ヤーナムから来たアイリーン先生   作:照喜名 是空

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世界の片隅でコツコツ核爆弾作ってる感じ

 さて、ミヤコをリーダーにヒヨコ共には引き続きDUのヘルメット団を統一するように言いつけた。

 いそがず、ゆっくりと丁寧に掃き清めるように。やり過ぎればミヤコが止めるように。

 何しろ受け入れ準備が整ってないからね……

 

「さて、やるベき事だけどね。ミヤコとヒヨコ共。あんたらはDUのヘルメット団をたいらげな。ミヤコはお目付役だ。やりすぎたら止めるんだよ」

「やったるぞーっ!」

「了解しました」

「受け入れ準備ができてないからゆっくりでかまわないよ。仲間に入りたいってやつがいたら私に連絡しな。面接する」

「仲間がふえるなーっ」

「ああ、それから手下にする条件はまず協調性だ。仲良くやれるかを第一に考えるんだよ。誘い文句が必要なら飯と寝床はタダと言いな」

「はい。実力よりも人柄……ですね? わかりました。その条件なら説得も容易そうです」

「頼んだよミヤコ。あんたが頼りだ。白栗も思い切り暴れてきな」

「おーっ! おまえらやるぞーっ!」

『おおー!』

「なるほど、お目付役の意味が分かってきました……」

 

 やるべきことはまだまだある。

 まずは黒服の情報の精査だ。とりあえず生徒の人物評だけでも確かめなきゃいけない。

 これが間違ってたら根幹から計画が破綻するからね。

 この情報戦はモエに担当させた。

 

「モエ、このノートにある情報を確かめておくれ。生徒の人物評だけどね、評判通りか確かめたいのさ」

「こわ~、そんなのどっから持ってきたの? くひひ……深くは聞かないけどさ」

 

 次に受け入れ準備だ。

 

「サキ、あんたらはとりあえずこの予算でまずは50人分の寝床を空き部屋に運び込むのと、とにかくデカい炊飯器とスープジャーを買ってきな。米とスープの素もだ」

「私を寮管にでもするつもりか?」

 

 サキは渡された札束を胡乱な目で見た。

 

「とりあえずはだけどね、まあほどほどにしときな。特殊部隊じゃなく軍隊を目指してるんだ、締め付けすぎはよくないというものさね」

「……わかった、だけどやるからにはそれなりに規律は作らせてもらうぞ」

「ああ、ガキの遊び場にする気もないからね。あんたに任せて正解だった」

 

 あんたには寮母が似合うよ。悪ガキ相手に規律を教えるのには丁度良いだろう。

 とりあえず飯とスープ、寝床は確保する……総菜は今はそのときどきで買えば良いだろう。

 

「……さっそく仕事にかかる。ミユは?」

「ミユは……そうさね、モエの調査で実地に行かなきゃわからない事を確かめな。特に……カヤ防衛室長の調査はね」

「わ、わかりました……スニーキングミッションですね……隠れたまま、忘れられるんだ……」

「私がボケるまでは覚えとくよ。さあ、仕事にかかりな小娘共!!」

『了解っ!』

 

 それぞれがうなずき、動き始める。

 さて、皆の飯でも買いに行ってやろうかねえ……ついでに柴大将に電話して専属料理人のアテがないか聞いてみようか。

 

「もしもし、柴大将かい? あたしだ、鴉のババアさね」

『……ああ、あんたか先生。そっちの寮の料理人の話だろ? なかなかすぐにってのは難しいな。けどな、アテがないってわけでもない』

「さすがは大将だ。聴かせておくれ」

『先生が当てにしてた料理人の横の繋がりだがな……ゲヘナの給食部の子が腕は良いのに冷遇されてるらしい。あんたなら声をかけられるんじゃないか? 何も毎日来てくれなくてもいいはずだぜ、シャーレの子も料理の一つくらいできた方が良い。そのゲヘナの子が料理を教えて当番制にすりゃあいい。あんた、もっと人手を増やすんだろ? ならできるんじゃねえか?』

 

 そのアイデアはなかったねえ……そうだね、あの子達も娘だ。料理の一つもできたほうがいい。

 

「さすがだね。やっぱりプロに相談してよかったよ」

『他にもあるぜ、そのビル、そうとうデカいんだろ? そんでもってタダらしいじゃないか。二階をテナントにすりゃあいい。普通二階にテナントは悪手なんだが……でもそこの子たちが使うこともあるだろうからな。家賃か光熱費を安くすれば、そっちで商売したいってヤツもいた。よければ紹介するぜ』

「あんたの紹介なら、信じるさ。そいつには電話して面接に来いって伝えておくれ」

『ああ、話が早くて助かるよ。それじゃあ……』

「待ちな、あんたは本当にあれだけでいいのかい?」

『駐車場さえ貸してくれればそこで屋台でもやるさ。男に二言はねえ。今の俺にはそのくらいが丁度良いのさ。……アビドスから完全に離れる気もねえしな』

「……わかったよ。楽しみにしてるさね」

『ああ。じゃあな』

「セリカによろしく言っておいておくれ。じゃあね」

 

 まったく、気の良い大人もいたものさね……

 

 ◇

 

 結論から言えば、計画はまったくうまくいった。

 まずは50人の受け入れ体制。そして食堂とテナントとしてカフェの整備。

 ヘルメット団そのものはすでに500人以上は降しているけど、DUでもさかえている所のせいか、今すぐ保護が必要な奴らは少なかった。

 それでも30名がもう入寮してるけどね……

 

「良く来たね、あんたらを鍛えてやる……と言いたい所だけど、まずは飯を食ってゆっくり寝な」

「い、いいのか……ほんとに……?」

「とりあえずは世話になってやる……」

 

 ダメだね、不信とおびえがひどい。この子達に必要なのは訓練でも教育でもなく治療だよ! 

 こりゃあ、トリニティあたりから救護を頼んだ方が良いかもねえ……

 

「先生、帰りました……これ、調査結果です……」

「ミユかい。よくやったね、どれどれ……ああ、こりゃあいいニュースだ。助かったよ」

「え、えへへ……お役に立てましたか……」

「ああ、もちろんさね。忍び込ませたらあんたに勝るやつはいないよ。自信を持ちな」

「は、はい……!」

 

 できるだけ優しく撫でる。この血にまみれた手で、安らげるはずもないけれど。

 

「さてと、あたしも動こうかねえ」

 

 ミユの調査結果には『対象:不知火カヤ 調査結果、情報の確度高し』とあって、ここ数日分のあいつの行動が手に取るようにわかったよ。

 本当に忍ばせたら右に出るやつはいないね……

 それじゃあ始めようか。交渉ってヤツを。

 

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