D’s——聖なる歯車   作:グレン×グレン

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 なんか、聖母の微笑の危険性に対する認識が自分と感想の方々で全然違う気がする今日この頃。

 聖母の微笑は原作で危険神器と認定されていて、発見された所有者は教会から追放される代物で、その理由が「悪魔すら治療できる回復能力」にあるからだったような……?

 あれ、アーシアのやさしさと回復面は「広範囲回復で敵味方識別が困難」な部類だったような……?


第三話 黒歴史の元ネタは、マジで忌まわしい歴史のことなのです

—月宮光希—

 

 

 

 

 

 

 

 

 人間、生きていれば間違えることはある。

 

 そんなことは知っているし、それはもはや当然と言ってもいいこと。少なくとも、私は特例の類じゃなかった。

 

 問題は、私の間違いがあまりに悪辣だったこと。

 

 それを間違いだと理解や実感をするのに何年もかけた。だからこそ、私は今の生き方を貫いて死のうと思っている。できないなら死ねばいいと思っている。

 

 だからこそ、頭が痛いけどコカビエルの暴走に対応するのも覚悟はできている。むしろここで動かないでどうするんだというレベルね。

 

 一手間違えれば三大勢力で戦争再開。それも、他勢力や人間界を巻き込んだ世界大戦ならぬ世界大乱戦の始まりに繋がりかねない。昨今の神器バーゲンセール時代が、人間側のタカ派を活性化させているのも拍車をかけている。

 

 だからこそ、苦肉の策で兄さんに手紙を送った。我が家は敬虔なクリスチャンが代々多い家系で、兄さんはガチでバチカンで聖職者になって働いている生粋の人物。ローマ教皇猊下に届く可能性があるかもしれないという博打だった。

 

 ……まさか大司教やってるとは思ってなかったけどね!? しかも達希が悪魔祓いの期待のホープとかどういう状況よ!?

 

 それを思い返して頭痛を覚えながら、私は意識を現実に戻す。

 

 こんな方向で思考停止をしていた理由は単純。

 

「兵藤! お前もまた……俺と同じ決意を持っていたんだな!!」

 

「ああ、匙! 俺達は……同じ困難に立ち向かう同士だっ!!」

 

 変態と変態が意気投合していた。

 

 ……五分前ぐらいには、バルパーのおっさんが原因で起きたろくでもないホロコーストについて聞かされていたはずなんだけれどね。

 

 聖剣計画。バルパー・ガリレイのおっさんが主任研究員をしていた教会の計画。計画内容は「人工的に聖剣使いを育成できないか」というもの。

 

 聖剣はかなり強い武器になり、高位の神器に匹敵する。伝説クラスともなれば神滅具に並び立てる武装だけれど、使い手を選ぶ。

 

 それを人工的に作れれば、死蔵している聖剣を有効活用できる。それを考えるのはまぁ当然のことだけど、バルパーのおっさんはあまりに外道だった。

 

 研究成果はきちんとできたけれど、その被験者である()()()を毒ガスで殺害。この時点で真っ当な倫理観があるなら厳罰もするでしょう。しかも殺す必要がまったくないのならなおのこと。

 

 実際神の子を見張る者でも、態々殺す必要がないと結論が出ているし。まったくもって反吐が出るわ。

 

 ……しかも私が天然物の聖剣使いだってことが発覚したから、興味をもって寄ってくるし。いやでも顔を覚えたわ。

 

 そんな実験の被験者。それが木場祐斗。

 

 なんでも毒ガスが巻かれる中、被験者仲間が身を挺して逃がしてくれたとのこと。それでも毒の影響で死んだけれど、たまたま近くを通りがかったリアス・グレモリーが見つけたことで、転生悪魔になる形で生き永らえた。

 

 死者蘇生が限定的にとはいえ可能とか、悪魔の駒も大概ね。ま、それはいいとして。

 

 そんな連中の縄張りに、バルパーのおっさんを伴ってコカビエルが、聖剣エクスカリバーを教会から強奪して侵入。

 

 ろくでもないことを考えてるとしか思えない。

 

 ま、向こうもあっさり侵入に気づかれる間抜けをしてない以上、準備期間ぐらいはあるんでしょうね。それまでに何とかしたい所だけど難しい。せめて本命が来てくれればいいのだけれどね。

 

 で、問題は此処から。

 

 匙元士郎とかいうソーナ・シトリーの眷属。彼が思いっきり号泣して、思いっきり木場祐斗を励まして、思いっきりやる気を出した。

 

 これはいいわ。むしろ男気があっていい男じゃない。私も光也も、あったかいものを見守る気分になった。

 

 なったけど……ここからが酷い。

 

 あまり人に話すことじゃないことを聞いたからか、匙元士郎は自分の隠し事とも明かしてくれた。

 

 ……ソーナ・シトリーとできちゃった結婚をすることだと言ってきやがった。

 

 そして赤龍帝の兵藤一誠が共鳴した。

 

 主のリアス・グレモリーの乳首を吸うことが夢だといってきた。

 

 現実から逃避したくもなる気持ちを、理解してほしい。

 

「お茶です。よければどうぞ」

 

「お菓子もあります」

 

「「あ、どうも」」

 

 木場祐斗と、眷属の塔城小猫が気を利かせてくれたわね。

 

 ちなみにリアス・グレモリーと姫島朱乃は、駒王町の監視体制の見直しに言っている。

 

 要は、今は対応するメンバーでの相互理解を深めた親睦会になっているわね。

 

 ……とりあえず、女の視点から何か言ったほうがいいかしら。

 

「あまり人に、というか女に聞かせる話じゃないから気をつけなさい。特年頃の女子はそういうの潔癖なのが主流派だしね」

 

「あ、はい! わかってます!!」

 

「え、マジ!? マジですか!?」

 

 ……反応は対照的ね。

 

 即座に納得しているのは匙元士郎。狼狽しているのは兵藤一誠。

 

 というか、匙元士郎は兵藤一誠の方を見てちょっと半目になっている。

 

「いや、お前はもうちょっと理解しろって。女子の着替え覗いたり、教室でエロ本広げるのはダメだろ、マジで」

 

「え、そんな!? その程度でそこまで言われるのかよ!?」

 

「言われるわよ!? むしろなんで在学できてるの!?」

 

 私は兵藤一誠の反応にツッコミを入れるしかないわね。

 

 ……あ~。これは、反面教師として一言言っておくべきかしら。

 

 今こそ、自己研鑽の過程で集めた無駄知識を明かすときね。敵に食塩一パックぐらい奢ってやろうじゃない!

 

 若者が道を踏み外さないようにするのも先達の務めだわ。気合入れるか。

 

「……まったく。ちょっと正座して私の話を聞きなさい、赤龍帝」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

—木場祐斗—

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、これ手土産に持ってきたお煎餅だけど食べる? 塩気が欲しいタイミングだよね?」

 

「あ、お気遣い感謝します」

 

 月崎光也さんからお煎餅を受け取りながら、僕はちょっと苦笑していた。

 

 真に復讐するべき対象を知れたのはありがたい。

 

 同志達を殺害しようとしたのは、教会全体ではなく研究主任の独断。そしてその男は今、コカビエルの配下としてこの駒王町に潜伏している。加えて、堕天使側からそのバルパー・ガリレイに関しては悪魔側がどうにかしていいことも許可を得ている。

 

 遠慮も容赦もするつもりはない。それに、人に過去を話したうえで協力を約束されたことで、僕もだいぶ気分が落ち着いた気がするよ。

 

「ま、こっちも多少は手伝うさ。流石にそういう手合いを見逃す理由はないし、教会の外注としてはなおのことね?」

 

「ありがとうございます」

 

 月崎さんにお礼を言ったうえで、僕は視線をイッセー君達に戻す。

 

 そろそろ現実逃避は終えるとして―

 

「そも生物学的な種の保存本能として、男と女は感性が違うように設計されてるの。分かる? モテたいなら女が寄ってくるような男になりなさい」

 

「……そんな。女にとって覗かれることが、そこまでの苦痛……?」

 

 ―月宮光希さんが、イッセー君を説得している途中だった。

 

 イッセー君は基本的にいい子というか、友達として話す分には気のいい男の子だ。リアス部長はもちろん、僕達に対しても情熱的かつ献身的に力になろうとしてくれている。女子人気の差から僕はひがまれることも多いけど、それでもレーティングゲームで倒されれば憤ってくれるようないい人だ。

 

 ただ、煩悩が凄まじく強い。

 

 女子の着替えを覗く。

 

 女子がいる教室でエロ本やエロゲーを広げる。

 

 なんなら劣悪な魔力の才能を、煩悩で補強してゲームで通用する技を作る。

 

 ……確かに、ちょっと性欲を制御した方がいいとは思っていた。リアス部長や朱乃さんに、アーシアさんは結構鷹揚だから変化はないけど。小猫ちゃんは厳しめだけどね。

 

 そのイッセー君を相手に、月宮さんは見事に説得し、イッセー君を愕然とさせている。

 

 性的観念に対する男性と女性の違いを説明。更に裏付けとして、ネットで調べれば結果が見つかるアンケートや統計データを示して納得させる。とどめに雌雄の生物学的違いの観点から、更に補強している。

 

 あのイッセー君が、あのイッセー君が! その辺りの認識がさっぱり治らないイッセー君が!

 

 今ここに、覗きをやめようと考えている!?

 

「駄目だぁあああああっ! そこに女子の着替えがあるのに覗かないなんて、耐えられない!?」

 

「心療内科医に相談して薬処方してもらいなさい。とりあえず対症療法で気分を鎮める呼吸法とツボも教えるから、頑張りなさい」

 

「うん、それはマジで教えてもらえ。真剣に女子からの苦情が多いし、そもそも何度もフルボッコにされてるだろ」

 

 絶叫しながらも止める可能性を考えるようになったイッセー君。そこに的確にアドバイスをする月宮さんに、生徒会の観点から指摘する匙君が畳みかけている。

 

 と、月宮さんは匙君のほうを困り顔で向いた。

 

「それはそれでまずいわね。この国の司法は正当防衛と現行犯逮捕以外の犯罪者への加害行為を本来認めてないわ。捕まえてから集団でボコるのは犯罪になるわね」

 

 そう言うと、月宮さんは首を捻る。

 

「というか、女子の着替え覗いて退学って結構あるわよ*1? ま、集団リンチがばれると集団で警察の厄介になるし、平和的に解決するに越したことはないでしょうけど」

 

 あ、結構リベラルというか公平的に見ているんだね。

 

 てっきり容赦なくイッセー君だけに説教をするかと思ったけれど、意外と男の心情にも理解があるのかもしれない。

 

「ま、年頃の男ってのは目先のエロに思考が引っ張られるのも事実。なんか末端の連中が迷惑かけたっぽいし、後で上層部に掛け合ってなんか発散できるの送ってもらうわ。……幻覚見せる神器を応用した、疑似性交体験技術のテスター件とかならいけるかしら……?」

 

 理解がありすぎないかい!?

 

「その、幼馴染なんですよね? 大丈夫ですか?」

 

 僕は幼馴染とかには縁がない。まぁ研究機関の同志達が近いのかもだけど、幼くして死別しているしね。

 

 ただ、男の身からするとあれだよね。女の幼馴染がこうもエロに寛容なのも気になるのでは?

 

「あはは。ま、光希は昔から物知りで、一歩離れた視点でアドバイスするのとか得意だったからね。……それに甘えてやらかしたことがあるから、何も言えないです」

 

 もの凄い遠い目で、悟っているような状態になっている。

 

 何をやらかしたんだろうか。気になるけど聞いてはいけない気がする。

 

 そういえば、先ほどの謝りあいから見ても何かあるだろう。きっと、うかつに人に話してはいけないことがあるかもしれない。

 

 僕はそっと距離を置くべきかとも思ったけど、しかし月崎さんはふと何かに気づいたみたいだ。

 

「あ、でも反面教師としては的確かもしれないな」

 

「それよ、それ! 冴えてるじゃない、光也!!」

 

 なんか二人揃ってノリ気だ!?

 

 え、明らかに闇が見える過去をこの流れで話すのか!? 正気ですか!?

 

「……いいんですか? 何か重そうですけど」

 

「間違いなく重いし軽蔑されそうだけどね。まぁ、だからこそ反面教師には相応しいしね。そもそも、チームメイトには教えてるし」

 

「同じく。ま、神の子を見張る者(うち)で親しい奴にはみんな話してるから問題ないわ。色々聞いてて気になってるでしょうしね。」

 

 二人揃って、苦笑いをしているけどそう語る。

 

 そういう風に割り切れているのか。いや、違う。

 

 互いが互いに後悔を抱き、あえて人前でそれを謝罪することを選んだ。そして、互いにもう一人に対する後悔を抱え続けている。

 

 ……それが、軽いわけがない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

—兵藤一誠—

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺はちょっと居住まいを正す感じになった。

 

 というか、アーシア達も真剣な表情だ。

 

「……ま、明日香のことは当人のプライベートもあるから飛ばすしかないんで簡潔に語るわ。私と光也は幼馴染で、昔はいじめられっ子だったこいつを庇って、もう一人を含めてリーダー気取りだったわけよ私は」

 

「気取りも何もリーダーだけどね。当時の俺は気弱だったし、明日香……もう一人も、リーダー格とか向いてるタイプじゃなかったからね」

 

 げんなりとした様子の光希さんに、月崎さんはフォローするようにそう言った。

 

 なんか分かるかも。仕切りたがりとかそういうんじゃなく、自然と仕切る側に回りそうな雰囲気がある。

 

 面倒見がいい感じだし、まとめ役に向いている雰囲気がするし。学級委員長とかじゃなくて、班決めで自然と進行役になるタイプかな?

 

 ただ同時に、そういった月崎さんはどこか悲しそうな表情だった。

 

「あの頃は守られてばっかりだったからね。……俺は当時、「二人を守れる立派な男になるよ!」なんて言ってたっけ」

 

「実際頑張ってたけどね。線が細いから勘違いされるけど、細いだけで筋肉しっかりあるし。高校の時には運動部や武道系で助っ人になることも割とあるし」

 

 今度は光希さんがフォローに回ってるけど、確かに凄いな。

 

 ちょっとは鍛え始めてるから何となく分かるけど、確かに動きに無駄がない。俺達で言うなら木場みたいなタイプだよな。

 

 ただ、互いにフォローしてるけど自分のことは嫌っている。そんな感じが見えるんだよなぁ。

 

 というか、互いに一気に暗くなってたし。

 

「……その高校生になる頃には、完全に初志を忘れてたからね俺。なんていうか天狗になってたというか、「助っ人選手でみんなに頼られる俺かっけー」って感じで調子乗りまくって勉強おろそかだし」

 

「実際スポーツ推薦行けるんじゃないかとか言われてたしいいじゃない。私なんて、部活に通わずバイトや全方位自己研鑽してたけど、結局器用貧乏というか、まぁ全部優秀だよね止まりが関の山だし」

 

 急激に暗くなっているけど、俺達は止めた方がいいんだろうか。

 

「そういうわけで、私はもちろん光也も色々と歪はあった感じ。ただ私は特に酷くてね。この頃は「いっそ光也を射止めれば明日香にマウントが取れる」みたいなこと考えて、高校生から経験ありって感じでモーションかけてたのよ」

 

「実害の無い背伸びは問題ないよ。むしろ俺の方こそそれを聞いた結果が「なら明日香と付き合っても恥ずかしくないように鍛えてください!」って土下座だよ。今更考えてもデリカシーがないというか、あのモーションでそういう方向は駄目だろうに」

 

「そこから「なら手練手管でこっちに惚れさせてやる」なんて考えて動いた私が大概なだけよ。大体年頃の男なんて、下半身に忠実なスケベか、そんな自分を嫌ってガワかぶっているだけなのが大半でしょ。それで逆恨みする私こそロクでなしだわ」

 

「いやいや。好きな女の子がいるのにそういうことするのって、迷走以外の何物でもないって。何より二人を守れる男になりたいって頑張っておきながら、あの頃は守ることの意味も何も分かってない。ただのカッコだけつけている馬鹿だったんだからさ? 見限られて当然だよ」

 

「それを諫めることだってできたはずよ。結局私は、リーダー気取りでマウントを取りたいだけの小物だった。あんたが当時馬鹿だったのは事実だけど、それ以上に私の器の小ささと醜さが事態を悪化させたわ」

 

 ……互いにフォローしながら自分をサゲ始めてる。

 

 え、えっとどうすればいいのかな?

 

「……青少年の黒歴史あるあるになってますね」

 

「黒歴史……? えっと、その何が黒いのでしょうか?」

 

 小猫ちゃんがネットスラングを言い出して、アーシアがその辺り詳しくないからちょっと困惑した時だ。

 

「「それはここから」」

 

 ハモったよ。

 

「……きっかけは、俺達が高校に進学する少し前かな? 明日香……共通の幼馴染に家庭教師がついたんだよ。有村って人だけど、イケメンで家庭教師ができる上、喧嘩も強い」

 

「で、私達が初めて会った時点で舞い上がってたの。ま、恋に恋する時期って奴よ。実際高一のバレンタインで初めて光也にチョコ上げなかったし、女から見ると分かり易いあれね」

 

 凄い嫌な予感を覚えてきた。

 

 そういえば、光希さんはその有村に言い寄ったって言ってたっけ。

 

 で、明日香を玩具扱いとか……あ、まさか!?

 

「エロ本でたまにあるアレですか!? 「お前が好きな子俺の彼女なんだけど、今度目隠しするから一発ヤルか」的なぐはっ!?」

 

「空気を読んでくださいエロ漫画先輩」

 

 す、すいません小猫様……あれ?

 

 なんか、当社比五割増しぐらいで暗くなったような―

 

「「―それです」」

 

 当たったぁああああああ!?

 

*1
108人強に一人ぐらいいるらしい




 ……まぁもうぶっちゃけると、アレです。かつて描いた作品の幼馴染三人のリメイク要素入れてます。

 別作品でやっていたんだけど、こっちはアプローチなどを根源から見直す方向。コードギアス新作の流れがあり、ちょっと見直しを入れたほうがよさそうになっているところがあってのぅ……。ま、そのあたり次第では同時進行も視野に入れるけど。
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