デート・ア・ガッチャード 〜CONNECT HEARTS〜 作:エルミン
「・・・ん・・・・・・ふあぁ・・・もう朝かぁ?」
五河 士道の目が覚めた。目覚めたばかりの頭で、今日のスケジュールを思い出す。
今日は四月十日。士道が高校二年生に進級する日でもある。
士道がベッドから起き上がると、ドアが開いて、琴里が入ってきた。
「おにーちゃん、おはよー!朝だぞー・・・おぉ!もう起きてる!」
「おはよう、琴里。朝から元気・・・あぁ、いつも通りか。琴里も早いな」
「早寝早起きは、体に良いからね!」
「そうか、よしよし、いい子だな」
士道が頭を撫でて誉めると琴里はくすぐったそうに、そして嬉しそうに撫でられ続ける。
「今から朝ごはんを作る。先に行ってろ」
「はーい!」
元気よく返事して、一階に降りていく。士道も高校の制服に着替えて、一階に降りる。
一階に降りると、栞は先に起きていて準備をしていた。琴里はソファに座ってテレビを見ていた。二人で早速朝食を作っていく。
卵とベーコンを炒めていく中で、「空間震」に関するニュースが流れ始めた。
「空間震、最近多くなってきてるな」
「うん・・・・・・でも、予定よりちょっと早いかな?」
「ん?」
「なんでもないよー」
「・・・そうか」
琴里の呟きはあまり聞こえず気になるが、年頃の女の子の事をアレコレ詮索するのもあれか。そう思い、調理に集中する。
ようやく完成。三人で仲良くいただきます。
「琴里。今日は始業式だけだから昼には帰ってくるけど、何が食べたい?」
「デラックスキッズプレート!」
「当店ではご用意できかねます。・・・わかった、じゃあファミレス行って食べるか」
「本当!?約束だよ、栞ちゃんもね!空間震が起きてもファミレスがテロリストに占拠されても絶対だからな!」
「約束するけど、ちゃんと避難はしような?」
「りょうかーい♪」
そんな会話をしながら、食べ終わった後、皿洗いをして一緒に出る。
途中で別れて、士道は自分の通う高校に着いた。
来禅高校。最新の設備で充実しているこの高校は、数年前に立てられ、最新のシェルター設備も完備されている。
士道と栞は自分のクラス・・・二年四組に向かう途中で、友人の殿町 広人と合流した。
「よぉ五河!風鳴さんを俺にください!」
「よぉ殿町、だが断る」
教室に入って座席表を確認。士道と栞は隣同士であった。自分の席に付くと一人の女子が声をかけてくる。
「五河 士道・・・」
「え?ああ、そうだけど・・・君は?」
「覚えてないの?」
「ん・・・・・・ごめん。会ったことはある、気がするんだけど・・・」
「気にしなくていい。私の名前は、
「あ、あぁ・・・」
士道に挨拶をして自分の席に座る折紙。栞が士道の肩を軽く叩く。
「鳶一さん、士道の事を知ってるみたいだね」
「鳶一さんって有名人なのか?」
「うん。去年私達と違うクラスだったけど、成績優秀スポーツ万能って有名だったんだ」
「へぇ・・・」
しかしここで空間震警報が発令される。皆が誘導に従いシェルターに避難したが、士道は琴里の心配をしていた。
空間震が起きてもファミレスがテロリストに占拠されても絶対だからな!という今朝の琴里の言葉が頭から離れない。
不安を抱きながら、士道は携帯のGPSで琴里の位置を確認する。
琴里の現在値がファミレスの前を示して動かない事を確認すると、急いでシェルターを抜け出して走る。
士道は琴里と約束したファミレスについたが、そこに琴里はいなかった。
(何でだよ!)
士道は心配と焦りを抱き、店を出て琴里を探そうとしたが、空間震が発生してしまった。
士道はとっさにファミレス内部に入って空間震の衝撃から逃れようとする。
それが収まってから外に出ると、ビルが吹き飛んだ所の中心部・・・士道の正面に、一人の少女がいた。
近くに来ると、その少女の美しさがよくわかった。
黒くて長い髪。ポニーテールにしていて、紫色の鎧とドレスを足して2で割った様な神秘的なのを着ている。
さらに、大きな椅子に座らず足を掛けて立っていて、格好良さ可愛らしさが両立している。
少女も士道に気づいたのか椅子から剣を抜いて降りてきて、切っ先を突き付けてくる。
「・・・・・・お前も」
少女が語りかけてくる。その声は、表情は・・・。
「お前も、私を殺しに来たのか・・・」
悲しみと絶望に満ちている。士道は確信した。
(・・・この子は昔の俺と同じ感じがする。両親に捨てられて、絶望していた時の俺に)
士道は心の中で思いながら、言葉を紡ごうと口を開いた。だが、士道が言葉を発する前に、急に飛んできた水着みたいなスーツ着て機械で武装してた少女達の乱入によって、少女と戦闘を開始。
こんな状況では話はできないので、一旦離れる。
これからどうしようかと思っていたら、士道は光に包まれ、知らぬ場所に移っていた。
そこで、「村雨 令音」という眼鏡をかけた女性と出会い、会わせたい人がいると言われたのでついていく。
そして、たどり着いた場所・・・船のブリッジみたいな場所で、神無月 恭平という金髪の男性と出会い、そして大きな椅子に座っていた人物が士道の方を向く。
「ラタトスクへようこそ、士道」
「・・・琴里?」
士道の妹、琴里だった。しかし、リボンは黒になってる。
「えぇ、士道のかわいい妹よ」
「・・・まぁいい。どういうことか、説明してくれるよな?」
「もちろんよ、その為にここに来させたのだから」
そして、琴里は説明を始めた。
上のモニターに映した少女は、精霊。隣界と呼ばれる世界からこちらにやって来る生命体。
見た目は人間の少女。しかし、誰も敵わないほどの強大な戦闘力を持っている。
霊装という最強の盾と、天使という最強の矛を持つ存在。
そして、空間震は、精霊がこの世界に現れる際の余波である。
次に、AST。精霊を武力で根絶するための組織であり、陸上自衛隊所属である。
最後に、ラタトスク。俺たちが今いる空中艦《フラクシナス》を開発した組織。
ASTとは異なり対話による平和的な方法で精霊を救い、空間震被害を根絶するための秘密組織。
しかも、その対話とは、「会話をして好感度を上げて、デートをして、デレさせる」というものだった。
「それ、何てギャルゲーだよ!?」
「いわば、『リアルギャルゲー』ね。ヒロインの好感度を上げてルートに入り、恋してキスをする。
攻略に失敗してバッドエンドになったら、世界が滅ぶわよ」
「バッドエンドがデカ過ぎるだろ!」
「それでもやるしかないのよ。それに、本当は空間震警報が解除されてからここに呼ぼうと思っていたけど・・・」
琴里は急に士道を睨む。
「何で警報が解除されてないのに外に出てたの?馬鹿なの?」
士道は素直にGPSの事を話した。
「あー、そっか。それは盲点だったわ。後で調整しないと」
落ち着きを取り戻した士道は、先程の少女・・・精霊の事を考える。
『お前も、私を殺しに来たのか・・・』
士道の中で、少女のあの表情が離れない。全てに絶望したようなあの表情。
助けたい。同情かもしれない、昔の自分と重なっているだけかもしれない・・・それでも、放っておけない。
士道はあの子に教えてあげたいのだ。この世界の素晴らしい所を、人の優しさを!心の中で決意を固め、琴里に聞く。
「琴里。精霊を救う為には、対話が必要なんだよな?」
「えぇ。精霊と対話して、恋をさせて、精霊の心を救う。それがあなたのやるべき事よ」
「手伝ってくれ」
ケミーの事もあるが、知ってしまった以上、士道にとってはもう他人事ではない。
それに、士道自身もあの子を助けたいと決めたから。琴里は嬉しそうに笑う。
「OK。このラタトスクは、精霊達と士道個人の為に作られた組織。最大のバックアップを約束するわ」
「ありがとよ・・・琴里、それに皆さん」
「「「?」」」
皆が注目するなか、士道は言いきった。
「五河 士道です、よろしくお願いいたします!」
しっかりと挨拶して、頭を下げる。
すると、皆が拍手してくれた。笑顔になっているのを見るに、どうやら悪い印象は無いらしい。
「これから頑張りましょうね、士道」
その後、このブリッジに集まっている方々から自己紹介を受けた。
二つ名がアレだが、優秀な人員らしい。
「・・・では、シン。今から君を地上に転送する」
「俺は士道ですよ、令音さん」
令音は、何故か士道をシンと呼ぶ。
士道が注意しても、呼び方を変えることは出来なかった。
「では士道君。明日はこの船の案内を致しますね」
「ありがとうございます、神無月さん」
神無月さんは、とてもいい人だ。だがドMな変態だ。琴里に足を踏まれたりして喜んでいた。
趣味にとやかく言うのもあれかと思い、そっとしておく事にした。
そして、その後。士道は地上に転送してもらった。
地上に戻った士道がスマホを見ると、栞から多くの不在着信があった。すぐに連絡するべく折返し電話をするとワンコールで出た。
『士道っ!大丈夫なのっ!?』
悲鳴に近い声で言う栞。士道は驚きながらもラタトスクや精霊の事を抜きにして話し、自分の無事を伝えた。
心配をかけた事を謝罪、電話で叱られたがそれ以上に無事である事を安心して喜んでくれた事に士道は感謝した。
栞達はシェルターから出る許可はまだ出てないので、士道は先に帰る事にした。
だが聞いた話の整理と今後の事を考える事も含めてすぐに家に帰らず、街を歩いていた。
そこにローブを纏った暗い雰囲気に包まれた、瞳孔も開き顔色も悪い中年男性が立ち塞がる。
「貴様が仮面ライダーか・・・盟主様の命により貴様を排除する!」
「パヴァリアの!?」
男は胸ポケットからライドケミーカードを取り出す。それはビークル属性レベル2、スケボーズ。
パヴァリアは既に複数のケミーを捕まえているようだ。
「スッケボ〜・・・」
スケボーズが悲しみに満ちた声を出し、それに合わせて絵が動く。士道に助けを求めているのだ。
その声を聞いた士道は男を睨む。
「暗黒に染まれぇ!」
この男はパヴァリアの構成員のようだ。そして黒いモヤがスケボーズを取り込み、男はスケボーマルガムとなる。
「ケミーは俺が救う!」
士道はガッチャードライバーを装着し、ライドケミーカードを入れる。
《ホッパー1!》《スチームライナー!》
「変身!」
《スチームホッパー!》
士道はガッチャードに変身、マルガムに向かって走る。だが、マルガムは左足のスケボーに乗り素早くかわす。
そのまま縦横無尽に動き回り翻弄するが、士道は冷静に対処する。
攻撃の為にガッチャードに接近してきたタイミングに合わせて、ガッチャードは回し蹴りを叩き込みマルガムを地面に落とす。
ガッチャードはマルガムが起き上がる前に、カードを交換する。
《オドリッパ!》《カマンティス!》
《オドリマンティス!》
オドリマンティスにフォームチェンジ。
人型になった細身のカマキリで、各部にオドリッパの要素である羽飾りを持つ非人型形態「ワイルド形態」になる。
すぐに「オドリマンティスフィーバー」を発動、滅多斬りにして大ダメージを与えた。
ガッチャードがスチームホッパーに戻ったところでマルガムは、足にスケボーを作り出し逃げ出す。
ガッチャードもケミーライザーを使ってゴルドダッシュを召喚。乗って運転しマルガムを追いかける。
左足のスケボーに乗り素早く移動しながら逃げるが、追ってきたガッチャードを止めるため、車輪状の赤いエネルギーを弾丸のように放つ。
器用に運転しながらかわしていき、ガッチャージガンにブランクカードを大量に入れ銃撃していく。
「カマンティス、頼む!」
「カマカマ!」
カマンティスのカードをスキャンさせてガッチャージバスターを発動。緑色の鎌状の光弾を連射して大ダメージを与えるとマルガムは体制を崩して倒れる。
マルガムが大ダメージを受けて動けない隙に、ゴルドダッシュから降りてガッチャードライバーを操作してフィーバー技を発動。
《スチームホッパーフィーバー!》
低空かつ真っ直ぐに飛び蹴りを叩き込み、マルガムを撃破。飛び出したスケボーズを、ブランクカードの中に回収。
「スケボーズ、よろしくな」
「スッケボー♪」
スケボーズは自分を助けてくれた士道に心を開き、感謝の気持ちを伝える。
変身を解いた士道が連絡するとすぐに黒服を来たエージェントが複数人現れ、男を拘束して去っていく。
黒服達は錬金連合所属のエージェントであり、マルガムとなり暴れた新パヴァリアの男は
そして自宅に戻った士道は自室に戻り休憩、栞と白リボンに戻った琴里の帰宅を出迎える。
そして士道と栞は二人で士道の部屋に入り、スケボーズを助けた事を報告。
夜はベッドに寝ながら一人で考えていた。今日出会い琴里から聞いた存在、精霊の事を。
(精霊を救えるかどうかは、俺にかかっているんだ。絶対に・・・あの子の笑顔を取り戻す!)
今日この日から、士道は精霊と呼ばれる存在を救うための
次回予告
精霊「プリンセス」に再会する士道。人間を敵視する彼女の心を開けるか・・・?
第二話 精霊と対話せよ