某、槍のヒーロー、でござる   作:テムテムLvMAX

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作者「ゲイ・ボルグさせたしええやろ」

槍山「ヒャア!我慢できねぇ!最大奥義!」


ハリケーン・アイその3

「某は真正面から戦って轟殿に負け無いとは言わんでござるが、轟殿に勝たせるつもりもないでござる」

 

「口数が多いヴィランだな」

 

「ヴィランは多弁でござるよ、己の欲望全開でござるからな」

 

 

 軽口を叩きながら氷と刃が交じりあう、交じり合えば砕けて飛び散る、氷と金属が光を受けて作り出す幻想的な戦場がここには出来上がっていた。

 轟と槍山の戦いは一進一退に見せかけて能力を考慮すれば轟が有利だった。この勝負の展開自体は轟が支配しているが決め手になりそうな攻撃が一つも当てられないでいた。

 

 

「お前の個性は槍じゃないのか、その割には炎熱系の力を放っているようだがっ!」

 

 

 屋上の半分は凍結しもう半分は境界線のように空気の対流が目に見えるレベルで起きている、互いに個性のせいで体力がじわじわと削れていくのはわかっていたが踏み出すにはお互い隙がないのだ

 

 

「んーどうでござろうな、深く考えても浅く考えても某の個性が変化することないでござるよ」

 

「減らず口をたたく……!」

 

 

 膠着状態を嫌って轟は動き出した。

 出来上がった境界線を超えるためにさらに冷気を送り込み温度を下げる、出力勝負をするなら轟は負けないが相手は防衛を優先している為攻めかねている、境界線を押し込んで槍山を制圧していくがまだ届かないようだ

 

 

「おーやべ、そろそろ槍がぶっ壊れるでござる……」

 

「壊れるのかその槍……壊せば俺の勝ちみたいだな」

 

「嫌でござるなぁ轟殿、某の個性を一部攻略した所で勝負は平行線でござるよ」

 

「負け惜しみだな」

 

「うっわバレてるでござる……っ!」

 

 

 会話しながらも轟は凍結全てを凍結せんと冷気を送り込み続け槍山が冷気から身を守る為に作り出したルーの槍が限界を迎え、一気にヒビが走り砕け大きな隙を晒してしまった

 

 

「……不味い状況でござるが……! ここで一矢報いずなにがヴィランかっ!」

 

「飛んだか……空中で回避できるような個性じゃないだろう、詰みだ……!」

 

 

 槍山、轟の双方がここが勝負を決める場面と確信した。

 生半可な威力では負けるのはもう充分理解している二人は今できる最大の一撃を構える、授業で生徒同士の殺し合いなんてしたくないがこればかりはプライドが引くことを認めていない。

 

 一瞬一発勝負のじゃんけんである、相手の出方を読んで一撃入れる。

 

 

「空中に出たのが運の尽きだっ!」

 

 

 轟は両手を床に叩き付けて一気に爆発したような音を立て氷を槍山へ向けて作り上げていく、その様子は天へ登る階段、螺旋を描くバベルの塔とさえ思え囚われていた障子でさえ一瞬痛みを忘れ見惚れてしまう。その勢いは空に近づいても衰えること無く今の轟の本気であるようだ

 

 

「ぐぅ……ううっ! はぁぁぁ!」

 

 

 対する槍山、これを迎撃すべく心臓に手を当てて力を込めると体を電撃がほとばしり包む、胸から思い切り何かを引き抜くように腕を振り上げるとその手には目が潰れそうになる眩さの稲妻が槍のように握られている。

 

 

「やってくれよケラウノス! 某の力ぁぁぁぁっ!」

 

 

 槍山は雷の槍『ケラウノス』を轟へ放った。ギリシア神話に語られる最高神にして天空の神ゼウスの武器、雷霆を束ね空を翔け天から罰を下す。人の身で未熟ながらも再現したそれは自然現象としての雷と比べて遜色ない。

 

 投げ放たれたケラウノスは光速の三分の一あると言われる雷光の速さで氷の塔へと直進し空気を裂いて爆裂させて無数に拡散する、箒状に拡散した槍は稲妻となって駆け巡り氷を次々に砕き、轟の凍結スピードを凌駕した。

 

 

「押し負けるだと……っ!」

 

「いけっ! 行けぇ!」

 

 

 ──天へと登る氷の塔を、神の槍が打ち砕く

 

 

「チッ!」

 

 

 轟は氷をバリアに稲妻から自分を守り辛うじて怪我をすることはなかった、槍山も砕いた氷を足場に怪我なく着地していた。

 お互いに満身創痍であるがこの場合は槍山が怪我を最小限に抑えたこと、半異形化とも呼べる変化をしている事で勝負の天秤は槍山に傾いている

 

 

「はぁっ……はぁっ……マズイ……体が……」

 

「轟殿はどうやら限界の様子、某の……かち……アレ……視……界……ゆれ……っ」

 

 

 槍山が轟を捕らたと判定する為に用意されていたテープで拘束しようと近寄った、近寄ろうとしたところで急に意識が朦朧として倒れ込み、障子を捉えていた槍が消えていった

 轟の方も度重なる個性の全力使用により体が低体温症や凍傷を引き起こしており動ける状態では無い。

 

 

「まさか共倒れか……いや、ヒーロー側は俺がまだいるが」

 

 

 開放された障子は核爆弾を確保しこの模擬演習はヒーローチームの勝利となった、なったが緑谷爆豪といい轟槍山の二人も派手に暴れてビルが使えなくなっている。当の本人たちも授業どころではない状態である。講評は後回しになった

 

 

「全くこの世代はヤバイなぁ……私不安になってきたぜ……NO1なのに」

 

 

 オールマイトの呟きは生徒たちの喧騒に掻き消された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ★

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ……某は……なぜ保健室に?」

 

「目が覚めたかい? 全くこの世代はどうなってるんかねぇ」

 

「あ、そう言えば轟殿は……大丈夫でござるか? 某の全力をぶつけてしまって……うっ体痛い……」

 

「轟焦凍は大丈夫だよ、君より軽症だったから先に帰ったよ」

 

「そうでござるか、お答え頂き感謝するでござるよ。それと治療も大変感謝するでござる」

 

 

 目が覚めたらそこは知らない天井定期でござる、頭がスッキリしないまま雄英高校の保険医でヒーローのリカバリガール(ガールじゃなくてグランマでござる?)が某の看護をしてくれたことに感謝しつつ、轟殿の無事に一応の安堵を覚える。

 

 

「しかし何したらそんなボロボロになるんだい? 外傷は少ないのに中がボロボロになるなんておかしな話だよ」

 

「それは多分個性のせいでござる。

 最後の一撃、全身のありったけの力を込めたでござるよ」

 

「そう言うことかい……じゃあ今度からそれ使うのやめるんだねぇ。検査したら君極度の低血圧と低血糖と不整脈と心肺機能の衰弱……いやもう仮死状態一歩手前だったよ」

 

 

 そんなオンパレードだったでござるか……本番ぶっつけで新しく作った槍を試すのは駄目でござるな……下手したら体力を使い過ぎて生命活動を維持できなくなるのは自殺と変わらない。

 しばらくは封印が妥当でござるな、扱えるようになるまで温めておくとするでござるよ

 

 

「何も無ければ使わぬと約束するでござるよ、死にたくはないでござるから」

 

「それがいいよ、放課後になるまで帰れないと思うからそこで安静にしてるんだよ」

 

 

 放課後……今14時くらい……暇でござるな、寝ているでござるか……

 

 

 




槍って言えば何でも許されるのだ
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