デート・ア・ガッチャード 〜CONNECT HEARTS〜   作:エルミン

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お待たせしました、突然ですが設定に一つ変更があります。

士道がケミーの言葉がわかり、意思疎通が出来るのは「初めてガッチャードに変身してから」としました。

最初の話もそれに合わせて書き直しました。理由は今後明かされるので、それまでお待ち下さい。


第二話 グレイトなトンボ

 

サボニードルと精霊”ハーミット”との出会いから翌日。

 

新パヴァリアのアジトで、アトロポスが部下の錬金術師の男にケミーカードを渡していた。

 

「君の仕事は、天宮市に現れた新たな精霊を抹殺する事だ」

 

「承知いたしました」

 

カードを受け取った男はフードを深く被り去っていく。男が出た直後、アトロポスは小さくため息を吐いて後ろを向く。

 

()()が完成すれば、精霊の抹殺なんて簡単に出来るのに・・・ね」

 

後ろを見ると、そこには開発途中である為か周囲の機械に有線で繋がっている、分厚く武骨な形状をしている銀色のドライバーが置かれていた。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

同時刻、天宮市に雨が降り始めた。

 

おそらく”ハーミット”が再び現れた事を察した士道は、傘をさしながら探しに向かう。

 

士道は慌てて外に出たため、フラクシナスに連絡するインカムやスマホを自室に置き忘れてしまったので、一人で探していた。

 

初めて出会った神社を訪ねたが、そこにはいなかったのでそれから出来る限りの範囲で探したが、未だ発見出来ていない。

 

そして時が過ぎて雨も止み、今は曇り空となっている。

 

「中々見つからないな・・・雨が止んだって事はあの子はいなくなったのか・・・?」

 

「サボ〜・・・!」

 

「ん?」

 

小さくだが、サボニードルの声が聞こえた気がした士道はケミーライザーを用いて反応箇所をチェック。

 

《ケミーヒット!プラントケミー!》

 

「あっちか!」

 

ケミーライザーが示す場所に向かうと、大声で動き回るサボニードルを見つけた。

 

「お前、一人か?あの女の子は一緒じゃないのか?」

「サボー、サボボー!」

 

士道は初めてガッチャードに変身してから、ケミーの言葉を正確に理解し意思疎通が出来る様になっていた。

 

その上でサボニードルから聞いた話を纏めると・・・。

 

 

ハーミットの存在を確認したASTの部隊が現れ包囲して・・・。

 

「攻撃開始!」

 

日下部 燎子の指示で、全員がCR-ユニットで攻撃。

 

ハーミットはビル間に隠れて、サボニードルを置く。

 

「あなたは、早く逃げて・・・ね」

「サボー!?」

 

空中を飛んで、ASTをサボニードルのいる箇所から引き離す。

 

ASTはハーミットを追いかけながら攻撃するが、AST達に攻撃する事なく、ただ避けて逃げ回るだけである。 

 

「ねぇねぇ、一旦どこかに隠れない?」

 

「うん・・・」 

 

パペットからの声に従い、ハーミットはビルの中に隠れようとする。その時・・・。

 

「ハーミット!覚悟ぉ!」

 

隊員の一人が先回りして現れ、ミサイルランチャーの銃口をハーミットに向け、ミサイルを発射。

 

突然の事にハーミットは対応出来ずに、ミサイルをモロにくらってしまう。

 

霊装のお陰で、ダメージはゼロ。しかし・・・。

 

「あーれー」

「あっ・・・!?」

 

衝撃でハーミットが付けていたパペットが、手元を離れ落ちてしまった。

 

しかも直後に、姿を消した。ASTはハーミットが隣界に戻ったとして撤収して行った。

 

サボニードルは消えたハーミットを見つけるため町中を探し回っていたのだ。

 

サボニードルから話を聞いた士道は、そうか・・・と考えてから提案する。

 

「俺もその子を探しているんだ。もしよければ、俺にも手伝わせてくれないか?」

 

「サボ?・・・サボ!」

 

士道の提案に頷くサボニードル。士道はサボニードルの同意を得てからケミーカードの中に入れて、捜索を再開。

 

しかし、ハーミットは消えたままでラタトスク側でも見つけられなかった。

 

夕方になった頃に捜索は一旦中止して、フラクシナスと錬金連合を訪れる士道。

 

琴里とプレラーティに、今日あった事やハーミットの事を報告。

 

ちなみに、琴里には士道がインカムやスマホを忘れたためハーミットがASTに襲われた事など、フラクシナス側からの情報を伝えられなかった事について注意された。

 

士道も琴里に謝罪し、次からはインカムやスマホを忘れず持っていく事を約束。

 

翌日もハーミット探しを行う事とし、自宅に戻ったのであった。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

翌日。士道はサボニードルと一緒にハーミットを探す事に。

 

今回はフラクシナスのメンバーにも手伝ってもらい、合同で探している。

 

外は昨日と同じく雨が降っているが、空間震は確認されていないので静粛現界で現れたのだろう。

 

今現在、天宮市はハーミットとASTの戦闘で破壊された後はAST側の"顕現装置"で生活に支障がない位には修復された為、少しずつだが人も外に出ている。

 

そしてフラクシナスがハーミットの姿をカメラで確認。士道に情報がもたらされ、現場に急行する。

 

 

「・・・・・・ううっ」

 

可愛い意匠に身を包んだ小柄な少女、この前出会った精霊ハーミットの姿があった。

 

ハーミットは今にも泣き出しそうに、目に涙を溜めながら地面に両膝をつき、まだ人気の無い商店街で何かを探している様子だった。

 

士道はすぐハーミットの後ろへと行き、頭が濡れないように傘を持った腕を伸ばす。

 

霊装を纏っている為、濡れる事は無いが士道は傘を差し出す。

 

「大丈夫か、風邪引くぞ?」

 

士道に気づいたハーミットは、慌ててその場を離れようと立ち上がって士道に背中を向ける。

 

士道はハーミットに手を伸ばし、制止を呼びかける。

 

「ま、待て!俺だ、神社で出会った時の!君を驚かせに来たわけじゃない!」

 

そこで、士道はハーミットの手にウサギのパペットが無いことに気付いた。

 

「君!あのウサギのパペットはどうしたんだ?」

 

「・・・!」

 

ハーミットは美しい蒼玉を思わせる瞳を大きく見開く。パペットが左手に無いことを突かれて驚いたのだ。

 

ハーミットは士道のところまで走り、士道の制服を掴む。

 

「・・・まさか、無くしたパペットを探していたのか?」

 

士道の言葉にハーミットは首を縦に振る。今にも泣き出しそうなハーミットを見て士道は言う。

 

「そうか・・・じゃあ、パペットを一緒に探そう!」

 

「え・・・!?」

「一人で探すより、俺と君で探した方が早く見つかると思ってさ」

 

「は、はい・・・ありがとう・・・・・・ございます」

 

「あ・・・そうだ、自己紹介がまだだったな。俺の名前は士道。五河 士道っていうんだ。君の名前を聞いていいか?」

 

「わ、私は・・・四糸乃(よしの)・・・・・・です。パペットは、よしのんって・・・いうんです・・・」

 

「四糸乃、か。かわいい名前だな」

「っ!?・・・うぅ」

 

名前を誉められて、照れるハーミット・・・四糸乃。

 

「そうだ、サボニードルも四糸乃に会いたがっていたぞ。今会わせてやる」

 

「え・・・!?」

 

《ケミーライズ!サボニードル!》

 

ケミーライザーにサボニードルのカードを入れてボタンを押す。

 

「サボー!」

「きゃっ・・・」

 

サボニードルが召喚され四糸乃に飛びつき、四糸乃も驚きながらも抱きかかえる。

 

サボニードルと再会出来た事で四糸乃も少し落ち着いた様で、安心した様子で受け入れる。

 

士道とサボニードルと四糸乃は一緒に、よしのんを探すことになった。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

あれから探しているが、よしのんは見つからず。途中で休憩のため、公園に向かった。

 

屋根付きのベンチに並んで座る。四糸乃は士道が買った暖かい紅茶を少しずつ飲んでいる。

 

サボニードルは四糸乃の膝の上に乗っていて機嫌が良いのか、ゆったりとしている。

 

そして、休憩中に士道は四糸乃にケミーの事を説明。

 

サボニードルが錬金術によって作られた命だという事に驚いたが、すぐに受け入れた。

 

「なぁ四糸乃、お前にとって、よしのんってどんな存在なんだ?」

 

気になった事を訪ねる士道。四糸乃は少しずつだが、士道にからの質問に答える。

 

「・・・・・・よしのんは、私の、ヒーロー・・・です」

「ヒーロー・・・」

 

「よしのんは・・・私の、理想・・・・・・です。憧れの自分、です・・・。私、みたいに弱くないし、うじうじしない、強くて格好いい・・・です」

 

士道は四糸乃の話を聞いて、思ったことをそのまま口にした。

 

「そういうもんなのか?俺から言わせてもらえば、四糸乃の方が好きだけどな。とても可愛いし」

 

「・・・っ!!」

 

士道の言葉に四糸乃は顔が真っ赤になった。そして、四糸乃は恥ずかしくなったのか、霊装のフードを深く被り顔を隠す。

 

「あれ?四糸乃、俺なんかおかしいこと言ったか?」

 

「そんなこと、言われたの・・・初めて・・・・・・だから・・・・・・」

 

「そ、そうか・・・。四糸乃。俺はもう一つ聞きたいことがあるんだ」

 

「・・・?」

 

「君は今までに、他の人間から攻撃を受けていた。でも一切反撃しないで逃げ回っている・・・そう聞いたんだ。それはどうしてなんだ?」

 

士道は琴里から、「ASTから攻撃を受けても、一切反撃すること無く逃げ回るだけ」と聞いてから気になっていた事を聞いたのだ。

 

士道が問うと、四糸乃はスカートの部分を強く握りしめ、消え入りそうな声を出す。

 

「私は、痛いのが、嫌いです・・・・・・。怖いのも・・・・・・嫌いです。

 

きっと、あの人たちも・・・痛いのや、怖いのは・・・嫌だと思います。だから、私は・・・・・・」

 

「なっ・・・!?」

 

士道は四糸乃の言葉を聞いて、大きな衝撃を受けた。

 

"相手も攻撃されたら痛い思いをして嫌だろうから、反撃しない"

 

四糸乃が言っている事はそういう事だ。四糸乃は涙を啜るようにして続ける。

 

「でも・・・私は、弱くて・・・・・・泣き虫、だから・・・一人だと、ダメです。

 

怖くて、どうしようもなくなって・・・・・・頭の中がぐちゃぐちゃになって・・・・・・。きっと、みんなに・・・・・・ひどいことを・・・・・・・・・」

 

士道は四糸乃の言葉を、拳に爪跡が出来るほど拳に力を入れて聞いていた、そして理解した。

 

四糸乃は誰よりも優しく、強い心の持ち主だと。

 

何も悪いことをしていないのに悪と決めつけられて攻撃される。

 

そんな理不尽な事があっても、よしのんが四糸乃の心の支えになっていたから歪むこと無く、本来の優しさと強さを保てていたのだろう。

 

 

士道は四糸乃の頭を優しく撫でた。

 

「よく頑張ったな、四糸乃」

 

「・・・・・・ふぇ?あ、あの・・・・・・」

 

「俺が必ずよしのんを探し出す!そして四糸乃にもう一度合わせる!

 

それに、四糸乃にひどい事をするやつからも、守ってみせる!つまり、俺が四糸乃のヒーローになるって事さ」

 

四糸乃の話を聞いた士道は決心した。俺が必ず救う・・・と。

 

「俺は必ず、君の笑顔を取り戻す。だから大丈夫。平気、へっちゃらだ」

 

真剣な表情で、でも優しい声で四糸乃に言う。

 

四糸乃は、その言葉と表情に嘘が無いことがわかり、嬉しさが込み上げてきた。そして顔が赤くなり、胸がドキドキする事を自覚した。

 

「あ・・・・・・ありがとう、ございます・・・・・・」

 

赤くなった顔を隠すように俯きながらも、ちゃんとお礼を言う四糸乃。

 

士道はそんな四糸乃の頭をもう一度、優しく撫でた。

 

 

「さて、頑張ってよしのんを探そう!・・・ほら、一緒に行こうぜ」

 

士道は立ち上がり、四糸乃の方を向いて手を差しのべた。

 

四糸乃は差し出された手に自分の手を伸ばして、そっと士道の手に重ねる。

 

士道も、小さくも暖かい手を包むように優しく握り歩き出した。

 

だがその直後に、フードを被った男・・・パヴァリアからの刺客が士道達の前を塞ぐ様に前に立つ。

 

「精霊を発見。抹殺する」

 

男は短く告げた直後、渡されたカードの中にいるケミー・・・インセクト属性・レベル6の「グレイトンボ」を黒い煙と共に取り込み「ドラゴンフライマルガム」になる。

 

「ひっ・・・!?」

 

士道からケミーの事を説明された時に聞いていたが初めて見るマルガム・・・異形の存在に驚き怯える四糸乃。

 

士道は傘を投げ捨てて四糸乃を守る様に前に出て、ガッチャードライバーを装着する。

 

「四糸乃、サボニードルと一緒に避難するんだ。あいつは俺が倒す」

 

「で、でも・・・」

「行くんだ!」

 

士道に力強く言われ、四糸乃は頷いて走って茂みの中に入るが、士道が心配になった四糸乃は逃げるのを止めて茂みの中から見守る。

 

一方、四糸乃が離れたところでカードを入れてガッチャードに変身する。

 

《ホッパー1!》

《スチームライナー!》

 

「変身!」

 

《ガッチャーンコ!スチームホッパー!》

 

ガッチャードに変身し、ガッチャージガンを構える。

 

「し、士道さんも変わりました・・・!?」

「サボー!」

 

隠れて見ていた四糸乃とサボニードルが、マルガムと異なりヒーローの様に格好良いガッチャードの姿を目に焼き付ける。

 

そして、ドラゴンフライマルガムが射出した刺とガッチャージガンから放たれた光弾がぶつかり合い、それが戦闘開始の合図となった!

 




次回予告

ガッチャードとドラゴンフライマルガムの戦闘は激化していく。

一方、連合の指示で動く折紙もラケシスと邂逅し戦闘になる。

【第三話 雨中の戦闘】
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