緋弾のアリア -Knowledge is power- 作:ピュアドライバー
この作品は自分にとっての処女作品なので、まだまだ至らないところばかりかと思いますが、温かい目で見守って頂ければ幸いです!
01話 非日常
「
「はぁ、はぁ・・・この1ポイント取ればゲームセット・・・」
太陽がさんさんと照り付けてくる7月の空の下、東京都内のとある公立中学に通う中学3年生の少年、九重裕介は東京都江東区にある有明テニスの森のコートの上に立っていた。
「ここ一本集中!」
コートの外から仲間の声が聞こえてくる。
そうして俺は意を決したようにボールを頭上に投げた。
弧を描いて落ちてきたボールをラケットがとらえた。
「…ぅん!!」
勢いよく打ち出されたボールは相手のコートにバウンドし、そのまま後方のフェンスにあたった。
「ゲームセット、ウォンバイ九重
パチパチパチパチパチパチ・・・・・
鳴りやまない拍手と歓声の中、コート中央に向かい相手と固く握手を交わして
「「ありがとうございました」」
そんな定型句を口に出し、コートの外に出た。
「うぉぉ!ナイスゲーム九重!優勝だぁ!!」
…めっちゃ騒いどるやんけ木村のやつ。けどそうか、俺たち都大会の団体戦で優勝したんだもんな。
「あぁ、サンキュー木村、それにみんなも。とうとう俺たちの目指してきた東京1位になったんだな!」
「ホント夢みたいだぜ。おっと、もうすぐ表彰式だ。すぐに準備しろよ、九重」
「あぁ」
そうして俺たちは大勢の前で表彰されて、メダルやらなんやらを貰って都大会が幕を閉じた。
なんかあんまり1位になった実感無いなぁ、まあそんなもんか。そんなことより早くメシ食いてえ…。
そんなこと思いながら九重とその仲間たちは談笑しながら会場を後にし、駅に向かった。
「それにしても凄かったぜ!最後のポイントまさかサービスエースかよ。」
「そんな大したこと無いって、そんなことより飯だよ飯。みんな何食べる?やっぱコスト削減のためにサイゼとかにしとくー?」
「お前、優勝したんだからもう少し喜べよ…」
「ホント普段はこんなおちゃらけたやつなのに、ここぞって時に凄いんだよな九重って」
そんな通常営業の九重たちだが、いきなり全員揃って足を止め、顔色を一変させた。なぜなら、…
「全員動くんじゃねえ!少しでも不審な動きしてみろ、この女の首が飛ぶぜえ」
そんな非日常過ぎる怒声が耳に入ってきたからだ。
九重たちは一斉に右前方を見た、するとそこには銀行の中に怒声を放ったであろう男性と首にナイフを突きつけられている一人の女性の姿があった。
その状況に流石の九重も…
「なんだあれドラマの撮影?テンプレに当てはめたみたいな展開だなー」
なんてことはなく通常営業だった。しかし、
「もしかしてあれ撮影じゃない…?なんか妙に警察集まってるし、人質の女の人の表情もガチっぽいな。もしあれ演技だったらハリウッドいけんじゃね?どう思う木村?」
「どう思う?じゃねーよ!ありゃまぎれもなくガチだろ!」
「やっぱそうか。ってやばいなあの犯人、このまま時間だけ過ぎてったらマズいぞ。早く警察動けよ…!女の人だけじゃなくてあの銀行にいる人たちみんなやばいぞ」
「…?なんでそう思うんだ、九重?」
「なんでって、あの犯人の腰のあたりをよく見ろよ。凶器はナイフだけじゃなくて拳銃もだ。」
「よく見えねえなぁ…」
あぁ、まじでやばいぞ。今にもナイフが女の人の頸動脈を切り裂いちまいそうだ。警察も位置的に拳銃に気づいて無さそうだな…。大方応援を呼んでるってとこか。
けどどう考えてもそれじゃ遅すぎる。
どうする、どうする…。俺がやるしかないのか…。この状況を打開する方法…
段々と研ぎ澄まされていく集中力。刹那、九重の様子が一変した。雰囲気から目まで、まるでスイッチが切り替わったかのように。
状況、犯人の所持している凶器、ナイフ、拳銃。人質の女性、対抗する意思なし。よって第三者の介入が不可欠。こちらの武器になり得るもの、ラケット、ボール、携帯…。作戦構築、完了。行動に移る。
「おい九重、こんな時にラケットとボールなんて取り出して何やってんだ?っておいバカ!やめろ!!」
瞬間九重は犯人に向かってサーブを二発打ち出し、すぐさまボールを追うように走り出していった。
〈side・犯人〉
俺は今日まで必死に生きてきた。学生時代は人並みに勉強して中堅大学に入り、大学卒業と同時に中堅企業に入り、着々と地位を上げていった。
そうして俺はものすごく裕福では無いまでも平均よりは幸せな生活を送れるはずだった…。あの日までは。
一度のミスをきっかけにまずは部長職を解任され、ついにはリストラされた。
俺が悪かったのか?あのたった一度のミスなのか?だが、リストラされてからも俺は他の企業の面接を何度もトライした。結果はすべて不採用。生活が苦しくなって金を借りようにも無職に貸してはくれない。
あぁ、世界はなんて無情で残酷なんだ。こんな世界なら生きてったって意味ないじゃないか。
それから男は狂い、壊れていった。
俺を世界が拒むなら俺も世界を拒んでやる!まずは手始めに資金集めからだ。そうしてこの世界の秩序を片っ端から壊していってやる。幸い凶器のナイフと拳銃は調達できた。もう誰も俺を止められねえ!
そうして7月の東京都江東区内のとある銀行。
「きゃあ!!」
「全員動くんじゃねえ!少しでも不審な動きしてみろ、この女の首が飛ぶぜえ」
まずは人質を確保して銀行に入り込めた。警察の到着は予想より早かったが、まだ数が少ない。これならどうということはねえ。
「おら、早く金出せよ!」
んだ、この銀行員手際悪いなぁ。早くしねえと警察がうじゃうじゃ湧いてくんだろうが。まあいい、人質を失うのは少しもったいないが、こっちだって余裕が無いんだ。見せしめで殺っちまうか。そしたらこいつの手際の悪さも少しは直んだろ。
そうして手の中のナイフに力を込め、女性の頸動脈を切り裂こうとした瞬間、
【ドキドキ、ワクワク、始めよー!キュンキュン・・・・】
「ぁん…?」
突然の電子音に反射的に反応し、振り返った瞬間…。手にしていたナイフが何かに弾かれ宙に舞い、次いで腰に衝撃が走った。突然のことに男の処理能力が着いていかず、混乱している中、一人の少年が横を走り抜けていき、先程まで自分の腕に締め付けられていた人質の女性を自分から引き離した。
「…っ!?このクソガキィ!!殺してやる!」
そうして男は自分の腰のあたりに装備していたであろう2つ目の凶器へと手を伸ばした。が…
「…!?無い!?どこに…?ガハッ…」
そうして男の意識は断絶した。
〈side・犯人 終〉
まずは奴の気を引く。
そうして携帯を取り出し適当な電子音を大音量で流した。
【ドキドキ、ワクワク、始めよー!キュンキュン・・・・】
…って、なんでアニソン流れてんのー!?うわっ、チョー恥ずかしい。周りの人めっちゃこっち見てる…。マジ誰か俺を殺してー!!っと、集中集中…。
そう心の中で叫び赤面しつつも、ものすごい速さで犯人に迫っていく。
カキン!…ドン!
目標物への着弾確認。作戦次の段階へ移行。
そうして一気に犯人との距離を詰め、犯人と人質の女性を引き離した。
「…っ!?このクソガキィ!!殺してやる!」
人質の保護完了。犯人いまだ凶器の無力化を確認出来ていないと思われる。よって、制圧のタイミングは今と断定。これより犯人の身柄拘束す…。…っ!
突然九重は体勢を崩し、倒れた。が、ギリギリのところで踏みとどまった。
…っと、危ない危ない。流石に疲労がたまってたか。
何とか体勢は立て直したが、犯人もバカじゃあない。すぐに拳銃がないことに気づくだろう。
警察は…まだ動いてねえのかよ。なんて無能な連中だ。まさに打つ手無しって感じだな。上手くいくと思ったんだが、しくったな。変な汗がどんどん出てきやがる…。
今の状況なら犯人が襲ってきても抵抗する術がない。そうして死さえ頭の中をよぎった次の瞬間、
「…!?無い!?どこに…?ガハッ…」
犯人が気を失い、倒れた。
…??助かった…のか。だけど何でいきなり…?
「ふう、途中までは実に面白くていい作戦だったが最後のツメが甘すぎるな。もしかしたら、命を落としていたかもしれないぞ。」
見上げるとそこには自分と5,6才は離れているであろう一人の男性立っていた。
「…?すいません。あと、助かりました。ありがとうございます。けど、どうやって犯人を?直接触れたりとかはしてませんでしたよね?」
「あぁ、確かに直接触れたりなんかはしてないよ。俺はただこいつのトリガーを引いただけさ。」
そうして見せてきたものは・・・
「拳銃じゃないですか!!…え、もしかして殺しちゃったんですか…?」
「まさか、俺たち武偵に殺しは許可されてないよ。それに銀行強盗ごときの事件で犯人を殺したなんてことがあったら、俺の方が悪じゃないか。」
「でもそれじゃあどうやって?」
「そんなに難しい話でもない、単純なことだ。俺の撃った弾丸が犯人の頭を掠めて、脳震盪を起こしたんだ。」
…は?のうしんとう?なんでしたっけそれ?おいしいんでしたっけ?
…あぁそうか、あれかなんかテレビで見たな。頭部への衝撃で神経伝達物質が過剰に出て、うんちゃらかんちゃらってやつ。なるほどねー…。
って全然なるほどじゃねえ!!そんなことが出来るってこの人相当ヤバい人だ。さっきの犯人がめっちゃ可愛く思えてくるぼどに!
例えるなら、そう、フリ〇ザとヤム〇ャだ!もう格が違すぎる。
助けてくれたっぽいから敵では無さそうだが…。そんなヤバい人とは関わらないのが一番だ。不機嫌になられると何をされるかわからん。
ここはめっちゃ褒めたたえて、さっさと帰ろう。
「いやー、マジパネえっす。すごすぎっす。チョーリスペクトっす。ホント、ありざした!ではこの辺で失礼させて…」
「まあ、そんなに急ぐな。」
呼び止められたー!あぁ俺の人生も短かったな。父さん、母さん、弟、それにペットのジョン、あと部活仲間のみんな。いままで楽しかったぜ。
「…はい、出来るだけ痛いのは一瞬でお願いします。グスン…」
「いきなり、涙目になってどうした?」
「…え、あぁだって今から俺を殺すんじゃ・・・」
「どう考えたらそんなことになるんだ…。俺は単に君を武偵にスカウトしようとしてるだけなんだ。」
「え?あ、そうなんすか。良かったー!ってさっきからブテイ、ブテイってなんすかブテイって?そもそもあなたは一体何者何ですか?」
「申し遅れたな、俺は武偵庁所属の武偵、遠山金一だ。武偵ってのは凶悪犯罪から猫探しなんかまで様々な事件を解決するのが仕事のいわゆる何でも屋みたいなものだ。今時武偵を知らないのも相当珍しいがまあいい。」
「遠山さんですか、そんな職業があったんですか。俺こんな非日常とはあんまり縁がなかったもので、知りませんでした。あ、俺の名前は」
「九重裕介君だろ。知っているさ。先程まで君の試合も見ていたしね。素晴らしいプレーだった。あぁ、それから俺のことは金一でいい。俺の推理だともうすぐ君はもう一人の遠山に会うことになるからね。」
「…?俺の試合を…?一体何のために?」
「テニスは瞬発力、作戦の構築力や実行力、フットワーク、それに狙いのよさも求められるだろう?そしてその技能は武偵に求められる資質とかなり合致するんだ。つまり」
「資質のある人を武偵にスカウトってわけですか。」
「そういうことだ。生憎武偵という業界はいつも人手不足でね。というわけで九重君、武偵になってみないか?」
なんかいきなりスカウトされちまった…。とお…金一さんも悪い人じゃなさそうなんだけどな。武偵って危なそうだしな。第一、俺が良くてもあの過保護な親が承諾するとは思えん。少し興味がないことも無いが、ここは丁重にお断りしておこう。
「すいません。ありがたいお話だとは存じているんですが、」
「あぁ、分かっている。今は決めずとも良い。近いうちに決断の時がやってくるはずだ。時間を取らせてしまってすまなかったな。では。」
「…?あ、はい。さようなら…」
そうして金一は事件の後処理があるのか再び銀行の中に入っていった。
なんか不思議な人だったな。それに気になることも言ってた気が…。まあいいか、そんなことより飯だ飯!
「あっ九重!心配したぞ!怪我とかないか?犯人はどうなったんだ?」
「おう、みんな。怪我も無いし、犯人も…まあ大丈夫だろ。そんなことより待たせて悪かったな!腹減ったろ!早くサイゼいこうぜ!」
「おい九重!何があったのかちゃんと話せよー!」
さっきまでの非日常からは想像もつかないほど通常営業の九重裕介がそこにはあった。
自分は唯一スポーツの中でテニスをしているので、こんな感じになりました。
先日錦織選手が活躍したこともあってテニスにズームインしてくれる方がいればうれしいです。
次の投稿はなるべく早くしたいと思います!
ご意見・感想があればどんどんお願いします!では!