アルシャードセイヴァー・リプレイ ノベル・レイアース+a 作:椎名真白
王の都に向かう前に、ルーテシアはレリクスを起動。それを三騎の魔神へと接続する。そうして、ルーテシアが創造したこの世界を検索し、精度の高い情報収集を行う。
手に入る情報の量は膨大。故にそこから必要な情報に絞ったものを検出する必要がある。
これには二人のシャードと、ルーテシアが預かっている青のシャード*1を用いた。*2
まずヒカル。蛍似の彼女の正体は、シャードのアバターのようだ。アルキオネのオベロンのような存在で、シャードが仮初の肉体を持った姿。それは蛍のシャードであり、魔法騎士のシャードとはまた別の、蛍が持つべき本来のシャードなのだ。
ヒカルが望むのは、蛍を自分の物とし、彼女に自分を使って貰おうこと。そのシャードが誰の手に握られているのかまでは分からなかった。
「蛍さんのシャード…………? 一体どういうことでしょう」
「な、なんかすごそうなヤツやったってコトは分かったで……!?」
「んん? 獅子原のそれじゃないのか」
「魔法騎士のシャードとは別に蛍さん自身がシャードを宿していた……ということでしょうか」
「そ、そんなことあるんかぁ! うちにはないんかなー」
並行して調べていたのは、先の氷風山脈で現れた
闇の神に仕える恐ろしい大蛇が住まうと言われているが、デボネイラはそれとは異なる存在のようだ。
その正体は、人々の想いの集合体である。
恐怖、絶望、悲愴――それらの暗い感情が、形を以て権限した存在。
世界の在り方と鏡写しに存在する者であり、今、世界が絶望に包まれているからこそ、強大な力を持つという。
逆に言えば、世界が希望を取り戻せば、デボネイラは弱体化する。
氷風山脈で撃退したのは分身のような存在だったのだろう。
「大魔に匹敵する力…………そんなものが」
「つまり、世界が救われることとアイツがいなくなるのは似たようなモンっちゅうことやろ! こいつらの力をつこたら……!」
「ならば……元より為すべきことは変わりませんね。三騎の魔神の力があれば、王都の結界を破壊できるはずです」
「いくしかねーな」
「王都に向かえば、おそらくそこが決戦の舞台……準備を整えていきましょう」
一同は巨人の塔にて決戦の準備を整えていく。
ここにはいざという時の為の備えがあった。必要なアイテムを揃えた一同は、魔神を駆り王の都へ向かう。
「参りましょう……王都へ!」
※
「
“闇の大魔”が玉座にて鼻息荒く貧乏ゆすりをする。
「高ぶってるね~、そうは思わない? お姫様?」
アルキオネがその隣で笑いながら言った。
その視線の先には誘拐された蛍が、可愛い衣装でデコられていた。
「お前たち……一体何が目的なんだ!」
こんな可愛くデコって!! と内心思いながら声を荒げる蛍。
“闇の大魔”は立ち上がると、その顔を蛍に近づける。
「我が妻に相応しい見た目だ」
「!?」
「ククク……我を忘れたとは言わせないぞ、魔法騎士よ」
「お前のような夫を持った覚えはないね!」
蛍は顔に触れようとした“闇の大魔”の手を振り払い嫌悪感を露にする。
「結婚を前提にお付き合いからだな」
「草」
何言ってんだこいつって顔をしながらアルキオネが笑った。
随分おかしな性格になったものだ。これも“闇の大魔”に呑まれた影響か……?*3
「さあ闇の大魔よ。忌々しい魔法騎士がそろそろ来るよ? 準備はオーケー?」
尚も蛍に迫ろうとする“闇の大魔”を魔法で引っ張り真面目な顔で言う。
ようやく離れたことに安心しながら、抵抗しようとして、すぐに考え直す。
今の蛍では抵抗してもすぐ取り押さえられてしまう。馬鹿の一つ覚えで抜け出そうとすれば、きっと、これから助けに来てくれるルーテシアたちの迷惑になってしまうだろう。
「悪いが私にはもう旦那も娘もいるんだ。一体何をやるつもりなのかは知らないけど……! きっと私の娘たちが……仲間や友達が、お前たちなど!」
そう反論だけにとどめると、アルキオネがその発言に気になることでもあったのか首を傾げた。
「そういえば、嵐ってのの娘みたいなやついたんだけど。あいつも結婚したわけ? お師匠にぞっこんじゃなかった?」
「そのお師匠との間の娘さんを育てているよ」
「?」
「……?」
アルキオネに続いて“闇の大魔”も一瞬固まった。大困惑である。
「さア……!! 復讐の時ッ!」
「往るぞ……ッ!」
「応!」
“闇の大魔”、アルキオネ、そしてオベロンが、困惑の末に出撃。
「お前たちの思い通りになんて……ならない……! 颯ちゃん……ルーテシアちゃん…………香。信じているよ……!」
蛍はそのまま放置されるのであった。