桜才学園の秋の一大イベント、桜才祭が開催された。
一週間前くらいに兄さんは生徒会やクラスの準備と大変だったらしく。
今日はそうとう寝不足で目の下に隈が出来てしまってるようだ。
現在、俺とコトミは学園内にて、兄さんを探していた。
「すまん!!」
兄さん見つけて早々、なぜか天草さんが涙目になりながら兄から逃げた。
「兄さん。天草さん・・・どーしたの?」
「さぁ?俺にもわからない。」
「タカ兄~、なんか変な事言った?」
「い、言ってないよ!ただ会長が目の下に隈が出来てるって言ったら、俺にも隈が出来てるって言われて説明したら・・・・。」
(そーいや天草さんって、こういうイベントがあると前日まで寝付けないタイプだったっけ?)
つまり兄さんに対して申し訳ない気持ちで逃げたって事か・・・・いやなぜ逃げる?
天草さんの謎行動に驚きつつ、俺達と兄さんは軽く会話しつつ、コトミは兄さんについて行き、俺は七条さんが出る劇が始まるまでしばらく出店でお昼をとるために別行動した。
階段を上がるために曲がり角を曲がると、女性とぶつかってしまった。
「イタタタ・・・。」
「す、すみません。大丈夫ですか?」
「あ、あぁ大丈・・・あれ?津田君?」
「え?なぜ俺の・・・もしかして兄さんの知り合いですか?」
兄さんってこの学校だと顔広いのかな?
まぁ生徒会の副会長やってるし、知ってる人もいるか。
「兄さんがいつもお世話になっております。」
「あぁ~・・・知ってはいるけど、同級生のムツミって子の経由で知っただけだよ。」
ムツミさん・・・あ、体育祭で居たポニーテールの女性か。
「そーでしたか。あ!お怪我は大丈夫ですか?」
ぶつかって尻もちついてたし、怪我してたら大変だ。
「大丈夫よ!これでも柔道部に入って鍛えてるし。」
「あぁ~柔道部なんですね。・・・・空手部と試合するみたいですね。ポスター見ました。」
「ムツミが勝手に決めちゃったのよ・・・・。」
「その・・・お怪我には気を付けてくださいね。」
まさか文化祭で異種格闘技が行われるとは・・・・。そのムツミさんは綺麗な顔して戦闘狂なのだろうか。
「君って、何て名前?」
「あ、キヨタカです。津田キヨタカ。」
「そっか。私は中里チリ。キヨタカ君って津田君の弟だから中学生って事かな?しっかりしてるわ~。私一人っ子だからこんな弟ほしいわ。」
「はは、中里さんがお姉さんだったら柔道技かけられそうですね。」
「なんだと~。」
何だか、この人は姉貴肌って感じかな?ユウと違った感じで話しやすい人だ。
「キヨタカ君って受験生?どこか進学志望してる学校ってあるの?」
「あ、はい。一応この桜才学園を受験しようと思ってます。」
「へぇ~。じゃあ頑張ってうちに入ってきなよ!面倒見てやるから!」
「はい!よろしくお願いします!・・・ただ。」
「?」
「入学した後、天草さんたちの下ネタで精神やられないか心配です。」
「あぁ・・・・。」
正直、本当にここに進学してもよいのだろうかっと思ってしまう。
中里さんは、空手部との試合のため別れてお昼をとった。
俺もそろそろ七条さんの所に行かないとな。
七条さん曰く、出るのはあくまで手伝いでちょい役らしいけど、見に来てほしいって事で断る理由もないし見に行くと約束したからね。ちゃんと守らないと。
兄さんも七条さんの練習に付き合ったみたいだしね。・・・どんな練習だったか教えてくれなかったけど・・・。
コトミと合流して観客席に座って公開を待っていたら、兄さんたち七条さん以外の生徒会メンバー来た。
・・・なぜか天草さんが不機嫌な顔をして席に座った。
「なんで天草さん頬を膨らませてるの?」
「聞かないであげてくれ。悲しくなってくる。」
「何があったし。」
何故か目頭を押さえだした兄に疑問を思うがこれ以上追及しなかった。
あたりが暗くなり、劇が始まり出す。
七条さんがメイド役で出てきた。
「七条さん。演技上手ですね。」
「DVDで研究したらしいぞ。登場人物がローター入れて接客するやつだったらしいぞ。」
「おっほー。じゃあ実際に入れてるかもしれませんね!」
「んなあほな。」
流石にそれやったら引く自信ある。
人前で何やってるんだと思うよ。
・・・まぁあの人ならやりかねないと否定はできないけど・・・。
七条さんの演技が終わり、生徒会室に移動した俺達。
「・・・俺とコトミ、関係者じゃないのに入ってよかったのかな?」
「別にいいんじゃない。ここに入学するなら早めに知っておいた方がいいわよ。」
「まだ入れるか決まったわけじゃないですけどね。」
それに、入ったとしてもここに来ることなさそうだし。
「確かに、この学園に通うなら早めに知った方がいいだろうな。」
「いやーでも、流石に早すぎだと思いますよ。」
「早いに越したことはないぞ。・・・あ、早漏は相手によってはやめた方がいいぞ。」
「一言余計なんですよ。」
年上らしいこと言ったかと思えばすぐにこれだ。
照れ隠しで下ネタいってるならまだ納得・・・・・出来ないや。
「出島さん、メイド服ありがとね。」
そう言って、出島さんに舞台で使ったメイド服を返した。
「では、早速着替えますね。」
「一応クリーニングした方が・・・。」
「いいえ。メイドの私服はメイド服ですから。」
それっぽい事言ってるけどこの人が言うとなんか裏がありそう・・・。
「それに、お嬢様の使用済みはそそります!」
「早急にクリーニングに出してあげた方がいいですよ。」
やっぱりだよ。裏っていうか、バリバリ表に出して隠す気無いよこの人。
「キヨタカ様も嗅ぎますか?」
「嗅ぎません。」
「もう!そんなに汗流してないから臭くないよ!」
え!?なんか怒られたんだが!?別に臭そうだから嗅ぎたくないって言ってるわけじゃないんだが。そもそも女性が着てる服を嗅ぐなんてどこの変態だよ。
「別にそんな意味で言ったわけじゃ・・・人として常識的に・・・。」
「愛液の匂いするけど、そこまで臭くないよ!」
「お願いだから人としての常識持ってくれませんかね!?」
何で自ら暴露するんだよこの人は!?
あ~あ。出島さんなんか更に興奮して勢いよく匂い嗅ぎ始めたよ。やるにしてもTPO弁えて!!
その後、七条さんと出島さん、コトミと共に屋台を回ることになった。
出島さんは俺らに屋台の食べ物を奢ってくれた。
俺は焼きそば、コトミはかき氷、七条さんはチョコバナナ、出島さんはアイスキャンディーを選んだ。
「・・・・・ぐすん」
「で、出島さん?」
アイスキャンデーを口にくわえたと思ったら急に泣き出してしまった。
「ど、どーしたんですか?」
「泣くほどおいしかったの?」
「最近ご無沙汰でして・・・。」
そう言って口に含んだアイスキャンディーをじゅぽじゅぽと上下しだした。
聞くんじゃなかった。
「ん~っ頭がキーンと来たぁ~!!」
「慌てて食うからだよ。」
「何でかき氷食べると頭痛くなるんだろ。」
「確か、冷たい物をたくさん食べると急にのどや口の中が冷えてしまって、一時的に血流量を増やして温めようとするんだって。 この時に頭につながる血管が広がって頭痛が引き起こされるらしいぞ。 」
「つまり、私は無意識に血液操作をしているって事なのか!」
「お前はポジティブでいいよなぁ~。」
そう思いながら俺はぼそぼそと焼きそばを食べるのであった。
「キヨタカ君、楽しんでる?」
「あ、はい楽しんでますよ。やっぱり高校の学園祭は中学よりもレベルが違いますね。」
「キヨタカ君の学校だと、どんなことするの?」
「体育館で一クラスずつが出し物やって合唱やったりとかですかね。屋台とかはPTAの方達がやってるので、進学したら一度は屋台とかやってみたいですね。」
「例えばどんなのやってみたい?」
「そーですね。定番だとチョコバナナとかクレープとかでしょうか?」
「ふふ、その時が来たら食べに行くね。あ、でも間違ってもホワイトチョコや生クリームの代わりに白濁液は使っちゃだめだよ。」
「そんな間違いするか!」
そんな屋台テロする人間に見えるか俺は!?
「来年は必ずこの学校に進学してね。来年の文化祭、一緒に楽しみたいから。」
「はい、頑張ります。」
七条さんと約束しちゃったし、こりゃあ受験頑張らないとね。
俺とコトミは帰った後、兄は遅くに帰ってきた。
どうやら、高校最初の文化祭がいつの間にか寝ている間に終わってしまったらしい。
そりゃあどんまいとしか言いようがない。
その後、後夜祭のフォークダンスで天草さんと踊ったんだと。
とりあえず、お疲れ様。