地球戦隊テラレンジャー 第二十一話 驚愕! 天才科学者の秘密!   作:ケツアゴ

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ノリで書いた

ぶっちゃけカクレンジャー新シリーズでテンション爆上げで


前編

 それは突然都会の空に現れた。毒々しい紫の魔法陣、後に『ヘルゲート』と呼ばれる存在を前に人々は何かのイベントで映し出された物かとしてさほど驚かず、その中央から異形の群れが無数に飛び出しても撮影をする程度、中にはチラリと視線を送るだけで直ぐに歩を進めるだけの人も。

 

 誰も危機感を抱かず、これから何が起きるのか期待さえ。

 

 

「やれ。我等がK後に舞い降りた事を地球人の心に刻み込む祝砲だ」

 

 その異形達、蝙蝠を無理に人の形に押し込んだ様な個性の無い大量生産品を思わせる群れの中で唯一違いを持つ存在、水着或いは下着姿に近い物を鎧の素材で作った様な露出過多の衣装に身を包む褐色の肌の美女、彼女が鞭を振り下ろした瞬間、ビルが爆ぜた。

 

 爆音が響いて瓦礫が雨霰と降り注ぐ、この時になって通行人達の脳は非現実的な現実を認識して、何かしらの理由を以て覚えていなかった恐怖が堰を切った様に押し寄せた。

 

 朝の通勤ラッシュからは少し外れた時間帯、それでも多い通行人達は恐怖に突き動かされ、ある者は腰を抜かし、ある者は周囲の人間を突き飛ばしてでも走り続け、どうすれば分からずにいる者は棒立ちで次々に崩れるビルを見ているだけだ。

 

 崩壊と逃亡と阿鼻叫喚の音が響き渡る中、それを冷徹な目で見下ろす女が再び鞭を振るえばその声が全ての音を掻き消す大音量となって響き渡った。

 

 

「愚かなる地球人よ、聞くが良い! 我が名は悪魔将軍リーアス! 魔人帝国ヘルパークの偉大なる皇帝ルシファー様の臣下なり! 貴様らに要求するのは一つのみ! 死ね、そして地球を明け渡すのだ!」

 

 三度振るわれる鞭、そして魔法陣から飛び出して来たのは湾曲した一本角と緑の肌を持つ単眼の怪物。

 それが己より大きい瓦礫に手を伸ばせば易々と持ち上がる。

 

 その大きさは目の前で押し合い我先に逃げようとする事で互いに邪魔をしてしまっている人々を押し潰すには充分な大きさだ。

 

「やれ、ヘルサイクロプス」

 

「グゥルォオオオオオオッ!!」

 

 その光景を眺めるリーアスの眼差しは足元で蠢く虫ケラを眺める様で、淡々と下された命令によって巨大な瓦礫は人々の頭上へと放り投げられた。

 

「あっ……」

 

 逃げ惑う人達は他人を押し退け、押し退けられた拍子に踏み付けにされて地面に転がる、声を漏らした少女もその一人だ。

 

 腹違いの弟を抱き上げた継母は彼女にぶつかるのも気にせずに一目散に逃げ出し、崩れたビルから降り注いだ瓦礫に頭を砕かれて血と脳漿をぶち撒いて、彼女も逃げ惑う人に足を踏まれて立ち上がれず、瓦礫と地面に挟まれて赤い汚れをこびりつかせる……筈だった。

 

 

「とぉ!」

 

 掛け声と共に飛び込んで来た赤い人影が巨大な瓦礫をヘルサイクロプスへと蹴り返し、リーアス達に向かって青と黄色の二本の光線が放たれる。

 瓦礫を避けきれずに怪物は後ろに吹き飛び、女将軍は鞭で光線を弾き飛ばして睨む先はそれぞれ赤青黄の全身スーツを身に纏う三人。

 

 

「何者だ? いや、無粋か。お前達、あれは獲物ではなく……」

 

 

 

 

 

「悪を焼き尽くす正義のマグマ! テラレッド!」

 

 赤いスーツの男の顔には火山を思わせるマークが有り、手には真っ赤な斧が握られている。

 その声には力が込められており、熱い気性なのが伝わって来た。

 

「全ての命の母たる海! テラブルー!」

 

 青スーツは女性、顔には水滴のマークで叫び声からは冷静さが伺える。

 

 

「全てを包む慈愛の大地! テライエロー!」

 

 黄色スーツは岩石を思わせるマークを顔に持ち、渋みのある男の声だ。

 

「「「地球戦隊テラレンジャー!!!」」」

 

 三名が並び叫べば宙を舞う怪物が気圧されたのか動きを止め、リーアスは僅かに眉間に皺を寄せ、忌々しそうに告げる。

 

 

 

「敵だ、用心せよ」

 

 先程までは蹂躙であり、これから始まるのは戦いであると。

 

 

 

 かくして始まったテラレンジャーとヘルパークとの激闘の日々。

 頑張れテラレンジャー! 負けるなテラレンジャー!

 

 

 地球を守り切るその日まで戦い続けるのだ!

 

 

 

 

 そしてヘルパークと人類との開戦から数ヶ月後、青紫のキノコに覆われた街中で巨大化したキノコ怪人ヘルマタンゴと巨大ロボの戦いが決着を迎えようとしていた。

 

 

 

「燃え上がれ俺の正義! 行くぞ、皆!」

 

 ビル街で異常繁殖したキノコに覆われたロボは動きを鈍らせるもレッドの叫びと共に炎に包まれてキノコを焼き尽くし、巨大な剣を構えた。

 

 

 

「「「地球の力をここに! 大自然斬!」」」

 

 掲げた剣に周囲から光が集まって輝きを増し、ヘルマタンゴはさせじと正面から向かって行く。

 大上段に振り下ろされる剣はその巨体を一刀の下に切り伏せ、ロボが振り返ると同時にヘルマタンゴは爆発四散した。

 

「ノコォォォ!」

 

 それと同時に周囲のキノコは萎み始め、やがて蟻サイズの吹けば飛ぶサイズにまで縮小したそれをピンセットで摘む青年、白衣姿の彼の横では丸っこくデフォルメされた天使みたいな謎生物の姿。

 飛び回りながら青年がキノコを集めるのを不思議そうに眺めていた。

 

 

 

 

 

 

「何でそんなキノコを集めてるっピ? お腹壊すから食べちゃ駄目っピよ!」

 

「食べる訳がないだろう、私を誰だと思っている? 言ってみろ、豚饅頭!」

 

「ブタンジューだって何度も言ってるっピ! あー、はいはい。僕の星の技術を解析して地球向けに改良した天才っピ」

 

「違う! 前人未踏の領域の技術と至高の頭脳を持った超天才だ!」

 

 ブタンジューに向かってビシッと指を突き付けた青年は奇天烈鉄(きてれつ てつ)。テラレンジャーの変身アイテムと巨大ロボの設計と開発を行った天才……。

 

「超を忘れるな!」

 

 超天才である。

 

「いや、誰に言ってるっピ?」

 

 尚、ブタンジューはヘルパークの野望を知って止めようとした結果、滅ぼされたエンジェル星の生き残りだ。

 

 十年以上も前、ヘルパークの侵攻を受けたエンジェル星は避難船で脱出を試みるも攻撃に合い、生き残ったのはブタンジューだけ。

 

 近くで起きた惑星の崩壊の影響で撃墜されずに済んだ脱出ポットは地球へと流れ付き、彼はヘルパークがやがて地球に訪れる事を訴えたのだ。

 

 

 だが、新米科学者だった彼ではヘルパークに対抗する装備を作り出せず、その知識が高度過ぎて研究チームも成果を上げられない。

 新進気鋭の超天才であり変人の奇天烈がスカウトされてから僅か三ヶ月で地球の力を引き出してパワーに変える技術を作り出す迄は。

 

 

 

「今まで爆散したせいでサンプルは巨大化前に飛び散った僅かな血液等。だが、ここ迄のサンプルさえあれば連中の研究も進むだろう。ふはははは! 流石私! 超天才! 完全無欠という概念が服を着て歩いている!」

 

「これさえなければ良いのにっピ……」

 

 高笑いをする奇天烈の姿にブタンジューは呟き、周囲でサンプル採取をする所員達も静かに頷く。

 やがて一通りサンプルを採取した頃、奇天烈の前に一台の車が止まった。

 運転手は存在せず、タイヤすらない宙に浮かぶ車、自動で扉が開けば奇天烈はそれに乗り込む。

 

 

「悪いな、諸君。私は研究以外で残業はしない主義なので先に帰らせて貰う。君たちは研究所でちゃんとタイムカードを押してから帰りなさい」

 

 彼が車に乗り込めば扉は閉まり、車はその場から飛び去って行く。

 

 これは超天才科学者が戦隊ヒーローの活躍の裏側で才能を発揮する物語。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ではない。

 

「くくくく、ヘルパークの連中の終わりの日も近いな。やはり我らダークギアこそ至高の存在」

 

 周囲から誰も居なくなった奇天烈の体には機械のパーツが現れ、彼が地球人ではない事を示す。

 

 

「この地球を支配するに相応しいのはダークギア皇帝であるカイザー・デウスマキナ様だ。断じてヘルパークなどではない」

 

 これは悪の軍団と戦う戦隊ヒーローの組織に潜む別の悪の物語。

 

 

 

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