アルシャードセイヴァー・リプレイ ノベル・レイアース+a 作:椎名真白
どくん、どくん。脈を打つ音が響き渡る。鼓動は徐々に早くなっていき、やがてソレは産声を上げた。
「蛍、蛍どこ?」
ソレは閉じ込められた繭を突き破り、裸体を露にする。
「ねえ、蛍……どこにいるの」
虚ろな瞳が映す先には、無限とも言える闇が広がっていた。
その闇の中から、大きな女が姿を見せる。
その巨大な顔は目の前で裸体を晒す存在に対し語り掛ける。
「貴様の探す蛍はここにはいない。その娘は別な世界におる……貴様の名は……ヒカル。そう、ヒカルだ」
「ヒカ……ル」
ソレ……ヒカルは目の前にいる人物を母であると思い込んだ。生まれてすぐに声をかけてきたのだから、母親に違いない。
「お母さま、蛍はどこ? どこにいるの?」
「
蛍に会える。そう聞いた蛍は、虚ろな瞳に光を宿すとにっこりとほほ笑んだ。
その顔は、どこか蛍に似ていた。
※
「……まだ、道は繋がらぬか?」
“闇の大魔”は苛立っていた。
逃した魚はでかい。あと一歩のところまで追いつめたというのに、それをみすみす逃してしまった。
「ヒエー、ゴメンナチャウ……」
“闇の大魔”の部下であるオークが怯えながら謝る。オークたちのまとめ役であるオークリーダーで、現在、
一度開いているのだから、その後を追えばいい。そんな風に簡単に考えていたからこそ、中々道が繋がらず余計に苛立つ。
「使えぬ下僕ガ!」
「ひゃんっ」
オークリーダーを蹴り上げれば、悲痛な叫びと共に吹き飛ぶ。そのせいで折角組んでいた魔術がパーである。
「ハイたん……ちょっと興奮してきたでしゅ……」
オークリーダーの頭もパーである。
「なーに遊んでるんだか」
ひらりと、宙に出現した神官が地面へ降り立つ。
金の髪に碧色の瞳をした、まだあどけなさの残る少女。
闇の三神官の一人、アルキオネだ。
「ルーテシアの弟子カ……何をシニキタ」
「繋がったから、そのご報告に。それから、お披露目」
ふわり浮き上がると、嬉しそうに舞い上がりながらくるくると回りだす。
「さあさあ、ごらんあそばせ。うちの可愛い可愛い相棒を!」
妖精が踊るように、軽やかなステップで宙で舞い、それの招来に喜びを上げる。
上空から、何かが降ってきた。
それはアルキオネの後ろで停止すると、“闇の大魔”を見下ろす。
「オォオオ……」
嘗て倒されたはずの、“闇の大魔”だった存在。アルキオネの持つシャード、そのアバター……オベロンもまた、この地に再臨する。
「さぁ……お師匠様……復讐の時は来たよ…………。そうですよねえ……お姫様♪」