緋弾のアリア -Knowledge is power-   作:ピュアドライバー

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どうも!ピュアドライバーです!
いやぁ、夏休み到来しましたねー、暑いですねー。

今回はそんな暑さも吹っ飛ばせるような話に!!
…はなっていませんが、熱中症にならないようキンキンにクーラーの効いたお部屋や電車でお読みくださいませ。

では、どうぞ!


17話 無自覚

 暗い空が見える。

 雨が自分に垂直に降っている様子から地面に倒れていることがうかがえる。

 視界はぼんやりとしていて、若干目に染みるのは何かと思い手を伸ばし確認すると雨ではない液体…色から察するに血液が頭から流れ出ているようだ。

 だけど不思議と痛みは感じない。

 

 この景色、それにこの感覚…また夢?

 前に見た夢と似ているけどその時よりはだいぶ落ち着けているような?

 それにしてもここはどこでどういう状況なんだろう?

 こんな経験した覚えがない。

 というか夢にもかかわらず意識がはっきりとしている辺りも本当に不思議だな。

 あれ、視界がせばまっているような…ということは夢から醒めるのか。

 またしても何が何だか分からず終いだ。

 

 そして完全に何も見えなくなった。

 次の瞬間、今度は明るい光が瞼の裏からでもわかるくらい照らしている光景に変わった。

 だが、体が思うように動かせない辺りまだ夢からは醒めていないようだ。

 

 おかしいな、いつもなら醒めてるはずのところで今回は醒めることができない。

 

 するとだんだんと瞼が開き始め、外の様子が見えてきた。

 

 っ…まぶしい。

 白い壁?いや雰囲気的に天井か?

 少し左に目を向けると大きな窓と風になびくカーテン、花瓶に差された花が見て取れる。

 この光景にも見覚えは無いけれど、なんとなく病院とかそんな類の感じがする。

 …何か音が聞こえる。

 人の寝息のような音?

 

 気になり、自由に動かせているのか動かせていないのかわからないような体の首から上の部分をなんとなく右の方に向くように意識する。

 すると少し視界が右に動く。

 

 人…それも女の子が横で座りながら寝ている。

 誰なのかはわからないけれど看病してくれていたのかな?

 髪は肩の辺りまで伸ばされていて、確かボブカットっていうんだっけ…そして艶のある鮮やかで少し薄い茶髪に幼さを残しながらも整った可愛い顔が映えるな。

 誰が見ても美少女と答えそうなくらいの女の子だけど…。

 

 その寝顔に見惚れてしばし眺めていると、その娘の瞼が徐々に開き、手の甲で目をこすり始めた。

 そしてその娘の瞳がこちらの目と合うと・・・

 パッチリと大きく目を見開き、口をパクパクとさせ、整ったその顔に一筋、続いてもう一筋の線が通った。

 

 …泣いているのか?

 雰囲気的に俺が目を覚ましたからか?

 この娘の泣き顔を見ていると全く知らない赤の他人のはずなのに、何故かこっちも不安な気持ちになってしまう。

 

 しばらくするとその娘は涙を拭い、先程とは打って変わってニッコリととびっきり優しく、眩しい笑顔をこちらに向けて来た。

 

 さっきまでは凄く不安な気持ちがこみ上げてきたけれど、笑顔を見ると今度は凄く落ち着く。

 君のその笑顔は俺に向けられている。それを思えば思うほど、何故か知りもしないこの女の子の笑顔を守りたいと思ってしまう。

 …でもごめん。

 俺は君のこと何も知らないんだ―――――

 

 * * * * *

 

 瞼が開く。

 ショボショボする目をこすり、まだ光を拒絶するその目を開き続けていると、またしても次第に白い天井が見えてきた。

 

 ん?何だまだ夢から醒めてないのか?

 でも特に意識せずとも体が動くこの感覚はさっきまでとは違う、気がする。

 

 するとガラガラとドアの開く音がする。

 

「あー!ユーくんが起きたー!」

 

 元気さが溢れ出ているこのテンションの高い声の持ち主は俺の記憶データベースでは一人しかヒットしない。

 そうして最近クラスの男子から金髪ロリ巨乳のイメージが確立されつつあるその人物を想像しながら、横になっている体を起こしてドアの方を見ると…

 

「やっぱり理子か。」

 

 想像通りの人物である、峰理子が制服姿でそこにいた。

 

「もー、ユーくんってば理子を見て『やっぱり』とかなんか雑じゃない?いきなり倒れたユーくんを頑張って病院まで運んであげたの誰だと思ってるのかなぁ?」

 

 いきなり倒れた…?

 

「すまん、何かいまいち頭が働かなくて…。俺がいきなり倒れたって何でだっけ?そもそも俺は病院に来る前何を?」

 

「ほー、とぼける作戦ですかー。いくらオタク仲間の理子相手でも少しお遊びが過ぎないかな?」

 

「いや、とぼけてもふざけてもいないんだけど…。」

 

「え?じゃあホントに覚えてないの?ユーくんは理子のお願いでテニスの試合にエントリーして、その当日会場で銀髪で肌の白い綺麗な女の子を見た瞬間意識を失って倒ちゃって…。」

 

 銀髪、肌の白い、女の子…。

 

「・・・」

 

「おーい、ホントに大丈夫?」

 

「…ジャンヌ?」

 

「っ!」

 

 そうだ!思い出した!

 いつも夢に出てくる昔フランスで会ったあの女の子の名前、今までずっと思い出せなかったけどジャンヌだ!

 そしてそのジャンヌが何でかはわからないけどあの時俺の前にいて、理子が言うには俺はジャンヌを見たと同時に意識を失ったってことか。

 

「ジャンヌってもしかしてあの時の女の子のこと?もしかして思い出したの?」

 

「おう、意識を失う前のことは思い出せた!そんでもってジャンヌってのは俺の勘違いじゃなければあの時俺の目の前にいた噂の外国人モデルの女の子のことだ。」

 

「もしかして知り合いとか?」

 

「うーん、知り合いというか…。昔フランスに行った時に一緒にテニスしたりしたことがあるってくらいだけど。まぁ、そもそも何でフランス行ったかとかは思い出せないんだけど。うちは海外旅行行けるほど裕福じゃないはずだし…。」

 

「へー、フランスに行った時…か。まぁ、そんなことよりユーくんが無事目覚めて理子はホッとしたよー。」

 

「ありがとな。そういやさっき病院まで運んでくれたって言ってたけど。もしかして理子に俺を担がせちゃったか…?」

 

「うーん、逆なら結構様になると思うけど流石に女の子が男の子担ぐのは理子的というか一般的にないでしょー。」

 

「だ、だよなー。…んじゃ、どうやって?」

 

「ふっふっふ、それはねー。剛毅っちを使ったのです!」

 

「剛毅っち?…あー、武藤か。」

 

 女の子のお願いなら電話一本で飛んできそうなやつだもんな。

 でも今回は普通に世話になったみたいだし今度会ったら礼を言わないとな。

 

 

 

 そうしてその後医者が病室にきて、意識がはっきりとしているなら外傷はないから退院していいとのことでその日のうちに寮に帰宅した。

 

「ふぁぁ…。ただいまー。」

 

「おかえり。さっき理子から電話が来て聞いたぞ。大丈夫だったのか?」

 

「んーと、多分大丈夫なのかな。そもそも何でぶっ倒れたのかとかも自分でもよくわからんからなんとも…。」

 

「なんだよそれ。ま、今日は早く寝たほうが良いんじゃないか?明日も普通に学校だし。」

 

「んー、そだな。じゃお先に寝させてもらうぞ。」

 

 そしてシャワーを浴び、すぐに布団に潜った…が、

 

 って全然眠くねー!

 よくよく考えてみればさっきまで病室で寝てたわけだし。

 何かもう寝ようと目を閉じても頭が冴えちゃってダメだ。

 そもそも寝るって何だっけ?目を閉じるってただ瞼の裏見てるだけじゃね?みたいな。

 あー、寝れない寝れない寝れない寝れn・・・

 

 ・・・あ、あれ?外が明るいような…。

 時計は…6:40ってもう朝じゃねーか!

 

 というわけであれだけ寝れないと思っていたらいつの間にか自然と寝ているという睡眠の謎さを思い知りました、はい。

 どうやらキンジも今起きたとこみたいだし、支度してさっさと学校に行くか。

 

 

 

「いってきまーす。」

 

 キンジも一緒のタイミングで登校なわけだから部屋には誰もいないが、人がいようといまいと外に出るときと帰るときは必ず「いってきます」と「ただいま」を言う、これはなんていうか俺的ルールだ。

 今日は良い感じの時間に目が覚めたこともあって時間に余裕もあるし久々にバスで登校するかな。

 ブラックバードの方が何かと便利なんだけど、まぁガソリン代がバカにならないしな。

 

「九重、今日もバイクの後ろに乗っけてくれよ。」

 

 全く言ってるそばからコイツは…。

 

「いいや、今日はバスで行くぞ。最近はテニス部の朝練にギリギリだったからブラックバードを使ってたけど、今日からはそれも無いからな。節約していくぞ。」

 

「ってことは満員バスライフに逆戻りかよ…はぁ。」

 

「あっ!キンちゃん!!!と九重君おはよう。」

 

 ん?この声は…。

 そうして振り返ると案の定、白雪こと星伽さんだった。

 ってかちょっと待て。さっきの星伽さんの声、何か明らかにキンちゃん!!!と取って付けたかのような九重君て感じだった気がするんだけど、気のせいだよな!うん、そうだよな!

 

「星伽さん、おはよう。」

 

「白雪…おはよう。」

 

 おいおいキンジ君、なんだその嫌そうなおはようは?

 そんな態度だと星伽さんが可哀想じゃねぇか。

 

「キンちゃんにおはようって言ってもらえるなんて夢みたい。ありがとうございます、ありがとうございます…!」

 

 …えっと、何かもしかして星伽さんって予想以上にキンジLOVEな感じ?

 というよりLOVEなんて超えているような…もしかすると1000%、2000%、いやそれ以上のレボリューションの域までいってるかもしれないな。

 ちなみに俺は1000%が一番好きです。

 っといかんいかん、話が変な方向に逸れてしまった。

 俺が頭の中で某プリンスさまのことを考えてるうちにキンジと星伽さんはスタスタ歩いて行っちゃってるし。

 

「おーい、ちょっと待ってくれよー」

 

 二人に追いつこうと、小走り気味で追いかける。

 すると運悪く、道に出来たわずかな段差に足を引っかけた。

 

「うおっ!」

 

 やべぇ、転ぶ!

 

 そして転びそうになったことで反射的に両手を前に突き出した。

 

「…えっ?」

 

 すると先程反射的に出てしまった俺の声に反応したのか後ろを振り返った星伽さんの肩に俺は手をつき、なんとか転ばずに済んだ。

 だがしかし、転ばなかったことの代償として女の子の肩に手を置いて前のめりになりながら何かを言い寄っているかのような男の図がそこにはあった。

 

 ふー、危ない危ない。

 この年になって何もないようなただの道で転ぶとか恥ずかしいからなー、セーフ。

 

「こ、九重君!?」

 

 ん?どうしたんだ星伽さん、顔が赤いぞ?ていうか何か近いな。

 

「お、おい九重。どうしたんだ。」

 

 あれ、キンジまで何だその表情は。

 俺がどうしたって?

 つまずいた瞬間を見てない星伽さんとキンジにとってはただ単に両手を星伽さんの肩に乗せて前のめりになってるだけじゃ…。はっ!!

 

 瞬間、今この状況が客観的に見たら今にも告白をしそうな程星伽さんに言い寄っているように自分がなっていることを理解し、恥ずかしさのような感情と焦りがバーストした。

 

「わっ!!ごめん星伽さん!そんなつもりじゃ…!」

 

「っ!!」

 

 すると星伽さんは何かにハッとしたように表情を変え、肩の手を振りほどいて走って行ってしまった。

 

「あっ…。」

 

 うわー、やっちまった。

 今の感じ、絶対嫌われた…。

 せっかく入学試験の時から仲良くしてくれて友達になれたのに。

 

「おーーー!ユーくんが雪ちゃんに振られたー!理子はすごい瞬間を見ちゃったー!」

 

「なっ、理子!?違う!別に告白をしたわけじゃ…!」

 

「うんうん、わかる。わかるよユーくん。ツラいよね。泣いてもいいんだよ?」

 

「そうだぞ九重。お前が白雪のことをその…好きだったのは驚きだが。今はツラいかもしれないがそのうちまたチャンスはくるさ。」

 

「いやだからちげーって!!」

 

 この後二人と学校に着くまで同じような問答をかなりの回数続けた結果、キンジはどうやら信じてくれたらしい。

 が、案の定理子は終始ニヤニヤしていて多分誤解したままだ。

 

 

 

「はー、最悪だ…。」

 

 今俺は始業時間までの間、教室の席に座り頭を抱えながら先程の不幸な出来事を嘆いていた。

 

「聞いたぜ九重。まさかお前も白雪さんに気が合ったとはな!全く手出すのが早すぎるぜコノヤロー。ま、振られたんならいいけどな!」

 

 この声は武藤か。

 また面倒くさい絡みだな…。

 てかこいつ自分が星伽さんが好きとかさらっと暴露してるし。

 

「いや、だから違うから。この説明すんのもう何回目だよ。」

 

「隠すことはねーよ!お互い頑張ろうぜ?な?」

 

「いや、九重君の言う通り違うと思うよ?武藤君。」

 

「なにぃ?何でだよ不知火?」

 

「僕、一部始終を見てたんだよね。多分あれは九重君が体のバランスを崩して手をついちゃったのが運悪く星伽さんで周りが勘違いした。そうだよね、九重君。」

 

 やべー。なんだそのハニカミ顔は。

 不知火、お前は顔だけじゃなく内面もイケメンだというのか…。

 

「あぁ、全くその通りだよ。」

 

「ほらね?今教室はこの話題で持ちきりでほとんどが誤解してるから、友達の僕らまで九重君をますます追い詰めちゃダメだよ。」

 

「そうだったのか…。すまん九重!誤解してた!」

 

「え?あぁ別にいいよ、気にしてない。元はといえば俺のミスだし。それにいいこと聞けたしな。」

 

「うんうん、僕も聞いちゃったよ。」

 

「ん?何だいいことって?」

 

「「武藤(君)の好きな人。」」

 

「…あっ!!ちくしょー!九重、テメェ嵌めやがったな!」

 

 いや、嵌めてねぇよ。お前が勝手に自爆しただけだろ。

 

 そんな感じで武藤と不知火と話しているとキンジが来た。

 

「盛り上がってるとこ悪いな。その…九重。白雪のヤツから伝言なんだが。」

 

「…え?」

 

「『話があるから、今日の放課後に校門で少し待っててほしい』だそうだ。」

 

 おいおい、話ってもしかして『怖いからもう近寄らないで!』とか…か?

 …やめて!もう裕介のライフポイントは0よ!

 はぁ。

 

 * * * * *

 

 そして現在16:10。

 専門科の授業も終わり生徒が各々ティータイムなどで放課後を楽しんでいる中、校門の前にどんよりと佇む一人の少年がいた。

 

 あー、憂鬱だ。

 もうお家帰りてぇよ、怖いよ。

 

「あっ九重君、お待たせ。」

 

 どうやらとうとうその時は来てしまったらしい。

 

 …よし、覚悟は決めた。

 悪いのは俺だ。俺も男だ、何を言われても受け入れよう。

 

 そうしてもうすっかり夕日と化した太陽に照らされながら、彼女は少し一呼吸を置いて口を開いた。

 

「…九重君。あなたは・・・」




ご読了ありがとうございます!

そういえば先日のMF文庫祭行ってきました!
AAのキャスト発表があるとのことでわくわくしながらAAステージに臨んだのですが…。
アリア好きの皆さんならもう見たであろう、あのかっこいいPVが流れ始めとうとうその時が来たわけです。

テレテテーテテッテーテッテッテー・・・
「間宮あかり cv.佐倉綾音」

イィィヤッホォォォォォーーーーーーー!!!!

はい、すいません。あまりの嬉しさに発狂してしまいました(笑)
私、あやねる好きなものですから。
また、他のキャストさんも正直ここまで揃えてくるかと思うほど好きな方々だったのでとても楽しみです!!
あとは準レギュラー級の風魔が誰になるのか気になりますね。

まあそんなこんなで今日はここら辺で失礼しまーす!
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