ラドリアン湖 イザベラの天幕
いやだいやだいやだ!あんな頭おかしいのと結婚なんてしたくない。あたしが結婚したいのはあたしの苦しみを分かってくれてあたしを愛してくれる格好いい男だ。あんな醜い顔の125歳の149人も妻を持っている男なんかじゃない!それなのに何でお父様はあたしとあの男を結婚させるだ...お父様もあたしのことを愛していないから...違う!お父様は何か目的があるんだ。そうじゃないとそうじゃないとあたしこの世に生きている意味がないじゃない
「取り込み中のところが悪いが新婦の様子を見に新郎がやってきたぞ」
黒くてしわくちゃな醜い顔曲がった背中の男、あたしの婚約者になった忌々しい男バルビエーリ・アルマスガ私の目の前に立っていた。
「な、なんでここにお前がいるんだ。誰もここに入れないように次女や警備兵に言っておいたはずだよ!」
「私は神だ。神が好きな場所を行くこと止める法はないぞ、そうそう私がここに入るのを邪魔した愚か者は私のこぶしで黙らせた」
このいかれた狂人は自分のことを恐れ多くも自分のことを神だというと私の目の前で殴るまねをした。
「なんであたしの部屋にやってきたんだ。もしあたしの貞操をうばうなら。ここで、し、死んでやる」
「嫌がる女とやるのはそれはそれで愉しいのだが、今日ここに来たのはお前と夫婦の会話するために来たのだ。共通の話題が思いつかなかったが、あのクソ吸血鬼が言うにはお前に会ったことがあるそうだからそれが話題になるだろう」
あたしが覚悟を決めた言葉をまるで子供のいった冗談のように受け流しながら。狂人は私と夫婦の会話がしたいといって吸血鬼が共通の話題になるだろうと言った。あたしはそれに覚えがあった5歳くらいの小さな女の子、ろくに会話はできなかったけど私の心に強く刻まれていた。
「あの子になにをしたんだい、狂人のアンタだどうせろくなことをしていないだろ」
「おいおいおい、狂人?このようで最も優れている人間に対して何たる言い草だ。あのクソ吸血鬼は最も良い方法で利用した。存在してはならないものを私の血肉にするという誉れを与えたのだ」
あたしは固まった。この最低最悪のこの世に生きてはならないものは、あの子の事を生きているものが最も嫌がる方法で殺しその上それを最上の名誉だといった。あたしはそれをぜんぶ理解したとき激しい怒りが沸き起こった。
「この人でなし!あんな小さい女の子に悪魔のような仕打ちをして!あんたそれでも...」
そこまで言い終えたとき強い衝撃があたしの腹部を襲った。あまりの苦しさにあたしは夕食をぜんぶ吐き出した。悪魔は苦しんでいるあたしの髪をつかむと
「これはいけない、神である私に対する口の聞き方がなっていないではないか」
その姿はあたしがさっきまで感じていた醜さとは違った。今私の目の前にいるのは人のことをなんとも思わない人の皮を被った何か。機嫌を損ねたら私をいとも簡単に殺せる怪物がそこにいた。
「あ...あ、あ」
「そんなに私が怖いのかね?この程度のこともらすほどの痛みも恐怖もないはずだぞ...こんな状態では私の望む夫婦の会話などとてもできない。いいか明日も一度ここにやってくるそのときはもっと良い対応をするんだ。でないと本当の君に味わってもらうことになる」
そういい残してあたしの前から怪物は消えていった。残されたあたしは震える体を抑えるしかなかった。
たかが家畜ごときにあそこまで激怒するとは神である私の信仰心に掛けるやつだな。だがあの女には周りの全てに対して強い憎しみを持っている、それを開花させれば面白い奴になるかもしれない。従順な女に育てるか面白い奴に育てるかどちらにしようか...誰だ
「陛下、私はジャン・ジャリック・フランシス・ワルド申すものあなた様にお使いするために参りました」
こいつはあのクロムウェルの護衛としていた奴じゃないか。私の偉大さに心を打たれたのか
「なぜ私に使えようと思ったのだねワルド君、レコンキスタは君にいい待遇を与えてくれないのか」
「陛下、あなたさまの華麗な手口によって聖地解放軍が組織されるのをこの目で見てあなたこそが僕の真に使えるお方だと確信しました」
この男は聴いた話によると元トリステイン魔法衛士隊の体長をやっていたらしいではないか、それが敵であるレコンキスタと手組んでアルビオンの王子を殺したようだな。こんどはそのレコンキスタを裏切り私に仕えたいという
まぁ偉大な私に使えたくなるのは当然のことだ
「いいだろうワルド君私に仕えるのを認めよう。では最初の任務として私の部屋で君の知っている情報を話してもらおうか」
「仰せのとおりに陛下」
ジョセフの天幕
「ジョセフ!聖地解放軍が組織されたぞそれもあの男の手によってだ!」
秋の小麦のような流れる金髪と尖った耳を持つビダシャールはジョセフに祖国が戦争に巻き込まれる怒りに震えながらジョセフ詰め寄った。
「ビダシャールそんなに起こると早死にするぞ、俺が思うに父上が死んだ理由は配下に怒りすぎたからだからな」
ジョセフはビダシャールの怒りを道化が面白おかしく動いているのを見ているかのように笑いながら受け流した
「お前の冗談に付き合っている暇は無い!これは私たちの種族の問題だけじゃないんだぞ、この世界に住む全ての生きとし生けるもの全ての問題なんだ」
「安心しろビダシャール、バルビエールを殺す算段はもうつけた」
声を荒げるビダシャールの怒りを堪能したジョセフはゆったりと立ち上がるとビダシャールの肩に手を当てて
話した。
「それは本当かジョセフ」
「あの男はイザベラと結婚する会場は首都の大聖堂だ其処でやつを殺す」
そのとき、テントに大音量の南国のリズムと合唱の歌声が響き渡った
「自分のことを神と崇めさせる歌を流すとはあの男の傲慢さはとどまるところを知らないようだな」
ビダシャールはバルビエールを崇める言葉が次から次と、でてくる歌詞を聴きながら言葉を吐き捨てた。
「陛下、あの歌は何なのですか?」
「ワルド君あれはわたしへの賛歌だよ。神である私を賛美する曲があるのは当然のことではないか」
まったく、この私に使えるというのに私を賛美する歌に動揺するとは...んあいつは
「ルイズのそばに引っ付いている東洋人ではないか、どうしたのだねワルド君のことを睨みつけているが」
「じいさん、俺はルイズの嫌がることをやるお前のことを好きじゃないけど。お前の連れているワルドは姫様
を裏切って、裏切った相手のレコンキスタも裏切ってお前に付こうとしているんだぞ」
「何を言うかと思えばその程度のことか、いいかね。私とお前が言ったものたちは根本から違うのだ」
「じいさん、そんなにうぬぼれていると破滅するぞ」
この餓鬼、私の偉大さをまるで知らないくせに知ったような口をきくとはよほど頭がおかしいとみえる
「少年、お前もすぐに私の偉大さに気づくことになる。すぐにな。そのときお前はこの私に逆らったことを
震えながら謝ることになるだろう」
と言い残すとバルビールはワルドをつれてサイトの前から去っていった。
イザベラは夢を見ていた
あたしが空を見つめると巨大な竜が飛んでいた。堂々とした巨体金色の体を浮かばせ天空の雲ひとつ無い青々とした空を滑空していた。それはバルビエールだ。彼がイザベラの天幕に入ってきた姿だ。
あたしはリュティスの大通り流れる勇壮な音楽の中を馬車で通り過ぎていた。さまざまな身分のものがある一点を見つめている。それはバルビエールだ。彼の登場ととそれを見つめる者たちだ。
あたしはグラン・トロワの玉座に座るお父様を見ていた。つまらなそうに周囲を覗いている表情目の奥に見える冷酷さ。それはバルビエールだ。彼が諸侯会議の挨拶を聞いている表情だ。
あたしはグラン・トロワの庭園の中でシャルロットと遊んでいた。愛くるしい笑顔、リスのようにかわいい目。それはバルビエールだ。彼が聖戦の開始を始めたときの顔だ。
あたしが悪夢から目覚めたとき、自分の精神がバルビエールの邪悪などす黒いなにかにに絡めとられて居るのを悟った。