アルシャードセイヴァー・リプレイ ノベル・レイアース+a   作:椎名真白

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産声

 

 どくん、どくん。脈を打つ音が響き渡る。鼓動は徐々に早くなっていき、やがてソレは産声を上げた。

 

「蛍、蛍どこ?」

 

 ソレは閉じ込められた繭を突き破り、裸体を露にする。

 

「ねえ、蛍……どこにいるの」

 

 虚ろな瞳が映す先には、無限とも言える闇が広がっていた。

 その闇の中から、大きな女が姿を見せる。

 その巨大な顔は目の前で裸体を晒す存在に対し語り掛ける。

 

「貴様の探す蛍はここにはいない。その娘は別な世界におる……貴様の名は……ヒカル。そう、ヒカルだ」

「ヒカ……ル」

 

 ソレ……ヒカルは目の前にいる人物を母であると思い込んだ。生まれてすぐに声をかけてきたのだから、母親に違いない。

 

「お母さま、蛍はどこ? どこにいるの?」

 

蒼き星(ブルースフィア)。こことは異なる世界。だが安心するがいい。再会の時はすぐそこだ……」

 

 蛍に会える。そう聞いた蛍は、虚ろな瞳に光を宿すとにっこりとほほ笑んだ。

 その顔は、どこか蛍に似ていた。

 

 

 

「……まだ、道は繋がらぬか?」

 

 “闇の大魔”は苛立っていた。 

 逃した魚はでかい。あと一歩のところまで追いつめたというのに、それをみすみす逃してしまった。

 

「ヒエー、ゴメンナチャウ……」

 

 “闇の大魔”の部下であるオークが怯えながら謝る。オークたちのまとめ役であるオークリーダーで、現在、蒼き星(ブルースフィア)に繋がる門を開くべく、オーク総出で術式を組んでいるところだった。

 一度開いているのだから、その後を追えばいい。そんな風に簡単に考えていたからこそ、中々道が繋がらず余計に苛立つ。

 

「使えぬ下僕ガ!」

「ひゃんっ」

 

 オークリーダーを蹴り上げれば、悲痛な叫びと共に吹き飛ぶ。そのせいで折角組んでいた魔術がパーである。

 

「ハイたん……ちょっと興奮してきたでしゅ……」

 

 オークリーダーの頭もパーである。

 

「なーに遊んでるんだか」

 

 ひらりと、宙に出現した神官が地面へ降り立つ。

 金の髪に碧色の瞳をした、まだあどけなさの残る少女。

 闇の三神官の一人、アルキオネだ。

 

 

「ルーテシアの弟子カ……何をシニキタ」

「繋がったから、そのご報告に。それから、お披露目」

 

 ふわり浮き上がると、嬉しそうに舞い上がりながらくるくると回りだす。

 

「さあさあ、ごらんあそばせ。うちの可愛い可愛い相棒を!」

 

 妖精が踊るように、軽やかなステップで宙で舞い、それの招来に喜びを上げる。

 上空から、何かが降ってきた。

 それはアルキオネの後ろで停止すると、“闇の大魔”を見下ろす。

 

「オォオオ……」

 

 嘗て倒されたはずの、“闇の大魔”だった存在。アルキオネの持つシャード、そのアバター……オベロンもまた、この地に再臨する。

 

 

「さぁ……お師匠様……復讐の時は来たよ…………。そうですよねえ……お姫様♪」

 

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