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〜舞鶴鎮守府〜
提督は一人、窓から見えるキレイな海を見ていた。
今日の執務を終えた事で心に余裕が出来、少し時間が出来たので窓から顔を出した所、日々の訓練に勤しむ艦娘達の姿を見つけた。
こちらに気付いている様子はない。
たまにはのんびりと見てるのもいいか、と退屈しのぎに訓練する艦娘達を微笑ましげに見つめていたその時、提督はふと思い出した。
「あっ──」
自分が今、とんでもなく重大な問題を抱えている事に気がついた。
舞鶴鎮守府の存亡にも関わってくる程、重大な事を。
慌てて提督は放送を繋ぎ、その日行われていた全ての訓練を中止させてまで舞鶴鎮守府に所属する全艦娘を大広間へと集合させた。
駆逐艦も、軽巡も、潜水艦も、戦艦も。
全ての艦娘達を、大広間へと集合させた。
遠征に誰も出撃させてなくてよかった、と提督は心底ホッとした。
〜〜〜
「皆、突然の召集にも関わらずこれほど迅速によく集まってくれた。
さて、突然召集をかけた理由だが、それはある議題を皆に話さなければならないからだ」
「提督、発言いいだろうか?」
武蔵が手を挙げ、発言の許可を求める。
鎮守府内で有力な立場である武蔵の発言を無下にせず、提督は軽く頷いた。
「話せ」
「その議題とは今日の訓練や演習を中止にしてまで、優先するほど重要な事なのか?」
「そうだ。この俺の命に関わる…いや、下手をすればこの舞鶴鎮守府の存亡さえも左右しかねないほどにな」
普段のおちゃらけた提督の姿はどこにもない。
鋭く、強く、真っ直ぐに相手を見る歴戦の軍人がそこにいた。流石の武蔵といえども、そのあまりにも強圧的な姿に恐怖さえしたのだ。
「…失礼した。私からは以上だ」
「あぁ、だがその話をする前に、初めに謝っておく。
皆、すまなかった…。
これは、俺がお前達に伝えるのを怠っていたが故に今日まで知る事が出来なかっただけなんだ。伝えるのが遅くなって申し訳ない。
だが…この議題は先に話した通り、舞鶴鎮守府の存亡に関わってくるほどの内容だ」
提督の前振りに、自然と艦娘達の表情が鋭くなる。
駆逐艦も、軽巡も、戦艦も。
まるで今から大型作戦に参加するかのような緊張した空気が大広間に漂う。
「……それで、その議題とは?」
「それはな…。
最近、俺が皆のパンツを見たい衝動が抑えられなくなっているという事だ」
艦娘達は無言で席を立った。
「おい待て待て待て待て待て待て待て待て!!!!!!
途中退席は認めないぞ!!」
「提督、真面目に活動して下さい」
神通がゴミムシを見る目で俺を睨んだ。
一種の変態なら興奮するのかもしれないが、生憎俺はそこまで高度な変態ではないつもりだ。
「俺は至って真面目だ!
おい皆!さっきも言っただろ!?
これは真面目な話だ!
真面目に俺の提督活動に支障をきたす重要な議題なんだぞ!」
「余計タチが悪いわよ!!!」
瑞鶴が爆撃機を発射した。
〜〜〜
「さて、それでは本題に移るぞ」
自信に満ちた真剣な表情の提督は、大広間に集まる全ての艦娘達の表情を一人ずつ確認する。
なお、誰一人として真剣な表情をしてる者はいなかった。
話の内容は分かりやすく、かつとても高度だった。
『皆のパンツを見たい』というだけの下らなさすぎる問題だというのに、ちょっとした論文クラスの説明と真剣な眼差しをした提督の迫力ある姿に気圧された艦娘達は内心下らないと思いつつも、付き合わざるを得なかった。
「まず、そもそもの話をしよう。
何故、俺は皆のパンツを見なくてはいけないのか?という問題についてだ」
提督はパソコンのマウスをクリックすると、スクリーンに一つの円グラフといくつかの文書が展開される。
普段の執務でもここまで徹底的な資料は作らないのに、何故ここまで真剣に取り組むのだろうかと、武蔵と神通は頭を抱えて深く溜息を吐いた。
「それは一重に、艦娘のパンツを見る事でしか得られない栄養素というものがあるからだ」
何言ってんだこの
全艦娘の心中が一致した。
「まだ一般的には認められていない為、公式名称は存在しない新種の栄養素だ。皆が知らないのも無理はない。
そうだな…ここでは分かりやすく、仮に『吹雪
吹雪が真っ赤な顔で弾かれたように立ち上がった!
「ん?どうした吹雪」
「どうしたじゃありませんよ!!
なんで私のパ、パ…パンツで呼称するんですか!?」
「うむ、正直なところ、吹雪の名前を使った理由は特にない。
この鎮守府で一番パンチラ回数が多いのは断トツでお前だと思ったから吹雪
「ええええええ!!?!?
パ…!!パンチラ回数断トツ!?」
吹雪は反射的に周囲の仲間達の反応を伺う。
信頼する仲間達から返ってきたのは、まるでそれを肯定するかのような目を合わせてくれない引き笑いであった。
「吹雪、話が終わったなら着席しろ」
「……………ひゃい………すみませんでした」
……真っ赤な顔で吹雪は静かに着席し、生まれたての子鹿のように震えながら、誰にも目を合わせないよう必死に下を向く事しか出来なかった。
「さて、話を戻そう。
吹雪Pは、俺が最近発見した男の身体に定期的に必要とされる栄養素だ。
これを定期的に摂取する事で、俺達男の生命活動が維持されるだけに留まらず、脳細胞の活性化や運動神経の向上など、様々な効果が期待される。
少なくとも、俺にはその効果があった」
鎮守府の提督に支給される白い軍服を身に纏い、自信溢れる真っ直ぐな表情でノートパソコン片手に語る話ではない。
卓上で自信満々に語り続ける提督と議題の内容の凄まじいギャップが気になって、艦娘達は話が全く頭に入って出来なかった。
「…その…て、提督。質問、いいかしら?」
流石の加賀も状況を理解しきれていない困惑の表情を浮かべながら力無く手を上げる。
こんな加賀の姿は中々レアであろう。
「えっと…フ、吹雪
その吹雪Pが不足している場合、男性の身体にはどういった影響が出るのかしら?」
吹雪Pという言葉に吹雪はより一層縮こまる。
「まず男性の
艦娘達が一斉に頭を打った。
「いきなり何してんだ皆」
「寝ぼけた事を抜かすな!!!」
武蔵の鋭いツッコミが冴え渡る。
「いや寝ぼけてなんかいないぞ。
事実として、俺は定期的に神通と
普段は仕事に響かない程度に二回しかしないんだけど、最近はそれでも追いつかなくってきている。
【神通の提案】で一昨日から
「こらえて神通ゥ!!!」
「ここで撃ったら私達まで巻き添え喰らっちゃう!!」
最近の夜の事情を再び大っぴらにバラされた神通が反射的に主砲を構えるが、流石に大広間のど真ん中にぶっ放されてはたまらないので川内と那珂が必死になって食い止める。
神通も吹雪同様、顔を真っ赤にしながら下を向く事しか出来なかった。
構わず提督は議題を続ける。
「男性器に血液が集中した状態…いわゆる勃起してる事なんだが、その状態の男性は一般的には著しく集中力を失われるんだ。
勃起というのは、端的に言えば身体が性交を求めているサインだ。物事に集中出来なくなるのも当然といえば当然かもな。
つまり、吹雪Pが不足しているという事は集中力が著しく低下する事に直結している訳だ!」
私たちは何を聞かされてるんだろう…。
「そして、末期になると禁断症状が出始める。
艦娘のパンツを見たい欲求が抑えられなくなってくる。
つまり吹雪Pの不足した身体が、吹雪Pを求め出すんだ。
筋トレをした人がタンパク質を求めるように。
汗をかいた人が塩分を求めるように。
吹雪Pが不足した人は艦娘のパンツを見たくなってくるんだ。
最近の男共が引き起こす性加害の事件は、皆この吹雪Pの不足によるものだと俺は見立てている」
不足してるのはあなたの脳細胞ではないでしょうか…。
「ここまで言えば分かるだろう。
吹雪Pが著しく不足している状態が続けば、男がどんな行動をとるのか分からない。執務に集中出来ずに仕事が疎かになるだけで済めばまだいい。
このままだと、下手をすれば舞鶴鎮守府の提督が性加害事件で逮捕されたという新聞の見出しが世間に出回る事になるんだ!」
もう今更な気もしますけどね…。
「だからこそ折り入ってお頼み申す!!真面目に頼む!
艦娘のパンツからでしか得られない栄養素をくれ!!
吹雪P不足の俺に、皆のパンツを見せてくれ!!!」
提督は、卓上で艦娘達に向かって土下座をした。
最高司令官ともあろうお方が、部下である艦娘達に土下座をした。
艦娘達の『パンツ』。
ただ、それだけを見る為に…!!
艦娘の中から一人が席を立ち上がり、土下座をする提督に近づくとその肩を叩いた。
肩を叩かれた提督はすぐに前を向く。
そこには、跪いて提督と目線の高さを合わせる鳳翔の姿があった。
「鳳翔…。すまないな。佐世保鎮守府のお前にこんな事をさせてしまって…」
「いいえ、大丈夫ですよ。それよりも提督…。
鳳翔はニッコリ笑顔で、右手に握り拳を作った。
「な、中々大きな拳だな」
「はい、私も拳を握るなんて久しぶりです。
…佐世保鎮守府から一週間派遣で参っただけの私が言うのはあまりにも驕りが過ぎますが…それでも舞鶴鎮守府を代表して言わせていただきます」
鳳翔が拳を振り下ろす!
「誰が見せますかこの変態イィ!!!」
「ギィィィィャアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!」
後日、暁の水平線の向こうに浮かんだ提督を伊26が引き揚げたそう。
〜〜〜
「提督。もう少し真面目な方になってくれませんか?」
「俺は真面目だ!」
「サイテーですね」
鳳翔の拳骨を喰らった提督を手当てする神通。
海に投げ捨てられた事でずぶ濡れになった身体を乾かしながら、腫れた頭を抱えて涙目になっている提督が少しカワイイ…。
というか、鳳翔さんの拳骨など初めて見ました。
「艦娘のパンツからしか得られない栄養素って何ですか…。
そんなものが存在する訳ないじゃないですか」
「いいやあるね!!
吹雪の白い素朴なパンツとか夕張の緑の縞パンとか翔鶴の薄いグレーの紐パンとかがチラッと見えた瞬間にしか分泌されない栄養素は絶対にある!!」
………やっぱり提督はバカだ。
バカでスケベなダメ提督だ。
(私の下着では駄目なのでしょうか…)
喉元まで出かかったその一言を発するにはほんの少し勇気が足りない神通は、一筋の嫉妬と一緒に胸の奥に言葉をしまった。
※本作はフィクションです。
実在の人物、団体名とは一切関係ありません。
でも、吹雪Pは必ず存在します。