D’s——聖なる歯車   作:グレン×グレン

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はいどうもー! 少しずつ執筆も仕事も頑張っているグレン×グレンでっす!

特に仕事はねー。将来を考えるともう一段ステップアップしたいからねー。一年か二年ぐらいでもう一段上げるためにも頑張らないとねー。

しかしそのための英気を養う趣味もきちんと力を入れないと! って感じで、一話投稿します!!


第十二話 戦後処理と今後の備え

 

 

 

—木場祐斗—

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 戦後処理の最中、僕は何度目かのため息をついた。

 

 停止が解かれた三大勢力の方々も協力してくれているけれど、それまでの心身の疲労が大きい。

 

 特に強烈なのが、地崎(ちざき)明日香(あすか)=ルシファーの存在だ。これには三大勢力も困惑しているだろう。

 

 当然といえば当然だ。旧魔王ルシファーの血を引く者達が二人も現れ、レヴィアタンの末裔と共に禍の団に属しているのだ。無視できるわけがない。

 

 おそらく、旧魔王派は漏れなく禍の団に属しているのだろう。他にも相応の勢力が属していると考えるべきであり、オーフィスが象徴という点も悪夢といえる。

 

 そして警戒するべきはディーザストラ。宇宙から来訪した存在で、ディーバギアの開発組織。これを警戒しないわけがない。

 

 それどころか、現在地球全体が尋常でない被害を受けている。

 

 こちらも会談に参加してなかった首脳陣が情報を収集しているが、どうしようもないレベルで被害が甚大だ。

 

 国連加盟国は全てが首都に攻撃を受けており、それ以外にも重要な都市が被害を受けている。更にその被害地点には核の冬を避ける為の結界により、粉砕されたチリを加工してできたオベリクスが立ち並んでいるそうだ。

 

 この影響による二次被害を含めれば、死者行方不明者重軽症者を合わせた被害者の数は数億を超えるだろう。今後の情勢を考えれば、この事変での被害者の合計は十億すら超える可能性が高い。

 

 ……あまりに大きすぎる被害だ。とてもじゃないが、三大勢力が手を取り合ったぐらいで対抗できるとは思わない。

 

 それを思うと、少し動きが鈍ってしまうね。

 

「……ここにいましたが、木場祐斗さん」

 

 そこに声がかけられる。

 

 振り返れば、そこにいたのは功希大司教を連れたミカエル様だ。

 

「どうしましたか、ミカエル様?」

 

「いえ。貴方には直接謝罪しなければいけないことがありますから」

 

 その言葉に、僕は悟るものがあった。

 

「……人工聖剣使いは、続行されると?」

 

「申し訳ありません。元々協議の結果「規模の縮小」か「限定的な人選」に留まることになったのですが、この火急の事態ではそれすら難しいでしょう」

 

 ……個人的に、聖剣計画の続行に近い今の現状は変えてほしかった。

 

 バルパーの発言やのちに分かったデータから、因子の拒絶で死亡する者が出るケースがないわけではない。もちろんミカエル様達は気を使っていることも分かっているけど、それでも害がゼロにはできてないだろう。同志達が無残な犠牲となったこともあり、できることなら聖剣計画に基づく恩恵は止めてほしかった。

 

 必ずできるかどうかは分かっていなかった。だから、ショックはさほどではない。

 

 とはいえ、本来なら規模の縮小や人選の限定はできたことを考えると、ショックがないわけでもない。

 

 ただ、理由もよく分かる。

 

「禍の団……いえ、ディーザストラ対策の戦力ですね?」

 

「はい。現段階でも文字通り、全世界規模で深手を負わされた現状です。バチカンにも攻撃は行われましたが、反応が間に合い人工聖剣使いが迎撃を成功させたことで被害者は大きく減りました」

 

 そうか、それは世界的にはよかったのだろう。

 

 世界最大宗教の総本山といえるバチカン市国。ここが跡形もなく吹き飛ぶような事態となれば、地球全体の精神的悪影響は避けられない。

 

 これから世界は大きく揺らぐからこそ、心の支えは必要だ。国家の多くが機能不全になっている現状、宗教的権威はある程度のまとまりを作る為にも必要といえる。

 

 とはいえ、それが人工聖剣使いによるもので、更に今後の戦いが世界規模の脅威に挑む。

 

 この二つの要素は、聖剣使いの人工生成にとって追い風だ。必要性と大きな成果が、彼らの存続を約束してしまう。

 

「……そもそも、タカ派を抑える為にも聖剣計画の流用は必要不可欠ではあった。和平という手の平返しの不満を下げる為にも、戦士達に恩恵を与える計画を中止するのはリスクがあったからな。ゆえにすまないが、私も聖剣計画の完全停止は反対させてもらっていた」

 

 功希大司教はそういったうえで、盛大にため息をついた。

 

「だがこの事態はそういう問題ではない。聖剣計画を利用する必要性があまりに増えているからな。外患は勿論、内憂もだ」

 

 ど、どういうことだ?

 

「この状況下で内輪もめが起きると? 言っては何ですが、宇宙からの侵略を受けているようなものですよ?」

 

 呉越同舟という言葉もある。実際、僕たちはコカビエル相手に三大勢力で共闘もできた。

 

 脅威が明らかに危険すぎると分かっているのだ。同盟を結んだ組織が協力してくれるのなら、不満があっても今は手を借りるべきだと思う。

 

 ただ、功希大司教は違う考えのようだ。

 

「人間は多かれ少なかれ負の側面や弱さを持つ。そしてそれらを抑え込むには心のゆとりが必要だ。……こんなレベルの事態だからこそ、不満や敵意を自制する余力がなくなる者は必ず出る。私が禍の団なら必ず突くだろうしな」

 

 ……悲しい話だ。

 

 ただ、僕も理解はできる。

 

 エクスカリバーに対する憎しみが暴走しかけていた時、僕はリアス部長に本来伝えるべき情報を伝える発想が出なかった。

 

 おそらくそういう精神状態に近いのだろう。なら、確かに起こりえるか。

 

「一応次善策は以前から用意していた。だがそれを踏まえてもなお、今後想定される事態に備える為に聖剣計画の恩恵は必要だ。……中立派閥(静観派)側の先進武装開発局からも、「新しい聖剣の試作中に大前提の人工聖剣使いを中止するのは納得できない」という意見も多いからな」

 

「……分かりました。残念ですが、現状では難しいことも理解しました」

 

 本当に残念だけど、我が儘は言えないか。

 

 初手で文字通り世界全土が大打撃を受けている。これでは、確かに止められない。

 

 バルパーの時と違い、教会では聖剣計画の恩恵を死者を出さないように気を付けて行えている。そこまで気を使っている状態の強化手段まで排除しては、ディーザストラを擁する禍の団には対抗できないのだろう。

 

 納得はしても気落ちはしてしまう僕だったけど、ミカエル様は小さく苦笑した。

 

「代わりと言っては何ですが、赤龍帝の頼みもあり、アーシアさんが祈っても問題ないようにシステムの微修正を行うことにしました。それぐらいならやりようはありますし、三大勢力合同でシステムの改善も進められるでしょう」

 

「そうですか。確かに慎ましいですが、個人的には嬉しい話です」

 

 アーシアさんは本当に大変だったからね。

 

 敬虔な信徒である彼女は、もう反射レベルで祈っては悪魔ゆえに頭痛を患っていたからね。

 

 個人として、友人であり仲間であるアーシアさんの悩みが解決したのは良い事だ。

 

 ……とはいえ、世界全体を覆う闇を考えると、微々たるものなのが悲しいけどね。

 

「これから、世界はどうなりますか?」

 

 やはり聞かねばならないだろう。

 

 間違いなく、禍の団のこの奇襲は世界を大きく揺るがせる。

 

 全世界に同時多発的に大量破壊兵器クラスの攻撃がなされたのだ。それも墜落地点は漏れなく政治的要所であり、国家機能が大きくマヒするだろう。

 

 人間社会は大きく混乱する。そして、これだけのことをテロ組織ができた時点で、異形や異能にとっても大きな衝撃が走る。

 

 おそらく、衝動的に禍の団に与する組織も増えるはずだ。

 

 加え、功希大司教の言う通りなら教会で大規模離反ぐらいは起きるかもしれない。コカビエルが倒されて躓いた堕天使はまだましだろうが、旧魔王派が丸ごと禍の団に移った悪魔側も大変だ。

 

 その不安に、ミカエル様は首を横に振った。

 

「ことここに至っては、我々も動きを見せるしかありません。異形や異能についての情報開示レベルを大幅に引き下げ、我々が和平を広げつつ禍の団に対抗することを宣言するべきでしょう。……ローマ教皇とも協議した上ですが、非常時ということで私達天使は人間社会に姿を見せる必要もあるかもしれません」

 

 そこまでのレベルだということか。これは、否応なく世界の在り方が変わっていく。

 

「とはいえ、不幸中の幸いで日本と英国は政治機能がマヒしない程度には持ち堪えている。今後は両国と連携をとることも視野に入れるべきだろう」

 

 そうなのか?

 

 日本も英国も、世界的に見て上位に位置する強国だ。いくら何でも禍の団が手ぬるいことをするわけがないだろう。

 

 そもそも、東京で大規模な被害が発生しているのは映像で確認している。あれで致命的事態が避けられているとは、想像を絶するレベルだけどね。

 

 相応の切り札があるということか。それが、上手く作用したと……?

 

「状況次第では関与することもあるだろう。君達は、この事態に関わったということ自体が致命的な状況になっていると思ってくれ」

 

 功希大司教はそう言い含めるけど、それだけの事態か。

 

 確かに、禍の団による強襲を受け、僕達は生き残っている。魔王様が動いてなお、生き延びるような実力を持つ者達の襲撃を受けたのにだ。

 

 否応なく、注目する者は出てくるのだろう。実際、テロの要でもあったヴァーリ・ルシファーを、僕らグレモリー眷属は多少の援護があったとはいえ瀕死に追い込んでいる。

 

「人工聖剣使いに対する改善は、いずれ必ず大規模に行います。……貴方には、ぜひそれを見届けてもらいたい」

 

 その気遣いに、感謝して、僕は頷いた。

 

「……はい。生きてその光景を見れるよう頑張ります」

 

 その光景は、本当に見てみたいものだね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

—兵藤一誠—

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 戦後処理で交代が入ったから、俺はちょっと休憩してる。

 

 ……なんか、すっごい大変なことになってるよなぁ。

 

 三大勢力が和平を結んで平和にやっていけるかと思ったら、世界全土が大変なことになってるし。

 

 のんきなこと言うけど、現実感がない。

 

 日本は平和ボケって言葉をたまに聞くけど、こういうことなんだろうなぁ。戦争っていうのがどこか遠い国の出来事って認識だったのかも。

 

 しかも世界全土が一斉に攻撃を喰らってるんだろ? それも、最低でも首都が壊滅的打撃を喰らってるとか。

 

 駄目だ。現実感が湧いてこない。

 

「あ、赤龍帝さーん!」

 

 声をかけられたので振り向くと、そこには才華さんがいた。

 

「赤龍帝さんも休憩? こっちもエルカと交代したよー」

 

 そう言いながら隣に座ってくる才華さんは、そのままペットボトルのスポーツドリンクをあおる。

 

「そっちも大変ですよね。なんか訳の分からない状態な感じで」

 

 禍の団の所為で、停止喰らってちんぷんかんぷんだろうしなぁ。

 

 ただ、才華さんは首を横に振ると俺の方をいたわる感じだった。

 

「いやいやぁ。この世界に入って一年経ってない赤龍帝さんよりはまだ慣れてるよー」

 

「あ、確かに。俺は最初の方から巻き込まれててちんぷんかんぷんだし」

 

 自分で言うのもなんだけど、俺って結構馬鹿だからなぁ。

 

 会議の内容もさっぱりだったし、そんな事態じゃない今の状況、割と本気でさっぱりだ。

 

 上級悪魔を目指すんだし、後で社会勉強とかもしとかないとな。一応貴族ってことになるみたいだし、馬鹿のままだとなれないだろうし。

 

「悪魔は永遠に近い生を送るってのに、俺は数か月でどんどん大変なことになってるよ。正直困ってるかもなぁ」

 

 悪魔になってすぐにアーシアを助ける為にレイナーレとやりあったし、その後はお家騒動じみたレーティングゲームだ。そこから一気にコカビエルによる三大勢力戦争再開騒ぎで、それを乗り越えて和平を結んだと思ったら世界全土が大変なことに。

 

 なんていうか、ヤバいことのはずなのに全然緊張感が湧いてこないっていうか。

 

 そんなことを思っていると、才華さんがぽんぽんと肩を叩いてきた。

 

「頑張ってね? 私も神の子を見張る者に保護される時のごたごたで経験あるけど、マヒしてるだけだから収まると一気に来るよ?」

 

 マジか。俺も結構来てるのか。

 

 ……ま、それはそれか。

 

「ま、お姉様達や東京の人達よりはマシだけど」

 

 本当にそれだ。

 

 東京は奇跡的レベルで被害が少ないらしいけど、それでも数十万人は死者が出てるだろうし。それを考えると、俺はとっても幸運だ。

 

 それに、光也さんや光希さんの方がきついだろう。

 

 二人共、ディーバギアの後遺症と酷いショックが重なった所為で気絶してる。今は無事な部分の旧校舎で寝かされているんだ。

 

 俺も全部は分かってない。だけど、地崎=明日香=ルシファーって人が二人の幼馴染だってのはわかる。

 

 とってもショックだろうさ。元凶の有村って奴も、ディーザストラのメンバーらしいしなぁ。

 

 ……うん。

 

「とりあえず鍛えるか。二人が余計な苦労しないでいいぐらいにはならないとな」

 

 足を引っ張らない程度の男にはならないとな。

 

 二人は色々あったし間違えたけど、それを受け止めて頑張ってるんだ。色々助けてもらっているけど、ちょっと悪いよな。

 

 二人に助けてもらっている以上に、俺も二人の力にならないとな。

 

「……そうだね。私もお姉様に頼られるぐらいにならないと」

 

 才華さんも同じことを思ってるんだろう。

 

 光希さんとの付き合いは俺より遥かに長いもんな。お姉様っていうぐらいしたってるし尚更だろ。

 

 ただ、それができるのかってところもあるんだよなぁ。

 

「あ、お疲れ様~」

 

 そんな声が聞こえると、俺達の間にドーナツが入った袋が入っていた。

 

 振り返るとそこにはデュリオさんが!

 

「あ、デュリオさん!」

 

「あ、いいよ敬語なんてさ。俺と君は同じ神滅具使いなんだし」

 

 そう言うデュリオさんは、そう言いながらドーナツをむしゃむしゃと食べる。

 

 デュリオさんも休憩なのかな?

 

「兵藤一誠君だっけ? イッセーどんって呼んでいいかい?」

 

 い、イッセーどんか。

 

 みょうな呼び方だけど、気に入られてるのかな?

 

「別に……いいですけ……ど?」

 

「そっか。じゃ、俺のことも呼び捨てでいいよ。多分これから長い付き合いになるだろうしさ?」

 

 そ、そうなのか?

 

 ちょっと困惑していると、才華さんがなんか元気よく片手を挙げた。

 

「はいデュリオ! 私もドーナツもらっていいかなー?」

 

「いいよー」

 

 ノリ軽いなぁ!?

 

 あ、でもドーナツは美味い。疲れた体に甘さが染み渡るっていうか。

 

 と、才華さんはちょっと俯いた。

 

 あれ、口に合わなかったとかそういうのか?

 

 そう思ったけど、そういうわけでもないようだ。

 

「……お姉様の分も貰っていいかな? まぁ、渡すのは後になるけど」

 

「……なるほどね。ま、光也君の分も用意しているから大丈夫」

 

 ……そうだな。

 

 光也さんも光希さんも、あの後思いっきり倒れたしな。

 

 二人とも、ディーバギアを使うと罪悪感がもの凄く増して鬱になる。そんな状態で、寄りにもよってもう一人の幼馴染らしい地崎=明日香=ルシファーが現れたから、限界を超えたんだろう。

 

 相当キてるだろうな。傍から見ている俺でも分かるぐらいショックだったろうし。

 

 うん、そうだな。

 

「とりあえず、次に地崎と会ったらとっ捕まえられるぐらいには鍛えとかないとな」

 

 俺もできることをしないとさ。

 

「俺は三人の関係をよく知らないから説得とかなんて無理だし、だったらせめて、地崎が更に悪いことをして二人がショックを受けないように、なるべく早くとっ捕まえるぐらいはしとかないとな。鍛えるか!」

 

 どうせ忙しくなりそうだし、一生懸命頑張って鍛えるだけさ。

 

 よし、明日から走り込みをちょっと多くしてみるか!! リアス部長にも相談しよう!!

 

 ……あれ、なんかデュリオと才華さんが目を丸くしている。

 

 あれ、俺なんかしましたか!?

 

「イッセーどん、ナイス!」

 

「お姉様をよろしくお願いします!」

 

 どういう反応!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

—月崎光也—

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 気がついたら、旧校舎の一室に寝かされていた。

 

 まだディーバギアの影響が出ているのか、何もする気になれない。

 

 ……いや、それだけじゃないな。

 

 記憶にしっかり残っている。目にしっかりと焼き付いている。

 

 髪の色がすっかり変わっていたけど、其れだけだ。

 

「……明日香……っ」

 

 俺達が傷つけた、傷つけるべきでなかった幼馴染。

 

 最初から最後まで被害者で、いいように弄ばれた少女。

 

 自分から探す気にはなれなかった。俺が彼女の立場なら、会いたくないと思われて当然だからだ。

 

 だからこそ、偶然会えた時は謝ろうと思っていた。それほどまでに、俺は悪いことをしたのだと思っているから。

 

 許されたいんじゃない。償いたかった。せめて彼女がこれからの人生を笑顔で過ごせる日が来るように願っていた。

 

 ……それが、禍の団だというのか……?

 

「……ああ、畜生……っ」

 

 物に当たり散らす気力すらない。

 

 俺は、ただ声を絞り出すことしかできない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……本当よね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 だから、隣に光希がいることに気づく余裕もなかった。

 

 ……声に気づいて初めて振り向けば、そこには腕で目元を隠した光希がいた。

 

 薄暗い部屋の中では分かり難いけど、転生悪魔となって夜目も利く。

 

 だから、彼女が泣いていることもしっかりと分かっている。

 

「なんでこうなるのかな。……なんで、私達じゃなくて明日香が悪い方向に行ってるんのかしら……っ」

 

 震える声が、俺自身思っていることを紡ぎだしている。

 

 ああそうだ。

 

 何故純然たる被害者である明日香が、国際テロ組織に属しているのだろうか。

 

 加害者の側である俺や、純然たる加害者の光希。そんな俺達は、和平に関与する立場になっている。見方によってはいい方向だろう。

 

 なのに、もっともいい方向に導かれるべき明日香がテロ組織に属している。

 

 本当に、本当に、なんで―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「起きているようね、二人とも」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―更に沈みそうになる心に、その声がやけに響き渡った。

 

 鬱になっている体を動かせば、そこにはお嬢が、リアス・グレモリーがいる。

 

「色々あって大変でしょう。ただ、今後の予定について一つだけ伝えておこうと思ったの」

 

 ……予定か。

 

 三大勢力の和平が成り、しかし同時に世界全土に同時多発テロを敢行する勢力が現れた。

 

 状況はよく分かっていないけれど、おそらく世界は禍の団との戦いに突入するだろう。

 

 そして、その先兵として明日香も―

 

「強くなるわよ。禍の団との戦いに参加できるぐらい」

 

 ―その声が、やけに心に届いた。

 

「白龍皇ヴァーリ・ルシファーは、間違いなくイッセーを狙ってくる。そしてイッセーだけにその脅威を押し付ける気はないわ。そしてもう一つ」

 

 お嬢は俺達を真っ直ぐに見つめ、そして宣言する。

 

「地崎・明日香・ルシファーや有村無涯を対象とした作戦に参加できる。それを納得させるには力が必要でしょう?」

 

 ……俺は勿論、多分光希も呆気に取られただろう。

 

 そんな俺達の表情を見ているのか、お嬢は真剣な表情だ。

 

「今後がどうなるか分からない。だけど、このまま指をくわえて部外者のまますべてが終わるのなんて許さないわ。貴方達が罪を犯したことも、それを悔いていることも知っている以上、せめて祐斗のように区切りがつけられるようにするべきでしょう?」

 

 ……涙が零れた。

 

 微笑と共に告げられる言葉が心にしみわたる。

 

 間違いなく短い付き合いだ。眷属と言っても、他勢力からの出向である以上は多少距離を置かれるとも思っていた。

 

 だが、彼女は俺達のことを考え、そのうえで主としての在り方を宣言した。

 

「短い付き合いだけど、貴方達の本気はもう知っている。もうあなた達は可愛い下僕で、私は下僕が沈み込んだまま終わるような生を送るなんて望まないわ」

 

 そう宣言し、リアス・グレモリーは……否。

 

「強くなるわよ。レーティングゲームでも実戦でも、皇帝(エンペラー)ディハウザー・ベリアルにも白龍皇ヴァーリ・ルシファーも勝てる眷属でいてもらう以上、地崎・明日香・ルシファーや有村無涯にも通用しないと話にならないわ」

 

 ―我らが主は、その手を伸ばした。

 

「ちゃんと休んでから立ち上がりなさい? これから頑張ってもらうんだから」

 

「……はい、お嬢……っ」

 

 光希が涙を零しながら、それでもしっかりと頷いた。

 

 ああ、そうだ。

 

 このままでいいわけがない。少なくとも、納得なんて到底できない。

 

 だからこそ、俺達はやれるだけのことだけはやろう。

 

「お嬢……ありがとう、ございます……っ」

 

 心から言える。

 

 リアス・グレモリーの眷属になったことは、俺にとっても光希にとっても良い事だったのだと。

 

「しっかり休んで明日から頑張りなさい。私の可愛い下僕達」

 

 はい、頑張らせてもらいます!

 




 ここにきて、光也と光希のリアスに対する忠誠心が急上昇しました。

 こういうことが言えるキャラだからこそリアスは好きです。人徳という点ではかなり優秀ですよね。
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