緋弾のアリア -Knowledge is power-   作:ピュアドライバー

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今回は前回までの間宮襲撃事件を茂人視点から描いた内容です。

それでは14話、どうぞ!


14話 近江茂人

<side・近江茂人>

 時は遡り、裕介がようやく茨城の任務地に向かった直後・・・

 俺も裕介を追って現場に行こうとしていたところに、武偵庁所属の同僚から電話がかかってきた。

 

『茂人か?お前今どこにいるんだ?』

 

「神奈川だ。今から茨城で起きている事件の現場に向かう。」

 

『やっぱりか。その事件についてだけどな、裏に大きいのが関わってる可能性があって、それに武偵高の新入生共だけで当たってるってことが同じく武偵高からの連絡でわかったから、緊急で武偵庁所属の武偵何人かで現場に向かうことが決まった。そのメンバーにお前も入ってるから上が直ちに本部に戻ってこいだとさ。』

 

 今すぐに一人でも行きたいが、万一俺だけでは処理できない可能性がある。ここは上の指示に従った方がよさそうだ。

 

「了解した。すぐに戻る。」

 

 

 

 

 

 そうして東京の都心部にある武偵庁本部まで緊急車両のサイレンを鳴らして車ですぐに戻った。

 

「ここに招集された諸君ら6名で今回の事件に当たってもらう。内容は基本的に現地に先に入っている学生の援助だ。ただし状況によっては裏で糸を引いていると思われる組織のメンバーが直接出向いている可能性もある。その場合はその組織には決して手を出すなと上からお達しが来ている。何故かは言及するなとのことでこの命令は絶対だ。以上、解散。」

 

 組織に手を出すなとは…一体上は何を考えている?

 だが今の話からしてやはり今回関わっているその組織は相当なモノらしい。

 とにかく早く現場に向かわなければ!

 

 そして急遽結成された6人小隊で防弾仕様の車に乗り込み、現場に急行した。

 

 

 

 

 

 出発から一時間、そろそろ到着するかと思われたころにまたしても武偵庁から車に一本の電話がきた。

 

『状況が変わった。どうやら武偵高の学生だけで任務は完了し、その学生たちも先程現地を発ったとの連絡が入った。』

 

 …ということは、裕介は間に合ったようだな。取り越し苦労に終わって良かった。

 

『だが先程、一般人から現地付近で煙が上がっているとの通報を受けた。ただの火事…という可能性もあるが、今回の事件と無関係とは思えん。よって君たちは引き続き現場に向かいその付近で起きている火事について調べてくれ。以上だ。』

 

 そうして電話は切れた。

 

 次から次へと…今度は火事か。裏で何をしようとしているんだ?その組織とやらは…。

 

 

 

 

 

 そしてそれからおよそ10分後、俺達6人はようやく現地に着きそこから少し離れた火事の起きている付近に来た。

 

 何だこの火事は!?こんな広域に渡ってなんて見たことも聞いたことも無い。

 それにこの有様にも関わらず人の姿がまるで見えないのは明らかにおかしい。とにかくこの付近を捜索しなければ。

 

 そうして俺達6人はそれぞれ自分の拳銃を構え、周囲を警戒しつつ進んでいく。

 少し入り組んだ道になっていて、進んでは曲がるを繰り返す。

 何度目かの曲がり角に突き当たり、今までと同じようにまずは俺が体を隠しつつ、目だけで角の向こう側を窺う。

 するとそこには横たわっている女の子、そのそばで泣きじゃくっている女の子、そしてもう一人俺のよく見知った顔の少年、九重裕介がうつ伏せで倒れていた。

 

「おい!!大丈夫か!?一体何があった!?」

 

 俺はすぐに飛び出し、裕介のところまで行きしゃがみこんでそう言った。しかし返答は無い。

 もしやと思い首に手をやって脈を探るが、息はあるみたいだ。

 そして唯一意識があるらしい泣きじゃくっている女の子に話しかける。

 

「大丈夫か?一体何があったんだ?」

 

 すると女の子は震える声で言った。

 

「ののかと…裕介さんが、夾竹桃って人に・・・」

 

 夾竹桃…聞いたことない名前だな。

 

「ソイツがどっちに行ったかわかるか?」

 

「ほんのちょっと前、あっちに…。」

 

 それを聞き、俺はすぐにそちらへと向かう。

 小隊の仲間たちも裕介達のところに1人を残し、他の4人は俺の後に続く。

 そしてその夾竹桃が行ったという方向に角を曲がり、少し進むと・・・

 

「おいおい、何だァコイツらは?どっから湧いてきやがったァ?」

 

 いきなり人間のものとは思えないような声がし、体の深いところまで響いてくる圧倒的なプレッシャーが浴びせられた。

 

「ホホッ、あの恰好武偵らしいのぉ。それも学生じゃなかろうて。」

 

「夾竹桃、お前武偵を片づけてきたんじゃなかったのかァ?」

 

「ええ、確かに九重裕介の方は片づけておいたけれど、この男共は彼とは違うわ。」

 

 あの黒髪の女が夾竹桃か!

 遠くて顔まではわからないがそれ以外にも…4人。コイツらが武偵庁の上が言ってた組織なのか…?強者特有の殺気やプレッシャーがひしひしと伝わってくる。コイツら全員常人とはかけ離れてる。

 

 バンッ、バンッ、バンッ、バンッ!

 

 突如四発の銃声が鳴り響いた。突然のことに反応出来なかったが、もしやと思い後ろを振り返ると後ろにいた小隊のメンバーが全員倒れていた。

 

「来ると思っていたわ、茂人。久しぶりね。」

 

「あんたは…カナ先輩!?」

 

 カナ…いや金一先輩が何でそこにいる!?

 

「ふふっ、裕介君と同じような反応をするのね。」

 

 見間違いかと思ったがそう言って笑うその姿は間違いなくその人だった。

 

「パトラ、ココ、夾竹桃、ブラド。悪いけどここは私に任せて先に帰ってもらえないかしら?」

 

 そう言うと、その4人は初めは不審そうにしていて退こうとはしなかったが、幾らかの問答の後ようやくカナ1人を残して去って行った。

 

 

 

 

 

「ふぅ…これでやっと2人で話せるわね。あぁ、あとあなたのお仲間さん達だけど話を聞かれるわけにもいかなかったから悪いけど少し気絶してもらったわ。」

 

 そうしてこちらに近づいてきた。

 俺はその接近を銃を構えはしているが許した。

 

 それにしても銃弾を掠めて意識を奪う、この銃技やはり金一先輩だ。

 

「どういうことですか?どうしてあなたがさっきの連中と…?」

 

「それは私が()は彼らの仲間だからよ。表面上はね。何も本当に奴らの仲間になったわけじゃない。今のこの状況は、来たるべき時のために…イ・ウーを殲滅するために、自分の信じる正義に従って行動している過程にすぎないわ。」

 

 イ・ウーってあの組織のことだよな…。この人がこんなことをしてるのはそのためか。それにしても来るべきときのためって・・・一体この人はこれから何が起こると踏んでいるんだ?

 

「茂人、私が今日ここに奴らと行動を共にして、来たのはあなたに協力を仰ぐためなの。」

 

「俺に…ですか?」

 

「そう。私の身近にいる武偵の中で最も信頼できて実力もあるのがあなただからよ。決して他の人には頼めないわ。ただ私があなたに頼もうとしていることには多大な危険が伴う。だから無理にとは言わない。」

 

「そんなこと言って、俺が無理だって言うとは思ってませんよね?でなければリスクを冒してわざわざここまで来るわけがない。」

 

「ふふっ、ええまったくその通りだわ。」

 

 笑いながらカナ先輩はコートの中を探り、封筒を出して俺に渡してきた。

 

「本当は詳細を直接ここで話したいのだけれど時間がかかってしまう、そっちにいる間宮の子達と裕介君のこともあるし手短に済ませたいの。だから私がこの組織イ・ウーについて今までに調べたこと、それからあなたに頼みたいこと全部その封筒に入っている書類に記しておいたわ。だからそれらに目を通して協力するかしないか考えてみて。」

 

「…わかりました。」

 

「協力してくれることに越したことは無いけれど、もし協力しないと決めた場合、その時は全て…特にイ・ウーという組織のことは文字通り名前から詳細まで全て忘れなさい。知っているだけでも危険なの、この組織は。」

 

 そんなにヤバい組織なのか。

 ということは恐らくこのイ・ウーって組織にはその強大さ故にどこも手出しできない。だからその存在を知っていることがバレれば恐らく国とかに狙われることになる、そんなところだろう。

 

「最後に。これを裕介君に。」

 

 そう言って今度は小さめの封筒に入った手紙を渡してきた。

 

「裕介に…ですか?」

 

「ええ、そうよ。」

 

「もしかして裕介にも協力を…?」

 

「ええ。」

 

「…裕介の過去を知ったんですか?」

 

「過去…?」

 

 そういうわけでは…ないみたいだ。

 

「…いえ、何でもないです。忘れてください。」

 

「…?まぁいいわ。彼にはあなたに頼むことほど危険なことを頼むつもりは無いから心配しないで。」

 

 心配しないで…か。裕介に関しては心配するなというのは無理な話だ。何せあいつは・・・

 

「それじゃあそろそろ行くわ。返事、待ってるわ。」

 

 カナはそう言い、背を向けて去って行った。

 

 東京に戻ったらすぐにこの書類に目を通さねば…。

 とりあえず今は裕介とその近くにいた二人、それから小隊メンバーの負傷した四人を病院に送らなければ。

 けどこの人数を俺と小隊の残ってる一人の計二人では搬送できないな…。

 仕方ない、応援要請をするか。

 

 そう思い、携帯を取りだして武偵庁に電話をした。

 

<side・茂人 終>

 

 * * * * *

 

 ―――――痛い。頭がくらくらして意識が飛びそうだ。

 目が染みる、何かが目に入ってきた。

 

 手を伸ばし触ってみるとヌルヌルする。

 

 どうやら液体みたいだ。もしかして血液…なのか?

 ていうか、あれ?体に力が入らない。

 そもそも今、俺は立っているのか、座っているのか、寝ているのか?それさえもわからない。

 …周りからかすかに音がする。これは…誰かが泣いてる?

 

 誰かと思い首を動かして辺りを見ようとするが…

 

 ダメだやっぱり力が入らない。

 

 しょうがないから眼球だけを動かして音がする方を見る。するとそこにはすぐ横で泣いている女の子がいた。

 

 誰だ、この女の子。何で泣いてるんだ?

 聞いてみようと声を出そうとするけど、やっぱり声も出せない。

 ホント、どうしちゃったんだ俺。

 あぁ、ますますボーっとしてきた。もう…ダメ…だ―――――

 

 * * * * *

 

「はぁ、はぁ、はぁ・・・」

 

 今のは夢…だったのか?

 自分の心臓の音が大音量で聞こえる。よくわからなかったけど、怖い夢だったみたいだ。

 そういえばここどこだ?見たことない天井が見えてるけど・・・

 

「起きたか?裕介。」

 

 この声は…茂兄?

 

「茂兄…なんでここに?ていうかここどこだ?」

 

 そう言いながら俺はどうやら寝ていたらしい体を起こす。

 その体には病院で入院者が着るような緑がかった服が着せられてあった。

 

「ここは東京の武偵病院だ。お前は茨城での任務中意識を失い、それを俺がここまで運んできた。」

 

「…そうだったのか、ありがとう茂兄。」

 

 あれ?茨城で任務中…?…!!

 

「そうだ!思い出した。俺確か、夾竹桃とかいうヤツに…あっ!あかりちゃんとののかちゃんは!?」

 

「落ち着け。あの間宮の二人ならお前と同じようにここで入院してる。だが昨日の内にもう目を覚ましていたから今では退院できるレベルにまで問題なく回復している。」

 

「はぁ、良かったー。ってあれ?昨日の内に目を覚ました?今日は一体何日だ?」

 

「今日は3月10日だ。ちなみに時刻は10:30過ぎだ。」

 

 3月10日?新歓依頼の任務が3月8日だったから…って、俺、丸々一日寝てたのかよ!!

 

「お前の容体は麻痺毒が体に入り込んでいて昨日一日は目を覚まさなかったが、今では毒も抜けて着々と回復している。医者によると今日中にでもには退院できるそうだ。」

 

 そうだ。夾竹桃に何かされて体が動かせなかったんだ。あれの正体は毒だったのか。

 しかし、まだ何か引っかかるな。何か重要なことを忘れているような…。

 

「それからお前宛に手紙を預かっている。」

 

 そう言って茂兄は封筒に入ったそれを渡してきた。

 

「手紙?一体誰から?」

 

「カナ…いや金一先輩からだ。」

 

「金一って…そうだ!思い出した!何故かあのイ・ウーとかいう連中と一緒に金一さんがいたんだった!」

 

 すると茂兄は右手の人差し指を口にあてた。

 

「ここは病院だ、あまり騒ぐな。それからその組織の名前もあまり大声で話さない方がいい。まぁ詳しいことはその手紙に書いてあると思うが。」

 

「ごめんごめん。つい興奮しちゃって。じゃあ読んでみるよ。」

 

 俺はいつもなら手紙を開ける時はハサミを使ってキレイに開けるのだが、生憎手近なところに無かったため、ビリビリと手で開ける。

 

 

 

 

 

『九重裕介へ

 まずは久しぶりだな。といってもお前からしてみればつい先日会っているのかもしれないが。恐らくその時、俺と会って困惑しただろう。だから今の俺の状況から説明していく。

 俺は現在、表では武偵庁特命武偵として特秘任務(シールドクエスト)に当たっているため日本を離れていることになっているが、実際はどこの国にも属していない無法者の集団であるイ・ウーという組織に身を置いている。だがそれは俺が真に奴らの仲間になったというわけではなく、イ・ウーを殲滅するためだ。

 しかし、イ・ウーを殲滅させるには俺一人では到底無理で、なおかつ正攻法では不可能だ。そこで俺は自ら奴らの眷属となり内側から壊すという道を見出し今に至る。

 だがこの作戦もかなり難しく長い時間を要し、内部からだけでなく外部からの行動も不可欠だ。

 そこで俺は、俺の意思に賛同して外部で動いてくれる協力者を考えた。そうして至ったのが近江茂人と九重裕介だ。

 俺がお前を選んだ理由…それは予知だ。俺はまだ不完全だが少し先の未来をヒステリア・サヴァン・シンドローム(HSS)を使って予知することができる。

 去年の夏。俺はその予知で未来を見た。すると何故か当時出会ってもいなかったお前の姿が見えたんだ。気を悪くしたら申し訳ないが、当時お前を武偵に勧誘した理由も予知のことがあったからだで願掛けみたいなものだった。

 だからその時俺は、正直本当にお前が協力者に見合うまでになるとは思っていなかった。そのため、お前のその成長速度には心底驚かされた。

 だから今こうして実際にお前に協力を仰いでいるのは、予知のことだけでなく実力も認めているからだ。

 そこでお前に頼みたいことだが、恐らく俺の見通しでは一年後辺りからこの状況が慌ただしく変化し、まだ教えられないが、お前や俺の弟である金次にもある理由からイ・ウーが接触してくるだろう。

 それをお前が金次や仲間達を導いてそのイ・ウーの刺客たちを打破し、来たるべき時にイ・ウー殲滅に向けて動いてもらいたい。

 本当は協力するかしないかの選択の余地を与えたかったのだが、お前達の場合はどうやってもイ・ウーの刺客の襲来は免れられないようだ。だからこれは協力というよりも忠告…アドバイスだ。

 一年後、お前達がいくつもの困難を乗り越えてくれることを期待している。

 

 P.S. 恐らく12月頃、俺は本格的に表から姿を消す。その時に弟の金次のことがどうしても気がかりなんだ。すまないがその時はあいつのことをよろしく頼む。 遠山金一』

 

 

 

 

 

 ・・・読み終わったが、金一さんがあの時奴らといたのにこんな理由が…。

 イ・ウー…あまり大声で言えない理由もなんとなくわかった。存在自体がグレーすぎるんだ。

 あとは一年後俺達のところにイ・ウーの刺客が来るってか?はぁ、ハードだなホント。

 とりあえず手紙にも書いてあったように選択肢は無いみたいだから、その時までにもっと強くならねば。

 

 それから俺は茂兄に手紙の内容を話し、茂兄は黙ってそれを聞いていた。

 その茂兄も協力頼まれたらしいけど…聞いてみると当然引き受けると言っていた。

 まぁそうなるよな。茂兄は人一倍正義感も強いし。

 

「では、そろそろ俺は帰る。」

 

「うん。茂兄、ありがとね。俺さっきまでいつ目が覚めるかわからなかったのに心配してずっとここで待ってくれてたんだよね?スッゲー嬉しかったよ。」

 

「なっ…!勘違いするな、別に心配など…していない!もう行くからな!」

 

 そう言って、少し顔を赤くしながら茂兄は病室を出ていった。

 

 何だったんだ今の…。まさか茂兄がこんなにも丸見えなツンデレ的反応をするなんて…!

 今のはお宝映像だな。脳内に永久保存しとこっ!




いかがだったでしょうか?

この頃自分が書いたものを1話から読み返したりするのですが…。
最初の方が下手くそ過ぎますね(笑)
なので少し余裕ができたら最初の方を少し直してみたいと思います!
とはいっても内容を変えるわけではありません、言葉使いなどを変えるだけです。
というわけで皆様も、もしよろしければたまに読み返していただけると幸いです!
少しはましな文章になっているかもしれません…

では次話でまた会いましょう!!
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