D’s——聖なる歯車   作:グレン×グレン

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 あ、ちょっと肝心な部分で誤字があったので、一話を再確認してくれると幸いです!


第二話 周りに人がいるからこそ謝れることもある

—イッセーSide—

 

 

 

 

 

 

 

 なんかよく分かんないことも多いけど、とりあえず三大勢力で同盟締結だ!

 

 かつて二天龍が喧嘩に巻き込んできたとき以来かもしれないしな。これって凄いんじゃないか?

 

『ふん、まだまだだ。俺と白いのが出てきた時は、全勢力が大軍を挙げてきたからな』

 

 それは別に威張ることじゃなくない?

 

 めっちゃ迷惑かかってるじゃん。俺、今代の宿主だけど怒られない?

 

「そういえ光希さん? 本命の担当役は誰になるのかしら?」

 

「最優は、神滅具の黒刃の狗神(ケイニス・リュカオン)保有者の幾瀬鳶雄達スラッシュ・ドッグチームですが、こちらは数年前の五大宗家はぐれ者残党が、昨今はやりのディーバギア案件と絡んだ所為で、因縁ありまくりで注力してます。次点は幹部のバラキエル様ですが、こちらは本人が「ややこしくなる」っておっしゃられてたので最終手段です」

 

 へー。神滅具保有者もいるのか。

 

 あとディーバギアって、最近聞くけどなんかヤバイ怪人になるアイテムだったっけ。あれ、堕天使も警戒しているのか。

 

 あとバラキエルって人は誰なんだろう。なんか朱乃さんがピリピリしてる気がするけど。

 

 ただ光希さんは、ちょっと困り顔になっていた。

 

「……多分来る可能性が高いのは、ヴァーリですね。アザゼル総督の秘蔵っ子で、今代の白龍皇(ヴァニシング・ドラゴン)です」

 

 ……リアス部長達の視線が、一斉に俺に集まった。

 

 え、白龍皇? それって確か、ドライグと一緒に三大勢力引っ掻き回した、二天龍の一角?

 

 確か、二天龍の宿主は互いに殺しあうことが殆ど。つまりヴァーリってのが俺と殺し合い?

 

「勘弁してくれません!? 俺はまだ死にたくないっていうか、もっとやりたいこといっぱいあるんだけど!?」

 

「……はい?」

 

『ん……?』

 

 光也さんと功希さんが困惑してるけど、その間に挟まってる光希さんは目を見開いていた。

 

「え、アンタ赤龍帝!? 転生悪魔の!?」

 

「うそでしょ!? 転生悪魔が神滅具持ち!?」

 

『凄まじい事態だな。達希達がいるところで明かされなくてよかったぞ』

 

 連鎖反応的に光也さんと功希さんも驚いているけど、なんかごめんなさい。

 

「ど、ドライグ!? なんか凄い注目されてるけど、俺ってそんなにやばいのか!?」

 

 俺が思わずドライグに助けを求めると、ドライグが光って声をみんなに聞こえるように伝えてくれる。

 

『当たり前だ、相棒。俺と白いのがその気になれば、聖書の神とだってやりあえるし、四大魔王だって数人がかりで挑む手合いだぞ?』

 

 お前、本当に凄かったんだなぁ。

 

 その結果、俺がやばいことになりそうだけど。

 

「……勘弁してくれ。何が悲しくて命がけの殺し合いなんてしなきゃなんないんだよ」

 

「意外だね。二天龍の宿主って、結構野心的だったりするらしいけど」

 

 光也さんがそう言うけど、んなことないって。

 

 俺だって野心はあるぜ? まったくもう。

 

「ありますあります! まずハーレム王が夢ですから! そのために上級悪魔を目指してます。リアス部長や仲間たちのために強くなりたいし、部長やアーシアを泣かせる奴は、神や魔王だってぶん殴るって気合入れてますからね!」

 

 そういったけど、苦笑いで返されたし。

 

 あれ? 俺って結構色々願ってないか?

 

「……まさか最後のをタカ派信徒の前で言ったわけ? そりゃ部屋違う私が感じるぐらいの殺気が出てくるわよ」

 

『信徒の前でそれは、「私は世界の敵で邪悪の権化です」と言うようなものだぞ。もう少し考えて発言することをお勧めする』

 

 この兄妹、発言が容赦ないな!?

 

「いやいや! だってアーシア悪くないでしょ!? それをゼノヴィアとかいうやつ、ボロッカスに言いやがって、しかも剣で斬るってなんだよ!?」

 

 俺は今でも怒ってるけど、功希大司教は者すっごく複雑な表情だった。

 

『いや、事情を知らなかったとはいえ、上級悪魔を聖女が治療した結果逃げられるなど大問題だぞ? 人間世界に置き換えれば、戦争中の敵国要人を救助して逃亡をほう助したようなものだ。軍法裁判で重罪……銃殺刑もあるだろうな』

 

 なんだそりゃ。マジで教会にはむかつくんだけど。

 

 俺はもう不満が隠せなかったけど、大司教は噛んで含めるような態度で俺に視線を向けていた。

 

『個人間での善行が通用しない業界など腐るほどある。その考え方には折り合いをつけなければ、悪魔社会内部でも余計な罪に問われることもある。主の為に頑張るというのなら、主に責任が行かぬよう折り合いのつけ方を考えるべきだ。……いや、敵対勢力に助言をするのも問題か』

 

 な、なんかため息をついてきたけど、これは俺に対する者モノじゃないな。

 

 とりあえず、この大司教さんはいい人っぽい。リアス部長も協力姿勢だし、ちょっと我慢するか。

 

「と、とりあえず参考にします! あ、そういえば堕天使側の光希さんが妹ってマジっすか?」

 

「イッセー。それは後にしてほしいのだけど?」

 

 リアス部長にたしなめられたけど、功希さんは笑って流してくれた。

 

『かまわないさ。私は技術畑なので、そちらは専門外だ。敵対しない範囲内ならそちらの裁量に任せるのが筋だろう』

 

 あ、そうなんだ。

 

 もしかして楽に話が終わる感じ? それならいいんだけど。

 

 俺がちょっとほっとしていると、功希さんは光希さんと光也さんをちらりと見てから、肩をすくめた。

 

『光希は私の妹で、光也君はその幼馴染だ。五年前に失踪しているが……このような巡り合わせになるとはな』

 

 なんか色々ありそう。

 

 あと失踪ってことは、家出したのか。でもそのままPMCとか堕天使の部下とか、それはどうなんだろうって思う。

 

『ただまあ、その一件もあって達希は聖書の教え、そして正義の統一と徹底に強く執着している。そちらで問題が起きたとするのなら、その辺りが原因の一つだろうな』

 

 ややこしい家庭の事情があるって言われた感じか。

 

 うん、これは深入りしない方がいいかも!

 

 本題からずれるしね! 怒られそうだから気を付けよう。

 

「……一応聞くけど、何があったのか聞いてもいい?」

 

 光希さんが訪ねてきたけど、そこは別に隠す理由はないんだよな。

 

「交渉そのものはまぁ一方的な要求だったけど、終わりはしたんだよ。で、帰ろうとしたら急にゼノヴィアがアーシアの方を向いてな」

 

 俺がいやいや説明しようとすると、功希さんが割って入るように片手を揚げる。

 

『先も言ったが、彼女は治癒の力で聖女と呼ばれるほどだった神器保有者だ。だが深手を負った上級悪魔をそうと知らずに治療してしまってな。周辺の聖職者が神器に疎かったこともあり、崇拝が反転して魔女と恐れられるようになった』

 

「あ、なるほど。知らずとはいえ現地の象徴が敵対勢力の要人の逃亡幇助。……無罪放免ってわけにはいかないわね」

 

 功希さんも光希さんも、同情的な感じでアーシアの方に視線が行った。

 

「となると、確か聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)? 確か教会でも危険視されてる神器だって話だけど?」

 

『主が何故お作りになられたのかは知りえないが、現状ではその能力や負の実績から危険神器を認定せざるをえない。特に聖母の微笑は、最重要秘匿案件で危険視されているものでな』

 

 光也さんに説明してくれる功希さんだけど、もしかして厄ネタ?

 

 俺がそんなことを思ってると、功希さんはこっちを向いた。

 

『みもふたもことを言うが、君の赤龍帝の籠手より危険視されている。まぁ、その機密事項は達希の立場では知りえない最重要機密だがな』

 

 厄ネタだった。

 

 っていうか、俺の赤龍帝の籠手も危険神器かよ! 酷いな!?

 

「ち、ちなみに魔剣創造ってのはどうなんですか!?」

 

「イッセー君、やめてくれない?」

 

 木場がなんか突っ込んでくるけど、功希さんはなんか納得してた。

 

『認定されているな。魔性の力を持つ剣を創り出すという点もあるし、そういう手合いはどうしても教会と敵対する場合が多いからな。そうか、君もか。苦労する同僚を持っているようだな』

 

「イッセー。ちょっと言うことを考えて頂戴」

 

 功希さんとリアス部長の視線がこっち向いた!

 

 は、話を戻そう!!

 

「と、とりあえずゼノヴィアがアーシアに色々言って、信仰を捨ててないなら私の刃で死ぬといいとか言ってきましてね!?」

 

「イッセー君だっけ。多分それ、介錯的な善意の発言だと思う。信徒的に自殺は最大級の大罪で、介錯用の短剣とか善意で作られてるから」

 

 え、マジですか光也さん!?

 

 殺すのが善意ってどんな世界だよ。もう理解したくねえ!

 

「……で、イッセー先輩が割って入ったんですが、その言い合いがヒートアップした結果、あなた方の弟さんが「とりあえずお前は殺す」と戦闘態勢に入ったんです」

 

 小猫ちゃんが非難気味な補足を言ってくれたけど、功希さんはもの凄く複雑な表情だった。

 

『弟が過激派で済まん。おそらく先の発言*1を言ってしまったのだろう。……直属の部下がいなくてよかったな。いれば収拾がつかない全面戦争になっただろう』

 

「直属の部下ね。そんなことを言っていたけれど、規模はどのぐらいなの?」

 

 リアス部長が確認すると、功希さんがため息をついた。

 

『基本は少数精鋭だ。だがあの三人は神聖騎士(アーク・パラディン)。うち二名が直属の従者隊を持っており、総人数は二十を超えるだろうな。……基本タカ派と思ってくれていい』

 

 な、なんかよく分からないのが来た!?

 

「神聖騎士。近年教会が認定したという、若手悪魔祓いの凄腕に与えられる称号ですわね」

 

「その通り。任命基準は「単独で眷属を率いた上級悪魔を撃破」もしくは「単独で最上級悪魔と戦闘し成果を上げて生還する」だよ」

 

 朱乃さんと光也さんが話しているけど、そんなにやばいのかよ!?

 

 なんか凄い奴らなんだな!?

 

 っていうか、最上級悪魔って最上級堕天使と同格のはずだ。つまり、コカビエルとやりあえるってことか。

 

『相棒。最上級と言ってもピンからキリまであるのを忘れるな。コカビエルは最上級の上澄みレベル、魔王とだって戦える化け物だからな?』

 

 マジですかドライグさん!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

—月宮光也—

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 割と脱線したけど、話は割とまとまってくれた。

 

 良かった良かった。達希君達を半ばのさばらせる結果になるけど、そこはデュリオに期待するしかない。

 

「あとはイリナ達が変なことをしないか期待すればいいのかな?」

 

「大丈夫だと思うよ? 本命のデュリオは神聖騎士の序列一位。名実ともに最強の悪魔祓いだから」

 

 本当に、そこは安心してくれていい。

 

 最悪デュリオがいれば、物理的に抑える余地はある。向こうも最強戦力かつ猊下の名代を無視はしないだろう。

 

『序列八位、「敬虔なる聖剣」紫藤イリナ。序列七位、「斬り姫」ゼノヴィア。序列六位、「授かりの聖騎士」トキサダこと、私達の弟でもある達希。タカ派の戦力でも指折りの実力者をもれなく送り込むとはな。コカビエル相手でも単独なら五割以上の勝率はあるか』

 

「聖剣使い、それもエクスカリバーの保有者が二名。更にそれを差し置いて序列が上の使い手がいるのなら当然ね。最も、コカビエル以外にもいる可能性はあるけれども」

 

 リアス・グレモリーが功希さんに答えると、隣にいた金髪の子が一歩前に出る。

 

「……こうなれば情報を提供するしかない。……先日、エクスカリバーを保有したはぐれ悪魔祓いと戦闘しました」

 

 ……すいません。リアス・グレモリー達も面食らってるんだけど。

 

「祐斗!? なんでそれを言わなかったの!?」

 

「申し訳ありません。告げれば僕一人で挑めなくなると思いまして。……名はフリード・セルゼン。覚えは?」

 

 え~。あのフリード・セルゼン……?

 

狗刃(スラッシュ・ドッグ)や五大宗家の一件に関与していた悪魔祓いだ。十四歳で育成機関を主席で終え、エクスカリバーにも縁がある聖剣ガラティンの使い手に師事していた実力者。一時は神聖騎士に序列されたこともある』

 

 功希さんが苦い顔で告げるけど本当に酷かったね。

 

「ただ、師を悪魔に殺されたこともあってか凶悪でね。身内にも被害が出たりちょっと関係しているだけの人間にまで危害を加えることから、はぐれに認定されたらしい。取り逃がしたと聞いていたけど、聖剣適正はなかったはずだけどね」

 

 エクスカリバーの使い手になれるなら、もっと早くなっているだろう。ガラティンの使い手の教え子である以上、エクスカリバーにそこそこ縁はあるはずだ。

 

 と、なると―

 

「功希さん。これはバルパ―・ガリレイが関与しているのでは?」

 

『だろうな。どうなんだ、光希』

 

 ―光希に確認だね。

 

 俺と功希さんに視線を向けられ、光希も肩をすくめて頷いた。

 

「間違いなくかかわってるわ。コカビエルは聖剣に興味があって、聖剣使いの量産方法を確立させたバルパーは対等に近い子飼いの部下よ」

 

 げんなりしている辺り、そこそこ付き合いがあったのかもしれない。不本意で。

 

「……聖剣に関与しているということは、そのバルパーは聖剣計画に繋がりがあるのかしら?」

 

 リアス・グレモリーの探るような言葉に、功希さんはちょっと面食らっていたけどすぐに納得したのかうなづいた。

 

『関係者が知人にいるのなら言うべきか。奴は聖剣計画の主任であり、不必要に被験者を殺害した罪で異端認定がされている。神の子を見張る者に逃げ込んだとは聞いていたが』

 

「それで正解よ、兄さん。あいつ、神の子を見張る者(こっち)でも成果を上げていて、コカビエルの直属化もあって閑職に回せないのよ」

 

 光希が再びげんなりしてた。

 

 バルパーについて語るのも面倒。そう言いたげなのが丸分かりだ。

 

 というか、あいつ本当に悪辣だからね。

 

 関連情報として伝えられているけど、なんであんなのが聖職者になれたのやら。

 

「こっちでも人工聖剣使いを作る時、出さなくていい死人を作ろうとするからそこは厳しく止められてたわね。ごみ処理感覚で味方の人材殺すとか、コカビエルの直下じゃなければ流石に体を調べさせないわよ」

 

『多少気になることは流すが、まったくだ。……人工的な聖剣使い、そのある種の奇跡に汚点を作る所業、度し難い』

 

 兄妹揃ってため息をつくけど、そのうえで功希さんは意識を切り替えた。

 

『光希。バルパー・ガリレイだが関与しているなら話は早い。奴の処遇はこちらか悪魔側が好きにしていいな? ……それでいいだろうか、少年?』

 

 その視線が向く先は、金髪の少年。

 

 そして少年は、どこか楽しそうに頷いた。

 

「僕としては望むところだね。……同志達の仇を討てるのなら、この共闘も乗り気になるというものさ……っ」

 

「……えっと、会長? 状況がさっぱりなんですけど……?」

 

 と、そこでソーナ・シトリーに付いて来てた少年がかなり頭を捻っていた。

 

「あれ? そういえばなんで匙はそこにいるんだ?」

 

「どういう意味だよ、てめえ!!」

 

 えっとその、なんかごめんね?

 

 俺が接触したのが理由みたいなところあるから、後で謝っておこう。

 

「……とりあえず、この規模となれば私達の管轄を超えてますね。流石に魔王様方に連絡するべきでしょう」

 

「待ってソーナ。流石に今の時期に、魔王様に迷惑をかけるのは―」

 

『事情は知らぬがそれは違う。堕天使最高幹部が出てくる事案、上層部に伝えない方が問題だろう』

 

 と、トップ級が何やら本格的に話し始めた。

 

 となるとちょっと、手持ち無沙汰になるね。

 

 そう思っていると。光希が俺の方を向いた。

 

「……光也。ちょうどいいから、けじめをつけさせてくれない?」

 

 ……それは、こっちにとっても好都合だね。

 

 俺も覚悟を、決める時かな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

—兵藤一誠—

 

 

 

 

 

 

 

 

 本格的にリアス部長達が話を詰めている中、光希さんは光也さんの方を振り向いていた。

 

 なんていうか、もの凄く決意しているというか覚悟しているというか。

 

 正直、俺達は気圧されている。

 

「……場所を変えるべきなんでしょうけど、人前じゃないと逆におじけづきそうね。悪いけど、依頼という形で見届け人に―」

 

 なんか凄い事を言いかけたけど、そこで割って入る人がいる。

 

『いや、なら私も見届けるべきだろう』

 

 話を終えた功希さんは、真っ直ぐな目を向けていた。

 

『リアス・グレモリー。信徒としては問題だが、一人の兄として依頼する。……妹の見届け人になってほしい』

 

「……そう言われると、一人の妹としては断れないわね。依頼はこの事態解決に全面的に協力することでよろしく頼むわ」

 

 な、なんか断れない雰囲気になっている!

 

 大丈夫なのか、何をする気か知らないけど、この調子でいくのか。

 

 光也さんも顔が強張ってるし。え、何が―

 

「本当に、御免なさい」

 

 ―頭を深く下げた。

 

 人目もはばからず、光希さんは光也さんに頭を下げた。

 

「貴方を唆した。貴方にしなくてもいい罪を犯させた。……あれは、私が提案したことなの」

 

 よく分からない。だけど、本気なのは分かる。

 

「許してくれなんて言わない。今更何が変わるとも思わない。でも、これが五年もかけて導き出せた本音」

 

 俺達が面食らっている中、功希さんは何かに耐えるように見つめる中、光希さんは謝罪をした。

 

「貴方が許せないなら、今の立場なら問題ない。私を殺すというのも、立派な選択肢で」

 

「俺こそ、御免なさい」

 

 そして光也さんも頭を下げた。

 

 心からの謝罪を、光也さんもした。

 

 え、もうどういうことかさっぱりなんだけど!?

 

「……俺にだって責任はある。いや、そもそもあんな提案断るべきで、其れこそあの場で怒るぐらいするべきことだった」

 

 そういい、光也さんは頭を上げる。

 

「ただ理由だけは聞かせてくれ。……なんでだ?」

 

「……嫉妬よ」

 

 頭を下げたまま、光希さんはそう言った。

 

「昔、私達三人は私がリーダーで私が優秀だった。ずっとそういうものだと思っていたし、あの頃は明日香も含めて大切な幼馴染で、私は特別に思ってた。……でも、何時の間にか劣等感を抱いてた」

 

 光希さんは、寂しそうだった。

 

「隠れて努力してたわ。速読や速記を覚えて、少しでも勉強ができるようにした。毎朝早起きして筋トレやランニングをして運動もできるようにした。バイトもこなしていろんな本で知識を集め、料理や手芸もできるように頑張った」

 

 それはすっごい努力をしてると、俺は思う。

 

「……だけど、私は何時の間にかそれで漸く追いつける程度だった」

 

「いや、勉強は常に俺が一番下じゃ―」

 

「―それなら、明日香は運動は本当に苦手だったでしょ?」

 

 光也さんを遮って、光希さんは泣きそうな顔を上げた。

 

「どこかで負けてる時点で、劣等感ばかり浮かんでた。……だから有村の奴にあってからすぐ、私はあいつに言い寄ったのよ」

 

 その言葉に、光也さんは強張った。

 

「……あいつが明日香を玩具扱いしてると気づいた時、同じ立場と視点に回って優越感を感じてたわ。何も知らないアンタのことも嘲笑っていた。……そしたらもう、半分ぐらい私から降ったあの関係も煩わしくなって……それで提案したのよ」

 

 二人とも、拳を握り締めていた。

 

 な、なんか怖い雰囲気になってるけど―

 

「結局、全部ばれて怒られた時も全員に逆恨みしたわ。修道院行きなんて嫌で、無理やり家出して、売春ばっかりして日銭を稼ぐ毎日」

 

 ―それはきっと、自分が嫌いなんだろうって俺でも分かる表情だった。

 

「ずっとずっと自問自答して二年そこら。たまたま堕天使が関わる事件に巻き込まれて、咄嗟に体が動いたら、そこで聖剣使いに適性が発覚。……馬鹿にしなさい。私は、自分が三人の中で特別でい続けたくって、それが壊れてから特別になったのよ……っ」

 

 泣きそうなその表情は、俺達が何か言うのを止めていた。

 

 ただ沈黙が苦しくて、俺はどうしたものかと思って―

 

「それでも。俺にも過失はあるし罪はある」

 

 ―光也さんは、再び頭を下げた。

 

「友達っていうのは、親友っていうのは、間違えた時にちゃんと怒れる関係だ。そもそもあんなことを提案されて、それに乗っかった俺に責める資格はない」

 

 そう言って、光也さんは頭を上げる。

 

「俺も見失っていたんだ。大切な関係を守りたくて頑張って、それが何時の間にかおごりになっていた。……笑っていいよ。俺は誰かを大切に思うという意味を勘違いして、二人揃って傷つけたようなものだ」

 

 そう言ったうえで、光也さんは―

 

「だから、悪いと思っているなら約束してくれ。……もし明日香に会えたら、その時は一緒に謝ろう」

 

 ―そう小さく微笑んだ。

 

「探しに行けるほど面の皮は厚くない。だけど、もし居場所が知れたら連絡してくれ。俺も連絡するから、その時は……」

 

「……そうね。ええ、貴方にしたのなら、明日香にもしないと……ね」

 

 互いに苦笑を交わした二人は、俺達に振り返った。

 

「……悪いね。二人だけだと話せそうになかったから、ちょっと甘えちゃったよ」

 

「こっからは改めて仕事をするわ。リアス・グレモリー、対価はきちんと払うから安心して」

 

 ……えっと、ね?

 

「置いてけぼりなんですが!?」

 

『……すまない。だが、二人が連携するならこれは必要な儀式ということで理解してくれ』

 

 功希さん!? それはなんとなく分かるんですけど、そういう問題じゃないんですよ!?

 

「とりあえず、魔王様方への連絡はこちらで何かしらの手段を考えておきます。匙を連絡役として残すので、こき使ってください」

 

「え、あ、はい! それは分かりました会長!!」

 

 あ、匙は残るのか。

 

 ソーナ会長と副会長はそのまま去っていくけど、そのうえで匙は本気で困惑していた。

 

「で、俺はかなり置いてけぼりなんですけど。そもそも、木場と聖剣計画って何なんですか……?」

 

「そうだね。その辺りも話した方がいいかもね」

 

 木場も落ち着いているみたいで何よりだけど、さてどうしたもんかな……?

 

 

*1
神や魔王もぶん殴る発現の部分。実態として正解

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