「金剛姉様、お身体は大丈夫ですか?」
「ノープロブレム!心配してくれてサンキューネ!」
榛名です!
舞鶴鎮守府に拾われた榛名ですが、この鎮守府には既に金剛姉様が先に着任なされていました。
ですが、何故なのかは不明ですが、榛名が着任した時から時折金剛姉様が砂のようになる時があるんです。
というか、心臓が止まっちゃって普通に死んじゃってる時もあります。
お湯をかければ三分後に復活するので、命に別条はないのですが…金剛姉様の体調がとても心配です!
その時、榛名は気がつきました。
金剛姉様が倒れる時は、決まって提督がお近くにおられる時ばかり。
提督とお姉様の間に何かがあったのは明白!
ここからは榛名の勝手な推測ですが、お姉様と提督はきっと恋仲だったんです!
ですが、何か致し方ない理由があって別れる事となり、きっとそれが原因でお姉様は頻繁に砂になっているのだと榛名は推理します!(間違い)
非才な榛名には提督とお姉様の間に何があったのかは知りません。
ですが、これ以上お姉様が真っ白な砂に変わってしまうのを見たくありません!
お姉様と提督の仲を取り持つ為、榛名!参ります!
なお、金剛が定期的に真っ白な砂になってる理由は、別に提督と神通がお付き合いをした事によるダメージからではなく、提督に『バーニング!!ラアアアアアアァーーーブ!!!!!』と軽はずみに突撃出来なくなってしまったことによる禁断症状である。
そう、金剛は定期的にバーニングに燃え尽きてるのだ。
燃えたよ・・・
まっ白に・・・
燃えつきた・・・
まっ白な灰にな・・・
【あたしはコンゴー】
〜〜〜
〜司令室〜
「グフフ…!!もう逃がさんぞ神通よ!!」
「て、提督やめて下さい…!!」
神通と二人きりの狭い司令室。
下卑た笑い声を上げて極めてイヤらしい動きの指使いをしながら、神通を一歩、二歩と部屋の隅に追い詰めた提督。
そして、神通の背中が壁についた次の瞬間、提督は空高く飛び上がる!
「ラブリーマイエンジェル神通たぁぁぁん!!!!」
「だからやめて下さい!」グシャア‼︎
「ブベラァ‼︎?」
神通に抱きつこうとした提督の顔面に神通が三日月蹴りを喰らわせる。
蹴り飛ばされた提督はそのまま司令室の本棚にぶつかって落下。追い討ちとばかりにたくさんの本が散らばって提督を下敷きにする。
「いい蹴りだな神通」
「二人きりの時間を作ってはセクハラをするのやめて下さい!」
蹴り飛ばされた俺は本の残骸から身体を起こす。
神通が気付いてるのかは知らんが、蹴られた時にちょっとパンツが見えた。
あまりに神々しい桃源郷が広がっていたのでぜひもう一度見せてもらいたいものだが、あと一回蹴られたら首が180度回転しそうなので黙っておく事としよう。
「ニヘヘ…ごめんって。反省してる。でもよ神通。俺達
「そ、そういう問題ではありません!!
というか恥ずかしいですから言わないで下さい!!」
そうそう!神通はこの恥じらいを忘れない所がまた可愛いのだ!!
「今日の執務は以上ですよね!?
先に失礼させていただきます!!」
「あ!神通怒った!?ごめんってば!!」
「もうずっと怒ってますから!!」
普通に怒った神通は珍しく不機嫌丸出しに力強くドアを叩き閉めた。部屋の外から足音が遠ざかってゆく。
「ちょっとやりすぎちまったかな…早く謝らないと」
恋人を怒らせてしまった(既に数え切れない位怒らせてるが)ことに流石に罪悪感を感じ、すぐに神通の後を追って部屋を出た。
「あれ?どこ行った…?」
神通を追いかけてすぐに部屋を出たのだが、神通の姿がどこにもない。
狭い廊下はもぬけの空。慌てて中庭や艦娘寮を覗いてみても他の艦娘の子達は見かけるのに、神通の姿だけが見当たらない。
ふと脳裏に浮かぶのは、眉間に皺を寄せて川内達に愚痴を吐く神通の姿。
…いや、神通は人の悪口を陰でコソコソ言うような子ではない。むしろフォローしてくれるタイプだ。
それは分かってるのだけど…。
毎日毎日セクハラ祭り(神通に対してのみ)で、ついには恋人を怒らせてしまうような俺は、あの神通に陰でグチグチ言われたとしても…文句言えないなぁ…。
このまま毎日神通を怒らせるような日々が変化なく続くようでは、そのうち本当に神通が愛想を尽かし、ゴミを見る目で見られる可能性だってある。
それはいかんと俺は心機一転!!
せめてまずは神通に一言謝罪し、然るのちに俺の嘘偽りない本音をぶつけようと思う。誠意を示す為にはそこに虚偽の言葉を混ぜてはいけないというのは俺の考えだ。
自分の中の嘘偽りない本音を、心の中で再確認する。
目を閉じて、少しだけ深呼吸して気持ちを切り替える。
俺の頭の中に浮かんでくる大切な思い出一つ一つを紐解いてゆく。
まず思い出されたのは、神通と初めて出会った日の事。
あの時の神通は俺になんの興味も示さず、業務的な挨拶だけしたらそのまま訓練に戻っちゃったっけ。
でも、去り際に見せたあの美しい横顔と去ってゆく後ろ姿を見て、なんてカッコいい人なんだと思ったのを今でもよく覚えている。
次の思い出は、佐世保鎮守府の皆で初めて忘年会をした時。
あまり酒に強くない俺だったが、自分のペースを覚えた事でなんとか最後まで飲めた。
そして、酔っ払った艦娘達のガードは段々と緩くなっていき、日が変わる頃には忘年会はパンチラ祭りになっていく事を初めての忘年会で知った。
それ以来、何があっても必ず忘年会だけは開くようにしている。
そう、俺の年納めは紅白でもなければガキの使いでもない。
大勢の艦娘達が作り出す理想郷によって、俺の一年は終了するのだ!
毎年忘年会は大切な思い出を作ってくれる。
ぜひこの舞鶴でもやりたいものだ。
次の思い出は、神通に初めてキスをした日。
……あぁ〜今思い出しても夢みたいだよ。
仕方ないと言えば仕方ないが、肩がガッチガチになっていた神通がなんだかおかしくって、笑ってしまいそうだったな。
・・・・・・よし、自分の気持ちを再確認した。
後は、嘘偽りない本音を神通に伝えるだけ。
怒らせてしまった神通を追いかけて諦めずにしばらく歩き回っていると、神通の後ろ姿を見つけた。
………って、あれ? 神通のトレードマークである緑色のデカリボンが無くなってる。
気のせいなのか、身長も若干高くなっているし、それになんだか服装も変わってるような…?
まぁとはいえ、あの長くてサラサラしていそうな黒髪と後ろから見ても分かるくらい左右に跳ねた特徴的な前髪は神通しかいない!
目の前の神通(?)の前髪は両方ではなくて片側にしか飛び出ていないように見えるけれど。
バレないように忍び足で後ろから神通(?)に近づいてゆき、その背中を思いっきり抱き締めた。
「捕まえた!さっきは悪かったよ、許してくれ」
「!?!?ッ!?───ッ!!!?!?」
「さっきはやりすぎた、謝る。
今から言うのは全部嘘偽りない本音だと誓う。
愛してるよ、誰よりも好きなんだ、お前の事が」
「ッ!!?!? あ、あのテイト…!!!!」
神通(?)が必死に抵抗する。
おいおいなんだ?耳元で囁かれるのがそんなにイヤか?
フフフ…愛い奴よのう?
「ついつい他の子に鼻の下伸ばしたり、セクハラしちゃうけどさ。
心だけはお前一人を見ているとここに誓う。だって、俺にとってはお前より魅力的な艦娘はいないんだからな」
「───ッッッ!!!!!ヤ、ヤメ、テ…クダサ…!!!」
「大好きだよ、神通」
「…………………………え? 神通…さん?」
? どうした神通。なんで聞き返したんだ?
「何をしてるんですか、提督」
「あぁ神通か。何って…今は神通にちょっと愛を囁いて仲直り、を、しよ、、、う………と?」
自分の後ろから神通が現れた。
……ん?神通は今俺が抱き締めてるんだよな?
でも、その神通は今俺の後ろに立ってて…。
え?じゃあ、今俺が抱きついてる子って誰…?
その子から手を離して一歩離れると、彼女はものすごく赤い顔をしながら振り向いた。
「ハ、榛名は…大丈夫じゃ…ない、です」
・・・
俺は怖くて、振り向く事ができなかった。
眼力だけで敵を潰してしまいそうな殺意のこもった視線が、俺の背中に容赦なく突き刺さってくる。
殺意が近づく。
やがて殺意は俺の肩に手を置いた。
決して力はこもっていなかった。
だというのに、俺にはその手がこの世界のどんな物よりも重たく感じた。
「白昼堂々浮気とはいい度胸してますね?」
〜〜〜
〜金剛自室〜
「どうしたネ、榛名。顔赤いヨ?」
「…金剛姉様…ごめんなさい…。
榛名、悪い子になっちゃいました…」
「………what?」
榛名のイラスト漁ってた時ふと、榛名の髪留めと神通のデカリボン外したら後ろ姿そっくりなんじゃね?と感じたので描きました。
提督と神通はその日の晩にしっかり仲直り出来たみたいです。
なお、後日の神通は妙にキラキラと輝いており、その代わり皮だけになった提督が自室から発見されました。
(お湯かけたら元に戻りました)