D’s——聖なる歯車   作:グレン×グレン

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 はいどうもー! とりあえず今週も乗り切ったグレン×グレンでっす!

 今日はもう一杯ひっかけていますが、まぁ何とか乗り切ったり持ち直したりでいい週末になりそうです♪


第六話 和平会談、開始します!

—月崎光也—

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 三大勢力の和平会談……を行う予定の、コカビエル暴走事件に端を発する会談。その日が来た。

 

 既に夜になっており、俺達も参加予定だ。

 

 とはいえ、だ。

 

「き、気をつけて行ってくださぃいいい!」

 

 ギャスパー君が震えながら、俺達を見送ってくれている。

 

 今回、まだ神器が制御できてないギャスパー君だけは旧校舎で待機予定だ。ま、コカビエルの一件には何の関与もしてないからいいんだけどね。

 

 一人だけ置いていくのも可哀相だけど、こればっかりは仕方がない。

 

「ほら、お菓子とゲーム機は置いておくから、それで待ってろよ?」

 

「終わったら、みんなで一緒にお茶会をしましょう? だから待っていて頂戴」

 

 イッセー君とお嬢がギャスパー君を慰めるけど、ギャスパー君も頷いていた。

 

「大丈夫ですぅ! その、お待ちしています!」

 

 なるほど。少しは良くなっているみたいだね。

 

「何かあったら私の携帯に電話しなさい。あと、私達の指示が出るまでは此処から出ないようにね? ぴりついている連中が周囲を囲んでるから、揉めるわよ?」

 

「分かりました光希さん! しっかり引き籠ってます!」

 

 光希が念を入れた指示に、ギャスパー君は敬礼する勢いで頷いている。

 

 ま、まぁ引き籠るって言い方はあれだけどね。この会談、本命の目的である和平締結を表に出してないこともあって、ぴりついている外野が多いから。

 

 各勢力のトップは和平をする為に来ているし、その意志も伝えられている。

 

 だからまぁ、そこはとんとん拍子で進むだろう。問題は外側だね。

 

 和平を結ばれるってことが知られておらず、コカビエルの暴走に端を発する情報交換となっている。だからこそ、他の勢力が急激に危険視する可能性は低い。

 

 だけど低いだけで、ないわけじゃない。万が一情報が洩れていたら、三大勢力が手を組んで協調体制に入ることを警戒した者達が動く可能性もあるしね。

 

 そういう意味では警備は厳重にしてもらいたい。ただし、和平を結ぶことを知らない者も警備には多いだろうから、どうしても三つ巴の睨み合いになっている節がある。

 

 そこは数でカバーしているけど、万が一和平が破綻したら大惨事だ。

 

「流石に緊張するね。お嬢、おそらく俺達で話すのは貴女だけになるでしょうが、頑張ってください」

 

「分かっているわ。もっとも、和平そのものは上手くいくでしょうけどね」

 

 お嬢はそう言うけど、ちらりとイッセーを見たのは何かあったのだろうか?

 

「あ、実は俺、ミカエルさんに少し前に会ったんです」

 

 イッセー君がそう言うけど、それは凄い。

 

 信徒でもお目通りがかなう機会なんてそうはないだろう。よくもまぁ、まだ和平が結ばれてないのにピンポイントで会えたものだよ。

 

 そしてイッセー君は左腕をちょっと上げていた。

 

「ゲン担ぎってことで、聖剣アスカロンをもらいました! 今は籠手の中に組み込まれてます」

 

 聖剣アスカロン。確か龍殺しの聖剣だったね。

 

「大盤振る舞いってわけね。というか、聖人ゲオルギウスの聖剣を託すってエクスカリバー以上に重くない?」

 

「それほどまでに和平に本気だということでしょう。それに、和平を三大勢力で留まらせない為の一手でもあるのでしょうね」

 

 光希と朱乃さんが話し合っているけど、もしかして朱乃ちゃんの今の寝床である廃神社を使ったのかな?

 

 ……かなり本気で和平を広げるつもりだね。これ、半分モブで終わるだろう俺の胃すら痛くなりそうだよ。

 

 はぁ。せめて平和に終わってほしい。

 

 そう、心から願わずはいられなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

—月宮光希—

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私達が会議室に入室した時、もう他のメンバーは揃っていたようね。

 

 まず私達が座る予定の椅子の群れには、ソーナ殿と女王である生徒会副会長。

 

 そこから一番近い席には、サーゼクス様とセラフォルー様。そしてお茶を担当する位置にグレイフィアさん。

 

 反対側の位置には、アザゼル総督。その後ろではヴァーリが壁に背をもたれかからせて座っている。……もうちょっとTPOに配慮した態度をしてもらいたいわね。反対側でしっかり立っている才華とエルカを見習いなさい。

 

 そして窓側には、とても神々しい天使が一人。おそらく彼がミカエル殿ね。更に左右を囲む形でデュリオ・ジュズアルドに兄さんがいて、兄さんの更に隣には紫藤イリナがいた。

 

 兄さんの顔を生で見るのは五年ぶりね。あと、紫藤イリナはまだ体調が悪そうだけど大丈夫かしら?

 

「イリナ……?」

 

 イッセーが心配そうな表情を浮かべていると、兄さんは顔を彼に向けた。

 

「現場の担当だったこともあってな。今後の方針を決めることも踏まえ、了承を得て私の責任で連れ出した。……ゼノヴィアと達希はこの場に連れていくにはリスクがあったのでな」

 

 なるほどね。

 

 若手タカ派の有力者である達希は勿論だけど、ゼノヴィアも難しい。と、いうことは―

 

「会談の大前提となるが、この場にいる者は全員が聖書の神が死んでいることを知っている。その前提で話を進めさせてもらう」

 

 ―となるわね。

 

 サーゼクス様がおっしゃられた内容通りなら、下手に伝えられる内情でない以上二人が教えられないから連れてこられないということにもなる。

 

 そもそも達希はかなりのタカ派だし。和平を結ぶのが大前提の会談には参加させづらいわね。

 

 終わった後はミカエル殿とローマ教皇による連名で主の意思を伝えるという形で十分かしらね。とりあえず、一神教はそれができれば効果的でしょう。

 

 さて、ここからが本番ねー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

—木場祐斗—

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一通りの事情をリアス部長が話されて、少しひと段落という形になっている。

 

「ご苦労様でした。元七十二柱の次期当主とは言え、コカビエルの相手は荷が重かったでしょう」

 

「それが蓋を開けりゃぁ、三大勢力合同とはいえコカビエルが道連れを選択するんだからな。箔がつくんじゃねえか?」

 

 ミカエル様はねぎらうけれど、アザゼル総督のねぎらいはからかい半分じみている。

 

 実際、トップ人はもれなく呆れた表情を向けている。それで流す辺り、彼はそういうタイプだということなのだろう。

 

「もう、ご先祖様? その辺にしないとシェムハザ様に怒られますよ?」

 

「へいへい、分かりましたよ。……じゃ、マジな話和平をまず結ぶとするか」

 

 子孫らしい人にたしなめられたアザゼル総督が、さらりと和平を口にする。

 

 今更だけど凄い事だよね。さらりと三大勢力が和平を考えるって。

 

 ただ、魔王様方とミカエル様は真剣な表情だ。

 

「そうだな。少なくとも悪魔にとって、戦争の継続は種の存続に関わる悪手。まして他の種族すら巻き込みかねない以上、止められるのなら止めたいものだ」

 

 サーゼクス様がそうおっしゃられ、ミカエル様は瞑目する。

 

「天使としてこの発言は問題でしょう。ですが、大本である神と魔王がもういない以上、見守るべき人間たちを巻き込んでまで続けるのは愚策だと、セラフ全体でも結論が出ています」

 

「下手すりゃ堕ちる発言だが、そういう意味じゃぁ今の時代様様だな。堅物ミカエルが言うようになったもんだ」

 

 アザゼル総督がからかってるように見えるが、感慨深そうにそう呟く。

 

 その上で、僕達全員を見回して告げた。

 

「神がいない世界は間違ってると思うか? ところがどっこい、何百年も存続している。神がいなくても世界は回るのさ」

 

 そういうアザゼル総督は愉快そうな笑顔だ。

 

「なら、いないなりに上手くやっていくしかねえ。同族は勿論、他の種族を滅ぼしてまで戦争なんてろくでもねえことをする趣味はどの勢力のトップも持ってなくてよかったぜ」

 

 神がいなくても世界は回る、か。

 

 イッセー君はなんというか感銘を受けているね。僕としても、いい言葉のように受け取れる。

 

 そう。神がいなくても世界は回る。いや、神がいないからこそ、僕達は世界が回っていけるようできることをするべきだ。

 

 なるほど。各勢力のトップがこうも簡単に和平を結べたのがよく分かる。

 

 これなら、そこまで酷い事にはならないだろうね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

—月崎光也—

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 重要な議題が一通り終わり、小休止でお茶の時間になった。

 

 あ、紅茶美味しい。

 

「お~! 悪魔側の茶葉美味しいです! 悪魔領の原産ですか?」

 

「欲しいのでしたら、後で品名などをお伝えします。和平が結ばれた後なら取り寄せらえるようになるでしょう」

 

 光希を慕っている才華って子が、グレイフィアさん相手に結構親しげなノリで茶葉について聞いている。

 

 こういう光景が日常になるのが和平ということなんだろうね。

 

 ……いや、堕天使総督の子孫と魔王ルシファーの妻がお茶会は、日常とはちょっと違うかな?

 

 そう思っていると、一息ついた様子のミカエル様がイッセー君の方を向いた。

 

「赤龍帝。先日に言っていた聞きたいことについてですが、今ここで伺ってもよろしいでしょうか?」

 

 ん? なんだろうか?

 

 イッセー君がミカエル様に会っていたのは知っているけど、イッセー君側から聞きたいことがあったとはね。

 

 ただ、イッセー君は真っ直ぐだからね。悪いことではないけれど、国政とかが絡むと相性が悪いところもある。

 

 何かあるようならフォローに回ろう。ちらりと視線を向けると、光希もこっちを見て頷いていたし。

 

「……アーシアを追放したことです」

 

 あ、そう来るか。

 

 今ここでするかとは思う。というか、周囲は大半がそう思っている風に見える。

 

 ただ、イッセー君は情に厚いうえにアーシアちゃんを大切にしているからね。その観点で見ると、国政よりもまずそっちが気になってしまうのだろう。

 

 よし、ほどほどのタイミングでゲンコツを落として一緒に頭を下げることにしよう。むしろ光希が拳の調子を確かめてるけど、勢いよくやりすぎそうだから先にやった方がいいだろう。

 

「悪魔を治療するのが悪いっていう言い分は聞きました。でも悪魔だと分かってやったわけでもないのに、追放する必要があったんですか?」

 

「……そうですね。いえ、実を言いますと、それ以上の問題があったのです」

 

 ミカエル様はそう語ると、今度は功希さんが立ち上がった。

 

「僭越ながら説明は私が。知らなかったで済むなら警察も憲兵もいらないが、ことはそれだけの問題でもない。……というより、問題はもっと別のところにあってな」

 

 功希さんはそう言うと、眉間にしわを寄せている。

 

「コカビエルが言っていたと資料にあるが、現状天界はセラフが政を司りつつ、主が残したシステムによって信徒達に加護を与えている。が、主がいない状況下では制御も不完全であり、安定運用の為に教会に置けない存在がいくつかいる」

 

「アーシアの持つ神器って、そんなにまずいんですか?」

 

 イッセー君が不満げにそう言うと、功希さんは頷いた。

 

「和平が結ばれたのならまだ変わるだろうが、現段階で主の愛がない存在すら癒せる異能は信仰が揺らぐ。ゆえに聖母の微笑は危険神器というわけだ」

 

「保身と言われればその通りです。そして、それはこちらにとっても不本意でありますが、それ以上に不快な思いをさせられているのがあなた方でしょう」

 

 そう続けたミカエル様は、アーシアちゃんに向き直った。

 

 そして、深く頭を下げる。

 

「あなた方の不幸は私の責任でもあります。本当に申し訳ありません」

 

「ちょ、ミカエル様!? この場でそれはまずいのでは!?」

 

 権威的なことを考えると、ミカエル様の立場で不用意に頭を深く下げるのは色々とまずい。

 

 権威を持つ者はそれなりに態度を取らないと不都合が生まれるものだ。そういう面倒なものがあるということは、外注とは言え教会に接する者として理解している。

 

 流石にこれはと思っているけど、よく見ると紫藤イリナの顔が真っ青になっている。

 

 あ、まさか。

 

「……紫藤イリナにも頭を下げましたか?」

 

「当然です。こちらの不手際を謝罪するのは当然でしょう」

 

 俺が確認すると、あっさり肯定した。

 

 個人としてはいいことだと思うけれど、公人としては賛否両論な気もする。あとそもそも、別の意味で紫藤イリナが倒れてもおかしくない気がする。

 

 というか、アーシアちゃんもかなり泡を食って慌ててるけど大丈夫かな!?

 

 

 




 ちょっと今回はいつもより短め……いや、自分は一話に大体これぐらいのほうが多いか。
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