D’s——聖なる歯車   作:グレン×グレン

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 はいどうもー! 今回かなり長いですよなグレン×グレンでっす!

 さぁて、そろそろこの章も大一番だぜぇっ!!


第十一話 二つの明星

—木場祐斗—

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 凄まじい状況になっている。

 

 大量のディーバインを攻撃しようとする護衛部隊。

 

 それを後ろから討とうとする造反者。

 

 その造反者を吹き飛ばす、サーゼクス様とミカエル様。

 

 そんなお二人を害そうとする、有村無涯とチークタック。

 

 そしてそれを阻止する為に動くデュリオ・ジュズアルド。

 

 最後に中央部で睨み合う僕達。

 

 和平会談を舞台に、かなり乱戦になってきている。

 

 そしてその戦場の中心部に僕達がいる。

 

 その中心。このテロにおけるもっとも重要な情報を提供した裏切り者。

 

 白龍皇、ヴァーリ・ルシファー。

 

 寄りにもよって、イッセー君の両親を彼を歯ごたえのあるライバルにする為に殺そうなどといってきた。

 

 ……イッセー君がキレるのも無理はない。そして、光也さんと光希さんが思った以上にキレている。

 

 まぁ、二人とも若気の至りをしてはいけないラインでした人だ。元々ヴァーリに対して思うところがあったろうけど、先の発言でそれが爆発する方向になったようだ。

 

 有村が関わっている点も大きいね。相応に深いレベルで因縁がある彼が出てきた所為で、二人とも冷静さがかなり削れている。僕よりは知的に対応して自制もできているけれど、それでも沸点ギリギリになっているようだ。瞬間的に沸騰することが多々ある状態だろう。

 

 とはいえ、僕もこれは見過ごせないけどね。

 

「……ふむ。考えようによってはより取り見取りか」

 

 ヴァーリは楽しそうにこちらの様子を見ている。

 

 外周部の護衛隊は、内部に転送されたディーバギア軍団及び外側から強襲してきた造反者の対応に手を取られている。必然的に、僕達が対応する状況になっているだろう。

 

 そしてヴァーリ・ルシファーにとって、この状況はバイキングに近いらしい。

 

「やはり単純な怒りは瞬発力に長けるね。シルバーモデルのディーバギアに追加要素も大きい二人も捨てがたい。いや、ルシファー同士の戦いを演じるのもありかな?」

 

 とても楽しそうなヴァーリに、有村は肩をすくめる。

 

「もちっと危機感抱こうぜ? 俺達、結構な強者に囲まれてんだぞ?」

 

「だからだろう? これが滾らなくてどうしろというんだ」

 

 有村にヴァーリはそう答え、そして同意するようにカテレア・レヴィアタンも動く。

 

「その通り。あなた方とオーフィスがそれぞれ託してくれた力があれば、この程度はどうとでもなります」

 

 そう語るカテレアは、何時の間にか銀色の歯車を持っている。

 

 あれは、ディーバギア!

 

「なるほどな。シルバーモデルのディーバギア、別にカマセ犬専用ってわけでもないらしい」

 

「それはもう。実際に高性能ですから、協力者や後援者の中でも有数の方には融通しております」

 

 にやにやと笑いながら、チークタックがアザゼル総督の推測を肯定する。

 

 となると、カテレアにはまだ上があるということか……っ

 

「さて、では一人ぐらいはそろそろ死んでもらいましょうか」

 

『マグマ!』

 

 銀色のディーバギアを展開し、銀色の下地に文字通りマグマを思わせる意匠を纏ったディーバインが降臨する。

 

 これは、流石にまずいか?

 

「オーフィスから授かったか。なるほど、彼の力で底上げしたのか」

 

「ええ。オーフィスには象徴として力をいただきました。そしてその恩恵によって、私達は理想郷を創造する」

 

 サーゼクス様にそう告げるカテレアは、殺意を全開にして僕達を見据える。

 

「神器ですか。私達の世界にそんな不安定な力は無用です。ディーザストラの方々にシステムごと譲り渡そうかと思ってます」

 

「……なるほどな。まったくもって分かってない野郎だ」

 

 その言葉に、アザゼルが一歩前に出る。

 

「本っ当に詰まらない奴だな。俺が唯一聖書の神で評価している面白さの塊を潰そうってか?」

 

「かまわないでしょう? ディーザストラも要因とはいえ、弊害を持っている人間も多い。むしろ人間に感謝されてもいいのですがね」

 

「はっ! 一部事業の不具合を理由に、大企業を丸ごと解体する馬鹿がどこにいる。ましてや俺の楽しみを潰そうってんなら……消えてなくなりな」

 

 そうカテレアに言い返すアザゼル総督は、懐から一本の短剣を取り出した。

 

 いや、刀身は円錐状だ。どちらかといえば短槍という奴だろうか?

 

「そして俺は神器が大好きすぎる研究者! そこの光希が思わぬ提案をしてくれたこともあり、こうして人工的な神器を作ってみた! その名も堕天龍の閃光槍(ダウンフォール・ドラゴン・スピア)! ……で、禁手化(バランス・ブレイク)!」

 

 ……なんだって?

 

 思わず殆どの者が目を見開く中、アザゼル総督は金色の龍を思わせる鎧を装着する。

 

 あのオーラ、イッセー君がかつて見せた禁手や、ヴァーリのあの鎧にも通用するオーラだ。アザゼル総督が強者であることを差し引いても、鎧自体が強力すぎる。

 

「そしてこれが試作段階の人造禁手! 堕天龍(ダウンフォール・ドラゴン・)の鎧(アナザー・アーマー)!! 黄金龍君(ギガンティス・ドラゴン)ファーブニルと契約して作った、人工封印系神器! 拡張型人工神器で積み重ねたデータもあり、結構長時間使えるぜ!!」

 

「くっ! それだけの力がありながら、貴方は……っ!」

 

 激高するカテレアはマグマの蛇を大量に作り上げてアザゼルを襲うが、こちらに熱が来るより早くアザゼルは光の槍で打ち落としていく。

 

 直後突貫した総督は槍で攻撃を試みるが、カテレアはマグマの蛇を幾重にも束ねてそれを受け止める。

 

 壮絶な戦いだ。聖剣を二本も持ったコカビエルを、どちらも圧倒する出力になっている!

 

「ここまで完成していたなど、聞いてませんよっ!?」

 

「内通者になりそうなやつに全部教える馬鹿がいるか!!」

 

 そのまま第二ラウンドに突入した二人は壮絶な戦いを繰り広げる。

 

 そこに黄金を基本とするチークタックとのディーバインと、銀色を基本とするノウブルディーバインという状態の有村が動こうとする。

 

 だが、其れより先に動く者がいた。

 

「そうはいきません。主の残したシステムに対する狼藉、払っていただきましょう!」

 

「確かにね! その所為で余計に困ったやつらも増えてるだろうしさ!!」

 

「援護しよう。こちらも全力で当たるべきだ!」

 

 先手を打って仕掛けるのは、ミカエル様に援護の態勢に入ったデュリオ・ジュズアルドとサーゼクス様だ。

 

 となると、僕達は―

 

「じゃ、ここから集団フルボッコよ。覚悟しなさい、ヴァーリ・ルシファー」

 

 ―聖剣の切っ先を突き付ける光希さんの言う通り、ヴァーリ・ルシファーだ。

 

 僕もイッセー君のご両親には会ったことがある。いい親というものがいるのなら、彼らのことなんだろうと思わせる人柄だった。

 

 孤児だったからこそ言い切れる。彼らのような両親に育てられたかったと。

 

 だからこそ、僕らも遠慮をする必要はない。

 

「覚悟してもらおうか、ヴァーリ・ルシファー!」

 

「おじさま達を害そうなんて許さないわ!!」

 

 紫藤イリナとの聖剣と共に、僕は聖魔剣を振るう。

 

 流石に龍殺しを即座に作ることはできないけれど、聖剣の性質もあるこの件なら悪魔であるヴァーリに通用する!

 

 その瞬間、僕らの力が半減し、裏拳であっさりと吹き飛ばされる。

 

『気をつけろ! 白いのが持つ力は俺の対極! 奴は敵の力を半減にし、その分己を強化する!』

 

 ドライグが僕らに聞こえるように声を飛ばす。

 

 なるほど、コカビエルが防護加護に特化した短剣に、祝福の聖剣を模した聖剣を併せ持った理由が分かる。

 

 万一ヴァーリと敵対した場合、祝福によって強化された加護の短剣で半減を弾き飛ばす算段だったんだ。それも、実際に効果覿面だったしね。

 

 そして、それが分かれば対応はできる。

 

「タイマン特化ってわけね! イリナ、祝福(ブレッシング)を重ねて!」

 

「オーケー! さぁ、アーメン!」

 

 その瞬間、相互の祝福で弱体化を乗り越えた光希さんと紫藤イリナにより、聖なる結界にヴァーリが包み込まれる。

 

 並の悪魔なら一瞬で戦闘不能になるだろう。だが、ヴァーリは倒れない。

 

「中々いいね! だが、まだ鍛え方が足りないようだ!」

 

 瞬間、大量の魔力弾が僕らを狙って放たれる。

 

 一瞬でも隙を作ればやられる。そうでなくても押し切られる。

 

 だが、その多くは打ち落とされた。

 

「大丈夫! こちらは準備完了よ!」

 

 リアス部長が消滅の魔力を乱れ撃つ。それも、イッセー君の倍化で増幅された状態だ。

 

 如何にルシファーの血族だろうと、まだ若手。同じ若手で有力者であるリアス部長なら、二天龍の支援を受ければ白き天龍かつ明けの明星だろうと通用する余地がある。むしろ同格と言っていいだろう。

 

 そこに朱乃さんの雷光や、光也さんが作った爆弾を投擲する小猫ちゃん。

 

 だが翼とオーラの余波でそれを吹き飛ばし、ヴァーリは笑う。

 

「この程度かい? バラキエルや猫魈の血を生かしてほしいものだね」

 

「……私を、あの者と一緒にするなぁ!」

 

「鬱陶しい……っ」

 

 二人にとっての地雷を容赦なく踏むヴァーリだけど、その激高すら通用しない。

 

 しかし、そこにより徹底的に対応できる戦力が襲い掛かる。

 

「イッセー君、合わせて!」

 

「もちろん、アスカロン!」

 

 総督が渡したアイテムを使って鎧を纏ったイッセー君と、後ろから回り込んでいた光也さんがそれぞれ龍殺しを振るって攻撃を叩き込もうとする。

 

 光也さんはキレた勢いで龍殺しを作っている。そして物量戦術による圧殺を基本戦術とする彼は、数十本同時に叩き込んでいる。

 

 イッセー君はミカエル様より、聖剣アスカロンを持っている。聖剣である龍殺しであるアスカロンなら、赤龍帝の力込みで絶大だ。

 

 しかし、ヴァーリは強引にオーラの奔流で拘束を振り払うとそれを回避した。

 

「如何に龍殺しだろうと、当たらなければどうということはない!」

 

「なら当ててやるよ! 上抑えて!」

 

『ドラゴン!』

 

 光也さんは瞬時にディーバギアを上乗せし、飛び上がって戦闘を開始。

 

「任せなさい! 対空攻撃のトレンドは数よ!!」

 

 そこに光希さんが、アームズディーバインの両肩をガトリングにして援護射撃を敢行する。

 

 大量の弾幕がヴァーリの動きを妨害し、そこにイッセー君が突貫した。

 

「食らいやがれ!」

 

「いや、甘い!」

 

 しかしヴァーリは攻撃を紙一重でさけ、カウンターの拳をみぞおちに叩き込む。

 

 だけど、イッセー君はひるまずその背中を掴んだ。

 

「ドライグから聞いたぜ! 過剰に吸収した分は、そこから放出するってなぁ!」

 

 その瞬間、ヴァーリの光翼が謎の明滅を繰り返す。

 

 そして明らかに、ヴァーリの力が本調子でなくなった。

 

「譲渡を俺に使って、機能不全にするだと!?」

 

「吸収する力が強くなりすぎたら、嫌でも放出が追いつかないよなぁ!」

 

 ついに動揺したヴァーリに、イッセー君の拳が叩き込まれる。

 

 ヴァーリの鎧が砕け散りながら、地面に叩きつけられる。

 

 そしてその瞬間、大量の龍殺しがヴァーリに叩き込まれた。

 

 光也さん、容赦ないね。

 

「よっし一気に殺すわよ! イリナ、もう一回祝福を!!」

 

「え、えっと信徒的にデスコンボは……まぁいっか!」

 

 いいんだ!? 光希さんに引っ張られている気がするけど、イリナさんちょっと考えよう!?

 

 ……まぁ、ここで決めないとまずいのは事実か。

 

 僕は聖魔剣の応用で作れるようになった聖剣を投げ込んで支援する。多分、祝福の力で増幅するなら聖剣のままの方がいいしね。

 

 そのまま絶大な量の聖なるオーラと龍殺しが叩き込まれるが、次の瞬間それらが一気に減衰していく。

 

「……フハハハハハ! 中々やるじゃないか、兵藤一誠に仲間達!!」

 

 全身から血を流しながらも、ヴァーリはむしろ楽しそうだ。

 

 例え死の危険を感じようと、其れすら楽しみとして戦いに赴く。

 

 戦闘狂というのは厄介だね……っ

 

「確かに、赤龍帝は味方の強化もまた本質だ。団体戦は一つの形だね、俺も連れてくればよかったよ……だが」

 

 そしてその減衰は、空間そのものにまで左右するかのように広がっていく。

 

 木々が、地面が、そして校舎が。

 

 空間事小さくなっているかのように小さくなっている。

 

「総督!? なんですかあれ!!」

 

「超絶バトル中によく聞くぜ! あれはヴァーリの大技だ! あらゆるものを半分にするのさ!!」

 

 壮絶な戦いをしながらも、アザゼル総督は僕達に説明してくれる。

 

 あと光希さんが容赦ない。彼、多分一番負担が大きいと思うよ。対応人数的に。

 

 ただ、ちょっと要領を得ないのかイッセー君は困惑気味だ。

 

「……え、えっと……?」

 

「分かんねえか!? ならイカレてるヴァーリにぶつけるためにも、イカレてる部分でつついてやる!」

 

 と、アザゼル総督は強引に一息を入れる隙を作り上げ―

 

「ようは、リアス・グレモリーのおっぱいも半分にしちまうのさ! サイズをな!」

 

 ―なんか頓珍漢なことを言い出したよ!?

 

 リアス部長がちょっと顔を赤くしながら狙いをアザゼル総督に移しているけれど、羞恥なのか憤怒なのか判断がつかない。

 

 そう、思った時だ。

 

「………ふざけんな」

 

 なんか、イッセー君の雰囲気がやばいぐらい代わっている!?

 

「ふざけんじゃねえええええええええええええええええええ!! ブチ殺してやるぞ、ヴァーリぃいいいいいいいいいいいいいいいい!!!」

 

 明らかにオーラがやばいことになっている!?

 

 あ、半減の空間を強引に突っ切ってイッセー君がヴァーリを殴った!?

 

「これは尊いリアス部長のおっぱいの分!?」

 

 イッセー君!? 部長の胸はまだなにもされてないよ!?

 

「これは麗しい朱乃さんのおっぱいの分!!」

 

 あ、ヴァーリが反応し切れていない。

 

「これは素敵なアーシアのおっぱいの分!!」

 

 え、殺気よりはるかに性能が上がってないかい!?

 

「これはサイズはそこそこだけどバランスの取れた光希さんのおっぱいの分!!」

 

「……いや、DよりのCは巨乳じゃないかしら!?」

 

 光希さん、結構気にしてましたか!?

 

 いや、十分大きいほうですけど。

 

 まぁ、部長や朱乃さんと比べるとやはり数段落ちるけど。あれは比較対象としてはいけないレベルだとは思います。人間水準なら十分あるほうですし。

 

 特例は比較対象ではないという感じでいいと思いますよ!?

 

 いや、僕は何を言ってるんだろうか?

 

 そう思っている間に、イッセー君は渾身のオーラを拳に込めていた。

 

「そしてこれは、半減なんてされたらまるっきりなくなっちまう、小猫ちゃんのロリおっぱいのぶんだぁあああああああああ!!」

 

 そして思いっきりヴァーリが吹き飛ばされる。

 

 あと今は小猫ちゃんの方を向けない!? 多分見たらいけない顔になっている気がする!?

 

「……が……ぁ……? 乳房で……これ、だけの……?」

 

 あ、ヴァーリがもの凄い困惑している。

 

 ですよね!? 普通想定外だよね!?

 

「小猫ちゃんがどれだけ、自分のスタイルを気にしてると思ってるんだ!? それを半減なんて、ある意味最も許されない暴挙なんダブルエクストリームっ!?」

 

 我慢できずに倒れた木を投げつけてる! イッセー君に直撃したよ!?

 

「……なるほど。これは想定外だ……面白すぎる!!」

 

 そしてヴァーリはその隙に起き上がる。

 

 骨の一本ぐらい折れてそうだけど、気にせず立ち上がるというのか!?

 

「ならば、俺も全力で行こう。今の君なら、覇を見せてもいいだろう!!」

 

『待て、ヴァーリ! 目先の興奮で果てるのがお前の本懐か!?』

 

 アルビオンが止めるほどの札を切るつもりか!?

 

 ……いや、其れよりも―

 

「させるわけないだろう?」

 

「こっちのことを忘れすぎよ?」

 

 ―光也さんと光希さんが既に動いている!?

 

 どうやら、あの状況下でもとりあえず畳みかける体制に入っていたらしい。相当キレていたようだ。

 

 百本どころか数百本レベルで龍殺しを用意している光也さんに、カートリッジを既に起動している光希さん。

 

 二人の全力攻撃が、イッセー君しか目に入っていなかったヴァーリの全身に吸い込まれるように叩き込まれる。

 

 ……その被害は絶大だ。ヴァーリは全身から血を流していたけど、一部は爆ぜて体のラインが変わるほどの重傷。複雑骨折で骨が見えている部分もある。

 

 思わぬ不意打ちで言葉も出さずに痛めつけられ、死んでもおかしくない重傷をヴァーリは負った。

 

「……クハハハハ。 やるじゃないか、この俺を……殺せるほどに追い込むとは……っ」

 

 血反吐を吐きながら言いつつも、ヴァーリは楽しそうな表情だ。

 

 命がけの戦いの果てに、自分が討たれることすら愉しめる。そのレベルの戦闘狂か。

 

 ならば、ここで容赦するのも危険だろう。

 

 僕もまた聖魔剣を構えていつでも切りかかれる体制をとる。リアス部長も、残存する譲渡の力を一撃に込めている。

 

 彼は危険だ。イッセー君の未来の為にも、ここで倒すことは一つの選択肢で―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「させないぜっとぉ! 助っ人さん!」

 

「まっかせて! 親戚君は助けるよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―それを止める、謎の襲撃者が舞い降りた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

—兵藤一誠—

 

 

 

 

 

 

 

 

 な、なんだ!?

 

 上から舞い降りた攻撃が、ヴァーリにとどめを刺そうとした光也さんと光希さんを弾き飛ばす。

 

 二人は揃って着地するけど、攻撃が効いているのか足元がふらついている。

 

「な……これは……?」

 

「体が……呪詛か!?」

 

「いんや、仙術って奴だぜぃ!」

 

 困惑する光希さんと光也さんを庇っていると、襲撃者の一人がそんなことを言ってきた。

 

 ……なんだあの格好。中国の昔の物語に出てきそうな……あの……。

 

「孫悟空? 孫悟空みたいな格好だ!」

 

「みたいも何もその子孫だ! 美猴、てめえも禍の団に入ったってのか?」

 

 と、戦闘を切り上げたアザゼルが俺に教えてくれるけど、孫悟空の末裔ですか!?

 

 そして美猴ってのはカラカラと笑いながらヴァーリに型を貸していた。

 

「安心しな、俺っちが個人的に参加してるだけだぜぃ? 仏になっちまった先祖と違って自由に生きたいもんでね」

 

 その結果がテロですか!? 勘弁してくれない!?

 

 俺は文句を言いたいけど、ヴァーリを庇う様に前に出るディーバインもいて手が出せない。

 

「ヴァーリくん大丈夫? すっごいボロボロだけど?」

 

「はは。予想外の収穫だよ、兵藤一誠……俺の宿敵に相応しいかもしれないね」

 

「お? そりゃいいねぃ。今度は俺っちとも戦ってくれよ、赤龍帝!」

 

 と、ディーバインや美猴と一緒にヴァーリは楽しそうだ。

 

 あんだけぼこぼこにやられて愉しむなよ。俺は平和でエッチに生きたいんだけど。

 

 というか、ここで逃がすのもやばいよな。光也さんや光希さんなら仕掛けそうだけど……あれ?

 

「「………」」

 

 な、なんか棒立ちになっているぞ?

 

 俺が困惑していると、急に鎧が解けた。

 

 あ、リングが壊れた!? だからか!

 

「アザゼル! リングに予備はないのか!?」

 

「ないって言ってんだろうが。リスクもコストも時間も必要量がでかいんだよ、あれは」

 

 マジか! ここで逃がすのか!?

 

「……どうやら、この場はこれで終わりのようですね」

 

 と、ボロボロのカテレアが降り立つと美猴はからからと笑った。

 

「ま、そういうこった。こんなところでやられちまうのも興ざめだろ? そろそろ帰ろうや」

 

 そういうと、美猴は何か術を使ったのか転移が始まっている。

 

 そして転移に包まれる前に、ディーバインが何かに気が付いた。

 

「あ、親戚が挨拶したのなら私もだよね?」

 

 そう言いながら銀色の光に包まれて、ディーバインは女の人の姿になる。

 

 ヴァーリとそっくりな銀の長髪。そこに入っている赤茶のメッシュが妙に目を引くお姉さん。

 

 その可愛い女の人は、俺達を見回すと満面の笑顔でお辞儀をした。

 

「ヴァーリくんの超遠縁の親戚の、地崎(ちざき)明日香(あすか)=ルシファーって言います! 今度は私のチームとも戦ってね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―は?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺達が呆気に取られていく中、ヴァーリ達は転移で消える。

 

 見れば、戦いそのものは終わったのか静かになっていた。

 

 なっていた、けど……。

 

「明日香って……確か……」

 

 二人の幼馴染だったような……?

 

 俺がそのことを思い出しているとだ。

 

「「……ふぅっ」」

 

 二人とも倒れたぁああああああああ!?

 

 ですよね!? と、とりあえずアーシアちゃぁあああああああん!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

—Other—

 

 

 

 

 

 

 

 

「久しぶりです、有村さん♪」

 

「……お~、おう。久しぶりだな、明日香ちゃん」

 

「はい! まさかこんな形で再会するなんて思いませんでした♪ 無理を言ってついてきて大正解です♪」

 

「……態度、柔らかすぎね?」

 

「え、そうですか?」

 

「いやいや冷静に考えようぜ? 俺、客観的に見て駆け落ちと見せかけてヤリ捨てした男だぜ? 普通は恨むだろ? だからシルバーモデルのディーバギアだって仕込んだってのに」

 

 

 

 

 

 

 

「チークタックだったか。もはや意味不明な会話な気がするんだけどね」

 

「申し訳ありません、ルシファーの一人であるヴァーリ殿。アルムズは有村無涯という落第生の姿と名前を金で借りて東大に合格し、東大生の名目で我々の敵対者となるシルバーディーバギアの宿主を選定しておりまして。趣味の一環で家庭教師の名目で思春期の少年少女の人生を歪める形で復讐鬼に仕立て上げるプランを担当しておりました」

 

「……復讐という目的が効果的なのは否定しないが、よくもまぁそういう悪趣味な真似をさせれるものだ」

 

「お言葉ですが、今回の貴方の狼藉も似たり寄ったりですが? 外道行為を自覚し、復讐を叶える手段も提供している我々の方が潔く福利厚生も万全です」

 

「……物は言いようだね。というより、それがルシファーの先祖返りとはどういう運命だろうか」

 

「そこに関してはこちらも想定外です。まさか禍の団についた上、あそこまでアルムズにフレンドリーに接してくるとは……イカれてますね」

 

「まぁ、そうでなければ世界全土を敵に回す組織に属するわけもないか。もっとも、この無駄に規模が大きい虐殺は好かないけどね」

 

「そんな組織にいまだ残っている時点で同じ穴の狢ですよ? それに、我々ディーザストラとしては地球人口は半分ぐらいで永久的に安定させたいところです」

 

「怖い怖い。まぁ、それぐらいの組織なら強敵にも苦労しないだろうさ。……一応、他にも敵のシルバーモデルは当てがあるんだろう?」

 

「それはもう。もっとも、大半は勝手に自滅したり身を持ち崩すだけなのが多いのですがね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……というわけで、どうやったか知らないけど有村さんの残した教えのおかげでこうしてやっていけました♪ 今後は同じ禍の団として、一緒に頑張りましょう! というか、久しぶりに一発します?」

 

「おぉ~、タガがすっごい外れてるな。この外れ方は想定外っていうか、明後日の方向に外れたのならお前がぶっちぎりトップだろ」

 

「え、トップな上に珍しいタイプなんですか? やったぁ!!」

 

「……昔からそんな側面はあったが、ここまでとはな。で、今後はどうするんだ?」

 

「もちろん、チームのみんなと協力して、グレートレッドと大激戦です! 勝てるのもいいですけど、負けるんだったら超大技を喰らって跡形もなく吹き飛びたいです」

 

「やっべぇ~。このレベルの中二病は俺も予想外だったぜ。思わぬ掘り出し物なんだが、俺と同じ陣営に残る気満々だってのはイカれすぎだろ」

 

「そうですか? だって、この世界最強の存在同士の大激戦ですよ? 本当になったら三大勢力はグレートレッドを援護しようとするだろうし、数でも質でも最高峰です! もうそれだけでドキドキですよ!!」

 

「ははっ! ここまでの逸材とは思わなかったぜ! じゃ、再会を祝して一発シけこむか?」

 

「はいっ♪ あれからいろんな人とシましたけど、有村さんは本当に上手だからもう一度したかったです♪」

 

「………そーかそーか。本当にヤバい奴になってくれて、俺はどう思えばいいのかちょっとわかんねぇや」

 

「それはそうですよ? だって―」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私は……悪魔の王の血を目覚めさせたんですよ? そんな素敵な大役になれたんだから、其れっぽいことをして生ききりたいじゃ……ないですか」

 

「……なるほどな。……ま、どっちに転んでもそれはそれで面白いか」

 

 

 

 




 ちなみにこの時点で、明日香は光也と光希に気づいていません。ディーバイン状態だったので。
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