D’s——聖なる歯車   作:グレン×グレン

9 / 30
 はいどうもー! ちょっと食いすぎたのか気持ち悪いグレン×グレンです!

 さぁて、可能な限り巻いていきましたがエクスカリバー編もそろそろ大詰めとなっております!!


第八話 銀の歯車

—兵藤一誠—

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今、コカビエルが妙なことを言った気がする。

 

 というか、なんか周りがみんな固まってる。

 

 え、あれ? ん?

 

 っていうか、アーシアとイリナに至っては顔が真っ青でいやな汗まで書いてるんだけど。

 

「え? えっと……神様が死んでるんだっけか?」

 

 俺はコカビエルの言ったことを思い返して口にするけど、まぁびっくりすることな気はするよな。

 

 でも、敬虔な信徒なイリナや今でも神を信仰しているアーシアはともかく、リアス部長たちがそこまで驚愕することか?

 

 初代四大魔王様もかつての大戦で死んだって話だ。そりゃ聖書の神様だって死ぬかもしれない。それぐらいは俺でもわかるんだけど。

 

「えっと、なんで悪魔のリアス部長たちまで動揺してるの?」

 

「当然よ、お馬鹿。日本の常識、世界の非常識だからね?」

 

 比較的冷静だった光希さんが、ため息をついた。

 

「いい? 聖書の教えっていうのは実もふたもなく簡潔にまとめると「神様という存在は聖書の神だけ」「それ以外はもれなくまがい物」「聖書の神が示した教えを守ることで、死後の安息が約束されます」といった感じの教え。つまり聖書の神が死んでいるってことは信徒にとってイコールで「人々の安息はありません」「善も正義もありません」と言われてるようなものなの。敬虔な信徒からすれば「貴方の人生何の意味も救いもありませんよー」とか言われてるに等しいわね。いえ、極論だけど」

 

 そんなレベルですか!?

 

 え、本当に!? そこまでのレベルなの!?

 

 俺が動揺していると、今度は光也さんがポンと肩に手を置いてきた。

 

「ちなみに聖書の教えはキリスト教だけだと勘違いしているかもだけど、イスラム教とユダヤ教も含まれるよ。……ほら、仏教でも宗派の違いとかあるけど、あれのさらに大きな区分分けみたいな感じ」

 

 え、そうなの!?

 

 あ、でも仏教にも浄土真宗とか禅宗とか、歴史の授業とかで習ったかも。そういう感じの発展形なのか。

 

「その通り。つまり世界最大宗教であり、欧州各国など強国の多くで国教同然レベルに広まっているキリスト教はもちろん、石油大国の多くが国教同然としているイスラム教。そして源流であるユダヤ教。この三つの宗教の根幹が砕かれているわけだ。……冗談抜きで人間社会で大きな混乱が起きるだろうな」

 

 コカビエルまでもが教えてくれるけど、これってもしかしてめちゃくちゃヤバイのか!?

 

 俺がやばさ加減をだいぶ理解していると、コカビエルはいら立ちを見せてきた

 

「比喩抜きで世界の半分で大混乱が起きる上、そうなれば他の国家も巻き込まれる。神が死んだことで純粋な天使は増えることができず、信徒の存在が頼りになる。悪魔も転生悪魔の多くが人間由来である以上、人間を無視することなどできん。神の子を見張る者(うち)も神器研究を主体としている以上、人間社会の混乱は望んでないようでな」

 

「……そんな中でこんなことが知れ渡れば、ほかの神話まで巻き込んだ多大な悪影響が出る。それがわかっていて、戦争再開を望むというの!?」

 

 リアス部長がコカビエルに大声を上げるけど、コカビエルはコカビエルでめっちゃイライラしていた。

 

「ああそうだ! 一度上げた拳を引っ込め、二度と戦争などしないだと!? むしろ神から背を向けた我々堕天使こそ、あの戦いで最も勝機を得たというのにだぞ!? ふざけるな!!」

 

 ふざけんな。なんでそんなに戦争がしたいんだよ。

 

 なんかむかついていると、アーシアがふらふらしながらコカビエルの近くに近づいてくる。

 

 見ていて怖くなるぐらいに、アーシアの心がまずいことがわかる。

 

 こんなアーシア初めて見た。そんなレベルで、アーシアは追い詰められている。

 

「主は……本当にいないのですか? なら、私たちが……授かる主の、愛は……」

 

 顔色は真っ青で、目は焦点が合ってない。

 

 そんなアーシアに、コカビエルはつまらなさそうに鼻を鳴らした。

 

「死んでるのだから当然ないさ。まぁ、聖書の神はその奇跡を作り上げたシステムがあるからな、ミカエルたちは苦労しながらもそれを使ってしのいでいるようだがな」

 

「……そ、んな……」

 

「アーシア!?」

 

 崩れ落ちたアーシアに俺は急いで駆け寄った。

 

 助け起こして体をゆするけど、アーシアは全然反応しない。

 

「ありえない……そんな、あり得ない……」

 

 ってイリナもやばい。

 

 顔が真っ青を通し越して真っ白だ。っていうか瞳孔が開いているし、汗だらけで呼吸も荒い。

 

 これ以上何かあったら絶対倒れる。そう思った時にコカビエルはため息をついた。

 

「バルパーは気づいていたぞ? まぁその聖魔剣だけで気づくのは、バルパーが天才であったことの証明だろうがな」

 

 そうか。聖魔剣は初代魔王だけじゃなくて、聖書の神も死んだからこそ起きた代物なのか。

 

 そう思っていると、イリナが崩れ落ちる。

 

 ……口からは泡を吹いているし、何なら体も痙攣している。

 

 思わず体が震えるぐらい、イリナはショックを受けていた。

 

「うっひゃー! まさかまさかの神様死んでた案件! あのクソ野郎、何百年以上前におっちんでたってんですかい!?」

 

 フリードはどこか楽しそうだけど、それでも表情がちょっとこわばってる。

 

 こいつですらこうなるぐらいの事態だってことかよ。

 

 そして、コカビエルは握った拳を天に突き上げている。

 

「だからこそ、俺はこれを機に戦争を起こす! 貴様らグレモリーの首を聖剣で落とし、それを掲げて全勢力を戦争へと動かしてやる!」

 

 面白そうな顔で、コカビエルはそんなことを言ってくる。

 

「神器に価値があることは認めよう! だがそれにうつつを抜かし、人間どもにすがるだけの堕天使に何の意味がある! そう思っているものは決して俺たちだけではない!!」

 

 何を言っているのか、俺は正直耳に入らない。

 

「リアス・グレモリー。貴様が死ねば悪魔どもの多数派も少しは戦争を望み、そうなれば旧魔王の血族共も動けるだろう! 教会の連中もタカ派が多くなっている以上、それだけの事態に静観はできん! なんならほかの神話共も、少しは介入してくれるだろうさ!!」

 

 ……あ、我慢の限界だ

 

「ふっざけんじゃねぇえええええええっ!!」

 

 俺は拳を握り締めて、コカビエルに殴り掛かる。

 

 コカビエルは俺の拳を手で止めるけど、そのあと振り払ってから手の様子を確かめている。

 

「ほぅ。至ってないとはいえさすがは赤龍帝だ」

 

「どうでもいいんだよそんな事は! てめえいい加減にしろよ!!」

 

 ああもう、我慢の限界だ。

 

 敬愛する主のリアス部長はお前のせいで苦労している。

 

 仮にも幼馴染のイリナや、俺の大切なアーシアちゃんはこいつが余計なことを言ったせいで倒れている。

 

 第一、こいつが余計なことをしたせいで全方位で迷惑が掛かってるんだ。

 

 それに俺だって、俺の大切な家族や友達が済んでいるこの町を、戦争したいなんてろくでもない龍で吹き飛ばされそうになってるんだぞ。

 

 怒るに決まってんだろうが!

 

「俺の大切な奴らを! 俺のハーレム王になる夢を!! お前のくだらない戦争趣味のせいで台無しにされてたまるかよ!!」

 

「ふむ、ハーレムが欲しいならくれてやろうか?」

 

 ……!?

 

「俺としても、神滅具保有者クラスの駒はあるに越したことがない。俺に仕えるというのなら、配下の堕天使や悪魔祓いからそれなりの奴を見繕ってやろう」

 

 …………っ!?

 

 ハーレムが、作れるだと………?

 

「そ、そそそそんな口ぃ車で……俺、が誘われ……るとで、も!?」

 

 やべ。めちゃくちゃ動揺してるぞ俺。

 

「イッセー!!」

 

 リアス部長のお叱り来たぁああああああ!?

 

「ご、ごめんなさい部長!?」

 

 思わず反射で謝りました。

 

「あんたちょっとこのタイミングでそれふざけんな!? 煩悩に正直にもほどがあるわよ!?」

 

「かつての俺でもこの流れでそれはないよ!? 絶対ないって断言できるよ!?」

 

 光希さんも光也さんも絶叫してた。

 

 いやその、本当にごめんなさい。

 

「すいません。その、ハーレムって言葉には本当に弱くて、その」

 

 もう、俺ってばしどろもどろだよ。

 

 いやこれ、思いっきり空気が台無しになってないか?

 

 あ、リアス部長が盛大にため息をついてる。本当にごめんなさい!

 

「まったくもう。……ならコカビエルを倒せたのなら、私がいろいろしてあげるわよ」

 

 ……………………

 

 俺の思考が一瞬止まった。

 

 え、ちょっと待ってくれ。

 

 今のリアス部長のお言葉を思い返そう。

 

 いろいろしてあげる。コカビエルを倒せたら、いろいろしてあげる。

 

 それはつまり―

 

「……乳首を吸うとか、も?」

 

「………そんな程度でコカビエルが倒せるのなら、安いものだわ」

 

 言質取りました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 よし、コカビエル倒すか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

—月宮光希—

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……いよっしゃぁああああああああああああああああああああああああっっっっ!!!!!!」

 

 その瞬間、イッセーのオーラが凄まじい勢いで増幅した。

 

「っ!?」

 

 あまりにオーラの増幅っぷりにコカビエルは反射で光の槍を投射。

 

 普通に最上級クラスでも渾身の一撃レベルの全力。それをイッセーは真正面からはじき、その勢いのままコカビエルを殴り飛ばす。

 

「グッ!? ……馬鹿か貴様、女の乳首を据える程度で、このレベルの増幅だと!?」

 

 すぐに体勢を立て直すけど、そりゃ困惑するわよ。

 

 え、ちょっと待って? 私追いついてない。

 

 いやいやいやいや。え、待って待って待って。

 

 一気に空気が取っ散らかってるんだけど。

 

「ふははははは! 吸える! もう吸える! いいだろう、俺は神様だろうが倒してやるさ……あ、神様もういないんだった」

 

 すごいテンションね、これ。

 

「……え~……」

 

「……ははっ」

 

 光也は困惑してるし、隣の木場祐斗は苦笑いしてるし。

 

 というか、何あのオーラの量。

 

「うふふ。神器は所有者の想いに答えますからね」

 

「単にスケベが暴走してるだけ」

 

 後ろの姫島朱乃や塔城小猫が思い思いに口にしているけど、どうしたらいいのか。

 

「そういうことなら問題ないぜ! コカビエル、部長のおっぱいの為に倒させてもらう!!」

 

 本気でコカビエルに同情させないでほしい。

 

「……今代の赤龍帝はおかしな奴だ。フリード、そろそろ貴様も動け!」

 

「あ、オッケーでーっす! いい感じに獲物もゲットだしねん♪」

 

 あ、気づけばフリードがバルパーのエクスカリバーをくすねてた。

 

 ……まぁいいわ。ならこっちもやることやっておきましょうか。

 

「ちょっと借りるわよっと」

 

 私は私で紫藤イリナに近づいて、落としていた擬態の聖剣を拾う。

 

 なるほどね。システムとしてはバルパーの聖剣と似たコンセプト。

 

 ならいけるか。いえ、やるしかない。

 

 となれば、こちらも最終手段を切るしか……ないわね。

 

 そう判断した時、光也が盛大に息を吐きながら、片手を掲げる。

 

「仕方ないね。なら、こっちも最終手段を切るしかないか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

—月崎光也—

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は切り札を切ることを覚悟する。

 

 できれば使いたくない。だけど、使うべき時に使わない道理がない。

 

 だからこそ、俺は右腕を掲げて意識を集中する。

 

 瞬間、具現化されるのは魔器創造(アーティファクト・マザー)でも、堕天使の力でもない。

 

 銀色に輝く、異能を纏った歯車。

 

 それを見たコカビエルは僅かに目を見開いた。

 

「……ディーバギアか。流通具合から教会ではないと思っていたが、どこで手に入れた?」

 

「それがさっぱり。もっとも、反応から見て神の子を見張る者が出どころではないみたいだね」

 

 これで、堕天使業界はシロか。

 

 俺がこれを持っていることに気が付いたのは、PMCロザリオの仕事の過程で命の危機に瀕してから。

 

 生存本能に呼応したかのように具現化した力だけど、何が何だかさっぱり分からなかった。

 

 ……最も、思う存分使いたいかと言われるとそんな気にはなれない類だけどね。

 

 だけど、この非常時に文句は言えない。この町の命運まで関わっている以上、この程度の手段は選んでいられないからね。

 

 とはいえ、デュリオ達が来るまでの時間稼ぎが限界だろう。コカビエルはもちろん、聖剣二刀流かつ準神滅具持ちのフリード・セルゼンまでいるわけだしね。

 

 ただその時、光希が俺の隣に並び立つ。

 

 視線を向けると、その手には銀色の歯車……俺とは別種の、ディーバギアがあった。

 

 とりあえず、一度コカビエルの方を見てみる。

 

「知らん。少なくとも俺が知る範囲内で、神の子を見張る者はディーバギアに警戒姿勢だ。アザゼルにも聞いたが、作成の類は公的事業でも私的活動でも行っておらんとよ」

 

 なるほど。やはり堕天使が関与しているわけでもないと。

 

 と、なると―

 

「……もしかして、有村ってめっちゃやばい奴?」

 

 ―そういう可能性に思い至るよね。

 

 俺と光希の二人に縁があるしね。もちろん他の可能性もあるけど、色々あったから真っ先に思い至ってしまう。

 

「……少なくとも、武術の心得がある俺を瞬殺したしね」

 

 一度揉めたことがあるけど、何をされたかも分からず意識を刈り取られたことがあるからね。

 

 ただ物ではないと思っていたけれど、もしかしてかなりやばい奴?

 

 いや、それにしてもなんで俺と光希にディーバギアを使えるようにしたのやら。少なくとも、俺に渡してアイツに都合のいい展開になるとは思えない。

 

 まぁいい。とにかく奴らを片付けよう。

 

「イッセー君。時間はこちらで稼ぐから、出せる全力の倍化でとどめを刺してくれ」

 

「正直これでも状況は不利よ。チャンスはそうないと思いなさい」

 

 そう告げると共に、俺と光希は胸元から光るシャフトを展開。

 

 それに合わせるようにディーバギアを掲げ、一気に回転させる。

 

『ユニゾン!』

 

『アームズ!』

 

 直後、展開されるは銀を基調とするディーバイン。

 

 全身にハードポイントや接合器具を思わせる意匠を展開したのは、俺が変化したユニゾンディーバイン。

 

 武装を思わせる意匠を纏い、両肩にせり出したユニットがある、光希が変化したアームズディーバイン。

 

 今ここに、俺達は文字通り全手札を開放した。

 

 ……巻き起こる衝動を呼吸を整えて抑え込みつつ、俺達は宣言する。

 

「「とどめは任せた!!」」

 

「分かりました!!」

 

 即答に背を押され、俺達は突貫した。

 




 ふはははは! 特撮風味だといったな? それがこれだ。

 ディーバギアの概要はヴァンパイア編で明かす予定で、それで二人に宿っている理由も教えられる予定になっております。もうちょっと待っててね?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。