そういうわけで、エクスカリバー編の最終決戦、開幕です!!
—月崎光也—
俺が相手にするのはコカビエルの方だ。
理由は単純。そちらの方が相性がいいと判断したという、それだけのことだ。
コカビエルは強い。最上級堕天使のそのまた最上位であり、神の子を見張る者全体で踏まえた場合、上澄みの地位から落ちることは現状ないだろう。
基本性能が高く経験豊富で、とどめに聖剣まで保有している。ここまでセットされている以上、生半可な相手では絶対に勝てない。
光希は加えて、コカビエルに興味を持たれていた。天然物の聖剣因子が原因だろうけど、その分知られているということだ。対応されやすいのは間違いない。
だからこそ俺だ。こうなれば遠慮なく、徹底的に叩き潰す。
魔器創造を利用した呪具を大量に展開し、それを砲撃の隙間を縫うように射出。陣を形成して一気に弱体化を図る。
本来ならこれだけの弱体化は相応の機材を使い捨てにする必要があるが、今回俺は大量に展開して数で補った。それも、一瞬で壊れるぐらい過剰行使をしてだ。
その弱体化で強引に押し切るつもりだったけど、コカビエルは両手に持った聖剣で呪いを薙ぎ払う。
「ぬかせ! そういった手合いにやられるのが一番腹が立つのでな!」
そのまま聖剣の斬撃に効力を織り交ぜた攻撃を仕掛けられ、俺は素早く対応する。
可能な限り小刻みに動きつつ、すぐに爆発する爆弾を使って牽制。そこからバンカー・ジャベリンとバンカー・ハンマーを使っての戦闘を行う。
とどめの一撃を叩き込ませる為の手段はある。ただ初見殺しに近い為、一度されれば流石に警戒されるだろう。
だからこそ、コカビエルの戦い方は厄介だ。
オーソドックスな堕天使の上澄み。そこに後天的に会得した聖剣使いの適性が絡み合い、かなりきつい。多分だけど、聖剣に弱い魔王とかだと眷属なしでは後れを取りうるだろう。
何より、持っている聖剣が危険だ。
「祝福の聖剣のレプリカ……にしては強い。そこに対デバフ対策の加護を持つ短剣とセットか。厄介だね」
「万が一にでもその手の手札が取れる奴に仕掛けられては困るのでなぁ!!」
コカビエルが持っている聖剣は、長短揃った二刀流。
長剣はどうやら、エクスカリバーの一つであり神聖な器物や儀式の強化などに長ける
問題は短剣。能力はシンプルだし出力もそこまでは高くない。が、長剣と組み合わせるのに問題点が多すぎる。
おそらくは、デバフ系に対する対抗加護を与える類だ。いわゆる守護の短剣であり、まぁ性能もそこまで高くない。
が、聖剣ゆえに祝福の聖剣擬きである長剣と共鳴し、性能が大幅に向上している。これでは例え神滅具クラスの呪詛を駆けられたとしても、コカビエルクラスの地力なら振り払えるだろう。
「中々やるな。準神滅具クラスの身体強化がかけられているようだが……まだ足りんぞ!!」
知っているともそんなこと。俺みたいな屑にはできないことが多くてな。
……いけないいけない、引っ張られている。
気を取り直しながら、猛攻をもって迎撃する。
仕掛けるときは一瞬。それを逃さず試みなければ勝てるものも勝てない。
ただ時間も厳しい。そろそろタイムリミットまで五分を切るだろう。
頼む、光希。君が頼りだ!
—月宮光希—
「いやっほぉう! それじゃぁ聖剣バトルの再開だぜ! 格下殺し万っ歳!!」
「現実でやるなクソ野郎!!」
フリード・セルゼンの振るう聖剣の斬撃を、私は楯と剣を使って捌いていく。
フリードが保有する聖剣は二つ。
一つ。バルパーが用意したエクスカリバーの底上げ武装。
二つ。フリードが自分用に前もって与えられていた聖剣。こっちも地味に厄介ね。
能力は聖なるオーラや光力を吸収しての性能向上。おそらく最初からエクスカリバーとの連携を狙っているのでしょうね。過剰吸収は勝手に放出するから自滅も狙えない。
相乗効果は共に、エクスカリバー5本分強。これがまた厄介になる。
対してこちらの手札はそれらすべてを行って劣る。
まず私の主武装、クロスカリバー。バルパーが持ち帰ったエクスカリバーのデータをもとにして開発されており、基本出力は合一化されたエクスカリバーの5パーセント前後。ただし装填された六発のカートリッジに込められたオーラを流すことで、瞬間的に五割にまで引き上げられる。
ただし、六回使うと刀身が破壊されると断言されている。その為カートリッジのリロードも想定されておらず、一度使ったのならオーバーホールが基本となっている。
もう一本。泡吹いて痙攣失神しているイリナから勝手に借りてきた、教会仕様のエクスカリバー。
こちらもバルパー製と同様のコンセプトで作られたオプションが込められている。こっちは基本出力が五割強になっている辺り、流石に特別性ね。
こっちを基点として戦えているけれど、それでもエクスカリバーの数からフリードの方が有利気味。
しいて言うならこっちには神器があり、逆にフリードの準神滅具は木場祐斗や姫島朱乃が抑えている。向こうも疲弊しているからか、こっちが狙われてないのが優位点ね。
もっとも、それでも焼け石に水。私を見出した
楯として具現化されるそれは、聖なるオーラの障壁を追加展開可能。加えてオーラそのものの放出方向を調律して爪や散弾銃としても転用する機能がある。ただし出力は低い。
だから、こそ!
「そろそろ切るわよ、切り札を!!」
「かかってこいや、ビッチが!」
ビッチね。正論だわ。
私みたいな奴に相応しい言葉で……駄目ね、引っ張られている。
意識を切り替え、私はカートリッジを起動。同時に祝福の聖剣同士を共鳴させ、一気に突貫する。
それに対しフリードも正面から対応し―
「はーい! 悪あがき終了♪」
―クロスカリバーが破壊された。
当然ね。出力の問題もあるうえ、最後のカートリッジを使ったもの。
そしてフリードの聖剣は両方が万全。このままなら順当に敗北必須であり―
「そうね。本命の出番だわ」
「……がぁっ!?」
そのフリードの背中に、聖なるオーラの爪が突き刺さった。
私は好機を見出し、左腕を見せつける。
強いオーラの輝きで見えにくかったでしょうけど、今の私の左腕に楯はない。
「ごめんなさい? 拡張系人工神器を組み込んで、オールレンジ攻撃ができるのよ」
拡張型人工神器、
贖罪の守護戦士は聖なるオーラを放つ楯であり、また爪や散弾を放つこともできる多機能ユニット。基本的な出力は神器としては低いけど、聖剣のオーラを同調させることである程度は底上げできるよりもある。
その拡張ユニットとして開発されたこれは、陸戦型のドローンとして楯を併用できるというもの。出力は低いままになるけど、相手が人間ならこういうこともできる。
切り札とは、必ずしも最大火力を意味しない。クソガキには分からないようで何よりだわ。
「この……クソビッチが……ぁ」
切れたフリードは切りかかろうとするけれど、脇腹に突き刺さった爪の所為で動きは鈍くなった。
もちろんフリードも分かっている。だから、強引に準神滅具の兵士達を何体か差し向けている。
だけど、甘い!
「そしてアームズディーバインの真骨頂は、ここからよ!」
そう吠える共に、両肩にユニットを可変させる。
アームズ。英語で兵器を意味する名称を与えられたこのディーバインは、兵器の力を行使できる。
瞬時に右肩にガトリングガンを展開して兵士達をけん制。同時に、左肩に収束荷電粒子砲を展開する。
足の止まったフリードに、回避の余地はあり得ない。
「光也、今よ!!」
—兵藤一誠—
溜められるだけ倍化を溜めた時、光希さんの声が響いた。
「光也、今よ!」
その声に、光也さんはすぐに反応した。
「分かった、光希!!」
『スパイダー!』
その瞬間、光也さんから大量の鎖と大量の糸が放たれ、コカビエルを拘束する。
「この力は……まさか他のディーバギアを!」
「そういう仕様らしくてね!!」
なんかさっぱり分からないけど、光也さんはそのままコカビエルを掴むと投げ飛ばす。
その方向には剣で攻撃を防いだけど、勢いは殺せず吹っ飛ばされたフリードが。
「ぎゃん!? ちょ、ボス離れて!」
「くそ、糸がしぶとい!!」
どっちも困惑している時、二人揃った声が響く
「「イッセー!!」」
「うっす!
俺は部長に譲渡を回した。
これが最大チャージ。終わると流石にまずい。
「あとは頼みます、部長ぉおおおおおおおっ!!」
「ええ、任せなさい!」
そして部長は、譲渡の力でとんでもない消滅の魔力を放出する。
え、なにこれ?
『恐れ入ったな。バアルの最上級悪魔でも、ここまでの出力を出せるやつはそうそういないぞ』
そうなの!? 譲渡込みとはいえ部長ってやっぱすげえ!!
「消し飛びなさい、コカビエル!!」
そして次の瞬間、リアス部長は宙を舞っているコカビエル達に消滅の魔力をぶっ放した。
「おのれ、リアス・グレモー」
最後まで言えず、コカビエル達は消滅の魔力の奔流に巻き込まれていった。
そして魔力の奔流が尽きた頃、二人揃って地面に墜落する。
痙攣しているところもあるし、かろうじて死んでないだけって感じだな。
……終わった、のか……?
そう思っていると、場の雰囲気が明らかに変化している。
『……リアス。驚きましたが、コカビエルをどうにかしたようですね』
と、外の対応に回っていた会長が通信を繋げていた。
『この地にかけられた儀式が霧散しました。おそらくですが、これで駒王町が吹き飛ぶ事態は防げたのでしょう』
「そう。それはつまり、勝ったということね」
リアス部長もほっと息をついた。
そっか。俺たちは勝ったんだ。
間違いなくやばい戦いだった。コカビエルもフリードもバルパーも厄介な連中だった。
でも、俺達は勝った。この町を守ることができたんだ。
だけどそれば、光也さんや光希さんの協力もあってのことだ。
だからお礼を言おうとした時、二人が姿を元に戻して崩れ落ちているのが見えた。
「な、どうしたんですか!?」
まさか、あの形態は体にダメージが入るのか!? だとするなら、アーシアがまだろくに動けてない状況だとまずいんじゃ―
「「……ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」」
―ん?
「ああもうやっぱり死んだ方がいいわよ私生き恥さらして人生真っ当にやり直して償い続けるとか、地獄がある世界じゃ偽善よ偽善」
「主よ何で死んでいるんですかいやシステムがあるなら天罰ください天罰地獄にそのまま送り込むぐらいしてくださいよいやマジで」
……なんか凄く鬱になっておられる!?
そ、そういうデメリットのある力だったのか!?
『あり得るな。俺や白いのも、歴代の宿主が覇を使わせたがるところがあるし、そういう系統かもしれんぞ』
マジかドライグ。お前、そんな厄介な特性を持つ神滅具だったのか。
え、っていうか覇ってなんだよ。もう流れ的にやばそうな雰囲気だけはビンビンにしてるけど。
いやいやそういう問題じゃなく、これどうしたらいいんだろうか。
見ればリアス部長達もかなり困惑しているし。
さ、流石にこの状況下でリアス部長のおっぱいを吸うなんて無理だよなぁ。
そう思った時だった。
「……フハハハハハハハハハハッ!!!」
なんか突如としてコカビエルが飛び跳ねるように起き上がりやがった!?
え、あいつまだ戦えるのかよ!!
「まさかこの俺が、まだ幼い上級悪魔にしてやられるとはな! 見事だ、褒めてやるぞぉ!!」
褒められるのは嬉しいけど、殺気が俺でも分かりますが!?
あ、両手に聖剣を構えて百本近い光の槍も宙に浮かんでいる。
「だがただではやられん! 貴様らも道連れだぁああああああ!!」
あ、これやばい。
ドライグ。今すぐにでも右腕を代価にするから、禁手を頼む!
俺はかつて、左腕をドライグに捧げることで10カウントだけ禁手になることができた。
赤龍帝の籠手の禁手、
あの力があれば、破れかぶれのコカビエルを止めることができるかもしれない。頼むドライグ!!
『いや、その必要はなさそうだ』
……え?
そう首を捻った瞬間だった。
「いや、それは流石に見苦しいぞコカビエル」
その瞬間、結界を突き破って白い光が舞い降りた。
そのままコカビエルに直撃するけど、コカビエルはそれを聖剣で受け止める。
『Divide!』
そして白い光が輝くと、コカビエルのオーラが一瞬
でもすぐに元通りになり、互いに食らいついている。
っていうか、よく見ると白い奴、赤龍帝の鎧に似てないか?
『それはそうだろう。あれは白き龍アルビオン。俺と対を成す二天龍、白龍皇が宿った神滅具の禁手だ』
え、ってことはあれが白龍皇のヴァーリって奴か。
「なるほど。俺が妨害する可能性を考え、備えてはいたのか。流石に手古摺りそうだ」
「ほざけぇ! この聖剣達は
コカビエルとヴァーリって奴は互いに押し合いになるけど、コカビエルの奴まだあそこまで動けたのかよ!?
だけどヴァーリの奴は、あんまり危機感を抱いていない。
「いや、今回俺も覇を使った所為で疲れているんだ。誇っていいぞコカビエル。お前の同志は中々にしぶとかった……が」
そうヴァーリが言った瞬間、コカビエルが出してた光の槍が、全部まとめて吹き飛んだ。
吹き飛ばしたのは焔だったり竜巻だったり雷だったりするけど、とにかく全部見事にぶっ壊した!
そして同時に、コカビエルの後ろに回り込んでいる女の人が。
「終わりです、コカビエル」
「貴様!?」
グレイフィアさんだ!
間に合ったんだ。助けに来てくれた!
「悪いけどさ。このご時世で戦争起こそうってのは勘弁なんだよね。……遠慮なくいくよ」
そして何時の間にかいた神父服の兄ちゃんが手を掲げると、空にでっかい暗雲が!
「神滅具保有者に魔王クラス。大盤振る舞いで倒されるんだ。満足して眠るといい」
そしてヴァーリが死刑宣告のように宣言し―
目の前が凄いオーラの奔流で染まった。
これが、各勢力トップクラスの実力の持ち主達なのか……!
俺、凄い世界に入ってきたんだなぁ。
と、いうわけでコカビエル撃破! 最後っ屁も増援が潰して一件落着!!
ユニゾンディーバインは基本的に拡張性特化型。今回のようにディーバギアを追加で入手することで大きな多様性を得られる仕様。
アームズディーバギアはその名の通り攻撃特化。両肩の兵器を切り替えることで、目的に応じた攻撃を可能とするタイプになっております。
使用者が強い側であることもあってコカビエルにも通用しておりますが、これにはちょっと裏があるのでお待ちくださいな。