俺の幼馴染は美人らしい 作:バーニング・キャッチ
ある日の登校中、いつも大体隣りにいる幼馴染が突拍子もなくこんなことを言った。
「アンタってマジでモテないわよね」
なんか急に言葉の刃を突き刺された。
「のたうち回りながら泣き喚いてもいいか?」
「キモすぎるからやめて。…あー、別に傷つけたくて言ったんじゃなくて、疑問に思ったの。アンタって顔もいいし性格も悪くないのになんでこんなにもモテないのかなーって」
「知るか。俺が聞きてーよそんなん」
それについては自分でも結構悩んでんだよ。高校に入学して数ヶ月たったけど女子の友達未だにお前しかいないぞ俺。
「かわいそ」
「は?もぐぞ」
「何を?」
「色々」
「こっわ」
さて、俺の名前は
めぐるとは家が近く昔から家族ぐるみの付き合いがあり、物心つく前からずっといっしょに居たせいか、俺にとって彼女はもはや第二の家族的な存在になっている。
平日、朝起きてリビングに行ったら何食わぬ顔でめぐるがトーストを小さな口でもきゅもきゅと食んでいる……なんてことは日常茶飯事だ。この女、俺の生活の一部に溶け込んでやがる。
「まぁ別に、モテなくてもいいんじゃない?なんてったってアンタの横には、クラスのどんな女子も霞んじゃうくらいの美少女がいるんだから……ねっ」
めぐるは、バサリと髪を靡かせドヤ顔でこちらを見つめてきた。
……
……
……?
「???」
「マジで分からなそうな反応すんじゃないわよ。ぶち殺されたいの?」
「美少女はぶち殺すとかそんな物騒なこと言わねーだろ」
「は?アタシが言うんだから言うに決まってるでしょ。アンタに美少女の何が分かるってのよ?ぶち殺されたいの?」
「語尾が、ぶち殺されたいの?な美少女とかマジで勘弁してほしい」
まぁ確かに、めぐるの外見は、艶のある黒髪、ロシア人もビックリな白肌に、翡翠色のエメラルドみたいな瞳、鼻筋は当たり前の如く通っているし小鼻の形もキレイ、桃色の唇は常に潤いを保っていて、はたから見れば美人とカテゴライズされるタイプの顔つきかもしれない。
だがしかし、こいつは飛田めぐるだ。俺に対してありえないくらい口が悪いし、ありえないくらい失礼な女だ。多分こいつは俺のことを音の鳴るおもちゃかなんかだと思っている。そして何より、俺はこいつと家族と変わらないくらい同じ時間を過ごしている。というか家族より一緒にいるかもしれない。俺はめぐるに対してそういう感情が湧いたことは無いしこれからも湧かない自信がある。
「めぐるのこと女として見るくらいならその辺の石ころに発情するほうがまだマシ」
「あら、随分と特殊な性癖を持ってるのね。だからモテないんじゃないの?」
「そういうことじゃねーよこの自意識過剰女」
「そんなに石っころが好きなら丁度いいサイズのものを見繕ってアンタの尿道に詰め込んであげるわ」
「ごめんなさいでした」
この女ガチだ。目線が地面に行ってるしなんなら既に1cm弱の石ころを手に握っている。
流石に命の危機を感じた俺は華麗な土下座を披露した。
「……って、こういうことしてっからお前のこと女として見れないんだよ俺は。お前のノリ、完全に男友達のそれなんだよ」
「私は男じゃないわ」
「やかましい。女だけど男みたいなノリするって言ってんだよ」
「あら、アンタ今女って言った?なに、私のこと女として見れないんじゃないの?」
「それはもう言葉狩りだろ」
「あだっ」
ニヤニヤしながらこちらを見つめてくるめぐるがあまりにもウザかったのでデコピンをした。ダルすぎるぞコイツ。
「つーか、お前俺がモテないこと散々言ってくれたけどよ、お前も大概だろ」
「それは……別にアタシはいいのよ。だって……」
「……?だってなんだよ」
「な、何でもないわ!」
「んだそれ。別にいいけど」
なんだコイツ、急に女みたいな顔しやがって可愛いな。撫でるぞゴラ。
◆
無事学校に到着し、別のクラスのめぐるとは玄関口で分かれ、一人で教室に入り自分の席に着く。するとどこからともなく二人の男共が現れた。
「あー、セックスしてぇ」
「わかる」
「死ねよお前ら」
ここ教室だぞ。なんの前触れもなく性欲を剥き出しにしていい場所じゃないんだよ。
「いいだろ別に。男なんて常にセックスしたい生き物なんだし」
「TPOを弁えろつってんだよハゲ」
「失礼な。僕はハゲじゃない」
「テメーに言ったんじゃねぇよハゲ」
開口一番ド最低な事をほざき出したこの男は同級生の
そして俺の浩二を罵倒したハゲというワードにくい付いた、メガネを掛けたアホの方の名前は
「そうカッカすんなって。雛森はしたくないん?セックス」
「そりゃあしたいに決まってる…って何言わせてんだよ!」
「今のは雛森が自爆しただけじゃない?」
「うるせぇ死ね」
「理不尽」
なんか流れでクソデカい声でセックスしたいって言っちゃったんだけど。女子からの冷ややかな視線が突き刺さって痛い。どうしてくれんだよ。
「つかそんなことどうでもいいんだけどさ、もうすぐ夏休みだしどっか遊び行きたくね?」
「わかる」
「お前らマジで死ねよ」
俺に恥かかせるだけかかせてどうでもいい?死ねよ。
「なんか今日雛森言葉強くね。泣いちゃうぞ」
「泣いちゃうぞはキモいからやめてね……まぁ確かに、今日の雛森はいつにもまして言葉の棘が多い気がするね。なんかあったの?」
「あー、特に何もねぇけど、強いて言うなら何もない」
「つまり何もないってことだな了解」
「んでどこ行くよ」
「プールだな」
「海かな」
「どっちも夏っぽくていいんじゃないか。んでどっち行くよ」
「海だな」
「プールかな」
「なんでだよ」
なぜか意見が入れ替わってる二人。一応ツッコんでおいたが、正直もう見慣れた光景だ。こいつらは基本的に頭がおかしいから言動もおかしい。
「雛森はどっちに行きたいん?」
「そうだね、現状一対一だから雛森がどちらに行きたいかで海かプールか決めよう」
どうやら決定権は俺に委ねられたらしい。まぁなんとなく分かってはいた。浩二と里久の意見が割れて、最終的には俺が決めるっていう、もはやテンプレ気味の流れ。俺たち三人で決めごとをするとなると大体こうなるんだよな。
「うーん、まぁ日焼けしたくねぇし、プールで」
「決まりだな」
「うわ、プライベートでのプールなんて何年ぶりかな」
「前俺たちと行ったのが最後なら3年くらい前だな」
「えー、もうそんな前なんだ、三人でプール行ったの」
言い忘れていたが、この二人とは中学の頃から付き合いがある。そして中学の頃からたまたまずっと同じクラスで、たまたま全員同じ高校に進学し、たまたま全員同じクラスになるという、何かしら悪い強制力が働いてるのではないかと疑ってしまうくらい俺はこの化け物二人組に付き合わされている。
「んで、どこのプール行くんだ?」
「あそこ行こうぜ、あのクソデケェスライダーがあるとこ」
「前も行ったところだよね。あそこなら距離も近いし入場料も学生割でかなり安いし、ちょうどいいんじゃない?」
「俺もあんまし遠出はしたくないしな。良いと思うぞ」
「日程は……再来週の月曜とかでいいだろ!お前らいける?」
「僕は行けるよ」
「俺もたぶん行けるな」
「よっしゃ!じゃあ決まりな!」
来週の土曜日から始まる、高校に入学してから初めての夏休み。一番の予定はこいつ等とのプールに決定した。このクソバカ二人を連れてプールに行く時点で、絶対に何かしらのトラブルが起きる気しかしないがまぁ、一応楽しみにしておこう。
「あ、そうだ」
いいこと思い付いた!と言わんばかりに浩二が口を弾かせるように開いた。これはまずい……!
「おい、ちょっとま───」
「せっかくの夏休みだしよ、俺達各自で女の子一人誘うのってありじゃね!?」
「ありだね」
無しだろ!!!
私のお笑いのセンスが読者様に通用するのだろうか。