D’s——聖なる歯車   作:グレン×グレン

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 はいどうもー! 仕事と私生活で疲れて二重で披露したので、投稿を遅らせたグレン×グレンでっす!

 さぁて、引きがいろいろインパクトがある中でやってしまって申し訳ない。あと今回もちょっと落ち込み系になると思いますが、そこはご了承ください。


第九話 宇宙よりの悪意

—木場祐斗—

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その光景に、僕達は目を見開いた。

 

 なんと、いうことを……っ

 

「正気か、てめえら!! いったい何を考えてやがる!?」

 

 激高するアザゼル総督に対し、チークタックは平然としている。

 

 そこまで言われることをしただろうか。そういわんばかりの表情だ。

 

「無駄に文明が発達していると余計なことを考える者が多いですからね。将来的に管理するに辺り、文明レベルは基本的に下げた方がいいと判断したまでです」

 

 雑草処理や害虫駆除の感覚で、人類全体に大被害を与えたというのか。

 

 今の映像と彼らの言い分を考えると、文字通り全世界規模でこれだけのことをしていることになる。

 

 死者の数だけでも数百万では聞かないだろう。行方不明者や重軽傷者を含めれば、間違いなく億は超える。

 

 そんなことをしてのけたというのか、禍の団は。

 

 ……いや、そもそもだ。

 

 そんなことが、できるのか?

 

「……いったい何者だ、君達は」

 

 冷や汗すら流しながら、サーゼクス様はそう問い質す。

 

 当然だ。僕達だってそれを問い質したくて堪らないのだから。

 

「これだけのことを行うなど、少なくとも三大勢力では不可能。いや、ディーバギアという異能を創り出し流通させることといい、私が知る限りどの勢力でも不可能だ」

 

 サーゼクス様の言うことがすべてだろう。

 

 信じたくないが、チークタック達の組織は、禍の団全体の力を利用したとしてもありえないことをしている。

 

 地球全土に対し、世界各国のあらゆる宇宙を知る手段をすり抜けての大質量攻撃を敢行。更に空に大量の文字を浮かび上がらせ、同時多発的な軍事蜂起すら支援する。

 

 あり得ない。これだけのことを起こすには、何より技術力が必要だ。

 

 ディーバギアについてもそうだけど、彼らは一体何だというのだ。

 

「君達は、いったい何者だ」

 

「いいでしょう。そこは語っても問題ないですしね」

 

 チークタックはそういったうえで、指を上に突き上げる。

 

 その意味を僕達は理解できなかった。ただ、理解した者もいる。

 

 アザゼル総督は、その動きだけで肩を震わせた。

 

「おいおいマジかよ。こんなやり方じゃなけりゃぁ喜んでたぜ?」

 

「はっはっは。まぁ、人類のいくらかはそういったロマンを持ってますしね?」

 

 なんだ? いったい彼は何に気づいたと―

 

「まぁ、ぶっちゃけると異星人です。地球を新たな資源採集兼人材放牧場とするべく、利害が一致した禍の団との連携を、真なる魔王の方々の仲介のもと行っております」

 

 ―なんだと?

 

 チークタックの言い様に、僕達は唖然となる。

 

 ただ、納得も少しはあった。

 

 宇宙から地球に来訪するだけの技術力。そんなものがあれば、確かにそういったこともできるだろう。

 

 だが、できるからといってやれるのか。

 

 間違いなくこの事態は、数億を超える犠牲者を生む。瞬間的には生まなくても、最終的にはそれだけの被害を生むだろう。

 

 それを、平然とした顔で勝たれるというのか。

 

 寒気を覚える中、アザゼル総督は肩をすくめた。

 

「神器の大量発生もお前らの仕業か?」

 

「はい。地球に来訪してから十数年かけて、神器保有者を鹵獲しておりまして。研究の一環として、保有者を組み込んだ演算装置により神器を経由する形でハッキングを試みました。もっとも、数を増やすことはできても自由に扱うのは困難でしたので、試みはしておりますが規模は大きく縮小してますね」

 

 なんてことだ。

 

 百年ほど前から、神器保有者の増大は明らかに過剰になっていた。

 

 それが彼らによるものだというのか。聖書の神が残したシステムを、ハッキングしただと?

 

 いや、上手く行ってないようだし、そういう意味ではほっとするべきだろう。やはり聖書の神は凄まじい存在だったということか。

 

「ディーバギアは、いうなりゃお前ら製の人工神器というべき代物か?」

 

「似たような物ですね。我々は生体強化技術を施しておりますので、それらの技術も組み込んだ強化装備です。とりあえず、影響を与える手段の模索も兼ね、いくらかの犯罪組織に採算度外視で販売しております」

 

 なんてことだ。

 

 ディーバギア。決して無視できるものではないとは分かっていたけれど、それを開発したのも彼らだとは。

 

 神器のデータをハッキングすることで集め、自分達の技術も併用して、高位の神器に匹敵する戦闘能力を与えるデバイスを開発する。それがどれだけの技術力を必要とするというのか。

 

 ……信じられないが信じるしかない。むしろ、この世界で誰もが到達できないだろう難行を成し遂げる理由として、これ以上ない説得力があるといえるだろう。

 

 まさか、本当に宇宙人だというのか!?

 

「もっとも、この体はこの世界に合わせて最適化した新造品ですがね。体の乗り換えなどはまぁ、金も時間も掛かりますができないわけではないのですよ」

 

「怖いこった。……だが乱暴すぎないか? 寄りにもよって和平を俺達が結ぶって時にこんなことすりゃぁ、大半の神話体系はこっちにつくだろ」

 

 アザゼル総督は皮肉気に返すが、チークタックは首を横に振る。

 

「それがいいのではありませんか。リスクを避けるのは上策ですが、慢心を避ける為にもある程度の拮抗や苦戦は必要です。絶対に負けず勝てる勝負だけを経験するガラスのエリートでは、今後の宇宙開発にはリスクだらけですよ」

 

「そういうことか。読めたぞ?」

 

 総督は何故か、光希さんをちらりと見てからチークタックに振り返る。

 

「銀色のディーバギアは、意図的に役目を期待して与えるタイプってことだな? おそらく、光希と月崎光也の場合は、油断すると負けかねないレベルの敵役……か」

 

 なんだと?

 

 確かに、二人のディーバギアは性能がかなり高い部類だった。

 

 そんなものを誰が何の為に与えたのかは分からなかったけど、それが理由だっていうのか?

 

 そしてアザゼル総督は、もう一人の男に視線を向ける。

 

「……ってことは、おそらく火付け役として出てこないわけがねえ。……有村無涯(ありむら むがい)を連れてくるのが最適解だが……違うか?」

 

 ……ありむら、むがい?

 

 僕がその名前に記憶を探っていると、音が響いた。

 

「へぇ。流石に堕天使総督さんは聡いねぇ?」

 

 それは、総督の指摘が正しいことの証明。

 

 そして、その後に続いた反応は、絶対零度を思わせる。

 

「「……は?」」

 

 二人が明らかにキレた音だと悟った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

—月宮光希—

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私は、自分が悪いと思っている。

 

 勝手に嫉妬して勝手に憎んで、勝手に期待して勝手に見下した。

 

 それを自覚するのに何年もかかったことも含めて、私は私が嫌い。そのうえで、屑のままで終わりたくないと思って頑張っている。

 

 そして、私には共犯関係者がいる。

 

 明日香の家庭教師になり、そのまま明日香を玩具のように調教した男。国立大学出身で、各方面で優秀な成績を収めた男。

 

 名前を、有村無涯。

 

 私は一度、彼の隣に立っていると思った。

 

 それは、恋人という名の玩具になっていた明日香に対して優位性すら覚えた。友情が反転した嫉妬がさらに反転し、まるで自分が飼い主になったかのような優越感を覚えていた。

 

 何年もかけて、漸く私はそれを後悔した。後悔することが、できた。

 

 だからこそ、私は世界の為になる仕事をしている。世界全体の秩序を考慮した動きを取り、今ここに三大勢力の和平に貢献している。

 

 だとしても、私がかつて罪を犯した事実は消えない。けじめをつけたとしても、障害背負うべき荷物を背負うしかない。

 

 私は悪い側だ。私が勝手に嫉妬して、勝手に憎んで、勝手に失望して、勝手に復讐した。

 

 これからも、いつまでも、私はそれを背負い続けようと思っている。背負えなくなるなら、その場で死のうとすら思っている。

 

 ただ同時に、冷静に、客観的にだ。私だけが悪いのかといえばそうではない。

 

 提案したのは私で計画したのも私で誘導したのも私だ。必然的に、私の罪や責任の部類は非常の多い。

 

 ただ同時に、これは私だけが動いてできる罪でもない。

 

 結局、自分で言っているけれど乗っかってしまった光也にも責任の一端はある。私の方が遥かに悪いだろうが、そそのかされて強姦同然の行為を実行したのは光也だ。計画を立て提案をして誘導した私の責任は重いが、してしまった以上光也にも責任はある。

 

 それは事実だ。だからこそ、そんな業を負わせた私に更なる罪がある。

 

 ただ、一つだけ言うのなら。

 

 あの計画はもう一つのハードルがある。それは勿論、持ち主が了承して協力するというその一点。

 

 最も真っ先に止めるべきであり、しかし喜んで協力してアドバイスや修正すら入れた男。

 

 奴はいつか何かしらのけじめをつけるべきであり、最悪の場合は何一つとして資格がないとしても私自ら引導を渡すべきだと思っていた男。

 

 有村無涯。

 

 ……そいつが、目の前にいる?

 

 信じられなかった。理由は単純で、似ても似つかないというその一点。

 

 間違いなく日本人だったはずのそいつは、ここにはいない。

 

 目の前にいるもう一人の男は、明らかに日本人じゃない。というより、異形側に近いだろう。

 

 そんな男が、しかし肯定ととれる言葉を吐いた。

 

「しっかし残念♪ こういうのは自分から言った方がいいだろ? 空気読んでくれよ、総督さ~ん」

 

 そう軽く答える男の様子は、確かに有村のそれだ。というより、表向きの顔を投げ捨てた本性のそれだ。

 

 それは否応なく、私に納得を与える。

 

 そして有村らしい異形は、私達の方を振り向くと挑発的な笑顔を浮かべてくる。

 

「久しぶり! なんかすっごく強くなってるじゃん? ある意味最高の出来でちょっとラッキーってか?」

 

 その瞬間、私は何かが切れた。

 

 そして同時に、それでも私は動かない。

 

 光也も動かない。今すぐにでも縊り殺したいと気配で語りながらも、動かない。

 

 当然でしょう。私がそう思っているように、光也もまたどの口がと思っているのだから。

 

 どれだけ時間が立とうが、どれだけ誰かが庇おうが。私達は裁判になれば有罪を受けて当然の身。光也ですら加害者の側に足を踏み入れてしまっている。まして、そうなるように誘導した私は純然たる加害者だ。

 

 だから、まだ自分を抑えられる。普段の数倍は自制心が効いている。己を抑え込める。

 

 それを見て、有村は明らかにつまらなさそうな表情を浮かべている。

 

「おいおい、そこはブチギレて襲い掛かるところだろ? 何の為にこっそりシルバーモデルのディーバギア仕込んだと思ってんだよ。俺達を殺せるかもしれない敵になってくれよ、ホント」

 

「まぁまぁアルムズ殿。殆どの敵対用シルバーモデル移植者は勝手に自滅しているのですよ? こうして敵対側に立ってくれているだけありがたいではないですか」

 

 チークタックがなだめているけれど、その内容は下劣極まりないもの。

 

 総督の言う通り、私達が銀色のディーバギアを持っている理由は「敵役」ということね。

 

 おそらく、活動の過程でメンバーに憎しみを抱くだろう者達に与えている。彼らが強力な敵として成長してくれることを望み、しかし上手くいかなかったのだろう。

 

「ま、そこは同感。殆どの連中が引き籠ったり自殺したり、ただの小悪党に成り下がってるからな。善玉として成長するってのもちょっとズレるが、敵対してくれるなら及第点か」

 

 チークタックに頷いている有村もまた、そう言いながら納得していた。

 

 そして、私は我慢の限界に近付いている。

 

「……ねぇ、有村? 人間……いえ、知的生命体の順法精神と忍耐力に限界があるって分かってるかしら?」

 

 そこを確認したい。

 

 私と光也は加害者側で、そういう意味では有村の共犯。むしろ、あの事件に限れば有村は共犯者で私が主犯。そんなことは分かっている。

 

 ただ、分かっているならどんなことでも我慢できるわけじゃない。

 

 どれだけ自分が悪いと分かっていようが苦痛は苦痛で不快は不快。精神を病むこともあれば限界を超えることもある。

 

 そして私は間違いなく限界を超えかけていて―

 

「いいから来いよ。それとも、しっかりとってた記録映像をここで流してやろうか? 変なテンションで明日香を食ってる映像もあるんだけどな?」

 

 ―もう、突破した。

 

「……殺す」

 

『アームズ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

—木場祐斗—

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「死ねぇええええええええっ!!」

 

「悪いが勘弁! しっかり生き残るんでな!」

 

 切りかかる光希さんの攻撃を捌きながら、アルムズと呼ばれた男は外に飛び出ていく。

 

 信じられない。コカビエルにもある程度は通用するだろうアームズディーバイン状態の光希さんに対して、アルムズと言われた男は生身で対応している。

 

 高位の異形、その中でも上位に位置する性能がなければ不可能だろう。少なくとも、並の上級悪魔ではどうしようもない性能だ。

 

 それを生身で対応している時点で、奴がただ物でないのは明白だろう。

 

 これはまずいかと思った時、再び音声が鳴る。

 

『ユニゾン』

 

「悪い。俺もちょっと限界だ!」

 

 光也さんが飛び出し、そして光希さんを追いかけていく。

 

 二対一の状態で仕掛ける二人に対し、有村無涯らしいアルムズという男は一人で対応している。

 

 あの時点で敵の力量が凄まじいことに証明だ。少なくとも、コカビエル以上の敵といえるだろう。

 

「さて、では私も仕事をしましょう。……カテレア、援護をするので好きな人を滅ぼしてください」

 

「いいでしょう。ではそろそろ死んでもらいましょうか」

 

 チークタックに促されるように、カテレア・レヴィアタンは魔力を迸らせる。

 

 くっ‼ この場に出てくる以上、勝算がないわけがない。

 

 これは流石に厄介か……っ!

 

「ったく。どいつもこいつも面倒だな」

 

 その時、そうぼやきながらアザゼル総督が前に出た。

 

「和平を結んでテロに対抗しながら平和を広げていきましょうって時に、先手を打って世界全土に先制攻撃かよ。マジで勘弁してくれよってんだ」

 

 そう言い捨てながら、アザゼルはカテレアに向き合った。

 

「おかげでストレスが溜まってんだ、ちょうどいいからお前で発散させてもらうか?」

 

「……いいでしょう。どちらにせよ、この場の首脳陣には死んでもらう予定。セラフォルーの前の肩慣らしと行きましょうか!」

 

「かしこまりました。では、私は足止めを担当します」

 

 チークタックはそう言うと、更に指を鳴らす。

 

 それに呼応するように、戦場で蠢いているディーバインが大量に出現する。

 

「こちらは我々の雑兵であるアイテムディーバギアといいます。バイオロイド……タンパク質主体で作ったゴーレムとでもいうべきものを素体にしておりますので、どうぞご自由に破壊してみてください」

 

 生態的に作ったゴーレムか。そんなものまで用意しているとはね。

 

「カテレア、最後の確認する。下るつもりはないのだな?」

 

「ええもちろん。私達は私達の理想世界を作ります」

 

 サーゼクス様とカテレアのその小さな会話が、戦いの火ぶたを切る。

 

 その直後、大量のディーバギアが僕らに襲い掛かった。

 




 本気でやってみたかったこと:宇宙からの侵略者が出てくるハイスクールD×D

 いや本当に、ガチで異星人の侵略じみたことをやりたかった。やりたかったけど全然できんかった。

 こうして形にすることができて、ちょっと満足です。ただ見てくれる人がかぁなぁりぃ少ないのが非常に残念です。……広めてくれていいのよ?
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