アルシャードセイヴァー・リプレイ ノベル・レイアース+a 作:椎名真白
紫暗に染まる空の下、ルーテシアは薄暮の君と共に逃げていた。
行く当ての無い道。始まりの街に向かったとして、都の戦力でどうにもならなかった相手だ。すぐに滅ぶことになるだろう。
「……人里に逃げることはできない…………一体、どこにいけばいいの…………」
「見つけたゾ。モウ、ニガサヌ……」
「…………っ!!」
“闇の大魔”がすぐ目の前にいた。
「…………っ!!」
「死ネ」
蓄積した疲労により倒れそうになる体を起こしながら、何とか魔法で対抗するも、光の魔法は“闇の大魔”の闇により塗り潰されてしまう。
「……気は済んだカ」
「…………そんな」
「デハサラバダ」
最期の時が訪れようとしていた、その時。
『母上……どうか……』
声が聞こえた。
「………………え?」
それは、“闇の大魔”と嘗て化した闇の神、レクサス。ルーテシアが生み出した我が子の声。
「レク…………サス…………?」
それは、“闇の大魔”の中から聞こえてくる。
闇の中から、一筋の光が生まれる。それは、昼と夜を切り替える力であり、闇の神レクサスが本来有していた力の一端であった。
「この光…………闇に落ちる前のレクサスのもの!?」*1
その光はルーテシアが抱えていた薄暮の君を包み込むと、この世界から跡形もなく消し去る。
「グッ……ドコヘ消えタ……!?」
「…………!? 彼女を……逃した…………でも、どこへ……」
「この世界カラ…………薄暮の君ノ霊圧ガ……消えタ……?」
「………………この世界の外へ………………まさか!?」
ルーテシアの手に、気づけば鍵が握られていた。
希望の鍵。この世界と別世界を繋ぐもの。人々の想いを元に生み出されたその鍵は、きっとあの場所へ繋がっている。
「そう…………やはり、あの世界に……蛍さん……嵐さん……………………迷っている暇はありませんね」
百年前の記憶が脳裏に蘇る。
ルーテシアは、その鍵を使い
ここを通ればきっと、彼女たちの元へ向かえるはず。しかし、“闇の大魔”が先に開いた空間を抜けて、地球へ向かおうとしている。
「まずい……奴まで行かせるわけには!!」
その“闇の大魔”の行く手を、黄昏の魔力が拒んだ。
「これは…………!?」
魔法錬成、黄昏の魔力――そして魔力の矢。氷の魔力を含んだ矢が、“闇の大魔”を押しとどめた。
それが誰によるものだったのか、確認する暇もないまま、空間がルーテシアを飲み込み、この世界から転移させる。
魔法騎士を見つけ出し、真の力を解放させる。最早、封印では対処ができない事態となった今、ルーテシアは“闇の大魔”を打倒する必要がある。
そのクエストを成功させる為、再びルーテシアは地球へと降り立つのだった。