緋弾のアリア -Knowledge is power- 作:ピュアドライバー
いやぁ毎日ちょびちょび書いてたら気づいたら前回投稿から一か月も経っていた…すいません。
私の頭の中にはだいぶ先の展開まで見えてるんですけどね…。
まあ、そんなこんなで16話始まります!
16話 邂逅
ここは…テニスコート?
何だか懐かしい気がする。
というより何かおかしい、ぼんやりしているような・・・
そうか、これ俺の夢の中だ。
確かこういう風に夢であると自覚している夢を明晰夢って言うんだっけ…。
「はぁはぁ…おらぁ!」
俺は試合してるのか?相手は?
そう思いコート上のネットを挟んで向こう側を見ると・・・
小学生か中学生か、そのくらいの身長の銀髪の女の子がいた。
そうか、思い出した!
これは俺がよく見る夢で、フランスでテニスをした時の記憶だ。
そんでもってあの子は・・・
「はぁはぁ…こんなに楽しかったのは初めてだよ。テニスって楽しいんだね!」
「そうか、それは良かった!それにしてもやっと笑ったな!今まで暗い顔ばかりしてたから…。君は日本から来ているってお父さんに聞いたけど」
「うん、裕介だ。」
「ユゥスケ…ユースケそれが名前なのだな?」
「そう!君は?」
「私…私の名前は・・・」
名前はそう・・・
「ジャンヌだ。」
懐かしい記憶だ。
それにしてもこの時何故俺はフランスに来ていたんだ?
用って何だったんだ…?
でもそれがわかる前にいつも夢が終わっちまうんだよな。
多分もうそろそろ・・・
あれ、夢から醒めない…?
おかしい、いつもとは違うぞ。
周りがどんどん暗く、真っ暗に・・・
景色がさっきまでとは違う。
雨が降っていて、空が見えている…ということは俺は仰向けで倒れているのか?
…っ!痛い!
夢のはずなのに、頭が痛い!
そうしてあまりの痛さに無意識に手を頭へと伸ばし触ると・・・
これは…血?俺の?
* * * * *
「はぁはぁはぁはぁ・・・」
「おい、大丈夫か九重?だいぶ、というより滅茶苦茶うなされてたぞ。」
キンジ…?
ってことはようやく夢が覚めたみたいだな。
「あぁ、大丈夫だ。」
「ならいいが…。」
キンジの様子を見る限りホントに相当うなされてたみたいだ。
何せ痛みさえ感じていると錯覚してた程だからな。
前半のはよく見る夢だ。
なんでこの記憶だけが夢という形でリピートされているのかは皆目見当もつかないが。
ただ後半のアレは何だったんだ?
全く記憶に無いしそもそも生まれてこのかた頭から血を流してぶっ倒れるような経験をした覚えも無い。
だってつい最近武偵高に入るまでは普通の生活をしてたし、それは中学の頃もその前も・・・
あれ、おかしい。
中学に入る前…?
ダメだ、全然思い出せない。
…まぁ、いいか。
そんなことよりあの事件の後、俺が退院してから数日が過ぎた。
あったことといえば、まずはあかりちゃんとののかちゃんのこと。
俺やキンジはもう少しこのまま部屋にいてくれても良かったんだが、二人がそういうわけにもいかないと言うから二人の新しい住まいを探し、最終的に少し古めのアパートの一室を借りることにした。
あのアパートなら武偵高からも近いし何かあればすぐに行くことも出来るからそこら辺は安心だな。
学校は近くの中学校が転入の受け入れをしてくれるとのことで二人ともそこに通うことになった。
まぁ、ちょくちょく二人の様子を見に行くつもりだしここまでが俺が二人にしてやれることだ。
二人ともしっかりしてるし、なんとか大丈夫だろう。
「おーい、二度寝でもしてんのかー?今日は急がないとマズいんじゃないのか?」
おっと、キンジナイス!
危うく時間を忘れるとこだった。
「悪い!もう起きる。」
ちなみに俺は何故急がなければならないのか…。
理由は今日がこの前理子から頼まれたテニスの大会当日だからだ。
数日早すぎだろとか思うのは野暮ってもんだぜ?
この数日間、専門のアサルトの授業が終わった後の放課後に毎日練習しておいたから中学時代現役の頃の勘ぐらいは取り戻せた…はず。
まぁこの大会は団体戦じゃなくて個人戦だから、足を引っ張るとかの心配はナッシングだ。
さてと身支度、身支度ぅーっと・・・
「そんじゃあ行ってくるわ。」
「あぁ、頑張れよ。悪いが俺は一日ゆっくりさせてもらう。応援とかは…理子がいれば十分だろ。」
「十分過ぎるくらいだぞ。まぁ、社交性に乏しいキンジ君は家でごろごろしてな。」
「おい、今日起こしてやったのは誰だと思ってんだ?…まぁホントのことだが。」
「うそうそ、ちょっとしたジョークだっての。いってきます!」
おっとマズい、キンジと話してたら予定してた電車に2、3分間に合わなさそうになっちまった。
しょうがないこんな時は・・・
ブラックバードの出番っしょ!
コイツなら2、3分なんて余裕で取り戻せる!
じゃあ行くぜ!
そうして肩から腰下ほどの長さがあるテニスバッグを背負って、ヘルメットを被りエンジン音を高らかに上げて出発した。
ちなみに今日の恰好はテニスウェアの上にウィンドブレーカーを着ているが一応SIGを腰のあたりに見えないように帯銃してあるし、時雨もラケットケースの中に装備している。
武偵は常在戦場っていうしな。
まぁ、何も起こらないに越したことは無いんだが…。
そんな心配をしつつブラックバードを運転すること15分、目的地である有明テニスの森に到着した。
やっぱ学園島からここまではクソ近いな。
それにしても懐かしいな、ここから俺の非日常が始まったんだもんな…。
「ん?ちょっとそこの青年」
何だ?俺のことか?
そうして振り返ると・・・
「やっぱりそうじゃ!久しぶりじゃのぉ九重君。」
「あ!お久しぶりです、社長!」
そこにいたのは何とも懐かしいサイゼの社長がいた。
「ふむ、半年前よりも随分逞しくなったのぉ。どうじゃ、武偵活動は?」
「はい、お陰様で何とかやってます!死ぬかと思ったときは数えきれないですけど…。」
「ほっほっほ、生きているなら結構。それで、今日はどうしてこんなところに?」
「色々とあった末にテニスの試合に久々に出ることになりまして…」
「ほう、それは面白そうじゃの。応援しておるぞ。」
社長はそう言いながら手を出してきたので俺もそれに応じて手を出して握手をする。
「ありがとうございます!」
「また備品何かで困ればわしに頼って良いからの。こう見えて業界じゃあ顔が広い。ではな。」
「はい、また!」
そして社長はここ有明テニスの森のもう一つの最寄り駅である国際展示場駅の方へ行ってしまった。
なかなか久しぶりにお会いしたな、社長。
この頃サイゼもご無沙汰してるからまた今度キンジでも連れて行くか。
んじゃ、俺も会場行ってエントリーしますか!
そうしてブラックバードを停め、会場へ少し小走りで向かいエントリーを済ました。
あちゃー…俺のドロー番号結構後の方だから試合が回ってくるのにまだまだ時間ありそうだなー。
適当にこの会場内を散策でもして暇潰すか。
とは言ってもここら辺はコートだらけで右見ても左見てもテニスの試合しかしてないし、おとなしく観戦するしかないかもな…。
「ねーねー、さっきの子見た?」
「うん!見た見た!すごい綺麗な人だったね。外国のモデルさんとかなのかな?」
ん?なんとなく耳に入ってきたけど…外国人のモデルかなんかが来てんのかな?
ちょうど暇つぶしに困ってたとこだし、その人を探して目の保養でもさせてもらおうかね。
今話してた子たちはあっちから来たから…多分こっちだな。
「やっほー!ユーくん!」
この声は…
「おー、理子か。来てくれてサンキュ…って何だその恰好!?」
そこにいたのはまさしく峰理子だったが、その格好はというといつもの武偵高制服ではなくいわゆるコスプレ姿だった。
これは…リ〇ちゃんだ!あのボーカ〇イドの鏡音リ〇だ!
「えっへっへー。どう?このコスプレー!」
「リ〇ちゃんのコスプレだろ?完成度高すぎてビビるよ。」
「キャッハ~!ユーくんご名答!まさかコスプレキャラの名前が出てくるなんて…。ユーくん、実は理子と一緒でこっちの世界の人だったりするのかな!?」
「中学の頃の友達の影響で多少の知識があるだけだ。ってそんなことよりもなんでそんな恰好してんだよ!?さっきから注目浴びまくってて隣にいる俺も恥ずかしいんだけど…。」
「えー、別に注目されたっていいじゃん。それに何でこの恰好なのかって…そんなのビッグサイトでコス博が絶賛開催中だからに決まってるじゃないですかぁ!」
「こ、コス博?コスプレ博ってことか?」
「そう!それがここからすぐのとこにあるビッグサイトでやってる…要するに今日この恰好でいるのはおかしくとも何ともないのですよ!」
いや、だからってビッグサイトの外でその恰好してたらいくら会場に近くたって浮きまくりだろ…って言ってもどうせ着替えてくれないだろし言わないでおこう。
「ところでユーくん、試合は?…あっ、もしかしてもう負けちゃった…とか?」
「いや負けてねーよ!というか始まってすらいない。トーナメントの組み合わせ的に俺は最後の方なんだよ。」
「なーんだ!じゃあ理子間に合った感じだね、良かった~。で、ユーくんは何してたの?」
「いや、特に何も。強いて言うなら風の噂で聞いた美人モデルを見に行こうとしてたとこだ。」
「えー、なにそれ!モデルさんが来てるの!?理子も見たーい!」
「じゃ、行ってみるか。多分こっちの方だ。」
そうして理子(ver.リ○ちゃん)と一緒にさっき通りがかった子達が話していたモデルらしき人を捜索し始めた。
何か期待ばかりが膨らんできてるけど、これで女じゃなくて男のモデルとかだったらテンション下がるぞ間違いなく…。
捜索すること10分・・・
「ねーねー、もしかしてあそこじゃない?」
「確かに…人の集まり方が他のコートと比べて圧倒的に多いな。」
「ふっふっふ、ユーくんより先に理子が見てやるー!」
するといきなり理子がダッシュし始めた。
くっ、理子め…俺より先に見るつもりか!だが・・・
「そうはさせるかぁぁぁ!」
そして俺は全速力で走り出した。
あまりのガチダッシュっぷりに何事かと周りの人たちが若干引いた感じで見てくるが、理子に先を越されるのはなんか腑に落ちない。
「あー、ユーくん女の子相手にガチなんてヒッドーイ!」
「うるせー!こんだけ探してお前に先越されるのはなんか負けた気がするんだよ。」
そうして理子を追い抜き俺はコートの前まで来た。
はぁはぁ、ここか。
さてどっちの子だ?
って見比べるまでもなく明らかにこっちの子か、観客ほとんどの視線が釘付けだし。
でも観客が多すぎてあんまり見えないなぁ。
「ゲーム、チェンジコート」
おっ、チェンジコートだからベンチ側に向かってきてる。
これならベンチは俺の目の前だし、とうとう見ることができそうだ!
えーっと、髪色は銀か。
どうやらホントに外国の人らしいな。
んで、スタイルも…うん、いいな。
いや、そんな変な意味でじゃなくてだぞ?
さてさて、とうとうお顔を拝見っと・・・えっ?
「…ジャンヌ?」
「っ!?…なっ、ユースケ?」
その声はとても懐かしく、驚いたその顔も仕草もどこか見覚えがあって…
ポッカリと抜け落ちていた記憶がパズルのピースのようにカチッとハマる。
そんな感覚を感じる。
でも…何でだ、視界がボヤけて体に力が入らない。
立って…られない…
ドサッ・・・
<side・理子>
え、ちょっとなになにどーしたの!?
ユーくんってば理子に張り合って走り出したと思ったら一瞬で理子のこと置いていっちゃうし、やっと追いついたと思ったらいきなり体に力が抜けたように倒れこんじゃうし…
「ちょっと!ユーくん大丈夫!?どうしたの?」
「・・・」
ダメだ、返事が返ってこない。
というか、意識失ってるよこれ。
誰かにやられた?それとも何か精神的に負荷がかかったとか?
「おい、ユースケ!どうしたのだ?しっかりしてくれ!」
ん?この声聞き覚えが…
ってやっぱりジャンヌだ!
何でテニスコートの中からフェンスに張り付いて慌ててるの?
それにユーくんの名前まで呼んで…
この二人にどんな関係が…?
「すまん、君はユースケの知り合いか?」
あれ?何でジャンヌは理子のこと気づいてないんだろう?
外では無闇に正体や互いの関係を見せないため?
でもここでそんなことしてもあんまり意味がないような…
あ!そっか!理子が今、リ〇ちゃんにコスプレしてるからか!
んー、このまま素直にネタばらししちゃうのは面白くないし、これからこの二人の関係とかを調べていく上では今はジャンヌのことも知らないただのコスプレイヤーになりきる方が何かと都合がよさそうかな?
それじゃあ一応声も変えておこうか。
「え、アタシ?」
「ああ。」
「うん、そうだよ。学校のクラスメートなんだ。あなたは?」
「私は…いや何でもない。その男がいきなり倒れたものだから心配になってな。でも良かった、君が友人ならその心配も無用だったな。」
あちゃー、ジャンヌってば白を切るつもりだね。
その男とか言ってるけどさっき裕介って口にしちゃってるし。
何よりさっきまでのあんなに慌てた顔見たことないし…
ユーくんに無関係な訳ないじゃん。
でも、
「そうだったんですか。なら後は大丈夫です!アタシが責任もって介抱しますから!」
ここで変に問い詰めても不自然だしねー。
ここは引いてあげるよ。ジャンヌってば感謝してよね?
「ああ、それではな。」
それにしてもそもそもジャンヌはどうしてこんなところにいるんだろう。
今はもうコートに戻って試合しちゃってるし。
もしかして
もしそうなら今回理子が
んー、もしかしたらこんな感じかもしれないけど証拠も何もない以上想像の域を超えないから今ここで頭をひねってもしょうがないね。
それに
まあ今は理子の膝の上で意識を失ってるユーくんを病院にでも連れて行かなきゃね。
ホントに世話がかかるなぁ。
今は助けてあげるけど、理子が冬くらいから計画を進めた時に邪魔をしてくるようなら…容赦しないから。
でも、今のままのユーくんじゃ力不足過ぎて理子の用意する舞台に上がることはできないだろうなー。
それどころか客席から脱落して命を落としちゃうかも…なんてね。
<side・理子 終>
ご読了ありがとうございます!
今回の16話から新しい章、「Awakening」編に入りました!
Awakeningは日本語で「覚醒」という意味です。
誰が、何が、そして物語がどう覚醒していくのか、楽しみにしてて下さい!
ちなみに章の名前をカッコつけて全て英語にしようと思い立った若かりしあの頃を後悔しながら、「覚醒 英語」とグーグル先生に聞いたことはナイショの話です(笑)