デート・ア・ガッチャード 〜CONNECT HEARTS〜   作:エルミン

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第三話 十香とのデート

 

士道と十香がデートを始めた頃、新パヴァリアのアジトにある最低限の照明しか付いてない部屋に、二人の研究者らしき人がいた。

 

新パヴァリア所属の錬金術師であり、跪く二人の前にはアトロポスがいた。アトロポスは二枚のライドケミーカードを持っている。

 

「ヴェノ〜・・・」

 

プラント属性レベル5、ヴェノムダケ。毒キノコがモデルのケミーである。

 

名前の通り様々な毒性を持つが、その能力を応用すれば薬になるらしく、管理されていた頃に解毒薬が開発されている。

 

「マリナ〜・・・」

 

ビークル属性レベル5、ディープマリナー。潜水艦がモデルのケミーである。

 

深く静かなところを好み、海でも陸でもどこでも潜ることが可能だ。

 

「暗黒に染まれ」

 

怯えた声を出すヴェノムダケとディープマリナーを取り込むように二人の男に黒いモヤが出現。

 

一人はヴェノムダケを取り込んでポイゾナスマッシュルームマルガムとなり、もう一人はサブマリンマルガムとなる。

 

「二人共、精霊の存在は僕達にとっても脅威となる。だから精霊を殺すんだ・・・まずはこの写真に写っているプリンセスから、ね」

 

「「仰せのままに」」

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

士道は十香と一緒にデートをすることになった。しかし・・・・・・。

 

「シドー、もっときな粉パンを食べたいぞ!」

「シドー、あれはどんな味がするのだ!?」

「シドー、もっと食べたいぞ!」

 

「食ってばっかりじゃねーか!どんだけ大食いなんだよ!?」

 

十香とのデートは、街の見学と食べるだけになってしまっている。

 

次々と食べていくので、財布がヤバイ。高校生の財布事情を考えぬ十香の食べ方。それはまさに七つの大罪の一つ、暴食。

 

 

 

同時刻、錬金連合にて。

 

(れん)せよ、生まれうくは(ごう)なる炎!」

 

風鳴 栞の手から赤い陣が浮かび強めの炎が発せられる。

 

栞は錬金連合の一室で錬金術の修行を行っていた。

 

ケミーの開放、パヴァリアの残党を含む冥黒の三姉妹の暗躍によるマルガムの発生。

 

これらの自体に対処できるように、そして何より・・・大切な士道の力になれるように。

 

「栞ちゃーん、今日はここまでにしておきなさいな。はい、お水よん」

 

「あ、カリオストロさん。ありがとうございます」

 

ドアを開けて入ってきたのはカリオストロが水入りペットボトルを渡す。栞が水を飲んでいる最中、カリオストロは唇を尖らせて言う。

 

「んも~、カーリーって呼んでって言ってるじゃな〜い」

 

「ぷはぁ〜・・・いえいえ、流石にそれは・・・」

 

「んも〜、罰としてこれから一緒にお風呂に入りましょう、そうしましょう!」

 

「それって、単にカリオストロさんが私と入りたいってだけじゃあ・・・」

 

「そうとも言うわねん♪さぁ行くわよぉ」

「ふふふ・・・はい」

 

二人は並んで歩き、一緒に施設内の風呂に入りながら錬金術のコツから士道と栞の思い出に至るまで、色々な話をした・・・。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

琴里と令音は街中の喫茶店にいた。

 

「あ、令音。それいらないならちょーだい」

「・・・あぁ、構わんよ」

 

琴里が令音の前の皿の中のラズベリーを要求。

 

「んー、おいしい。何で令音これダメなんだろうねー」

「・・・すっぱいのは苦手でね」

 

そう言い令音は、砂糖を大量に入れたアップルティーを飲んでいく。

 

今日、琴里はいつも通り中学校に登校したのだが、昨日の空間震の余波で琴里の学校までも被害を受け、休校になってしまった。

 

その為、仕事が落ち着いた令音を呼んで天宮通りのカフェに来て二人で一緒にお茶していた。

 

中学校に行くつもりだったので、琴里が着ているのは中学の制服で、髪を結っているリボンの色は白である。

 

「・・・琴里、聞いておきたいんだが」

「なーに?」

 

ここで令音が琴里に聞いてくる。

 

「初歩的な事で悪いのだがね、琴里。なぜ彼が・・・シンが精霊との交渉役に選ばれたんだい」

 

「んー、誰にも言わない?」

「・・・約束しよう」

 

令音は頷く。琴理はそれを確認すると頷き返し、続ける。

 

「実は私とおにーちゃんって血の繋がっていないって言う超ギャルゲ設定なの」

 

「・・・ほう?」

 

令音が小さく首を傾げる。

 

「だから私は令音の事が好きなんだよねー」

「・・・・・・?」

 

令音が再び首を傾げる。

 

「気にしなーい。で、続きだけど、何歳ごろって言ってたかな?

 

それこそ私がよく覚えていないくらいの時におにーちゃん、本当のおかーさんに捨てられて家に引き取られたらしいんだ。

 

私は物心つく前だったから憶えていないんだけど」

 

ここで、なぜか令音が眉をピクリと動かす。琴里は、その事に気付かないまま話す。

 

「年齢一ケタの子供からしてみれば母親は絶対の存在。

そんな中で母親に捨てられちゃったら、誰だって絶望しちゃうでしょ?」

 

「・・・そうだね」

 

「そういった事があったから絶望・・・ううん、負の感情に妙に敏感なの」

 

「・・・負の感情?」

 

「そ、自分は愛されないんだっていう思い、怒り、悲しみ、憎しみとか。

 

とにかくそう言った感情を見ると誰だろうと、どうにかしようとするの」

 

琴里は最後のラズベリーを食べて、締めくくるように言う。

 

「もしかしたら、と思ったんだ。あの精霊に勇んで向かっていくようなの、おにーちゃんぐらいしか思いつかなかったからさー」

 

その言葉に令音はなるほど、と頷く。

 

「・・・琴里、もう一つ聞きたい事があるんだ」

「ほぇ?なに?」

 

「・・・単刀直入に聞こう。シンの事、好きなのかい?無論、異性として。恋愛的な意味で」

 

琴里はブルーベリージュースを飲みながら聞いていたが、その内容に思わず。

 

「ぶふぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」

 

と盛大に口の中のジュースを噴出した。

 

「・・・どうしたんだい、琴里」

 

その様子に令音が不思議そうに首を傾げる。そして、琴里が吹き出したジュースが体にかかったので拭いていく。

 

「ゲホッゲホッ・・・・・・っ。い、いきなり何を聞くのだー!?」

 

琴里の顔は真っ赤だ。まるでトマトに赤いペンキを塗りまくったようだった。

 

「・・・精霊との交渉役にしたが、心配だろう?シンを見つめる目が、愛する男を心配する女の目だったよ」

 

「・・・令音、今日はたくさん喋るね」

「・・・私にも、そういう時はあるさ。どうなんだい?」

 

「・・・誰にも言わない?おにーちゃんにも、秘密にしてくれる?」

 

「・・・約束しよう」

 

令音は頷く。琴理はそれを確認すると話を始めた。

 

「今から五年前かな。おにーちゃんも大分明るくなって、私とも遊んでくれるようになった位、かな」

 

琴里は顔を伏せたまま続ける。

 

「五年前に、天宮市で大火災になっちゃったでしょ?その中で、おにーちゃんは必死に走って私の所まで来てくれたの。

 

炎を浴びて火傷を負っても、真っ直ぐ私の所まで来てくれた」

 

「・・・・・・」

 

「私を優しく抱きしめてくれて、もう大丈夫だって安心させてくれて・・・」

 

「・・・そうか。琴里にとって、シンは」

 

「うん・・・私を助けてくれた、ヒーロー。それからなの。おにーちゃんの事が好きになったのは」

 

顔が真っ赤になりながらも、令音に自分の想いを打ち明けた琴里。

 

「・・・話してくれてありがとう、琴里」

「まぁ、令音なら良いかなって・・・」

 

琴里が水を飲みながら、ふと外に目を向けたその瞬間。

 

「ぶふぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」

 

と盛大に口の中の水を噴出した。本日二回目の噴出である。

 

「・・・どうしたんだい、琴里」

 

その様子に令音が不思議そうに首を傾げる。そして体を拭く。これも二回目である。

 

「えっと・・・ちょっと非科学的かつ非現実的な物を見た気がして」

 

そう言い、琴里は外の通りの指差した。

 

「・・・・・・?」

 

令音は指差された方向に首を向け、動きを止める。

 

そしてゆっくりと首をもとの位置に戻すとアップルティーを口に含み、再び首を通りに向けると吹き出す。

 

「・・・なまらびっくり」

 

なぜ北海道弁。

 

状況は、カフェがある通りの向こう側。そこを琴里の兄である士道が女の子を連れて歩いているのだから。

 

しかも、その少女は精霊のあの少女・・・プリンセスこと十香だ。

 

「なぁにこれぇ」

 

琴里はとりあえずガラスについたジュースをハンカチで拭く。

 

その後、琴理は携帯を取出す。ラタトスクからの連絡は入っていない。空間震は出ていないのだ。

 

「精霊には私たちに感知されずに現界する方法があるって事?」

 

「・・・ただのそっくりさんと言う可能性は?」

 

令音の言葉に琴里はしばらく考える。

 

「もしそうだとしたら、おにーちゃんが栞ちゃん以外の女の子を連れてるってことになるぞー。

 

精霊の静粛現界とどっちが非現実的かと言ったら、僅差で前者かなあ・・・・・・むぅ」

 

「・・・なるほど。だが、そうなると大変だな。シンを一人にしておくのも危険だ。それに、琴里がヤキモチをやいてるからね」

 

「! そ、そんな事は・・・うぅ・・・・・・」

 

令音がもう一度通りを見た時、もう二人はその場からいなくなっていた。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

士道と十香は近くのファミレスへ。

 

食べ終わった後の会計で令音と琴里(ファミレスの制服Ver)と遭遇。

 

予備のインカムを受けとり、ここからは『ラタトスク』のサポートを受けれることになった。

 

士道は早速指定された場所に向かう。するとビルが立ち並ぶハズの場所に、立派な商店街が出来ていた。地面から生やしたらしい。

 

ここでの食べ物は無料らしいから、士道の財布は助かった。十香は好きなだけ食べられることに喜んでいる。

 

その笑顔はとても可愛く、それを見ている士道も幸せな気持ちになれた。

 

 

その後、時刻は夕方。

 

ゲームセンターできな粉パン型の抱き枕兼クッションを取ってから、士道は十香をある場所に案内した。

 

そこは崖の上に有る高台だ。

 

ここは町を広く見渡せる。士道のお気に入りの場所だ。今は夕方であるから、夕日の光も相まってとても美しい。

 

「どうだ?ここは俺のお気に入りの場所だ」

「うむ!とってもキレイだ!」

 

目を輝かせる十香。しかし、その顔が暗くなっていく。

 

「私は・・・こんなにキレイな世界を壊していたのか・・・・・・やはり私は、いない方が」

 

 

「お前は、いていいんだよ!!」

「シドー・・・!?」

 

「お前はこの世界は、悪いことばかりじゃないってわかってくれたんだろ!?

 

でも、まだまだ足りない!俺がもっともっと教えてやるさ!」

 

心のままに叫ぶ。己の気持ちを十香にぶつけるように。

 

 

「助けたいんだよ、十香を!それは、義務や使命感じゃない!お前を助けたいから助ける!」

 

士道は十香を抱き締めた。離さないように強く、優しく。

 

 

「シ・・・・・・シドー!?」

 

「言っただろ十香。俺は、お前を、否定しないって」

 

「・・・・・・! シドー!!」

 

十香は涙を流しながら俺を抱き締め返す。

 

「・・・私は、今までずっと、明日なんて来ないで欲しい・・・そう思っていた」

 

「十香・・・?」

 

「明日がくれば、この世界に来て、壊してしまい、メカメカ団に攻撃されてしまう。それが嫌で・・・明日なんて来ないでくれ。そんなことばかり考えていた」

 

「・・・」

 

「だが、シドーは私を受け入れてくれた。否定しないでくれた。デェトという楽しい事を約束してくれた。シドーがまた明日、と言った。

 

それから、初めて思ったのだ。早く明日にならないかな・・・と」

 

明日を否定していた彼女が、明日を待ちわびる様になった。それをもたらしたのは、紛れもない士道の真っ直ぐな想いだ。

 

 

「全てシドーのお陰だ。シドーが受け入れてくれたから、世界の素晴らしい所を教えてくれたから。だから、ありがとう、シドー!」

 

明るい笑顔でお礼を言ってくる十香。

 

『全く、聞いてるこっちが恥ずかしくなるじゃない。

でも、上出来よ。好感度は最大までいったわ。最後は・・・』

 

琴里が士道に、最後にすべき事を伝えようとしたその時・・・!

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

「にしても、いまだに信じられないわね。精霊が空間震も無く表れて、普通の男の子と一緒に居るなんて」

 

士道と十香が立っている高台から離れた場所にある高台。

 

そこにAST隊長、日下部 燎子は立っていた。その目には双眼鏡が当てられており、二人を見つめている。

 

理由は、とある隊員が非番で街を歩いていた時に、プリンセスに酷似した来禅高校の制服を着た少女・・・十香を目撃。

 

しかも、隣に一般人の少年・・・士道を連れ回していたのだ。

 

隊員は十香が一般人を連れ回していると思い、慌てて連絡を入れたのだ。

 

隊員から届いた写真データは、記録に残っている十香の顔と確かに酷似している。

 

「隊長・・・どうしましょう?」

「空間震も無しに・・・偶然似ているだけか、本人か。一般人も一緒となると・・・」

 

燎子は考えた末に、指示を出す。

 

「観測機を使って、精霊かどうかを確かめるわ。一機ではなく、複数使用。

 

もし精霊だった場合は、即座に倒し一般人を保護します!」

 

「了解です!」

 

敬礼をして退室する女性隊員。燎子も急いで準備を行い今に至るのだ。

 

 

「狙撃許可は出ましたか?」

 

そしてのその後ろには腹ばいになり、巨大なライフルを構えた隊員がいた。

 

遠距離狙撃・・・スナイパーとして一番優秀な人物だった。

 

隊員が今持っているのは、《CCC》。

 

対精霊用のライフルであり、随意意識(テリトリー)が無ければ撃った瞬間腕がへし折れる品物だが、その分威力も桁外れ。

 

霊装を纏っていない十香を殺す事も出来るだろう。

 

「まだよ。お偉方が協議中。まあ、様子見で終わるでしょうね。

空間震警報が鳴っておらず、避難もできていない状態で失敗したらとんでもないことになるから」

 

燎子は耳元の通信機で連絡を入れる。

 

「こちら狙撃班。そっちはどうなって・・・・・・え!?狙撃許可出たの!?」

 

燎子の声を聞いた隊員は、CCCのスコープの倍率を上げて、精霊を視界に収める。

 

一回深呼吸をして、気持ちを落ち着かせ、引き金を引いた。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

士道は気付いた。十香に迫る一筋の・・・!

 

「十香!」

 

士道は叫び、急いで十香を突き飛ばす。

 

「な、何をす」

 

いきなり突き飛ばされたことに十香は抗議の声を上げるがすぐにその言葉は途切れた。

 

何故なら、士道の脇腹が綺麗に円形に抉り取られているのだから。

 

ガシャン、という音共にCCCが倒れる。

 

燎子の声が聞こえてくるが、隊員はそれに反応出来ない。

 

ただただ、自分のやったことの恐ろしさと罪悪感に支配され、恐怖することしか出来なかった。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

十香はゆっくりと倒れた士道に近付き、彼を見つめる。

 

「シドー・・・・・・?」

 

士道は答えない。答えられない。

 

十香はその身に羽織っていた制服の上着を脱ぐとそれを士道にかけてやる。

 

「シドーと一緒ならできると思っていた・・・」

 

ぽつりと、十香は漏らす。

 

「どんなに大変で難しくとも、何とかできると思っていた。でも、だめだった」

 

 

「やはり、だめだった。世界は私を否定した!!!」

 

 

吼えると同時に十香は空に向かって手を掲げると空が歪み始め、黒雷が落ちる。

 

それと同時に十香が着ていた制服が霊装に変わる。

 

 

神威霊装・十番(アドナイ・メレク)!!」

 

 

その身に要所を鎧で固めた美しいドレスを纏う。

 

そして射撃が来たであろう己の背後にある遠くの高台を睨むと、かかとを地面に打ち付ける。

 

地面が砕け、そこから現れるのは大きな玉座、天使。十香はその背もたれに飛び乗る。

 

 

鏖殺公(サンダルフォン)!!」

 

そこから両刃の大剣を引き抜き、玉座から飛び降りると玉座に大剣を振り下ろし斬る。

 

その瞬間、玉座は砕け散り、その破片がに鏖殺公にまとわりついていく。

 

最後の破片が組み合わさった時、そこにあったのは10m以上もある巨大な大剣。

 

塵殺公(サンダルフォン)最強の形、全てを滅ぼす力の固まり。

 

 

最後の剣(ハルヴァンヘレヴ)!!」

 

 

その大剣を十香が振りかぶると、刀身に黒い雷撃が集中していく。

 

一気にそれを振り下ろした瞬間、そこから放たれた斬撃が高台の一角を斬り裂くとその軌跡にあった物全てを切り裂き、消滅させた。

 

その衝撃を受けて、地面に墜落した燎子はその光景を見て呆然と見ることしか出来ない。

 

これまでの攻撃が遊びにしか見えない圧倒的な力。

 

十香は見つけた。見つけてしまった。士道を殺した犯人を。

 

「お前か・・・・・・殺したのは」

 

「あ・・・あぁぁ・・・・・・!」

 

隊員は動けなかった。戦う意志も無くなった。

一般人を撃ってしまった罪悪感、怒り本気を出した精霊への恐怖によって。

 

「その罪・・・死をもって償え・・・!!」

 

怒りと悲しみと絶望からくる涙を流しながら、十香はトドメを刺そうとした瞬間。

 

 

 

「十香ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

上空から聞こえた声に十香は目を見開き、空をふり仰ぐ。すると空から士道が落ちてくるではないか!

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

十香が霊装を纏って空へ飛んだ直後。

 

士道の体から青い炎が発火したかと思うと、何と狙撃によって開いた脇腹の穴が綺麗に塞がったのだ。

 

「・・・・・・俺、生きている!?」

 

驚きと共に飛び起きた士道。その直後、士道はフラクシナスの中にいた。ワープさせられたのだ。

 

控えていたフラクシナスのクルーに従って艦橋に走っていく。艦橋に到着すると、琴里達がいた。

 

「お目覚めの気分はいかが?士道」

 

琴里が艦長席に座りチュッパチャプスを口にくわえながら言ってくる。

 

「琴里、説明してくれ!十香はどうしてる!?」

 

「士道がASTの攻撃でやられてキレたお姫様が実行犯を殺しにかかってるわ」

 

「十香を止める方法はあるか!?」

 

琴里は、士道が自分が死ななかった理由よりも、十香を救う方法を聞いてくる事に、複雑な気持ちを抱きながらも問いに答える。

 

「ええ、あるわよ。これは士道にしかできないことよ」

「それは?」

 

「知らない?呪いのかかったお姫様を助ける方法なんて、一つしかないじゃない」

 

琴里はチュッパチャプスにチュッ、と口づけする。

士道はそれで何をするべきかを察した。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

「十香ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「し、シドー!?」

 

十香は慌てて士道の元に。

重力緩和が働いて士道の体が浮遊する様になり落下が止まる。

 

十香はそのまま士道の元に飛んでいくとその体を抱きとめる。

 

「シドー・・・・・・本物か?」

 

士道が頭を撫でながら頷くと、十香は目じりに涙を浮かべ、そのままぎゅっと抱き締める。

 

「シドー・・・シドー・・・!」

「心配かけちゃって、ごめんな。俺は大丈夫だ」

 

泣く十香の頭を優しく撫でる士道。

すると、ここで最後の剣(ハルヴァンヘレヴ)の力が暴走。

 

それを無くすため、十香を救う為に、士道は十香とキスをした。

 

精霊の力は封印された。それが士道の持つ力。

 

心を開いた精霊とキスすることで、霊力を封印出来るのだ。二人は高台の上にそっと着地した。

 

因みに、燎子はショックで動けない隊員を背負って撤退していた。

 

ここで、十香が一糸纏わぬ姿になっている事に気づく。士道は急いで上着を着せる。

 

顔を赤くして恥ずかしがる十香だが、士道に上目使いで訪ねる。

 

「なあ、シドー」

「ん?」

 

「また・・・デェトに誘ってくれるか?」

「・・・ああ、もちろんだ」

 

その言葉に、十香は嬉しそうな、花のような笑顔を浮かべた。

 

本来なら、ここで終わるはずだった。十香を救ってめでたし、それで終わるはずだった。

 

しかし、まだ終わらない。

 

 

 

「精霊・・・見つけたぞ」

 

その声の直後、二人の前に突然・・・二体の怪人が着地した。

 

それは、ポイゾナスマッシュルームマルガムとサブマリンマルガム。士道はすぐに、十香を庇うように前に出る。

 

「マルガム・・・パヴァリアか!」

 

アトロポスが差し向けた悪意が、精霊を亡き者にしようと迫ってきた・・・。

 




次回予告

十香を守るため戦う士道。そして彼は戦いの中で改めて決意する・・・。

第四話 士道のブシドー
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