預言   作:平 一

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表紙:

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『会見』を、次の作品に感動して書き直しました。
動画:
『Walhalla』  https://www.youtube.com/watch?v=MbVkPxHTDIc
『Los! Los! Los!』 https://www.youtube.com/watch?v=OgXZn_H_QAI
『織田信長』 https://www.youtube.com/watch?v=bpyZ3zry7xo&list=PLocMtmXVF6nQn0gCbwj8YSBZGmxQRxmP6&index=12
『Ziggy Stardust』 https://www.youtube.com/watch?v=JAnheloz8rk
『only my railgun』 https://www.youtube.com/watch?v=BXqRPZ1lpdo
『決意の光』 https://www.youtube.com/watch?v=I8JYMvUpTI4&list=RDMM&index=2
素敵な刺激を与えてくれる、文化的作品に感謝します。

人類の歴史や神話を題材にした、壮大な物語が書きたいと思いました。
内容はSFであり、あくまでも異星種族のお話です。
ご興味がおありの方は、『Lucifer(ルシファー)』シリーズの他作品や、
『文明の星』理論(仮説)のエッセイもご覧いただけましたら幸いです。


1 顕現

地球通信社の報道記者(ジャーナリスト)として、

私はサタンに取材会見をすることになっていた。

しかし彼女の映像体(アバター)は、よく使われる可憐で愛らしい、

猫と人間の(あい)の子のような姿ではなかった。

 

 

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サタンといっても悪魔ではなく、異星種族の名称だ。

銀河帝国の先進種族は量子頭脳への人格転移(マインドアップローディング)を達成し、

高度な情報処理能力と種族人格の形成能力を得たので、

国際機関の理事国のように、帝国の役職も務められる。

 

サタンはかつて、文明開発長官の地位にあった。

彼女達は銀河系を統一した〝先帝〟種族のため、

〝先帝〟を神に見立て、自らは悪魔を演じるなどして、

当時の人類を含む発展途上種族の文明発展を助けた。

現実には〝神〟の敵対者というより引立て役だったわけで、

何だか熱心すぎる祭司(さいし)のようでもある(笑)。

 

 

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だがこの種族は以前、〝先帝〟により近隣恒星の

新星化から救われたという恩義を受けていた。

また、高度な星間文明との急激な接触は、

途上種族の意気阻喪や衰退・滅亡などの危険を伴う。

サタンは〝先帝〟への感謝や途上種族への愛情から、

彼女達なりに最善の支援を考案したようだ。

 

ところが一方、広大な銀河系を統一するために

軍事力と集権化を重視した〝旧帝国〟では逆に、

強権統治への退行が進んでしまっていた。

そのため生じた側近軍事種族の腐敗と抗争は

統一後も悪化し続け、遂に内戦が起きて帝国は崩壊し、

それに巻き込まれた〝先帝〟も滅亡してしまった。

 

 

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そこで新興の技術・産業種族や良識的な軍事種族、

銀河系外周の非酸素・非炭素系種族は、

穏健な文官種族のサタンを次の皇帝に(よう)して

〝新帝国〟を設立し、平和を取り戻したのだ。

 

私は、その一人に当時の状況を取材するため、

星間通信網(ステラネット)の仮想空間に入場(ダイブ)した。

しかし、現れたのは黒衣を(まと)い、

鋭い角と妖しく輝く瞳をもつ、

文字通り悪魔のような姿をした、

だが美しい少女だった。

 

 

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身元確認は厳しいはずだが、これは何かの冗談か?

今の皇帝種族にも、ヤバい変人がいるのか?

私はあまり期待を持たないようにしながら、

挨拶(あいさつ)もそこそこに話題を切り出した。

 

『ええと、あの……皆さんは国家の運営に役立つ、

文明発展についての理論にお詳しいようですが、

貴方ご自身のお考えなどがあったら、

お聞かせいただけたらと思いまして』

 

『まあ、これは反省なんだけど……、

文明は、技術なくして発展なし。

でもそれだけじゃ、続かない。

技術の恵みを上手に分ける政策や、

その政策を支える民度、民度を活かせる組織が

なかったら、いともあっけなく滅びるわ』

 

 

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歯に(きぬ)着せぬ物言(ものい)いに、私は再び驚いた。

『おお……これはまたどうも、直接的な表現ですね。

普段のサタンの皆さんの考え方や(おっしゃ)りようとは、

何だか異なるようですが……』

 

『いいえ、公式見解と中味(なかみ)は違わないはずよ。

時間はあるから、ゆっくり思い出してみて。

ああ、この映像体(アバター)(しゃべ)り方が優しいサタンらしくない? 

最初に言わなくてご免なさい……実は私、亡命者なの』

 

 

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そう言うと、彼女は私に考える()を与えるかのように、

ゆったりと椅子の背にもたれ、優雅に私を見守った。

……よく考えてみると、表現こそ荒っぽいが、

新帝国の政策方針はまさにその通りだった。

 

その方針は、今では子供でも知っている、

簡素な文明理論に基づいている。

文明の六要素は〝知る・する・決める、

ヒト・モノ・環境〟だ。

もう少し詳しく言うと、技術、社会活動、政策、

人材、物資、自然・社会環境となる。

これらを一定の順番で六芒星(ろくぼうせい)の各頂点の上に

並べていくと、〝文明の星〟ができあがる。

 

 

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文明活動の要素は右上の技術、下の社会活動、

左上の政策で、六芒星の中の逆三角形をつくる。

技術が進めば社会が変わり、

社会が変われば政策も変わる。

その政策がさらなる社会需要を受けて、

新技術を適切に導入できれば、文明は発展する。

 

それと重なる三角形が内外環境の要素で、

右下の物資、左下の人材、てっぺんの環境だ。

技術の利用には施設や製品への具現化、

政策の発展には教育や健康の向上が必要だ。

また、政策的な技術開発には資源や市場など、

自然・社会環境が大きく影響する。

 

文明活動の本体は全国民が営む社会活動だが、

技術は富を生んでそれを豊かにし、

政策は富を分けてそれを健全に保つものといえる。

ただし、両者が社会を助ける経路(ルート)は1つではなく、

他要素との関係で左右対称の4つずつに分類でき、

政策では次のようになる。

 

 

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第一に、技術を助けて健全な開発・利用を促し、

富の生産・安全を促進する技術的政策。

第二に、経済・社会活動を助けて、

富の配分・投資を最適化する経済・社会政策。

第三に、人々を助けて健康や教育を高め、

政策の主体・実現条件を確保する人的資源政策。

第四に、政策自体を助けて人々の活用・参画(さんかく)

種族間の協力や民主化を促す行政管理政策だ。

 

……何とかそこまで思い出した私は、

ふと仮想現実に意識を向け直して、彼女の方を見た。

すると彼女がにやりと笑い、両目を大きく見開くと、

瞳の奥がぎらりと一瞬、(まばゆ)い金色に輝いた。

私は驚きのあまり、思わず身体をこわばらせた。

こ、これは……まさかこいつは……。

 

『……そう、亡命者。 かつて全銀河系を統一し、

サタンに貴方達の文明化を命じた種族からのね。

実はけっこう大勢いたんだけど、全員帰化して、

そのほとんどが政策形成に深く関わっているわ』

 

 

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大当たりだ。 彼女は生来のサタンじゃない。

蝙蝠(こうもり)の翼を持った猫のような生物、

柔弱(にゅうじゃく)で臆病……もとい(笑)、心優しく慎ましい、

生まれながらの現皇帝種族ではない。

 

 

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