アルシャードセイヴァー・リプレイ ノベル・レイアース+a   作:椎名真白

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子供たち

 

 その少女たちは夢を見ている。

 

 

「………………ぼけー…………………!?」

「…また変な夢か」

  

 ぼけっとした顔の少女は獅子原(ししはら)(かおる)。もう一方の少女の名は志那都(しなつ)(そう)

 共にシャードを身に着けた中学生のクエスターである。

 

「ていっ! 自分のほっぺ平手打ち!」

 

 自分で自分を平手打ちし、その衝撃で吹き飛ぶ香。それを横目に見ていた颯がぎょっとした顔をする。

 

「いっだぁーーー!!???」

「お、おい…何してるんだいきなり」

「い、いやこれが夢かどうかって確認しようと思って……」

「つねるくらいでいいだろうに…」

 

 そんな風に呆れていると、突如声が響く。

 

『魔法騎士たちよ……魔法騎士たちよ……どうか、助けて…………』

 

 その声に香と颯が顔を見合わせ、そして香が隣にいたのが颯だとやっと気づいた。

 対し颯は香の顔を見て誰だっけという顔をする。そういえば、母の友人の子供の名前がそんな感じだったような……会ったような記憶があるが、今一思い出せないでいた。

 

「えーとつまりここは夢じゃなくて? 目の前にいるのは……そうか、現実の颯ちゃんやな!」

『どうか………………お願い…………』

「…………あれ。颯ちゃん、なんかゆった?」

「…あんた確か…ええと…獅子唐…だっけ?」

『私たちの世界を………………そして………………』

「獅子原ぁ!!?」

 

 声が流れてくるのを聞きながら、香が苗字の訂正を行う。二人のやり取りを無視して、或いはそのやり取りが通じていないのだろう声は続けた。

 

『ルーテシア様を………………助けて…………』

「ルーテシアああああ!?」

 

 次に叫んだのは颯だった。

 聞き覚えのある名。その名は母の口から何度も耳に胼胝ができるくらい聞かされている。

 颯の叫びを最後に、夢は終わり現実へと戻された。

 

 それぞれが元居た場所。寝室にて。

 

「ルーテシア! ママから聞いたことある!」

 

 香がそんなことを口にしながら目覚める。

 

「ママをいっぱい助けてくれたってゆう、すごい人やなー!!」

 

 香が生まれるより前、香の母親はルーテシアと共に世界を救ったのだという。

 香は母から継承したシャードを手に、そんな名前に思いを馳せながら起き上がる。

 

 対し、颯はその忌々しい名を口にしながら自室でがばりと跳ね起きた。

 その叫びは自室を抜けた先まで響いており、キッチンで料理をしていた母の耳まで届く。

 

「いま、ルーテシアっていった~~~?」

 

 びゅ~んと、くるくる回りながら小躍りするようにやって来たのは、颯の母、(らん)である。

 

「うるせえ! くんな!!」

 

 反抗期の娘が如く怒鳴る颯。嵐はそれをどこ吹く風と無視してルーテシアの姿を探すのだった。

 

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