緋弾のアリア -Knowledge is power- 作:ピュアドライバー
私情により前回の投稿から約半年が経ってしまいました。すいません。
恐らく半年ぶりで既に読んでくださっていた方でもほとんど覚えていないと思いますので、そんな時はもう一度読み返して頂けると幸いです。
それでは10話です、どうぞ!
<side・キンジ>
「レキは取引現場から1㎞程離れた高台から全体の状況を監視し東京の中空知に伝え、それに加えて必要に応じて狙撃による援護を頼む。」
「わかりました。ちなみに今回の任務の達成は取引組織の無力化で手段は捕獲で間違いありませんか?」
「あぁ、それでおおよそ間違ってないぞ。」
「了解です。」
「次に武藤は九重が間に合うと仮定すると俺たち強襲組3人を現場まで送り、その後あらかじめ決めておいた地点まで後退して
「心得たぜ!」
「最後に俺たち強襲組だが、取引現場付近はコンテナなんかが乱雑に置かれている都合で標的に気づかれずに身を潜めることが恐らく可能だ。それを生かしてここぞという時に飛び出す。これで大丈夫か?不知火。」
「うん、問題ないと思うよ。」
「なら大筋としてはこの動きでいこう。それから通信は中空知がとも繋がっているこの通信機をそれぞれ使ってくれ。」
そう言ってみんなにBluetoothが搭載されている耳に装着するだけの通信機を渡した。
現在17:00を回ったところ。
九重はまだ合流できていないが、それ以外の俺たち4人は一通りの作戦工程を何度か確認し、取引現場になるであろう場所にも行って下準備を一通り終えた状態にある。
作戦の決行は取引の予定時刻に合わせた21:00としているからもうそろそろ各々が持ち場についてもいい頃だろう。
ちなみに俺は今回ヒステリアモードにはなっていない。
というより毛頭なるつもりもないが。
ただヒステリアモードにならないとすると俺の戦力なんて高く見積もってもCランク程度だろう。
だからこそ今回の任務では九重の戦力があるか無いかがカギとなると言っても過言ではないはずだ。
そういう意味では九重がまだ合流できていない現段階はかなり危険とも言えるかもしれないが…。
何にせよあいつが開始までに合流できるのを祈るしかないか。
「何かイレギュラーなことが起こらないとは限らないからな。そろそろお互い自分の持ち場に行って待機しておこう。九重については合流でき次第こっちまで誘導してやってくれ、武藤。」
「おうよ!」
「それじゃあ、各自持ち場についてくれ!」
「みんな所定の位置にはつけたか?」
「こちらレキです。所定位置につきました。」
「あー、あー、こちら武藤。感度良好だぜ!お前らの後方の位置にて待機中だ。」
「よし。ここからは混乱を防ぐために状況伝達はすべて中空知を通すこととする。…大丈夫そうか、中空知?」
「はい、大丈夫です。みなさんの現在位置などはGPSでこちらでも観測していますので九重さんの誘導もこちらにお任せください。」
…任務中の、通信機越しの中空知の実力か。
普段はあんなにおどおどしてるのに通信機を挟むだけでアナウンサー顔負けの流暢さだ。
さすがは
「あぁ、頼むよ。…現在、時刻は18:00を回ったところだ。このまましばらく待機していてくれ。ただ、各自何かしら不審な点などがあれば連絡するように。以上だ。」
…はぁ全く、慣れないことをやると疲れるな。
「遠山君一先ずお疲れ。最初はリーダーなんてあまり乗り気じゃなかったみたいだけれど、すごく様になってるよ。」
「そんなことはないぞ。これでもすごくギリギリって感じだ。」
「それでもしっかりこなしてるんだからすごいよ。…唐突だけど、遠山君は今回の任務どう思う?」
「どう思うってのはどういうことだ?」
「少し怪しくないかなってことだよ。ここまで取引の正確な情報がわかっているにも関わらず武偵高に回してくるのも少しおかしい気がするし、九重君の遅れも偶然とは思えないような…。」
「言われてみれば確かに不自然な点が多いかもな。でも今この業界は人手不足だし、九重の方も間に合いはすると言っていたし…。少し考えすぎじゃないか?」
「そうだといいんだけど…。」
この時俺はまだ、不知火が感じ取っていたこの妙な違和感に気付けていなかった。
現在、時刻は18:40。
時間が巻き戻せるならこの時に戻って愚かだった俺に言ってやりたい…「もっと考えろ。敵はすぐそばまで来ている。」と。
<side・キンジ 終>
スゲぇ、流石は日本が世界に誇るホンダのブラックバードだ。
この調子で飛ばせば30分程で着いちまいそうな勢いだ。
それでも何があるかわからねえからな、念には念をと思ってキンジを覚醒させるために
使わずに済むことを願うのみだぜ。
「九重さん!!」
お、通信か。
どうしたんだいきなり?中空知さんらしくないな。
…まさか!?
「どうしたんだ!?」
「遠山さんたちが奇襲を受けました!現在応戦しているようですが、正直に言うとかなり劣勢で危険な状態だと思われます。」
…やっぱり茂兄が言ってたように情報が漏れてたってことか・・・
「敵の武装と数は!?」
「それが先程から遠山さんたちとの通信が途絶えてしまって、詳細が全く分からない状況です…」
…ってことはこのタイミングの良さから考えて人為的な通信妨害だろうな。
「恐らく敵は今回のこの作戦の情報をどこかから入手していて、あえて俺たちを嵌めてきたんだ。となると通信が途絶えたのもそいつらの仕業のハズだ。俺たちのこの通信もいつ途絶えるかわからない。だから中空知さんは通信を切って応援をできるだけ早く呼んでくれ。」
「しかし…いえ、わかりました。九重さん、何とか応援が到着するまで持ちこたえていて下さい!」
「了解したぜ!」
そう言って俺は途絶えた通信機を外してポケットにしまった。
あと少しで合流できるって時に…。
マジでハードだな、このデビュー戦・・・
予定通りならそろそろ合流する予定になっていた地点だな。
本来ならギャリソンである武藤が待機しているはずだが…
あの車は・・・
やっぱり!武偵高のナンバーだ。
どうやら武藤のとこまでは襲撃されてなかったみたいだな。
そして武藤と合流するために、武偵高特注の全面スモークがかかった防弾ガラスでできている車をノックする。
コンコン・・・
あれ?返事がないぞ…。
鍵もかかってるし。
ていうかドアの部分が何か湿っているような…?
不審に思い、ペンライトを取り出して車の側面を照らすと・・・
これは…?光に反応する蛍光塗料で何か文字が書かれてるぞ。
『コノエ キンキュウ レキ コンタクト』
これは武藤が俺が来た時のために書き残したってことか。
要するに緊急事態が発生したからとりあえずレキのとこに行けってことみたいだな。
…確かレキが陣取っているのはこの付近のマンションの屋上だったはず。
そして武藤のメッセージに従い、レキのいるであろうマンションの屋上へやってきた。
一応警戒はしておかないとな。
そうしてドアノブを回して姿は見せないように扉を開け、様子を窺うと…
「九重さん、警戒は解いてもらって大丈夫です。ここには敵はいません。」
「おぉ!九重、やっと来たのか!」
「レキさん!それに武藤も!ここにいたのか。キンジと不知火は?」
「二人は取引現場に使われると思われていた地点で身を潜めていたところ奇襲を受け、負傷しながらもなんとかその場をやり過ごして今は敵に見つからないよう隠れていますが…。いつ見つかっても不思議ではない状況です。」
「…なるほど。それで敵の詳細は?」
「私がスコープで見た限りでは数は全部で50、武装は恐らく拳銃もしくはナイフのみかと。素人ではないようですが特別な傭兵の類でもないと思われます。」
「50…か。それはあいつら二人でも奇襲を受けたら反撃は難しそうだな。んで、ここに来るよう誘導したってことは何か策があるんだろう?」
「あぁ、その通りだ。正直俺は今すぐにでも飛び出したかったんだがレキが九重が来るまで待ての一点張りでよぉ。」
「あなたは鍵、風がそう言っていたので。」
風?なんのこっちゃ?
そうして俺はレキさんと武藤から作戦の概要を聞いた。
まず武藤たちが車で持ってきていたパラグライダーで俺がこのマンションから飛び降りるらしい。
正直その時点でWhat?って感じなんだが…
そうして俺が飛び降りると同時に武藤は防弾車で地上から、レキさんはライフルで俺の援護ってわけだ。
そんで降下中に俺はシグでなるだけ多くの敵を無力化、着地後はキンジと不知火のとこまで行ってあとは本来の予定通りの作戦ってわけだ。
「…で、マジで飛ぶの?俺バンジーとかもやったことないんだけど。」
「大丈夫です。あなたに降りかかる銃弾はこちらで対応します。」
「ってそういう問題かよ…っておい!押すな!うわぁぁぁぁ」
「ご武運を」
マジかマジかマジなのかよぉぉ!
まさかレキさんが大胆にも突き落としてくるなんて…
…っとそんなこと考えてる場合じゃないな。
とりあえずパラグライダーを開かねえと!!
ボンッ
よし、とりあえず転落死とかは回避できたな。
マジで怖かったぜ。
っと、そうしている間にも敵さんが見えてきたな…って多いな!
でも俺もこれでもAランクだ。
アサルトのAランクは一個中隊に一人で渡りあえるって基準らしいからな。
ビビッてばっかもいられないぜ。
まずは一発、相手の武装を狙う!
バンッ!
「なっ!?銃が!?」
っしゃ、命中!続けて気づかれない内にあと何発か…
ドン、ドン、ドン、・・・
どうやらレキさんも撃ってるらしい。おかげで10発くらいは当てたか?
「おい!何だあれ?飛んでやがるのがいるぞ!おいおめえら!!あいつだ、あの飛んでる奴を殺せぇ!」
…気づかれちまったみたいだな。
まあ、いきなり手元にあったものが吹っ飛ばされればバカでも気づくわな。
あいつら全員、銃口をこっちに向けてきてる…。
正直ゾッとする画だが素人に毛が生えた程度じゃ、この距離の飛行物に命中させるのはかなり難しい。
ただ、数が多すぎる。数撃ちゃ当たるとも言うし、当たらないように祈るばかりだな。
ドンドンドンドンドンドンドン・・・・・・
来たッ!
案の定ほとんどが当たらないコースだが…
ヤバい!一発危ないのが!!
そうして迫りくる銃弾をなんとか身を捻ってかわす。
あっぶねー、マジで死ぬとこだった…って今度は二発被弾ルート!!
これは避けれない!
俺は被弾を覚悟して歯を食いしばった。
次の瞬間、
キンッ、キンッ
金属がぶつかりあうような音が響いた。
…何だ?被弾してない?
というか今の音…レキさんなのか?
もしかして・・・
『あなたに降りかかる銃弾はこちらで対応します。』
あの言葉はそういうことなのか!?
要するに俺に当たりそうな弾は全て自分の放った弾で弾くってことか!?
…まったく規格外すぎるぜ、それは。
流石はSランク。
今度是非教えてもらおう。
そうして、やっとのことで地面が迫ってきた。
そろそろ着地だ。
キンジたちはどこだ?
…何だ、光?
そうか今光を発してこっちに合図を送ってきたとこだな。
そしてなんとかよろめきながらも着地して、背中のパラグライダーをすぐにパージしてキンジたちのところへ走る。
もちろんその間も奴らは撃ってきたが、レキさんの加護によって全て無効化された。
「はぁはぁ、待たせたな。キンジ、不知火。」
「ははっ、すごかったね今のダイブ。」
「まったく今まで何処で道草食ってたんだ。後で訳は聞かせてもらうからな。」
「あぁ、もちろん俺の長い長い一日のことは後で話すぜ。ところでキンジ。」
「ん?なんだ?」
「お前、今
「あ、当たり前だ!流石に俺にそっちの気はない!」
「だよなー。んじゃこれどーぞ。」
そう言って俺は家から持ってきた秘策。
いわゆるHな本、エロフォンの切り抜きをキンジに見せた。
「な!?九重、おまっ・・・」
「わお、どうしたんだい急に?九重くん。」
「ふっふっふ、まあいいからいいから。」
どうだ、キンジ。
俺のこの切り抜き集で
「まったく、遅れて来て何かと思えばこんなものを作っていたのかい?」
「と、遠山君?」
「どうやら
「あぁ。これで思う存分反撃ができるよ。」
ほれきた!
キンジを強制的にヒステリアモードにしよう大作戦、成功だ!
これで百人力ならぬ千人力だな、まさに。
ドンドンドン・・・・・・
「おっと、そろそろ奴さんたちも我慢できなくなったみたいだね。」
「だな。んじゃ、反撃と行きますか!」
そうして俺はシグから時雨改にキンジはベレッタ、不知火はH&Kとそれぞれ武器を持ち、反撃を始めた。
まずはキンジが飛び出し、相手が驚いてる隙に次々と無力化していく。
中には付近のコンテナを使った跳弾なんかも混ぜている。
ホント、ヒステリアキンジはパネエな。
続いて不知火が出る。
不知火の実力を見るのは初めてだったが…凄いぞ。
今のキンジまでとはいかないが、銃の腕は俺なんかより格段に上だ。
そうして二人がドンドン撃ちまくってる中、俺は入学式の理子戦でも意識した80%の集中をして、息を整え飛び出す。
二人が銃撃戦を繰り広げているまさにその下を通り、今はもう25人程度になっていた敵の一番離れた奴の所まで行き、そこからUターン、つまり俺とキンジ、不知火で25人を挟み撃ちするような形を作る。
おしっ、あやや見ててくれよ。
今から君に改造してもらった時雨改のお披露目戦だっ!
「クソっ、なんだこいつ!いつの間に!?おらぁ!」
なるほど、こいつは拳銃じゃなくて刀を使うのか。
それは燃えるぜ!
まず俺は上段から相手に振り下ろす。
すると相手はなんとかそれを自らの刀で受けてきた。
反応はしてきたか。
だが型にも何にもはまっていないな。
なら…
次に俺はバックステップで一歩下がり、間を置くことなくもう一度踏み込んで先程と同じように振り下ろす。
が、今回はわざと相手の刀をスルーし、地面に時雨が着くその一瞬前に、
今だ!!
すると、時雨が物凄い爆発力で跳ね上がり、相手の横っ腹を下方から峰で強打した。
「ガハッ…」
凄い…!これが時雨の新機能。
刀内部に少量の火薬を仕込んでおき、トリガーを引くと同時にそれが極微小の爆発を起こしそれを運動エネルギーとして刀から放出するために普通ではあり得ない切り返し、速さを生み出す。
まさしく『ガンソード』。
「っしゃ、次行くぜっ・・・」
そうして俺は次の相手に飛びかかっていった。