アルシャードセイヴァー・リプレイ ノベル・レイアース+a   作:椎名真白

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凱旋

 王の都、その城内にて。

 魔法騎士たちは表彰を受けた後、晩餐会に出席。パーティーを楽しんでいた。

 あの戦いから数か月。短いながらも濃い時間だった。

 この世界に滞在し、いろんなものを見てきた。そんな生活も今日で終わり。

 この晩餐会は、魔法騎士最後のパーティーであった。

 ルーテシアも含めた三人が食事を楽しんでいると、薄暮の君が改めて挨拶をしにやって来る。

 

「魔法騎士の皆様、この度はこの世界の荒事に巻き込んでしまい、申し訳ありませんでした。本来ならば、この世界の者が為せば成らなかったというのに」

 

 アイスクリームを頬張っていた蛍がそれを飲み込み、薄暮の君に向き直る。

 

「良いんだよ。わたしはできることをやっただけだから!」

「そうね~」

 

 隣にいる嵐が蛍が口に残しているクリームを拭き取りながら同意した。尚、この直前にルーテシアの頬についたクリームをぺろりと指ですくって舐めているものとする。

 晩餐会の場に三神官の姿はない。あれだけのことをやらかしたのだ。相応の罪に問われる。

 奈落に与し、そのせいで多くの被害が出てしまった。死刑よりも重い罪を課せられる。

 百年の終身刑。ただ、無だけが支配する空間で、意識を保ったまま、封じられ続ける。

 本来なら、千年予定だったこの刑も、ルーテシアの計らいと、奈落封印の活躍、オーク城で薄暮の君を守ったことから減刑された。

 減刑に対し異を唱えた者たちも大勢いた。特に彼女たちにより殺された者からの恨みは大きい。

 だが、普通の人間が百年もの間、意識を保ち続けるというのは無理な話だ。刑を終えた頃にはもう、廃人と化していることだろう。

 被害者の中には、奈落により操られていたのだからしょうがないと割り切る者もおり、そういった者たちからも減刑の声が上がったのは不幸中の幸いだろうか。

 

「もう、私が会うことはないと思いますが……ルーテシア様。彼女たちに再会した時には、どうか、私が、薄暮の君がありがとうと言っていたこと、それから、あなた方の罪を赦すということを。伝えてくれませんか?」

「はい…………必ず…………!」

「目が覚めたときは……すっきりしてくれていると良いね」

「私達もさすがにあえないわね~」

 

 気付けば蛍と嵐の姿が霞んでいる。

 既に転送の儀式は終えた。元の時間軸と繋がるまでの間、楽しんでいた晩餐会も終わりを迎える。

 

「わたしたちも……そろそろお別れみたいだ」

「…あ~~~」

「蛍さん……嵐さん……本当にありがとうございました……」

 

 時空が歪む。

 そのせいか、ルーテシアの声が途中から途切れ、聞こえなくなる。

 

「ううん、良いんだよ。ルーテシアちゃんも、今まで本当にありがとう!」

「ルーテシアさま~~~今度逢えたら~~~結婚しましょうね~~~」

「もう、声も聞こえません。此方の言葉が伝わっているか分かりませんけど……皆さま、お元気で……」

「どうか……お元気で……」

 

 もう、この世界を訪れることもないだろう。

 せめて、この記憶だけでも。元の世界に戻った後に、残っていることを願う。

 

「みんな……本当にありがとう! わたし、この世界に来れて……みんなに会えて良かった! ばいばい……元気でね!!」

「みなさんお元気で~~」

 

 

 

「でさ~、蛍。お土産何にする?」

「嵐さん、此方の熊と此方のへんな(ぴえん)どっちが可愛いですか?」

 

 それぞれのクラスメイトから声がかかる。

 

「……………………あれっ」

 

 蛍がきょろきょろと周りを見る。

 

「あら~このぴえんいいわね~かいましょ~?」

 

 嵐はかけられた言葉にそう返していた。

 どうやら、数か月前……東京タワーで異世界に呼び出される直前に戻って来たようだ。

 記憶は――残っている。

 蛍と、嵐。

 それぞれの手元にはあのシャードが今もまだ握られていた。

 

「嵐ちゃんも……いる。戻ってきたんだ……元の世界に」

 

 小声でそう言ってから、嵐の方を見ていると、それに気づいた嵐が蛍の方を見てウィンクをした。嵐にも記憶が残っている。それに気づいた蛍は嬉しくなってにっこりと笑顔を浮かべ、手をぶんぶんと振る。

 蛍の隣にいた友人が何やってんだこいつって思っていると、くるりと振り返りお土産選びに蛍が戻る。

 

「……お土産! そうだね、なににしよっか! あ、こっちの激辛炎味アイスクリームなんてどう?」

「それはやめた方が良いと思う……」

 

 

 

 

 

 

 

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