緋弾のアリア -Knowledge is power- 作:ピュアドライバー
「…九重君。あなたは・・・」
ドクン、ドクン、…
心臓の音が聞こえるほど緊張が体を支配している。
もう殺すなら早く殺してくれぇぇぇぇ!
「あなたは…ステルスって知ってる?」
「…はい?」
え、なに?すてるす?
あのステマとかのステルス?
ていうか何でそんなこと聞いてくるんだ?
「やっぱり…。ということはあの時無意識に発現させていたってこと…?」
「あのー、星伽さん?」
「あっ!ごめんね。その少し気になったことがあったから、でも今ので確信に変わったよ。」
ん?さっきから何の話をしてるんだ?
てっきり朝の不幸な一件で嫌われて、そのことについての話をされるかと思ってたけどもしかして違う感じ…!?
「九重君、あなたの中にはステルス…つまり超能力のようなものを操る力が眠っているかもしれない。」
ちょ、超能力??
「だからこれからそれを調べるために少し付き合ってもらってもいいかな?」
* * * * *
その後俺は星伽さんに言われるがまま、SSRの専門棟に連れて行かれた。
そしてそこではSSRの教員である神島先生が待っていて、ステルスとやらを調べるために言う通りにしろと言われたんだが…
「で、何で俺がこんな鉄の檻の中に入れられなきゃならないんだ?」
「それはさっきも言ったじゃない。君のステルスの詳細がわかってない以上、厳重態勢で行わないと君も私たちも危険ってわけ。」
何故か俺は鉄格子の檻の中に入れられた。しかもその周りには強化ガラスでも囲われてるし。
いや、確かに神島の説明で今の状況の理由はわかるんだけどさ…。
「それじゃあこれから九重裕介君、君にステルスがあるかどうか。ある場合にはその能力の詳細を調べるための…まぁいわば実験を始めます。」
「はぁ…わかりましたよ。それで何をすればいいんですか?」
「簡単よ。君はそこの椅子に座って目を瞑っているだけでいいわ。」
なんだそれ?座って目を瞑るだけでいいのかよ。
そう思いつつも俺は言われた通り鉄パイプの椅子に座って目を閉じた。
「じゃあちょっと失礼するわね。」
「って危険だからこんなとこに俺を閉じ込めてるのに先生まで入ってきたら意味ないんじゃ…!?」
「あら、心配してくれてるのー?」
なんか少しイライラしてきたぞ。
「大丈夫よ。始めたらすぐにガラス板の向こうに行くから。じゃあいくわよ?」
そう言って神島は俺の頭に手を乗せてきた。
なんだなんだ?催眠でもかけ・・・・・
「どうした裕介?早く行くぞ、フォローミーだ!」
この声は…ジャンヌ?
閉じていた目を開くとそこには透き通るように肌が白く、輝いて見えるほど美しい銀の髪を持った女の子…
そう、まぎれもなくジャンヌが自分の手を握り前へと引っ張っていた。
あれ俺は確か…
「ほらこっちだ!」
…そうだった、早くジャンヌと行かなきゃ
「ごめんごめん、何だか寝ぼけてたみたいだ。」
そうして二人でどこまでも走り続ける。
走って、走って、走って、走って、走って、走って・・・
あれ?今度は手が後ろに引っ張られてるような?
「どうしたんだ?」
そう言って俺は後ろを振り返ると…
…そこには一瞬前まで元気だったはずのジャンヌが、全身血まみれで今にも崩れ落ちそうになっていた。
「っ!!!ジャンヌ!どうしたんだ!?」
崩れ落ちそうな華奢な身体を抱きかかえ、必死で呼びかける。
…が、ジャンヌはピクリとも動かない。
「おい!返事をしてくれ!ジャンヌ!なぁジャンヌ!!!・・・・」
「はぁはぁはぁ…」
「大丈夫?少し荒治療ならぬ荒実験だったかしら?」
あ、れ?
俺は…。もしかして今のは現実じゃ、ない?
「それにしても驚いたわ…。まさかここまでのものだったなんて。」
「神島先生!九重君は大丈夫なんですか?」
神島先生?
それに星伽さんまでそんな不安そうな顔してどうしたんだ?
そうしてふと自分の周りに視線を落としてみると・・・
そこには自分が座っていたはずのパイプ椅子が最早原型がわからないほどに溶解しており、今自分が手をついている地面一帯が溶岩を思わせるほど赤く赤熱化していた。
「な、なんなんだこれ!!」
え、これって…俺が!?
「随分と驚いているようね。まぁ無理も無いわ。私もここまでの出力量を予想してなかったから。ね、白雪さん?」
「…はい。あの時は肩に置かれた手がものすごく発熱している程度でここまででは…。」
「何かしらね、今の催眠でそこまで九重君の感情を動かしてしまったのかしら…。」
なんだよこれ、全然意味が分からねぇ。
さっきから心臓がバクバクいってるのが止まらないし…
「…え君、九重君!落ち着きなさい!」
「神島先生…?」
ハッと我に返ると目の前に神島先生がいた。
って近い、近いよ!
この人、普通に美人なのにそこら辺全然意識してないよな。
「今度は顔赤いけど大丈夫?」
誰のせいだよ!!
「あー大丈夫です。少し落ち着いてきました。それでさっきのって…?」
「そう、なら説明するわね。結論から言うと君はやはりステルスの才能を開花させているわ。」
ってことはやっぱりさっきのは俺がやったのか。
「そしてステルスは感情の起伏が多大な影響を及ぼすということ。何の訓練もしてない今の君のような場合には特にね。だから朝の白雪さんとの接触や、さっきの私の催眠で能力を発現させてしまったってわけ。まったく、
うっせーよ!
でもなるほど、感情が影響する…か。
朝の時に星伽さんがハッとしてたのはそれでだったのか。
あとは朝のとさっきのを比較するに感情とステルスの力は影響してるだけじゃなく比例関係にもあるんだろうな。
「だいたい理解したみたいね。それで、一体ジャンヌって誰なのかしら??」
さっきまでのシリアス顔とは一転してニヤニヤしながらそう言ってきた。
「なっ!?なんで先生がジャンヌのこと知ってるんですか!?」
「だって九重君てば催眠中にステルスを発現させた辺りから『ジャンヌー、ジャンヌー・・・』ってずっと言ってたもの。」
催眠の中だけじゃなくて、現実でも口に出ちゃってたのか…。恥ずかしいな。
あれ、でも…
「ちょっと待った!そもそもなんで先生のかけた催眠の中にジャンヌが出てくるんですか?まさか先生も知り合いとかじゃないですよね?」
「当たり前よ、ジャンヌなんてあの有名な『オルレアンの乙女』しか知らないわ。まさかそのジャンヌ・ダルクではないでしょう?」
そういえば今まで意識したことはなかったけどジャンヌっていったら普通は百年戦争時代のフランスの英雄である『オルレアンの乙女』、ジャンヌ・ダルクだよな。
その英雄とジャンヌには何か関係性があるのだろうか。
「私が君にかけた催眠の内容はね、君が一番強い感情を抱いている人が君の前から居なくなるということ。後の詳細な部分は君の脳が勝手に作り上げたってわけ。」
そういうことだったのか。
ジャンヌが俺にとっての一番強い感情を抱いている人、ってことはやっぱり俺は…。
「まぁ、いいわ。そのジャンヌって子については聞かないでおいてあげる。正直それどころじゃないしね。」
「それどころじゃないってつまりどういう…?」
「今の君の状態ははっきり言って危険よ?いつどこでその危険な能力を発現させてしまうかわからないもの。だから君には明日からステルスをコントロールできるようになるため、SSRに入ってもらいます。」
「え!?確かに今のままじゃ危ないですけど…そうだアサルトの方は?」
「この学校にはね、過去例は数少ないけれど君みたいなレアケースのための措置が用意されているの。
「ら、らんらん?」
「あーごめんごめん、蘭豹先生のこと。」
「ぷっ!」
らんらんとか…思わず吹き出してしまった。
だって裏では人間バンカーバスターって呼ばれてるあの蘭豹がらんらんって。
いや、いかんいかん。これ以上ツボに入ると次会ったときに思わず『らんらん』って呼んじゃいそうだ、気をつけよう。
それよりも
なんか違和感というか引っ掛かるというか…
俺の中にステルスの才能があったんなら何で今まではこんな事態にならなかったんだ?
…まぁそんな諸々もこれからSSRで解明できるよな、多分。
<side・神島>
「それじゃあ明日の午後からアサルトじゃなくてここSSRこと超能力捜査研究科、通称S研に来るのよ?」
「了解です。んじゃお疲れ様です。明日から色々とお世話になります。星伽さんもわざわざありがとな」
「うん、また明日ね九重君」
「…行ったみたいね。それより何かおかしいわ。」
「確かに先ほどのは二回目にしては出力量が多過ぎるような…。」
「うーん、確かにそれもそうなんだけど。なんかもっとこう根本的な問題な気がするのよねぇ。」
さっき彼に催眠をかけるときに少し中を覗かせてもらったけれど、深いところまで入れなかった。
まるでそう、何か鍵がかけられていて閉ざされているかのように。
「そういえば星伽さん、彼はあなたと同じで武偵中の出身ではないんだっけ?」
「はい、入学試験の時一緒に一般中上がりの方で受けていたのでそのはずですけど…。」
「んー、ホントにあなたといい彼といい今年は訳アリそうな子が多いわねぇ。」
「!?」
「あら、気づいてないと思ってた?あなたが本来の力を隠してるのはすぐわかったから
「えっと、あの…」
「大丈夫。こっちもプロだからね、情報が漏れるようなことはないわ。だから安心なさい、緋巫女さん?」
「
結構驚いたみたいね。
まぁ無理もないわ、ゆとりちゃんっていつもおっとりしてるけれど昔は凄かったらしいし…。
なんだっけ『
この調子で九重君のことも依頼して調べてもらいましょう。
果たして彼にはどんな
<side・神島 終>
あれから一日経った。
昨日は帰ってから部屋でキンジに見つからないように、恐る恐る自分でステルスを出せないか試してみたが上手くいかなかった。
やっぱりコツとか何かがあんのかな?
そうして今は
チャリン、チャリン・・・
理由は簡単、昨日の二の舞にならないためと節約のためだ。
キンジは乗せてくれとうるさいがブラックバードは燃料代が高いからな、毎日乗ってたら俺の残金が枯渇しちまう。
「ふー、着いた。やっぱ自転車はロマンがあるよな!案外いいモンだろ?キンジ」
「まぁ確かに。たまにはチャリ通学もいいかもな。」
「でもチャリって武偵としては意外と欠点あるかもな。この前の新歓任務の時は狙撃で一瞬でパンクさせられたし。」
「あぁ、あの時は大変だったな。」
「あとは爆弾とか仕掛けられたら完全アウトだな。」
「それは昨日やってたハイジャックのドキュメント番組の影響だろ?」
「バレたか」
この時俺たちはまだ知らなかった。
冗談で言っていたことが一年後に現実になることを…
まぁ、それはまた別の話。
「それにしても九重がSSRとの
「正直俺が一番ビックリしてる。」
「あそこって何をしてるのかよくわからないんだが…何で九重が?」
んー、何て説明すればいいんだろう?
まさか「超能力使えるようになったからだお!テヘッ」なんて言えないしなぁ。
今は適当に濁しとくか、もし俺がこの力をマスターしてキンジと一緒に任務をこなすことがあれば嫌でもわかることだろうし。
「何て言うかアレだ。イマジンブレーカー的なアレだ。」
「な、何かよくわからんが凄そうだな…。」
そんな調子でキンジと話しながら駐輪場から教室まで歩いていると
「うぉぉぉぉぉぉ!九重ぇぇ!」
「うおっ!危ねぇ!何すんだよ武藤!」
武藤が走りながらエルボー・バットを繰り出してきたのをすんでのところでかわした。
「何すんだよじゃねぇ!どういうことだこの野郎!お前昨日は星伽さんのこと好きじゃないとか言っといてさっそく抜け駆けしてんじゃねぇかよ!」
「おいおい、落ち着けよ…。俺は別にそんなつもりじゃ」
「うるせー!もう騙されねぇぞ!」
「おいキンジ、何とかしてくれよ…。あれ?」
振り返るとそこにはキンジの姿は無かった。
あの野郎!巻き込まれまいとさっさと一人で逃げやがったな!
それから始業時間まで追い回してくる武藤からなんとか逃げ続けた。
「はぁはぁはぁ…。」
武藤のやつ完全に体力バカだなあれ。
そんなに星伽さんのこと気になってんのかよ。
でもそれなら本当に追い回すべき相手は俺じゃなくて他にいるってのに・・・
「お疲れさんだな、九重。」
なぁキンジ君よぉ。
「お前俺を見捨てたな?」
「悪いな、俺はお前や武藤のヤツみたいに朝から騒げるほどタフじゃないんだよ。」
「ちっ、この昼行灯め。」
「はーい、みなさん席に着いてください。HR始めますよー。」
高天原先生が来たみたいだな。
キンジへの文句は後にしておこう。
「今日は皆さんに特別なお知らせが一つあります!」
特別なお知らせ?またこの前みたいに強制的に厄介な任務に行かされるとかは嫌だぞ。
「実は今日、転校生が来ているんです!」
転校生?一学期も折り返そうかっていうこの時期に?
「では、入ってきてください!」
「はい。」
そうしてドアをガラガラと開け入ってきたのは…
まず性別から言うと女だった。
その容姿はというとボブカットで日本人特有の濁りのない黒髪、スラっと伸びた手足、かといって決して高いわけではなく女子の中では平均的な身長・・・
そして何より俺の座っている後方の席からでもわかるほど端正で整った顔立ち、いわゆる美少女だった。
一言でいえば星伽さんとは少し違うが大和撫子って感じだな。
そうして教壇の上まで行き、黒板に丁寧な字で名前を書き終えた後にこう言った。
「は、初めまして。
ご読了ありがとうございます!
さて、夏休みももう終わりですね。
大学生の私にはまだ20日ほどありますが(笑)
夏休みといえば宿題!ということで終わらせ方を皆さんに聞いてみました。
裕介「7月中にささっと終わらせて、残りは遊んだり+αで勉強したり。」
キンジ「気が向いたときに多めにやるな。」
理子「宿題ぃ?美味しいのそれ?なんてね!早めに終わらせて後は遊んじゃうよ!」
武藤「焦るな、勝負は24時間を切ってからだぜ…。」
とこんな感じらしいです。
では、次回投稿までしばしお待ちを!!