とにかく……リオが参加したことで一気に話は進んだ。
『ヘルメット団を連邦生徒会軍にする計画』には飯と住居が問題だった。降すのはすぐにできる。
住居に必要なのはまず土地だ。これは意外な所からアイデアが出た。
『そういえば、資料にあった『アビドスリゾート事件』だけど……連邦生徒会所有の『廃墟』は沢山あるわよね。おそらくオーパーツ発掘用の。ミレニアムやアビドスにもあるくらいだし、DUにも沢山あるのではないかしら。連邦生徒会所有と言うことは、シャーレの要請で使用できないこともないはずよ』
『カヤに聞いてみるよ。あんたらからもそっちの自治区にある『廃墟』を使いたいって言いまくりな』
『ふふふ、ティーパーティーの権力全力行使か。わくわくしてきたね』
そういうことで軍団を住ませる『土地』は手に入った。
カヤに連絡した後、即日で『キヴォトス全土の連邦生徒会所有の『廃墟』を順次各自治区に貸与する』法案がニュースで出た時は驚いたね……
トリニティの底力を実感したよ。
『とはいっても建物はどうするんだい? テントってわけにもいかないしね。そうさね、いっそ工事現場にあるあの箱みたいな建物はどうだい?』
『ああ、ユニットハウスとかプレハブね。あれは旧式よ。ミレニアムの技術を持ってすれば1日で三階建て100部屋ができるわね……複数箇所で施工すればその何倍も可能よ。予想される進軍速度から考えても丁度いいわ』
『あんた本当かい。助かるねえ、さすが技術者の長だよあんた』
リオが素直に喜んだ顔をしてたのが良かったね。
悪役になってでも皆を守るといういい子なんだ。報われてほしいよ。
そのために道をならすのが大人の役目というものさね。
『資金については当座はサンクトゥスとミレニアムの投資用資金から出すとして……継続的にはアイデアはあるかな?』
『それならばこの天才美少女がいち早くお答えいたしましょう。『廃墟』には『ディビジョンシステム』やそれに類する無限にオートマトンを排出する工場がありますよね? それを工場ごと接収してしまえばいいんです。無限に金属が沸くまさに鉱山ですよ』
『それだね、懲罰部隊ができたらやらせるとするか』
『いえ、それだけじゃないわ。クラフトチャンバーをミレニアムに『貸し出し』すればその使用量だけで継続的に資金を出せるわ。最悪それでただレアメタルを出し続ければいいのだから』
『任せるよ。あたしにはあんな機械はさっぱりだ』
そういうわけで、土地と建物と資金が手に入った。入ってしまった。
とりあえず1000戸が完成するまで一週間必要なかった。
その間はひたすら新兵やヒヨコに子ウサギ共と訓練だ。まあ……まあとりあえず悪夢に消えた古狩人共くらいには使えるようになった。
『ああそうだ。プレナパテス先生と私からのプレゼントだよ。『血の岩』10個だ。私はすぐに啓蒙が上がってしまうから啓蒙取引で使わなきゃいけなかったんだ。だから気にしてくていい。ぜひ先生の役に立てたまえ』
中華料理屋の床にゴトッと『血の岩』を置かれたときは困惑したよ。どれだけ世界を巡ったんだい……
ともあれ、SRTとヒヨコ共、新入りの中のエース級にはもれなく+10武器が支給できたよ。
◇
「小娘共、あんたらはよくやった。こいつは一人前の証だよ。受け取りな」
「はっ、RABBIT小隊、装備を受領します」
「私はやったぞーっ! RAVEN小隊、受領する」
+10の『杖』とミレニアムで発注したM1911の『シャーレ制式採用モデル』だ。
エングレイブとして連邦生徒会と鴉のマークを入れといた。
この集団のマークとして、『横を向いて飛ぶ鴉のマーク』をテンプレートから選んでおいたよ。
カタログを渡された時になぜかピンと来たのさ。
それに、『烏羽の狩人証』はもうあいつのものさね。小娘達に受け継がせるべきものじゃない。
「おめでとう、小娘共。さて、今日の訓練だけどね、そいつを渡しておいて何だが、新しい武器を仕入れた。こいつも受け取っておきな」
そう言って『懐』から無数に出したのはいつだったか私が使っていた『刃を外した獣狩りの斧』のミレニアム製コピー品だ。
素材は重打用の鉄をふんだんに使用。元々は曲がってたデザインもまっすぐにして重心も取りやすくした。
これで刃を外した分の弱体化はチャラになった。『回転ノコギリの取手部分』も参考に作ってくれたからね。
「名付けるなら『官憲のメイス』って所だろうさ。使ってみな」
「なっ、まだ卒業じゃないのか……ふふ、まだまだ教えてくれ先生」
サキは『官憲のメイス』を握りしめ、白栗は伸ばしたり縮めたりと変形を繰返す。ああ、初めて触った武器はとりあえず変形させてみるものさね。
「これ面白い武器だぞーっ!?」
「有難ッス……! あたしら、絶対にヘルメット団を統一して先生にプレゼントするッス……」
「あたいもがぜんやる気でてきた」
強化はまだ+3程度だけど、こいつは何より安い。細かい部品が一切ないシンプルな武器だ。
元々はただの鉄棒をモンキーモデルとして納品してくれとウタハに言ったんだよ。
そしたら斧と回転ノコギリを見せてくれと言われて翌日同じ値段でこいつがとどいた。
まったく職人ってやつは……
「さあ、構えな。まずは伸ばした状態の
「はいっ!」
「押忍……」
気合いは十分だね……あたしの方も実は準備ができてた。
新入り共とこれから入ってくるやつらは『シャーレ』所属であるのと同時にあたしが書類上で立ち上げたPMC『ミグラント』の社員とした。
これで立場がハッキリして口座も作れるし、他の学校に『依頼させる』形でどこでも派遣できるね……
「さあ、全ての準備は整ったよ。思う存分暴れてきな若鶏共」
「シャーレの守りはまかせてくれ、私たちSRTでなんとかする」
なんだかんだでヴァルキューレから元SRTがそれなりに来てくれたからね。
シャーレビルはなんとか最低限の生活が回りはするんだよ。
「よーしやるぞっ! レイヴンリーダーからレイヴン9、状況を開始しろ。降した後の手順を必ず確認しろーっ!」
「
「あたいわかるよ。勉強したもん、豪族制度ってやつだろ?」
「
「飯は?」
「後でSRTと新入りの料理班が炊き出しだってさ」
「あたいたちは? 食べていいの?」
あたしを見る三馬鹿の一人、散野にあたしは大きくうなずいた。
「当たり前だよ。沢山食って沢山狩りな。そんだけ解ってれば合格さね。行っておいで」
「
「それは勝ってからだっ! いくぞお前らーっ!」
「おおっ!」
これが後々まで伝説と語られる『ヘルメット狩りの夜』となる。
こいつらたった一夜でDUを平らげちまったよ。困ったね……
まあ、うんと褒めてやったよ。