D’s——聖なる歯車   作:グレン×グレン

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 はいどうもー! 今日も今日とて頑張っているグレン×グレンでっす!

 五月に中ほどに買った羊羹をまだ食べてないことに気が付いて、そろそろ消費したほうがいいかなぁなどと思っております。羊羹、おいしいので皆さんも試してみては?


第十話 天文学的確率の白

—月宮光希—

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 分かっている。私より強い奴なんて、この世界にいくらでもいる。

 

 伝説の聖剣すら扱える才覚を私は持っている。だが同時に、それ以外の才覚は一般人の範疇内。聖剣使いでなければ雑兵が精々だ。

 

 幸か不幸か神器に選ばれ、更にディーバギアなんて武装も持っている。間違いなく、私は全力を振るえば最上級クラスに到達する。

 

 そして、其れだけだ。私はあの手この手で最上級クラスに踏み入れられる。そして、それ以上ではない。

 

 真の上澄みに届くわけがない。私は精々中ボスが関の山で、大ボスや主人公を張れるような器じゃない。

 

 結局、あの戦いでも私は露払いよりマシ程度。魔王クラス相手に足止めはできても、一対一で倒すなんて可能性は欠片もない。

 

 いずれ必ず、イッセーには追い抜かれる。その確信がある。

 

 だけど……っ!

 

「こいつ、化け物!?」

 

「ここまでか……っ!」

 

 光也と二人掛で仕掛けているのに、有村には完璧に凌がれている。

 

 いえ、コカビエルより強いとまではいわない。少なくとも性能ではあいつが上。防戦にも徹しているからこその結果だろう。

 

 だけど、ディーバギアを持ち込んでいるはずの奴にディーバギアを使わせずにディーバギアを使ってしのがれている。

 

 控えめに言って悪夢だわ。こいつ、一体何なの!?

 

「このぉっ!」

 

 両肩をガトリングガンにして、とにかくまず当てることから狙う。

 

 だが有村は全身からオーラを纏い、それを瞬間的に放出して縫い目を作って突破してくる。

 

 回り込むように光也が仕掛けるけれど、これも有村は華麗に捌いている。

 

「悪いねぇ? これでも俺、戦力としてはディーザストラでトップクラスなもんでさ!」

 

 放たれる回し蹴りによって、新しく用意してもらったクロスカリバーが弾かれる。

 

 更にその勢いで放たれる裏拳が、ユニゾンディーバギアになった光也の蹴りをあっさり打ち払う。

 

 戦い方が上手すぎる。下手をしなくても、こいつは生身でコカビエルと楽しませられる。

 

 性能も高いけど、技量と立ち回りが共に巧みだ。一つの攻撃に対処する時点で、次に何が起きるかのパターンをいくつも立てて対処できる動きにして対応している。

 

 性能と数の差を技量であっさりと乗り越えている。こいつ、ここまで強かったの!?

 

「ブチギレたときにあっさりカウンターを喰らったから、弱いわけないとは思ってたよ……!」

 

「だろうな。ま、通信教育だけの奴にしちゃ筋がいいんじゃねえか? 実戦も模擬戦も積めばこれぐらいは行けるが……な!」

 

 光也に軽口をたたきながら、有村は私たちを同時打撃を入れて弾き飛ばす。

 

 そして同時に、いつの間に指示したのか大量のディーバインが襲い掛かる。

 

 同型の、おそらく大量生産型。だけどディーバインである以上、上級悪魔でも手こずるレベル。

 

 まずい、押し切られる!?

 

 そう思った時、斬撃が舞い踊りディーバインを弾き飛ばす。

 

「無事ですか、二人とも!」

 

「間に合ったようね!」

 

 聖魔剣を振るう祐斗に、強化装備付きエクスカリバーを持つイリナ。

 

 二人の連撃がディーバインを弾き飛ばす。

 

 だけど、それを縫うように有村が突撃を敢行。イリナに狙いをつけていた。

 

「まずは性能が一番下のからだ!」

 

 合理的ね。

 

 純粋な人間のイリナでは、基本性能で転生悪魔であるこっちを下回るのは明白。

 

 まず数を減らして片付けようってか! イラつくけど正攻法ね!?

 

 ただその瞬間、イリナは―

 

「甘いわよ。多分、私が一番上!!」

 

 ―そう吠えるとともに、真っ向からつばぜり合いになり押し合った。

 

 ぱ、パワー比べで互角!?

 

 思わず驚きながらディーバインの群れをけん制していると、有村は追撃を避けるためにバックステップで下がる。

 

 ディーバインを大量に前に出して警戒しつつ、私たちを見て苦笑していた。

 

「う~ん。さすがに生身だと競り勝てねえか」

 

 そうぼやきながら、有村はイリナのほうを見た。

 

「人間という生物の機能をすべからく高める始原の人間(アダム・サピエンス)か。さすがは神聖騎士(アーク・パラディン)って感じで、ただの人工聖剣使いじゃないってことか」

 

「その通り! だてにゼノヴィアの相方を長年務めてはいないってね!」

 

 そう言いながら、イリナはウインクまでしている。

 

「そしてあなたは逃がさないわ! たとえ主が死していようとも、主の代行たるミカエル様が主の残したシステムで頑張っている以上、信徒の私があきらめる道理はないわ!!」

 

 いい感じで乗り越えているようで何より。おかげで頼もしい味方だわ。

 

 そして少し余裕が取り戻せたのか、私は周囲の戦闘もある程度理解できていた。

 

 すでに空では、カテレア・レヴィアタンをアザゼルが追い詰めている。

 

 カテレアは食い下がっている当たり弱くはない。だけどコカビエルクラスが真っ向から挑めば十分以上に勝ち目があるレベルであり、最上級クラスではあっても魔王クラスに通用するレベルでは無い。

 

 そしてアザゼル総督は、その気になれば魔王クラスにも通用する。この時点でどちらが有利かなんてわかりきっている。

 

 だからこそ、警戒心が沸き立つわね。

 

 ディーバギアの大本である、有村達ディーザストラ。奴らが関わっている以上、カテレアだってディーバギアを持っているはず。

 

 なぜ使わない? それとも、それ以上の切り札でも隠し持っているの?

 

 そう思った時、カテレアは小さな小瓶を取り出した。

 

 転生悪魔化して高くなった視力が、その中に蛇のようなものがあることに気づく。

 

 そしてカテレアは瓶を割り、その蛇を身に纏った。

 

 オーラとなり、溶け込むように蛇が消えたその瞬間だ。……明らかに、性能が跳ね上がっている。

 

 実際に、アザゼルとの戦闘は一気に五分五分にまで持ち込まれている。冗談抜きで魔王クラスに通用する化け物になってるじゃない。

 

「おーこわ。さすがはオーフィス様様だねぇ?」

 

 有村は面白がって言っているけどやっぱりか。

 

 無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)オーフィス。無限をつかさどるとされる最強のドラゴン。

 

 二天龍がタッグを組んでも勝てないとされるだろう、圧倒的な力の持ち主。相対できるのは同じ龍神である、夢幻をつかさどるグレートレッドというドラゴンだけだといわれている。

 

 それをボスに据え、宇宙人を味方につけた禍の団。……どういう連中というか、反則過ぎるでしょうに……っ!!

 

 とはいえ、こっちの戦力も莫大。おかげで何とかしのげているけどね。

 

 そう思ったその時、私は信じられないものを目にした。

 

 ちょ、なんであいつが総督に攻撃をっ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

—月崎光也—

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 吹き飛ばされるアザゼル総督を放っておくわけにもいかず、非常に不本意だけど有村から距離をとる。

 

 墜落地点にはクレーターができている。それほどまでに、攻撃が強烈であることの証拠だろう。

 

 そして、幸か不幸かリアスのお嬢がイッセー君やギャスパー君を連れて近くまで来ていた。

 

「ちょ、なにがあったんですか光也さん!?」

 

「アザゼルが吹き飛ばされた。それほどの敵だというの?」

 

 驚愕するイッセー君に戦慄しているお嬢。

 

 ただし、問題はそれ以上だ。

 

「もっとひどいよ。……裏切り者だ」

 

 そう答えながら振り返れば、下手人が舞い降りてくれた。

 

「無様ですね、アザゼル。身内に裏切られる苦しみは理解しますがね」

 

「言ってくれるね、カテレア・レヴィアタン。まぁ、この程度では死なないしな」

 

 片方はカテレア・レヴィアタン。だが問題はそっちじゃない。

 

 舞い降りた白い鎧をまとった男。白龍皇ヴァーリ。

 

 アザゼル総督に奇襲を仕掛け、ここまで吹っ飛ばしたのは奴だ。

 

 お嬢はすぐに悟っているようだけど、ギャスパー君は困惑しているしイッセー君はわけがわかってない。

 

「あのナイスバディなお姉さんは……いや、そもそもなんでヴァーリがアザゼルを!?」

 

「端的に言うとあの女は敵で、ヴァーリは裏切り者みたいだね」

 

 すぐに他のメンバーも来てくれるけど、これはまずいね。

 

 敵のディーバインも集まっているから、はっきり言って圧殺されかねない。

 

 まったく。有村に集中している暇もない……っ。

 

「お、お前さんが赤龍帝かい? 昔の月崎よりエロ坊主らしいがな?」

 

 有村も言ってくれるよ。いや、いろんな意味で事実だけど。

 

 そしてその後ろから光希が切りかかるけど、有村は見もしないで避けて蹴りでこっちに弾き飛ばす。

 

 逆に祐斗君と紫藤イリナの接近は、オーラを投射して邪魔している。

 

「リアス部長!」

 

「イッセー君!」

 

「木場にイリナも! ……っていうか魔王様は!?」

 

 そういえばそうだ。

 

 我慢の限界で思わずとびかかったけど、魔王様たちや止められた子たちは大丈夫なのか……?

 

 そう思った時、空にいくつもの攻撃が飛び交った。

 

 そのまま攻防を繰り広げながら着地するのは、デュリオにもう一人のディーバイン。

 

 金色の意匠を持つディーバインは、まさかデュリオと真っ向から渡り合ったっていうのか? 化け物かな!?

 

「なるほどなるほどぉ。さすがに上位神滅具の担い手ともなれば、ゴールドモデルのディーバギアでも至らせることすら至難の業ですか。我々の百数十年もまだまだですねぇ」

 

 声からしてチークタックか。というか、残念そうに聞こえない。

 

 いやまぁ、聖書の神が遺したシステムである神器は二千年の歴史はある。それに十分の一未満で対応できる兵器を作れている時点で、割と反則なんだけどね。

 

 ……本気で危険だろう。こいつらを放っておいたら地球が始末に負えないことになる。

 

「百数十年で神滅具クラスって……すごいんですか、部長?」

 

「……えっと、そのね?」

 

 イッセー君。事前知識がないと大変だよね。

 

 お嬢もかなり説明しづらいし。いや、簡単に言えるんだけど事前知識がない子にそれを言うのもあれだし。

 

「俺たちが千年以上かけて無理だってのに、なんてことしてんだよまったくよぉ」

 

「総督無事でした!?」

 

 光希が困惑するほど、ぴんぴんした様子でアザゼル総督は起き上がる。

 

 ぱんぱんと土を払いながら、アザゼル総督は残念そうな顔になっていた。

 

「ヴァーリ。今更なぜとは言わねえが、いつからだ?」

 

「コカビエルを持ち帰っている最中に、オーフィス直々に「アースガルズと戦ってみないか」などと誘われてね。神々と戦う機会を与えられたら、俺は断ることなどできないさ」

 

 さらりと答えるヴァーリだけど、ろくでもないな。

 

 三大勢力だけにとどまらず、ほかの神話も巻き込んだ大戦乱。地球全土を巻き込むレベルで動いているとはいえ、やってくれるよ。

 

「ヴァーリ。俺は世界を滅ぼすような存在にはなるなといったなんだがよ」

 

「どうでもいいよ。俺は強い奴と戦えればそれでいい」

 

 こいつ、質の悪いタイプの戦闘狂か。

 

 容赦する理由はないけど、問題はそれができるかどうかだね。

 

 カテレアはカテレアで、呆れているのか肩をすくめている。

 

「彼の本質を知っていながら、らしくなく放置した貴方の失態です。そこのハーフヴァンパイアも含め、必要な情報は彼からいただきましたよ」

 

 そこまでやってくれるとはね。とはいえ、逆に納得だよ。

 

 手際があまりに良すぎる上、現地調達で何とかする方向性だ。内通者でもいなければ納得できないレベルだった。

 

 かといって、これは本当にまずい。

 

「ま、魔王の血族にとっちゃぁ現魔王は怨敵みたいなもんだしなぁ? 和平するってんなら抜けられても文句言えないんじゃねえか?」

 

 有村が呆れたように言ってくるけど、そこまで言われたらちょっとかわいそう……って待った。

 

 今、なんていった?

 

「……総督。いま有村が妙なこと言った気がするんですけど」

 

 僕らを代表して光希が言うと、アザゼルはげんなりしながらうなづいている。

 

「いや、そいつは確かに旧魔王ルシファーの末裔だよ。初代ルシファーの孫のラゼヴァンが戯れに人間の女との間に子供をこさえたのさ」

 

 は?

 

 いや、は?

 

 魔王の末裔が? ハーフなのはともかく? 神滅具を持った?

 

 理論的にはあり得るだろうけど、どんな確率?

 

 宝くじを一枚買ったら一等が当たる。それでもまだ足りないレベルの極小確率じゃないか……嘘でしょ?

 

「我がことながら奇跡の体現とは思わないかい? 一応、覇も扱えるぐらいには高めているよ」

 

 ヴァーリが得意げに言うけど、戦慄すら覚えているよ俺は。

 

 覇って、確か封印系神器の禁じ手だ。禁手とは別の意味で習得難易度が高いはず。それを、すでに習得済みだって?

 

 控えめに言って引くレベルだ。これが、今代の白龍皇?

 

 そしてそのヴァーリは、ものすごく残念そうな顔をイッセー君に向けている。

 

「それに比べて兵藤一誠。君は実に残念だ」

 

 いきなりひどいことを言ってくるね。

 

「は!? いきなりなんだよ!?」

 

「そういうところもだね。……まったく、先祖代々、異能に関与したこともないただの人間。俺と同世代の二天龍がこんな凡人とは、残念を通り越して笑えて来る」

 

 ……質の悪い相手だ。

 

 まぁ、自分を対を成す宿命がある存在を知ったら、それなりに釣り合いが取れてほしいと思うのはあり得る話だろう。

 

 ただ、現実にテロを起こすような奴に言われたくはないだろうさ。

 

 心からため息をつきたくなるけど、ヴァーリはさらに続けてきた。

 

「そこでだ、復讐者という設定を付け加えることを思いついた」

 

 ………は?

 

「……どういう意味だよ?」

 

「簡単だよ。俺が君の両親を殺す。神器は想いの力で呼応するし、憎悪というのは強くなるための原動力に向いているんだ。俺も経験があるからよくわかる」

 

 寒気がするような声色のイッセー君に、平然とヴァーリはそう返す。

 

「どうせ平凡な人生を送るだけなんだ。いっそのこと、伝説の二天龍同士の戦いを盛り上げる要素にするのはいいことな気もするがどうかな?」

 

 ………ああ、なるほど。

 

 俺は一度だけあったイッセー君のご両親を思い出しながら、思考が一周回ってクリアになるのを悟った。

 

「さぁ、このままだと本当に―」

 

「もう黙れクソ野郎」

 

 躊躇なく、俺はヴァーリの顔面に百撃を叩き込んだ。

 

 同時に捕縛用に魔道具も数十は展開。ヴァーリの動きを封じる。

 

 ヴァーリはすぐに対処しようとするが、しかし追い付かず接近された俺のバンカー・ハンマーを脳天にたたきつけられる。

 

 そしてそこで終わらせるつもりはかけらもない。素早く十連続でたたきつけ―

 

「その辺にしとけって」

 

『ノウブル』

 

 ―そこで、ついにディーバインになった有村が俺を蹴り飛ばす。

 

 やばいね。殺意が二重の意味であふれたよ。

 

 まぁおかげで何とか落ち着いたけど。いや、安定しているだけか。

 

 と、ヴァーリは立ち上がったが多少ふらついている。

 

 若干足腰に力が入ってないのだろう。それぐらいの攻撃を用意できてよかったよかった。

 

「……龍殺し? まさか、そんなものまで使えるとはね……っ」

 

 ま、さすがに勘づくか。もっとも半分ほど違うけど。

 

「へぇ。ぶっつけ本番だけどうまく言ってよかったよ」

 

 ドラゴン相手に切れた勢いで、初めて作ってみたけど効果てきめんでよかったよ。

 

 龍殺しや神殺しは、創造系神器で作れる物体の中でも特に難易度が高いとされている。実際、俺は練習段階でまだまだうまくいってなかった。

 

 まったく。神器は本当に思いにこたえる。邪悪な龍を討伐したいという願いにこたえすぎだよ。

 

 そして、本当にこういう時に頼りになるよ君は。

 

「くたばれ下種ドラゴン!!」

 

「っと!」

 

 後ろに回り込んで首を刈ろうとした光希の斬撃を、ヴァーリは伏せて回避する。

 

 だが同時に、クロスカリバーが保有するエクスカリバーに性能を大きく近づける機能を発動。祝福を発動させてヴァーリの肉体を焼く。

 

 回避されることを大前提とした、隙の生じぬ二段構え。これでヴァーリはさらにダメージが入ったようだね。

 

「……ふっ。龍殺しと聖剣の組み合わせ、さすがに手こずるね」

 

「おいおい仲直りが早いもんだな! 再会したのつい最近だろ」

 

 ヴァーリも有村も感心しているようだけど、まぁそんなことはどうでもいい。

 

「アンタはあとよ、有村」

 

「とりあえず、史上最強になる前に死んでくれ白龍皇」

 

 殺意を全開にして、俺も光希もイッセー君をかばいながら戦闘態勢に入る。

 

「……俺にやらせてくださいよ。っていうか、俺が一番怒ってるんですけど?」

 

 イッセー君もお冠だけど、まぁ当然。

 

 両親を自分の退屈しのぎに殺そうとしているといわれたようなものだしね。キレるのも当然だよ。

 

 ただ、やるならやるで参加させてもらう。

 

「一対一で勝てるわけないでしょ。する必要もないけどね」

 

「どうせ乱戦だ。なら総出でつぶそうじゃないか」

 

 光希も俺もそういうと、ヴァーリは詰まらなさそうに肩をすくめる。

 

「誇り高い二天龍の決闘を邪魔するのかい?」

 

 なるほど。そういうこと言っちゃうのか。

 

「光希。言っちゃっていいよ」

 

「OK。言ってあげるわ」

 

 こういう時、キレッキレなことを言えるのは光希だしね。俺は妨害されないようにカバーに入る。

 

 じゃ、どうぞ。

 

「薄汚い裏切り者のぉ? 反吐の出る理由の決闘なんてぇ? 成立させるわけないでしょぉう? このテ・ロ・リ・ス・ト・がっ! 囲んで、叩いて、潰すわよ。……喜びなさい、過去の自分を嘆く可能性を消し去ってあげるわ!!」

 

 しっかり中指まで立てて断言したよ。おお怖い。

 

 ま、俺も大概同意見だけど。

 

 若気の至りでやっていいことと悪いことがあるのを、俺達は文字通り身をもって知っている。だけど、それにしたって限度やレベルがあるってことを今思い知ったよ。

 

 ここまでイキった真似をした以上、殺したところで文句を言われる筋合いがない。

 

「というわけだよ。そもそも至ってもないイッセー君に、とっくの昔に至っている相手を任せる道理がない。……人生の先輩として、こういう時に手を貸さないでどうするかってね」

 

 本当に、何で一対一の戦闘なんて成立すると思っているのだろうか。馬鹿なんじゃないだろうか。

 

 あとね?

 

「あらあら。薄汚い裏切り者ならいじめがいがありますわ」

 

「……ギャーくんがお世話になったみたいなので、ぜひお礼を受け取ってください」

 

「この情勢下でよくも恐ろしいことを。一人でも多く倒し捕縛したいところですね」

 

「僭越ながら、私達も参加させてもらいます」

 

「イッセーさん、部長さん! お怪我はありませんか!?」

 

 とまぁ、ギャスパー君が助けられたことで停止されたメンバーも復活している。

 

 付け加えるなら、外部の護衛団も復活して戦闘態勢に入っている。

 

 ……完璧に囲めているね。

 

「じゃ、もれなく全員まとめて潰すか。有村、ヴァーリを潰している間に投降するなら……不本意だけど手は出さないよ?」

 

 優先順位は変わったしね。いや、本当に殺したいけど我慢するよ。

 

 ただ、ヴァーリはともかく他のメンツもまだ動揺していない。

 

 何かが違う。そう思った時だ。

 

「申し訳ありませんが、私は諜報工作部隊と申し上げましたよ?」

 

 チークタックがそういった瞬間、護衛部隊の後ろから攻撃が殺到した。

 

「ぬぅ!?」

 

「なんだと!?」

 

 咄嗟に対応する護衛部隊は間違いなく優れているけれど、しかしその攻撃は想定外。

 

 というより、あの位置取りはまさか!?

 

「停止結界が機能しているうちに、和平なんて論外という方々を呼び寄せております。三大勢力の相手は三大勢力にさせるのが楽でしょう?」

 

 くっ! そういう手段を取ってくるか!?

 

 と思った時だ。

 

「……なるほど。ならその対応も三大勢力がするべきだろうね」

 

「そのようです。これも生みの苦しみというものでしょう」

 

 瞬間的に、襲撃部隊を魔力と光力の嵐が吹き飛ばしていく。

 

 あれは、ミカエル様とサーゼクス様!?

 

「セラフォルーとグレイフィアには、結界の維持を頼んでいる。……残念だが、これもまた我々が負わねばならない責任ということだ」

 

 サーゼクス様はそういうと、鋭い視線を向ける。

 

「魔王ルシファーの末裔、ヴァーリ・ルシファー。できれば危害を加えたくないが、これ以上テロに走るのなら容赦しない」

 

 本当に、規模の大きい戦いになってきたよ……っ!!

 




 身もふたもないことを言いますが、自分はあまりヴァーリを評価してません。多分英雄派より下に見てます。

 和平会談にテロリストを招くようなろくでもなさすぎる裏切り行為をしておきながら、碌に刑罰も受けた様子がなく味方面しているのがあれなのでしょうか? 奴は自分が「テロリストに成り下がった」という自覚がかけている気がします。

 とはいえ、奴がD×Dでも屈指の天才であることもまた事実。モチベーションのある天才が弱いわけがない。

 そのあたりの脅威度をきちんとかける作品にしたいと思っています!
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