ヤーナムから来たアイリーン先生   作:照喜名 是空

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SRT&アビドス高校VSカタカタヘルメット団

「……ああ、それからカヤ。まさかとは思うけどね、FOXの連中を使って気に入らない相手を闇討ちするとか、相手の弱みを握ろうなんて考えていないだろうね? ……ならいいさね。ちゃんと使いな。こっちが終わったら様子を見に行くよ。……どうしたんだい、ちゃんとやってればいいだけさね。そうだろう? ああ、切るよ」

 

 アビドスの奧空アヤネにアポを取った後、カヤのちんちくりんに釘を刺しておいたよ。

 あの子またろくでもないこと考えているみたいだね……

 あんまりサボってるようなら、あたしにも考えがあるよ。

 

「……FOX小隊は大丈夫でしょうか」

「大丈夫じゃなさそうだね。だからこれが終わったら見に行くよ。あんたからもFOXの連中と連絡をマメにとっておきな」

「……はい」

 

 車を走らせていくと、アビドス高校についた。

 なんか……校舎の壁に『歓迎! 連邦捜査部!』とか垂れ幕がかかっているね。

 手作りでほほえましいことだよ……

 

「ん、止って。あなたたちはシャーレの人たち? 身分証を見せて」

「ああ、たしかこれだね。どうだい?」

 

 銀髪に獣耳の子が白いアサルトライフルを構えながら聞いてきた。

 あたしは『懐』から身分証を出して見せる。

 ……いずれ狩人証を作る必要があるねえ。

 

「……アヤネ?」

「確かに連邦捜査部の人たちみたいですね。SRTの車で来るとおっしゃってましたし……どうぞ中に入って下さい!」

「こんな暑い中に悪いねえ。早めに中に入れるようにするよ」

「はい、こっちです!」

 

 二台で校門をくぐり、校舎に横付けして弾薬やら食糧、補給物資を降ろしていく。

 

「先生。敵が来てる」

「ああ、そうみたいだね。子ウサギ共、戦闘準備だよ」

「了解!」

 

 遠くからヘルメット団らしき奴らが来ている。

 本当に黒ヘルメットを被ってるんだね……一応、ヘルメット団が最大の不良グループで派閥が大量にあるのは予習済みだけどねえ。

 

「アビドス高校の諸君! 今日こそお前らの学校は占拠させてもらうぜぇ!」

 

 ヘルメット団が空に向かってアサルトライフルを撃ちまくる。

 あんたらが名乗りを上げるタイプで本当によかったよ。

 

「ミヤコ、閃光弾。モエ、思いっきりやっちまいな! 爆破だよ! サキは前衛、突っ込むから援護しな! ミユは前衛を援護しな」

「了解!」

「アビドスの子らは補給だ。準備ができ次第前衛以外は後ろから援護射撃でかまわないよ。前衛はあたしに合流! いいかい?」

 

 目線でアヤネらしきメガネの子に素早く伝える。

 

「は、はい! シロコちゃんは私を手伝って……セリカは先輩を起こしてきて! ノノミは弾幕で防御を!」

「うん」

 

 そうこうやってるうちにすでに閃光弾と爆弾が爆発してたよ。

 チャンスだね。あたしは警棒2つを抜き放ち、リーダーらしき赤いヘルメットのチビに向かっていく。

 

「なっ、もうこんな近くに!?」

「さあ、やろうか。一騎打ちは狩人の華さね……」

「ち、近寄るなーっ!」

 

 リーダーはアサルトライフルを撃ちまくる。

 連射が効く武器は厄介だが、経験がないわけじゃあない。

 ヤーナムにもガトリングガンを持ち出すやつもまあいたからね……

 

「なんで当たらないんだっ……くそーっ!」

 

 緩急をつけた動きで殴り合いの間合いに近寄って……警棒で数発殴っては距離を取るのを繰りかえす。

 

「ひ、卑怯だぞーっ!」

「なら、あんたの得意な銃でやってやるよ。かかってきな」

「はっはーっ! 拳銃がアサルトライフルに敵うかーっ!」

 

 撃ち、投げナイフを放ち、じわじわと削り取る。

 こっちも何発か被弾するけど、まあ大したダメージじゃあない。

 するりぬるりと回避して……後ろを取った。警棒を持った右手で溜め攻撃を行う。

 力を溜めて殴るとなぜだか光るんだよねえ……こいつが『神秘』ってやつなんだろうさ。

 

「ぐえっ!」

「お仕置きの時間だよ。歯を食いしばりな」

 

 言いながらするりとヘルメット団リーダーの前に回り込んで、あえて拳を握りこんで内臓攻撃の要領でパンチをたたき込む。

 さすがに治安維持で内臓ぶっこ抜いたり、指を肉に突き刺すのはダメだろう。

 

「げほっ! げほっ! げほっ……! うぐぐぐ……」

「まだやるかい?」

「こ、降参だーっ!」

「そうかい……子ウサギ共。拘束しな。確認したいことがあるんだよ」

「了解!」

「えっ、帰してくれないのかーっ!?」

 

 とりあえずこれで一息つけるかね……

 

 ◇

 

 弾薬補給と自己紹介、尋問を終えてあたしらは持ってる情報を交換していく。

 

「あんたら、カイザーに借金があるね? そして、こいつらはカイザーの息のかかったやつらだった……目的は、そうだねえ。あんたらから全てむしるためだろうさ」

「そんな、ひどい……」

「そういうことだったのね……やっぱり大人は汚いわ……」

 

 モエに調べて貰えば借金も、そうなった経緯も一発だったよ。

 アヤネもセリカも憤慨してるし、シロコは表情が硬い。ノノミの笑顔がおっかないねえ。

 ホシノもいやに真剣な顔だしねえ。

 

「それからホシノ。あんたもカイザーから脅されてる様子だね? 借金のカタに身請けなんて受けるんじゃないよ。半年たたずに殺されるだろうさ。そんな奴らはあたしはどこの国でも大勢見てきたよ」

 

 モエが通話記録を当たってくれたよ。最新技術の捜査ってのは便利だねえ。

 

「うへえ……そこまでわかっちゃうの~? SRTってすごいんだねえ……」

「当たり前だ! そのための特殊部隊だからな」

 

 サキが得意そうに言うけど、それどころじゃないねこれは……

 

「でもそれじゃあ、どうしろっていうのよ!?」

「そうさねえ、ノノミ。あんたの実家から腕っこきの弁護士を紹介してもらいな。相手はヤミ金なんだろう? なら、法律以上の返済は止められるはずさね。裁判起こしてやりな」

「……ん~☆たしかにこれは……ホシノ先輩がそこまで追い詰められてるなら、容赦はいらないですね~♣過払い金請求しちゃいます~☆」

 

 ちなみに、ここはそれなりに広い教室で、足下にはヘルメット団が転がっている。

 尋問は終わったけど、この子らも放っておけないねえ……

 なにより、どうもアビドスの子らはかなり強い。その子たちを相手に食い下がり続けた実力は放っておけないものだよ。

 

「さて、それでどうするかだけどね……いったんこの子らをアビドスの生徒にして、実際にはDUでシャーレのバイトにするってのはどうだい?」

「うへぇ……ヘルメット団がアビドス生徒ってのはおじさんちょっとなぁ~~~」

「名義貸しだけさね。そうすればとりあえず連邦生徒会から最低限の補助金は出せるはずさ」

「でも! でも……連邦生徒会は今まで私たちの要請を何度も無視し続けてたのよ!?」

「それさね。そいつは生徒会の総意とは限らないさ。誰かが途中で握りつぶした可能性もあるんだよ。ならあたしがトップのリンと財布を握ってるアオイに確認するさ。あの二人を抑えておけばもう誰も無視できないさね……これで、とりあえず借金はなんとかなろうさ」

 

 電話で確認してみたけどね、やっぱりどこかで報告が止ってたよ。2,3年前から連邦生徒会はアビドスからの救援要請を認識してない。

 とりあえず言質は取って録音したからね。そのデータはノノミに渡しておくよ。

 イザとなれば新聞社にでもたれ込めばいいさ。

 

「この録音は今までの借りをほんの少し返しただけだよ。これで連邦生徒会が動かなかったら、こいつをどうしようとあんたの自由さね」

「……いいんですか?」

「かまやしないよ。最低限の援助はするように言っておくさ……けれどね、砂にうもれた街にしがみつくのはやっぱり無理があるよ。借金を返したら身の振り方をよく考えておくことだね。DUに来るなら、相談に乗るよ、いつでもね」

「……うへぇ。うへぇ……問題の半分くらいが来て一時間もしないで解決してるよぉ……おじさん虚しくなってきちゃったなあ」

「ん、あっという間だった。大人ってすごい」

 

 しかしホシノ……この子、只者じゃないね。生まれつきかしらないが、ずいぶんと匂い立つ血をしてるじゃないか……

 

「あんた、カイザーの狙いがあんたの強さにあるなら……一気に金の問題を解決した以上、強攻策にでるかもしれないよ。夜道には気をつけな」

「うへぇ……うへぇ……」

「……あたしは、信じられないわ! こんなにするっと上手く行くはずない! カイザーが騙してたんなら……あんただって騙してるかもしれないでしょ!」

 

 そう言うと、セリカは腹立たしそうにどすどすとドアを開けて帰って行った。

 やれやれ、まああくどい金貸しとつきあえばああもなろうさ。

 

「……まあ、すぐに決めろとはいわないよ。あたしらも今夜はここで泊っていくつもりさね。ゆっくり話し合いな」

「はい☆ありがとうございました~!」

「ん、私たちには考える時間が必要」

「本当に、ありがとうございました。解決の糸口が見えてきた気がします」

「うへぇ~……まあ、お礼を言っておくよ~……」

 

 そして、あたしはカタカタヘルメット団のリーダーの口枷を外す。

 

「聞いてた通りさね。あんた、うちで雇われるかい? 小間使いが必要なのさ。何しろババアでね、運転手がいるんだよ。口が硬くて、度胸のあるやつがいい。それから事務ができるやつ、料理ができるやつ、なんでも必要さね。何しろ今のアタシらはたった5人だ。人手がいるのさ……」

「……わかった、でも一つ条件がある」

「言ってみな」

「雇うんならこいつらも一緒だ。それから、給料は月二〇万。それは絶対に負けないからな!」

「二つじゃないかい……クク、構わないよ。誰でも、少しは何かに役立つものさね。それに……また、若いのを鍛えたくなったのさ。今度はちゃんとね……あんた、強くなってもらうよ。名前は?」

「白栗アン……わ、わらうなよーっ! 本名なんだから」

「良い名前じゃないか。アン。……さてと。子ウサギ共、それと小間使い共! 事が終わったなら親睦会だよ。アヤネ、シロコ、ノノミ。良い店知ってるかい?」

「あっ、それだったら……」

「ん、柴関ラーメン」

 

 さてと、やることが増えたね……

 とりあえず書類手続きをやっちまうよ。

 その間はサキかミヤコ、そのどちらかにミユで拘束を解いたヘルメット共を見張らせておくかね。

 

 

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