アルシャードセイヴァー・リプレイ ノベル・レイアース+a   作:椎名真白

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王の都、城内決戦

 王の都城壁。そこに蜘蛛の巣のように張り巡らされた奈落の結界。

 

「目標を破壊します。標的を定めてください」

 

 蒼神メールの声に頷き、ルーテシアが指示を出す。

 

「目標、王都結界! 撃ち方用意!」

「一斉放射だーーーーー!? わーーーーー! サンシャインーーー!」

「お前、ホンマ元気良いなぁ! そういうの嫌いやないで!」

 

 メラメラと燃える炎でその身を輝かせる炎神フラム。

 その炎を一点に集中させると、高出力の光線として放出する。それを合図とし、魔神の一斉攻撃が開始される。

 結界が崩れ、余波でその結界内で警護をしていた奈落たちが崩れていく。

 

「うわあ…凄い衝撃だな」

 

 圧巻。颯がその光景に息を飲んだ。

 流石に連続で放つことはできないが、これでかなり道が楽になる。

 一行は現れる奈落を蹴散らしながら、城の内部へ突入する。

 

 城内はより混沌としており、最早魔境と化していた。

 

「なんてこと……!」

「ひっどい有様やな……この奥に……ママが……!」

 

 城外の比ではない数の奈落に冷や汗を流しつつも、それらを倒し階段を駆け上がっていく。

 そして辿り着いた王の間。そこで二つの勢力が衝突していた。

 

「あれは…………!?」

「…お、おい…どういう状況だこれ」

 

 “闇の大魔”とアルキオネ、そしてオベロンが、ヒカルと戦っていたのである。

 

「蛍はこの先だな! 邪魔な奴らめ……!」

「あ、おったな! ママのシャードのアバターとかいう、けったいなやつ!」

「一体何者……かと思ったらそんな素っ頓狂な奴!」

「オベオべ!!」

「残念ながらママが持っとったシャードは今、うちの手にあるで!」

「シャードのアバターを検知、奈落勢力と交戦中……」

「有機栽培」

「あー…どれが本命だこれ?」

 

 ヒカルの手には蛍や香と同じ炎の剣が握られており、それを巧みに操り“闇の大魔”に切り結ぶ。

 “闇の大魔”がその拳で剣を受け止めつつ蹴りを入れようとすれば、その衝撃を活かし後ろへ高く跳ぶ。その先を予測していたアルキオネが魔法を放つ。それをヒカルは一つ呼吸をする内に切り落とし、体勢を立て直す。

 

「キタナ……マジックナイト……!」

 

 “闇の大魔”がヒカルへの警戒をしたまま、ルーテシアたち魔法騎士に向き直る。

 

「ソレニ、ドウヤラ魔法騎士ガ三人、揃ッタヨウダ……! 貴様ラヲ屠リ、我ガ内ニネムル存在ヲ黙ラセル!」

「わーーい敵さんがいっぱいだーーーーたーーのしーーー!!」

 

 フラムが喋っている途中の“闇の大魔”を拳で殴る。その拳を“闇の大魔”が受け止め、後ろへ投げ飛ばした。

 投げられたフラムはやはり楽し気に攻撃を繰り出す。

 

「アルキオネ……」

「(*'ω'*)」

  師と対峙したアルキオネはヒカルの炎撃を躱しながら、その後ろにいる薄暮の君へと目を向ける。

 

「誰かと思えば薄暮の君も一緒に来たんだ? でもま、安心しなよ。その人を狙ったりしないからさ……!」

「なんだお前話わかるやつだな!」

 

 ふわりと浮き上がるアルキオネ。その言葉が本当かは分からないが、少なくとも颯はその言葉に嘘が無いと信じた。

 薄暮の君はその戦いを前にごくりと唾を飲み込む。

 

「敵が……沢山います……!」

「姫さんはそこにおってな! 危なくないように気ぃつけるんやで!」

「これ以上はさせません……ここであなたたちを止めます!」

 

 ルーテシアもアストラルギアを使い浮遊。

 城壁の結界を破壊したとはいえ、この内部は未だ“闇の大魔”の領域。結界内では物理法則が歪み、重力のくびきから解き放たれる。

 香、颯もまた空中での戦闘に移行。ヒカルと“闇の大魔”だけ地に足を着けて戦いを行っている。

 香がシャードを強く握れば、その手を侵食するように炎の紋様が浮かぶ。異形化した手の先には香の得物である炎の剣が握られていた。

 

「よし、景気よくいくぜ!」

 

 颯がシャードを通し音楽を奏でる。勇気を与えるロックは仲間の攻撃力を増しこの戦闘の盤面を有利に進める。ついでにヒカルにもバフをかける。

 

「加速……!」

 

 “闇の大魔”に対峙しているヒカルは突然攻撃の手が強まったことに驚きながらも、加速能力を使い一気に加速。“闇の大魔”を押し飛ばす。

 加勢しようとした香と颯だが、突然体が重くなる。

 “闇の大魔”の加重領域によるもので、この結界に作用し重力を操作。飛行している敵を失速させ落下させる効果がある。

 

「沈め」

「くっ……重力操作…………!?」

 

 魔法による援護を行っていたルーテシアのヴィークルが落下。

 

「あ? くっそなんだこれ…落とされる!」

「ぐ……うっ、体が……重く……!?」

 

 同じく颯、香も落下していく。

 それを見てアルキオネが愉快そうに笑みを浮かべる。

 

「あはは~飛べるからって調子に乗ったねえ?」

「うるせえ! 飛べるなら飛ぶだろ!」

 

 文句を垂れる颯。アルキオネは加護の力を使い加護を封じる加護を使う。

 

「させません……!!」

 

 それに気づいたルーテシアがすかさずオーディンの加護を以て、アルキオネが使おうとしたスィンの加護を無力化した。

 オベロンとの連携を目的としたコンボはルーテシアの前に意味をなさなかった。*1

 

「もうその手は通じません……!」

「こん……のぉっ! 負けへんでぇ!!」

 

 精霊の奔流に乗った香が重力に逆らって走り出し、そのままアルキオネに接敵する。 

 

「…は? この重力のなか走ったぞあいつ!?」

「流石ですね……!」

「おんりゃあああっ! うちの全力、舐めんなやーー!」

「闇ノ神ノ力、存分ニソノ身デ味ワエ」

 

 戦いの中でアルキオネの近くにいた“闇の大魔”がそういうと、巨大な球体が頭上に出現。さながら太陽の如き輝きを持つ球体は、しかし黒く染まった闇そのものであると同時、その攻撃は光を伴う一撃として香目掛け落下する。*2

 

「貴様ラノ母親ニ倒サレタ恨ミ……! サン――シャイン!」

 

 慌てて精霊の群れを召喚し壁とするも、完全に防ぐことはできず精霊は消滅。香も多大なるダメージを受けてしまう。

 太陽に呑まれた香を見て、颯が叫ぶ。

 

「おい獅子原、生きてるか!」

「うっがぁああっ!? い、いっだいやんか、お前ぇ!?」

「大丈夫そうだな…」

「精霊たちに助けてもらわんやったら瀕死やったで!!」

「ですが何度も受ければ危険です……!」

 

 香が注意を引き付けている内に、今度はヒカルが攻撃を行う。

 マナを用い生み出した矢から、炎の矢を生み出しそれを放つ。

 

「お前、蛍の匂いがする! 蛍に何をした!」

「こいつ……!?」

 

 矢は加護の力により必中の矢と化していた。

 アルキオネはシャードを使いさらなる加護を酷使。必中のはずの攻撃を強制的に回避する。

 

「なにヘンタイみたいなこと言うとるんやーー!!」

 

 思わずヒカルにツッコミを入れる香。

 

「よっし、こっちもいくぞ!」

 

 バチ、バチ、と手に雷を生み出した颯は、同じくアルキオネを狙い攻撃を放つ。

 

「いくぜ! ふっとべ!」

 

 迸る電撃は一瞬にしてアルキオネへと着弾。

 

「っ!」

 

 アルキオネが加護を通しオベロンに障壁を展開させる。それにより何とか事なきを得た。

 

「…ち、あんま通らねーな」

 

 “闇の大魔”もこの戦いを有利に進める為、最も加護の扱いが上手いアルキオネのシャードを自らの加護を以て回復させる。

 そこにルーテシアが放ったピンポイントレーザーが発射され、薙ぎ払うように“闇の大魔”たちに着弾。オベロンが今度は自らの身をもってアルキオネを守り抜く。

 追撃と言わんばかりに神なる炎が香からオベロンに放たれ、それと交差するように“闇の大魔”の方から邪悪なる神炎が香に向け放たれ、互いに呑まれる。

 命の危機に瀕した香のシャードがブレイクし、その死を回避。力を解き放ったシャードにより加重領域の重しからも香は逃れ、神経加速剤を自らに打って戦場での行動を早める。炎剣に精霊の力を纏わせ、それを球体状とし一気に放った。

 

「でえええいやーーっ!!」

 

 奈落を焼く炎がアルキオネ、オベロン、“闇の大魔”に当たる。このうち“闇の大魔”は奈落種別であるため、多大なるダメージを受けた。

 その炎の中から姿を見せたのはオベロンだ。アルキオネからの行動命令に従い、香を殴りつける。 

 このままでは当たる。その未来を見通したルーテシアが魔法により香の可能性を導く。

 

「どんりゃあああぁぁぁぁっ!!!」

 

 香はその導きと、自らの持つ火事場の底力で横へ飛び、何とか回避に成功。

 

「続けて参りましょう……!」

 

 ルーテシアの号令に香、颯が頷き、戦いは第二ラウンドへ移行する。

 

 

*1
《主の為に》:セットアップ。アルキオネと同じエンゲージにいる時のみ適用される。アルキオネの使用する加護の効果は適用中の場合無効化できず、さらにアルキオネは加護が使えない状況でも加護の使用ができる。ただし、その条件に当てはまるたびにあなたのHPは200点減少する。この特技の適用状況は《ガイア》により消し去ることができる。

*2
光属性ダメージ

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