「ほぅ……」
ズズズ、と茶をすする。
あの試験から一週間が経過したでござる、某、あの時軽いトランス状態だったらしく毘沙門天とか名乗っちゃったのでござる。どこの上杉謙信だよ
あと試験終了後も大変だったでござるよ、第六天魔王は某に散々絡んでくるし上様は意気消沈して生ける屍だったし他の受験生から鬼神とか戦神とか鬼! 悪魔! 槍! とか無茶苦茶な評価受けたでござる
「一応仮想敵の撃墜数はそこそこあったでござるし、実技はなんとか……筆記はまぁ余裕でござったな」
母上式記憶術のお陰で筆記試験は憂いなし、使わなくなったら好きに忘れられるし必要なら好きに覚え直す、やばい技術でござる。
あの試験ではっちゃけたお陰で某の個性が成長した気がするでござるが、例によって試すところが無い。
憂鬱だなぁ合格通知まだかな~
「しんちゃん、これ雄英からよー」
封筒? 合格通知にしては薄いような、落ちた?
怖くなる前に早速自室に持ち込み、オープンして中身確認。
入っていたのは丸い機械、スイッチがあるな、ホログラムか!
『わーたーしーがー! 投影された!』
オールマイトぉ! なんでぇ? 学校関係者だったのか?
『今年から教員になったのさ!』
先読みして録音してやがる、流石オールマイト。自分がどう見られているか完璧に把握しているでござるよ
投影された映像の端っこにカンペで巻きでお願いしますって書かれててちょっと笑ったのは某との秘密でござるよ
『巻きかぁ……さぁて槍山少年、いや、槍ボーイ! おめでとう、君は合格したよ! 来いよ! ここが君の青春の舞台だ!』
ふっ、当然の結果ですね。泣く準備はしてたけど。
『で、ここからは君へのちょっとしたお話だ。実技試験で同じブロックだった爆豪少年、知っているね? 彼の素行は我々から見て正直褒められたものではなかった。しかし君はそれを冷静にいなしていたね、その後も助けた、その行いで彼は己を顧みるだろう』
第六天魔王がー? ホントでござるか? 人間をゴミのように見下す奴がー? 試験後詰め寄ってきたのにー? 次会うときが楽しみでござる
『それに君は優しいね! 爆豪少年の妨害、横取り、ラフプレーを“成立させない立ち回り”をして“偶然起きた”事にしたんだよね。見ていて分かったよ、君の行為で彼はギリギリアンチヒーローにならずに済んだわけだ。彼に悪意があったとしても君の善意で今回は帳消しさ、これで君の望み通りかな?』
まぁ……うん、こんな下らない事で有望な芽を摘むような事はあってはならないし、何よりヴィランよりの神経してる奴程主人公サイドになった時強いのだ。
第六天魔王もこれで懲りただろうし、丸く収まったならそれで良し
『じゃあ! 話は終わり! 次は学校で会おうぜ!』
ここで映像は終了した。
オールマイトが、というより雄英高校の教員が第六天魔王の待遇をギリギリ踏みとどまったって感じでござるか。
手間の係る子ほど可愛い、というのはちょっと違うかも知れないでござるが、第六天魔王に対する感想なんてそんなもんでござるな。
あと上様にコンプレックスありそうなのも少し不安でござるがこればかりは本人同士のコミュニケーションでしか解決しないでござる。
『あっ! 言い忘れてたけど今年は定員より一人多いよ! 君の分ね! 爆豪少年と君が実技試験で大暴れしたせいで他の生徒が極端にポイントを得られなかった為の措置ってことで! よろしく!』
……この投影装置、遠隔操作してるでござるか?
★
槍山影新、試験で俺をさんざんコケにしやがったクソ野郎……だった奴。
あの巨大仮想敵から助けられたので一回、その後試験官に妨害行為を槍山に免じて許されて二回、試験後に周囲の受験生からの俺への罵詈雑言を抑えたので三回。
三回、奴に手を貸された。くだらねぇ。
言いたいやつには言わせておけば良い、俺のしでかしたことは俺が責任を負う。それでいい話だ。槍山のやつは訴える権利があったのに俺をヴィランにしようとしなかった、言葉にはしなかったが俺を行動で庇い結果俺は合格判定をもらった。
俺ん中で対抗心は消えてねぇが……それはそれとして、だ、俺も槍山への態度は改めなきゃならねぇな。でなきゃやつを超えることができない、あの試験の中でそう俺は感じた。実感させられた。
強くなるには強い奴が何故強いのか、壁はなぜ壁なのか知る必要がある、だから俺は奴に対して一時的に……それだけでも非常に腹立たしいが、学ぶ姿勢を向けなければならない。
「オールマイトより先に、目下のコイツが先だぁ……」
個性じゃ負けてねぇ、むしろ勝ってる。だがどうだ? 実際はヤツと敵撃破ポイントが並んでいた。レスキューポイント分は負けていた。
あんなふざけた態度しておいて中身はそうじゃなかったんだ、無個性のデクがアイツを見てその気になったってのは容易に想像できる。
「いつか絶対ぶっ潰す……お前の好きな正攻法でな……」
何もかも全て超えてナンバーワンになる、その為の第一歩を槍山にくれてやる
爆豪くんこじらせてるしこれくらいええやろの気持ちで書いていたらいつしか無茶苦茶な奴になってしまった、反省している、後悔は無い