ルリクライシス!   作:シン・アルビレオ

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 ルリドラゴンアニメ化おめでとうございます!
まだ先になるそうですがと京アニなので楽しみですね。


3話 お風呂で騒いでいる頃、目が覚めたら知らない天井でした

病院に到着してから数時間後の丑三つ時、手術室のランプが消えると手術を終えた外科医が退室していく。

「先生、ルリは……?」

「無事に成功しました。容態も安定しています」

よかった、と英里子はホッと息をつく。

「リハビリを兼ねて1週間は入院させます。何事もなければそのまま退院できますよ」

「分かりました」

麻酔で眠ったままのルリがストレッチャーで麻酔後回復室(PACU)まで運ばれてモニターで経過観察されることになるそうだ。

時間になったら面会しても良いそうで、ひとまず自宅へ戻ることにした。

英里子は竜司へ帰ることをメールで伝えると、洋食の添付ファイルと共に英里子さんの分はラップして保管してあります、と書いてある。

英里子は数時間も手術の成功を祈っていた。

そのため緊張状態が続いていたというものあり、やっと空腹を感じられた。

夜食食べたら風呂入って、朝には世界遺物保護協会(ソサエティ)に連絡だ。

やることが、やることが多い状態なので徒歩よりも家政婦の車を呼んで屋敷へ戻る。

 

 車を走らせ10分ほどで到着し自室へ入ると竜司とローズがソファーでアニメ(らす☆きた15話)を見ていた。

「英里子さんおかえりなさい」

「ただいまー。お腹すいたぁ」

「ごはんは電子レンジで温めてあります」

「さすが竜司くん、気が利くわね。頂きます」

食卓に置かれた洋食は湯気が漂っており食欲を刺激する。

英里子はコンソメスープをひとくち飲むと、ほう、と一息ついてピラフを口にする。

「うーん、どれも美味しいわね」

「ありがとうございます。それはそうとルリさんの手術が成功してよかったですね」

「ほんとよ。気が気でなかったわ」

ピラフを頬張りながらアニメを集中して視聴するローズに目をやる。

竜司いわく最初はテレビというものを初めてみたのかびっくりしていたが、今は慣れてきてずっとテレビを見るようになったそうだ。

EDのGod knows……が流れ終わるとローズが質問する。

「リュウジ、ごっどのうずってなぁに?」

「直訳すると神のみぞ知る、という意味みたいだけど」

「ごほっ………あんたいつの間に日本語を喋れたの!?」

頬張ったピラフを吹き出しそうになるがスープでなんとか喉に流し込む。

「ニュースや恋愛ドラマを見ているとセリフを真似したり意味を聞いたりして知識をアップデートしていったのかと……」

「はぇ~、たった数時間でこれほどとは……驚異的な学習速度ね」

まだたどたどしい日本語だがしっかりと教育をしていけば日常会話には困らないレベルにはなるだろう。

 

 コミュニケーションをとれる兆しが見えて安心した英里子だが、不意にあることを思い出す。

「そういやお風呂は入ったの?」

「いえ、自分1人で入ろうとしたらローズが泣きわめいて……。かといって2人一緒に入るのは色々と耐えられないです」

ならば仕方がない、と英里子は食べ終えた食器を片付けソファーに寄る。

「しょうがないわね。私が一肌脱ぐわ。ローズ、私と一緒にお風呂入りましょ?」

英里子の提案にローズはプイとそっぽを向く。

いまだ素っ気ない態度に心が折れそうになりかけたが、なんとか奮い立たせて再度お風呂に誘う。

「わがまま言わないの」

ローズを抱っこしようとするも、猫のような俊敏さで避けて竜司の陰に隠れ威嚇する。

このままではらちが明かないだろうと判断した英里子は、3人でお風呂に入ることを提案する。

「じ、冗談ですよね?」

「だって竜司くんになついているし仕方ないでしょ」

2人で入るよりもハードルが高くなり竜司は頭がどうかになりそうだった。

「せ、せめてタオルとかで目隠ししても……」

「まぁ、それくらいならいいでしょう」

覚悟を決めタオルで目隠しすると、英里子はまだ隠れているローズを手招きする。

「ローズ、竜司くんも一緒に入るそうだからこっちおいで? あらいい子ね。服を脱がしてあげるからバンザイしなさい」

目隠しをしているせいで聴覚が研ぎ澄まされ、ローズの服を脱がされる音がいやおうなしに耳に入ってくる。

「よし、じゃ私も脱ごうかなっと」

英里子のわざとらしい声に竜司の鼓動が早まる。

今さらながらに彼女はモデル並みの体つきを持っていることもあり、その姿を想像してしまい悶々としてしまう。

煩悩を消し去るため心の中で般若心経を唱えていると無事に脱ぎ終わったようで、手つなぎでバスルームへと連れていかれる。

「じゃ僕は脱衣所で待ちますので……」

「え、竜司くん。あなたも一緒に入るのよ」

(まさか脱げとおっしゃるのですか……?)

心の中で思わず敬語になる。

「僕はお二人が終わった後でいいのですが……」

「お風呂でローズが暴れるよりはマシでしょ。それに3人のほうが効率いいし」

正論にぐうの音もでなかった。

確かにローズが暴れて英里子さんがケガを負ったら大変なことになる。

「もう一枚バスタオルを腰に巻いて入りますからそれでいいですか?」

「了解よ。私たちは先に入っているわ」

バスルームのドアが閉じられると、竜司は目隠しをとり制服を脱いでいく。

お風呂に入るだけなのに途方もない疲労感に襲われる。

「ローズ、バスチェアに座ってくれる? 髪の毛洗ってあげるわ」

扉がだいぶスケスケなので2人の動きとボディラインが結構見えてしまうことに気づき慌てて目を背ける。

タオルで目隠しをして腰にバスタオルを巻いた温泉地ロケスタイルで準備を終える。

あとはどうにでもなれだ。

 

 「入りますよ」

「どうぞー」

入室すると、むわっとする湯気と共にシャンプーの香りが鼻にくすぐる。

かなり広めのバスルームなので目隠しをしている竜司は壁に手をやり滑らぬようゆっくりと歩く。

「あ、リュウジー!」

「竜司くんストップ!」

バスチェアから突然立ち上がり抱きつこうとしたローズを英里子がすんでのところで止める。

「ローズ、ここは滑りやすいから暴れないの。竜司くんがケガでもしたら大変でしょ?」

「ケガ?」

「体が傷つくという意味よ。分かった?」

「むぅ……」

英里子に説教されムスッとするローズだが、効いたのかおとなしくバスチェアに座りシャワーで泡を流される。

英里子もシャンプーを終えるとボディーソープとボディタオルを竜司に渡し甘い声でねだる。

「竜司くん、私たちの背中洗ってくれないかなぁ?」

一体何を言い出すんだと驚愕する

「だって痒い所に手が届かないんだもん。それにお風呂で背中洗いっこするのは日本の習わしだと聞いたんだけどな~?」

「それは同性同士の銭湯での習わしかと……」

するとローズが目隠しているタオルを剥ぎ取ってしまい、竜司はタオルで覆っていない2人の裸体が視界に入ってしまう。

すぐに後ろをむくがあまりの強烈な刺激に鼻血が出そうになる。

「ちょっ……見たの?!」

「いえっ、見てません!!」

目隠しをしているとはいえ英里子は鬼の形相で睨み付けている気配を感じる。

必死に抗議するのも当然だ。もし見ました、と言えば記憶を無くすためにぶん殴られるだろう。

だが突然の出来事だったため濡れた裸体に4つの丘を思い切り目に焼き付けてしまった。

思い出すと下半身が熱くなり、必然的に前かがみになってしまう。

華奢な体つきのローズと大人顔負けのプロポーションの英里子の裸体は、思春期真っ最中の彼にとって刺激が強い。

だが悟られないようギリギリ前かがみにならない態勢を保つが、ローズが後ろから抱き着く。

「ねーリュウジ! こっち向いて!」

彼女のなだらかな感触が背中越しに伝わってしまったため限界突破して気絶してしまった。

 

 

 バスルームでどったんばったんの大騒ぎとなっている頃。

ルリは呼びかける声が聞こえてきたので目を覚ましたら視界がぼやけているけど知らない天井が見える。

えーと、確か私はファングに銃で左腕を撃たれて英里子さんに保護されたけど、ドラゴン少女とコミュニケーションをとっているうちに部屋でぶっ倒れたんだっけ。

「目が覚めたようですね。バイタルチェック……安定しています」

「OK。ルリさん、手をゆっくりと握ってください」言われるがままに手を握ったり、握手したりする。

「大丈夫そうですね。ではゆっくりと深呼吸してください」

深呼吸をすると新鮮な空気が肺に入り込む。

やっぱシャバの空気はおいしいが、喉がカピカピしているようでうまくしゃべれず、おまけに咳もしてくる。

だが肺炎を防ぐためにはしっかりと咳を行うべきだそうでそんなものかと思いつつ、ぼーっとしたままストレッチャーで麻酔後回復室から病室へ運ばれていった。

「もしトイレ行きたかったり、吐き気がしてきたらナースコールで呼んでくださいね」

「ふぁい……」

麻酔から復活したばかりでまだ呂律がうまく回らないが、やることもないのでぼーっと天井を見るしかない。

(暇だな……そういや今何時だろう)

スマホで時間を確認したかったがまた眠気が襲ってきたのでまぶたを閉じるとあっという間に二度寝する。




今年も1年間お疲れ様でした。

皆様よいお年を
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