海潜ってこれるよ!!早速行ってもいい!?」
(社畜みたいな事言うな…)
「ダメ。
ニムもだけど、三人ともドロップしたばっかだから任務に駆り出すには練度が全然足りてないからな。しばらくは近海を中心にして練度上げに専念してもらう事になる。
オリョールに潜るのは、その後だ」
ニムの頬をムニーッと引っ張る。
モチモチしててめっちゃ柔らかい。
ふむ、ぜひその豊かな胸部装甲の柔らかさも確かめたく(殴
「提督がお決めになったことです。榛名は異論ありません」
「俺も特に文句はない。
ただ、一日でもはやく球磨姉達に追いつきたくってな。
出撃回数は多くしてくれると、助かる」
「ムーーッ!!
でも、ニムだって一人で海に潜るのは寂しいよね…」
こうして、舞鶴鎮守府に新たに三人の艦娘が加わった。