彼が彼女で彼女らが彼らで   作:回転するカイデン

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投稿遅れて本当に申し訳ありません
今後の展開とかキャラの思考考えてたら本文書くの忘れてました
違和感あるところチラホラあると思います、今後も推敲しますが重ねて申し訳ありません


7話 これからの自分

6歳になった

しかしここ1年特に得られた技術というのは無かった

 

パウロから剣を教えてもらうのも剣を振れるのか安定した位で未だにどの流派の初級すら認められていない、今まで適当にやろうとしても出来た魔術と比べるとこれをこうすればこうなるという感覚が今一掴めない

人は誰しも向き不向きはあるものだが、この調子では夢にまで見た剣と魔術の二刀流を成立させるには程遠そうだ

そんな上手くいかない俺の様子を見てパウロからは“娘にも出来ないものがあったんだな”と言葉には出してないが、こちらを温かい目で見る顔からはそういう事を考えているのがわかった

 

おのれパウロ、必ずやその鼻を明かしてやるからな

 

てことで現在の目標は打倒パウロになっている、とはいえこの調子で力をつけて剣で勝とうと考える俺ではない、そんなのはいつになるかわからないし、何ならパウロが引退するまで勝てない可能性もある

そこで魔術を使う、何も剣だけで勝つ必要はない、剣は振れるのだから後は当てられるようにさえすればよいのだ

風で距離を調整する、沼で足を取る、霧で視界を奪う、やりようはいくらでもある

後はそれをパウロに通ずる形にしてそれに動きを合わせられるようにすればいい

そのためにも今は練習あるのみ、シルフに魔術を教える合間にイメトレとそれの再現を続けている

 

 

あの日に教えてほしいと言われて始めた魔術の授業もシルフのやる気もあって順調に進んでいる

始めたばかりの頃にはソマルがお供を連れてまた寄ってきたこともあって、最初こそあのことを謝りに来たのかと思えば、変わらない減らず口で煽ってきたため丁重(・・)にお帰り頂いた

 

その後もしつこく何度かやってきて、時には兄貴分なのだろう10歳ほどの奴も連れてきたことがあったがその度に追い返すのを続けていると、ある日を境に来ることが無くなった

遠くの方で遊んでいるのが見えたり、大木に向かう時に目があったりするのだがこちらに反応を返すことはない

シルフにも聞いてみたが1人で出会う時があっても無視されるということだ

どうやら俺達を完全に無視することにしたらしい

 

 

ソマルは俺が追い返す度にまた何か吹き込んだのか親が来ることもあったが、2度も通じる訳もなくむしろその度に謝りに来させられていたのも彼のプライドを傷つけたのだろう

別に俺としては気にしてないし、むしろわざわざ謝りに来させなくてもとも思ったが、どうやら母親は謝らせることよりもその時に一緒にいるパウロが目当てのようだ

 

会いに来たいからその口実に子供の喧嘩を使っているというわけだ、全く女というものは末恐ろしい

1回やったあとに数回来たのもそれの鬱憤ばらしのためだったのだろうが、むしろその度あんな目にあうんだからいい加減ウンザリするというものだ

 

まぁなにはともあれ俺達はこうして無事に平穏を手に入れた

 

 

 

シルフの魔術の腕は最初こそ基礎の魔術すら覚束ないものだったが、今では初級をクリアして中級に取り組んでいるところだ

今の魔力量なら上級も使えるとは思うが、何も発展型ばかり覚えればいいというものでもない、段階をふんでゆっくりとやるべきなのだ

それに上級は詠唱も長い、無詠唱でやるならともかく文字の読み方から教えているのもあって、1人で本を見ながらというのも難しい

ということで今は中級に慣れるためにも文字を読む練習ついでに初級の魔術を完璧にするため先程から色々撃ってもらっているのだが、なにやらシルフの様子がおかしい

 

撃っているのは至って普通の『水滝(ウォーターフォール)』なのだが、撃っている様子がおかしい

撃つ時に別の魔術の詠唱を混ぜていたり、撃つ時に奇妙な構えを取ったりしている

何か別の魔術を撃とうとしているのはわかるが、それにしては何度か魔術教本を見ているのに詠唱を変えようとしないし、着弾して出来た水たまりに手を触れてみたりとおかしな点が目立つ

 

「シルフ、さっきから何をしてるんですか?」

「ええっと、ルディが使ってたのをボクもできないかなっておもって」

「ウォーターフォールならもう充分できているじゃないですか」

「ううん、そうじゃなくて水を温かくしたいんだけど……」

 

そう言われてシルフがやりたいのは1つの魔術なのではなく、混合魔術なのに気づいた

そういえばまだ混合魔術は教えていなかったな

『水滝』の書かれている部分を見て、次に『灼熱手(ヒートハンド)』を探して見つけると魔術教本を2つ指で指す

 

「ほら、この2つを同時に使うんです」

「……どうやって?」

 

シルフに首をかしげられてしまった

うん、シルフは無詠唱のやり方しらないからな、これは俺が悪い

 

「うーんと、まず先にウォーターフォールを詠唱無しで作ってそれをそののまま維持して、それをヒートハンドで目当ての温度まで温めるんです

 ヒートハンドは詠唱しても無詠唱でもいいですし、なんならお湯を作りたいってだけなら桶とかに水をためて、それを温めてもいいです」

 

仕組みの説明こそしたが、まだやらせたことのないものだからか釈然としない顔で手を突き出してグーパーしたり、体をうねらせている

 

まぁこの説明だけで出来るとは思っていなかったので目の前で実践してみる

今だと息を吸うような感じで、わざわざ意識してやるほどのことでも無かったので、改めて分けてやると少しもどかしくなってしまう

 

「こんな感じですね、具体的には詠唱してる時に感じてる魔力の流れを自分の力で再現するんです、それで魔力が集まってきたら次に使いたい魔術を強くイメージして、魔力を絞り出すようにするって感じです

 別にウォーターフォールでも出来るとは思いますけど、感覚を掴むのならもっと簡単な……そうですねウォーターボールあたりがいいんじゃないでしょうか」

「う、うん」

 

やり方を教えたが、さてどうなるか

1年間詠唱ありでやり続けてきたから、もうそれが体に染み付いてしまっているかもしれない

出来ないなら出来ないで次は混合魔術について教えていけばいいのだから気にはしない

本人には本人なりのやり方と言うのがあるのだ

 

 

 

「ねぇルディ見た!?今出来たよ!」

 

と思っていたら割とあっさりと成功させてしまった

1度成功してコツを掴んだのかその後にポンポン楽しそうに水弾を撃ちまくっている

続いて先程の同時発動にも挑戦し、片腕のみではまだ出来ないものの両腕で別々に使うことでこちらも再現してみせた

よもやここまで簡単に使われてしまうとは、とはいえこれなら俺も教えやすい

なにせ自分がやっていることをそのまま教えれば良くなったのだから

 

 

──ポツン

「ん?」

 

嬉しそうに魔術を撃つシルフを微笑ましく見ていると頭にほんの微かに何かが当たった様な感覚を覚え上空を見ると、すぐにポツポツと雨が振り始めた

 

見れば空全体が黒い雨雲に覆われてしまっていた、いつもはこうならないよう注意を払っていたのだがシルフに教えるの夢中でそのことが頭から抜けてしまっていたようだ

 

すぐに雨脚も強まり、服も濡れてしまった

 

「あー、振り始めちゃいましたか」

「ルディ魔術使ってどうにかできないの?降らせられるなら止ませることもできそうだけど」

「んー、もう濡れちゃいましたし作物には雨も必要ですからね

 自分達だけのために他の人に農家の人に迷惑かけるわけにはいきません」

 

そんなことを話しながら、シルフの家よりは近い我が家に走っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま帰りました」

「お、おじゃまします」

 

なんとか家に帰るとリーリャがタオルのような大きめの布を持って迎えてくれた

 

「おかえりなさいませ、ルーディアお嬢様……それとお友達の方」

 

リーリャは失礼しますと一言だけ残し何処かに行ったかと思うと俺に渡したのと同じような布を持ってきてシルフに渡した

 

「ルーディア様、お部屋にお湯の準備ができています、風邪をひかない内に体を拭いて2階にお上がりください

 もうすぐ旦那様と奥様も帰ってらっしゃいます

 わたしはそちらの用意をしていますので、お1人でできますか?」

「大丈夫です」

 

体を一通り拭いて水が滴らないのを確認して布を返すと、今度は手ぬぐいを手渡されたが、こちらは1枚しかない

 

「申し訳ありません、お友達の方の分の用意ができておらず、もう少しだけお待ちください」

 

仕方あるまい、急な雨だったし今日に前もって連れて来るというのも伝えてはいなかった

 

「ごめんなさいシルフ、あっちに広間があるのでそこで待っていて貰えますか?」

「う、うん、わかった」

 

そう言い残して1人階段を上がって行った

 

 

 

自室に入ると真ん中あたりに子ども一人ならすっぽり収まってしまうであろうほどの大きさの桶とそれに湯気を立てたお湯が張っていた

この世界には湯船に入る、シャワーを浴びるという文化は無いらしい

技術がそこまで発展していないのか、そもそもその考え自体がないのかどちらかは分からないが物臭な俺としてはこのくらい簡素な方が気楽というものだ

服を脱ぐと手ぬぐいを持って桶の中に入って体を洗い始める

 

洗っている最中裸になった自分の姿がお湯に映る、この世界に来て既に6年、長いようで短いあっと言う間に過ぎてしまった時間で女の姿でいるのも慣れたものだが、こんな感じでふとした瞬間に姿を見ると自分の体だというのに思わず目を背けてしまう

 

改めて自分の体を見るが

まだ指は短くか細い、白くきめ細やかな肌はとても柔らかそうだ髪も長く伸びやすくて纏めた髪を解くと肩につくまでの長さがある

最近になってスカートにも慣れてきたがまだズボンを着ている方が落ち着く、まだそこまで体に差異はないのもあって姿を整えればギリギリ男と言えそうでもある

 

しかし上半身を色々眺めて考えを巡らせても下半身に視線を移されるとその考えは霧散する、上半身と同じ白い肌にそれは文字通り見る影もなく、ただ肌がなだらかにあるだけである

あのショックから立ち直って今はそれはそれ、これはこれと楽しんではいるものの、既にこの世を去った相棒を思うと寂しさがこみ上げてくる

そして俺は今無き相棒の面影を探して、股のあたりに手をかざして振ってみるが、手に当たるのはお湯で温められた空気だけで、

やってて虚しくなるだけだった

 

おっとそうだ

こんな事をしている場合ではない、下でシルフを待たせているのだ早く体を拭いてしまわねば

 

 

 

 

 

 

 

ルディに言われて移動して待っていると、少ししてメイドさんが布を持ってきてくれた

魔術を教えてもらう間に家のこととか色々教えてもらったけど、聞くだけなのと目で見てみることの衝撃は全然違う

ルディのお父さんのパウロさんはこの村を守る騎士で、他の村人よりもお金持ちなんだって聞いてた、その分家も大きいんだって

 

ルディの家も初めて見たけど、凄かった

庭が見えるだけでもボクの家が入っちゃうくらいには大きくてしかもまだ見えない部分も続いてた

家自体も2階建てで部屋も凄い多いし一つ一つが大きい

他の人の家に入るなんてのは初めてのことで、いつも見ている家と全然違っててしたことのないくらい緊張してしまう

 

「うん?シルフィアスくんじゃないか」

「あ、その……パウロさん、お邪魔してます……」

 

いつの間に帰ってきていたのか振り向くとパウロさんがいた

 

「そんなに固くならなくてもいいよ、ルディの友達なんだろう?」

「は、はい」

「今後もうちの娘と仲良くしてくれよ、っとそういえばルディはどこだ?一緒じゃないのか?」

「えっと、今は部屋で体を洗ってます」

「あー雨降ってたからか、でも家に来てから時間は経っているんだろ、ならそろそろ終わると思うし、向かってもいいんじゃないか?」

「そ、そうですか……」

 

確かにルディが上に上がってからもう結構経っているしそろそろ終わるかも

まだだったとしても扉の前で待てば良いかな

 

「じゃ、じゃあ失礼します……」

 

 

布を抱えて部屋を出て2階に上がった

けれども上がった先でも左右に廊下が伸びていて、その両方に幾つも部屋があって、どこがルディの部屋なのかわからない

2階に来るまでにすれ違ってもいないからまだ部屋にいるはずだけど、これじゃあどこで待てばいいのか

これならさっき部屋の場所を聞いておけばよかった

 

とりあえず近くの扉に近づいて耳を澄ませてみても、まだ外で降っている雨がうるさくて中の音は聞こえない

 

(ノックすればわかるかな……?)

 

扉から耳を離して廊下を見渡すが先程と変わりはない

そして扉に向き直ると意を決してノックする

 

……少し待っても部屋の中からは何の返答もない

 

(違う部屋なのかな……)

 

離れようとしたがもしかしたらという気持ちが湧いた、既にルディは1階に降りていてトイレか何かですれ違ってしまっていたのかもしれない

 

「し、失礼します……」

 

とりあえず部屋の中を確認はしておこうと思って、少しだけ扉を開けて中を覗き込んだら

 

「ん?」

「──え?」

 

部屋には誰もいないどころか、部屋の中央では体を拭くところだったのか片手に布を持った状態のルディがこっちに体を向けて固まっていた

 

(あれ?なんで?ノックしたよね?)

 

ちゃんとノックはしてた、音はしっかりとするように力を入れてたし、その状態で少し待った

 

頭が真っ白になった

 

すぐにでも目を逸らさなきゃいけないのに、目がルディから離れない

 

いつもは後ろで纏めている髪も今は解かれて体に垂れている

お湯で温まった体からは湯気が立って艶を放っている

いつもは太陽に照らされていて綺麗な白い肌は赤みがさしてて雰囲気が全然違う

服を着ていない裸の体は自分と全体は同じなようだけど、一部には無いものもあった

 

 

(女の子の体ってこんな感じなのか……)

 

えーっとそうじゃなくてこの場合言うことは……

 

(ルディってやっぱりカワイイなぁ)

 

違う違う、そうじゃなくて言わなきゃいけないことは、えっとえっとえっとそうだ!

 

「あのー、シル

「ご、ごめんなさい!!!」

 

自分に出せるだけの大きな声で謝ると同時に扉を思い切り閉める

扉を閉める寸前ルディが何かを言おうとしていたみたいだけど、それが聞こえる前に扉を閉めてしまった

 

扉を閉めると少しして緊張の糸が切れて、床にへたり込んでしまった

何を考えようにもさっきのルディの姿が脳裏に焼き付いて、離れてくれない

 

いやいや、こういうのはすぐに忘れよう

それよりも今は先にルディに謝る言葉を考えないと

 

 

 

「やぁシルフィアスくん」

「ひゃっ、はい!」

 

突然横からこの世のものとは思えない声で自分の名前が呼ばれ、反射的に上擦った声で返事をしてしまった

恐る恐る横を見ると口に笑みを浮かべてこそいるものの目は一切笑っていないパウロさんがいた

 

「ちょっと様子が気になったから見に来たのだけど、どういうことかな?」

「あ、あ、あの、えっと、そのこれは……」

「大丈夫、理由があるんだったら言ってくれ、怒らないから」

 

怒らないと言っているけど、きっと既に怒っているんだろう

あの目はお父さんがボクを叱る時にする目と同じだから

わざとじゃないと伝えようとするのだけど慌ててるのと後ろめたさで上手く言葉がでてこない

 

「ええと、ルディの裸を見ちゃったんですけどわざとじゃないんです、その……あの、ノックはちゃんとしたはずで……」

「焦らなくていいから、落ち着いてくれ。ほら、廊下で話すのもやりずらいだろうしちょっと場所変えようか」

 

パウロさんはそう言うと身をかがめてボクの両肩に手を置いてきた、ボクの慌てようを見てか少し声が落ち着いたように聞こえるけど、まだ怒っているみたいだ

それに、言った通りここで話してても扉の方が気になって話に集中できないし、はやく何処かに移りたい

 

(そのためにもまずは立たないと。あ、でも力が抜けちゃってうまく立てないや。今はちゃんと閉められているし、ちょっと扉を支えにさせてもらおう)

 

そうして扉に手をついてゆっくり立ち上がろうとすると、しっかり閉められていたはずの扉が急に開いてバランスを崩して倒れてしまった

何が起きたのかと顔を上げると、何かを言いづらそうな顔でルディが自分を見ていた

 

「あ、あのー、シルフ、さっきのことは……まぁ気にしなくても大丈夫ですよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

体を拭こうとして突然扉が開いて、何だと思えばまさかのシルフくんが扉を開けてがっつりこっちを見てるじゃあありませんか

ノックは?とも思ったがさっきまで考え込んでいたし、家の周りの雨もまだ止んでないし多分その時にノックされていたのを聞き逃してしまったんだろう

 

思わずフリーズしてしまって少しの間見合っていたが、この状況はまずいと我に返って声をかけようとしたら物凄い勢いで謝られて扉を閉められてしまった

とりあえずもう1回開けられても困るし、魔術でつっかえ棒を刺して体を拭くのに戻った

 

体を拭き終わってお湯も温め直して扉を開けたら今度はシルフが転がりでてきた

驚きはしたが2回目なのもあって固まるほどではない、とりあえずさっきのフォローはして顔を上げると、なんか凄い顔をしたパウロがいた

 

 

色々ハプニングもあったが、シルフも雨にうたれていて体は冷えているだろうし、手足とかは拭けているが服は濡れたままだしで一旦体を洗ってもらって話はそれ以降にすることにして一旦俺だけ下に降りてきた

パウロはシルフから話を聞くついでに洗うのを手伝うらしい

 

それにしても最初のはうっかりやってしまうようなことだろうけど、次の扉を開けたら転がりでてくるのは流石にどうなんだ?

 

いやちょっと待てよ、もしや最初から覗きをするつもりだったのではあるまいな

だとすると、あの引っ込み思案も思いの外年相応の少年らしいところがあるじゃないか

 

ふむ、シチュエーションは──

 

自分と同じくらいの年頃の美少女と2人きりで遊んでいると、突然の雨に濡れてしまい

慌てて近くにある少女の豪邸に駆け込んだ、そしてそこでは少女が先にシャワーを浴びていて、見張っている人はいない……

といったところか

 

なんと羨ましい!

なるほど、こんな魅力的な状況だと言うのなら健全な青少年であれば覗きにも行くだろう

パウロがいたのは恐らく同じように考えたからで、様子を見に来ようとしたらちょうどその状態だった……といったところか

 

まぁそんな彼もまさか美少女の中身が30過ぎのオッサンだとは想像もしていないだろう

むしろ純粋な少女でなくてよかったとも言える、それが理由で人間関係に支障をきたすのは少なくとも俺からは無くなる

ここは俺からフォローしておいてやるか、まだ彼は幼いのだし子供は失敗から学ぶものだからな

 

あれこれ考える内に洗い終わったのかシルフとパウロが降りてきて、シルフだけがこちらに近づいてきた

 

「あの、ルディ、その……さっきは本当にごめんなさい」

 

近づいてきたのは良いものの、話の切り出し方に困ったのか視線を動かし口をモニョモニョさせていたが、目を強く瞑ったかと思えばこちらの目をしっかりと見て丁寧に頭を下げた 

やってしまったことを誠心誠意謝れるのはとても偉い、大人でもできる人はそうそういない

もとよりそのつもりではあったが、これを見せられて許さないような心の狭い奴にはなりたくないな

 

「いいですよ別に謝らなくて、それに多分わざとじゃないんでしょう?もう気にしていませんから」

「で、でも……」

「いいからいいから、私たちの仲でしょう。ほら、手出してください」

「う、うん」

 

出された手をしっかりと握り、気持ち強めに振る

 

「はい、これで仲直りっと」

「──うぅ……」

 

謝る時は目を合わせてくれたのだが、申し訳ない気持ちがまだ残っているんだろうか、顔を逸らされてしまった

だが俺ができるのはここで終わりだ

シルフがどうするのかはもう当人次第だからこちらがどうこうすることは出来ない

折角の友人なのだし失いたくなんだが、こればっかりは時間が解決してくれるのを祈るしかない

 

 

「ねぇルディ、ちょっとこっちに来てくれないかしら」

 

仲直りの握手をした後、少し間を置いてふと俺を呼ぶ声が聞こえた

声のした方向を向くとゼニスが部屋の隅で手招きしていた

 

「どうしたのですかお母様」

「うん、お父さんから何があったのか聞いたし、そのことも仲直りはしたみたいだけど、一応ルディがどう思ってるのかも聞いておこうかなって」

「それだったらご心配なさらず、気にしてませんよ。」

「ルディがそういうのならいいのだけど……」

「まだ何か気になることでも?仲がよくていいじゃないですか」

「そうなのだけど、ルディは女の子なんだから男の人には注意しなくちゃ」

「うーん、でもシルフも結果としてこうなっちゃっただけでわざとそういうする気じゃなかったんだと思います」

 

身を案じてくれるのはありがたいことだが、生憎中身は男だ

見られるのは驚きこそすれ大して嫌悪感はないし、一定のラインさえ保ってくれるのなら大抵のことは水に流そう

 

「ルディのそういうとこはとても良いところだと思うわ、でもね男の人は狼なの、いつ獲物に飛びつけるのか狙っているものなのよ」

「そうなんですか」

「ええそうよ、特にルディは可愛いんだから気をつけなくちゃ」

 

狼かぁ

正直シルフからはそんな狼なんて雰囲気は一切感じない

むしろ、言われたことを素直にやり、こちらを見ると笑顔で近寄ってくる姿は柴犬の子犬のような感じだ

 

それにシルフは元々イジメられていて親はともかく普段から一緒の味方になる友人というのはいなかった

あの時の俺は同じようなものだった

そこに来て今回のこれだ、ならせめて俺だけでも常に味方としていてやりたい

 

「わかりました、でもこれからもシルフと遊ぶのは分かっていて欲しいです」

「もちろんよ、だけどもし何かあったのならそれは必ず伝えてね」

 

これからの人生どのぐらい続くかも何が起きるかもわからない

今後こういう問題が起こらないとも限らない

これまでは男みたいな振る舞いをしていても大丈夫だったけれど、今後は人としてだけじゃなくて女性としての態度も身につけたほうがいいかもしれない

 

 

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