アルシャードセイヴァー・リプレイ ノベル・レイアース+a 作:椎名真白
「駆けろ駆けろやでーーーー」
下山した一行はトネールを回収し次なる目的地、巨人の塔へ向かう。
最初に向かうつもりが、情報収集の兼ね合いで始まりの街に向かった関係で結局最後になってしまった。
「巨人の塔へ向かいましょう……!」
「ここから先は通さなぐぼら!?」
トネールに激突した何かが続けざまにメールにぶつかり吹き飛んでいった。不幸な事故である。
「今何かいたような……」
「邪魔や邪魔や退けろやでーーーー」
「悪いな誰か知らない人!」
きらーんとお空の星となるヒカル。文字通り光となるのだ。
巨人の塔に着いた一行はシャードを揃え王の鍵を回収。
「これで後は炎の大地へと……!」
そのまま最果て、炎の大地へ向かうも、此方の今までの行動を読んでいたのか、奈落の軍勢がその前に現れた。
「ウシー!」
「それはミノタウロスの鳴き声ーーー!」
“闇の大魔”の部下であるオークたちだ。
魔神の上から眼下の奈落勢力に対し魔法で攻撃。ルーテシアの光がオークを貫いたかと思えば、颯の稲妻が迸りオークを焼き、香が倒し切れなかった敵を斬り捨てる。
そのまま殲滅を完了し、炎の大地へやって来た。
「さぁ、香さん! 王の鍵を!」
「おう、いったれ」
「こいつやなー! ほらっ、はよぅ起きんかーい!!」
王の鍵を起動すると、凄い大きな音が鳴り響いた。
「!?!?!?!?」
音に反応したのか、溶岩の中から炎神、フラムが姿を見せる。
「こいつが……炎神……!」
何故か挙動不審になりながら、周りを見回すフラム。その様子がまるで寝起きの子供のように見え、まさかと思いつつもルーテシアを見れば、そっと顔をそらされた。
王の鍵の正体は、目覚ましのアラーム起動装置だったらしい……。
「目覚めなさい、フラム!」
「ほらっ、はよぅ起きんかーい!!」
ならばと寝ぼけているフラムに大声をあげてみれば、びくりとしたあと、香と目が合った。
「わぁ……!? 皆いる……!!?」
「おはよーさんやで!」
起きたフラムはトネールにメールが揃っていることに驚く。
魔神たちは最後の魔神の目覚めを喜び、再会を祝した。
「おはようございます」
「hello」
「わあ!」
握手握手と握手をする魔神。
「いやなんかゆるいな??」
颯がその光景になんだか疲れた表情をする。
フラムは香と颯を見ると、どったんばったん撥ねながらきゃっきゃと手を叩く。
「新しい魔法騎士さんだぁ! たのしーーー!」
「まあでも、香と仲良くできそうか?」
「…………なんか思っとたんとだいぶイメージちゃうな?」
「しばらく見ないうちに変わりましたね……?」
「まじかよ…」
こういうタイプの魔神かと思ったらルーテシアの知るフラムとも違う性格になっているらしい。バグだろうか……。
フラムはその場に膝を曲げてお座り体勢になると、頬に手を当てながら、花でも愛でるように香を見下ろす。
「おうおうごっついの! お前さん、戦えるんか?」
にこっ、と笑ったフラム。香のシャードが輝きを放つと、その力を分け与えられる。
「なんや、力はジューブンなようやな! 期待しとるで!」
ぐっと指を立てて*1サムズアップをすると、フラムも同じくサムズアップで返した。
「ぜえ、はあ、ぜえ……」
「お?」
その場に近づく気配を感じ振り向けば、先ほど吹き飛ばされていったヒカルが汗だらけでやって来た。
「ぜえ……み……水……」
「あ、はいどうぞ」
ルーテシアが冷やしていた水を渡す。
「どうも……じゃなくて! 飲むけど! ありがとう!?」
「お、おう…お疲れ、なんか悪いな」
誰か知らんけどと颯が謝る。
「大丈夫か? ずいぶん疲れとうな?」
「おのれぇ……! お母さまの邪魔を良くも……!」
「オカーサマ?」
「あなたのお母様とは……?」
「次にあった時は覚悟してろ……!」
「まずさ、お前誰…」
若干涙目になりながらも捨て台詞を吐くヒカル。
ジト目でそれを見ながら、颯が誰かと似てるなーと考え込む。
「それよりアンタ、なんでうちのママに似とるんやーーーー」
「そうか、獅子原のかーちゃんに似てるのか!」
顔立ちが蛍にそっくりだ。若干あほっぽいところも含めて。
「蛍は私、私は蛍」
「????」
「どういうことですか……?」
「蛍は私の元に帰って来るの……その為には、力が必要……!」
「つまり……アンタは……うちの……ママ……!?」
混乱した香が思わず武器を構える。他の二人も武器を構え、薄暮の君を一歩下がらせた。
「お前たちの相手なんかしてられるか……! 負けるわ!」
ぐるりと後ろを向いたかと思うと、全速力で撤退するヒカル。
何だったんだ……。
「……ってワケでもなさそーやな! ああっ! 待ちーやー!! 色々説明してけやーー!」
最早見えなくなったヒカルに向かって大声を上げる。
「……気になりますが、王都へ向かわなければ」
「……くっ、それもそうやな……!」
これだけの戦力が揃ったのだから、都を覆う結界くらいどうにかできるだろう。
三騎の魔神を駆り、再び都を目指す。
「…おう、なんか別に嫌いじゃねーなあいつ…いや獅子原のかーちゃんの関係だからあの人、のほうがいいか?」
「分からんぞ! 嘘っぱちかもしれへん! 颯ちゃんがルーテシアさんを男やと思っとったくらいの思い違いな可能性もあるかもしれへんやろ!」
「…………?」
「なるほどな…いやまてそういうことか?」
「誰だったのでしょうか……」