緋弾のアリア -Knowledge is power-   作:ピュアドライバー

7 / 21
少々私情により投稿が遅くなってしまいました。


07話 入学

<side・キンジ>

ビーーーービーーーー・・・

 

「そこまでや!遠山キンジ以外全員の戦闘不能状態を確認。これでアサルト試験第2班は終了や。」

 

終わった…のか?

そうか、やっぱり俺たち3人しか残ってなかったのか。

俺は…最後、九重と理子が闘っているのをただ指をくわえて見ているしか出来なかった…。それにあの時の俺は本当の俺ではなくアノ(・・)状態の俺だった。…ということは()の俺は、この二人の足元にさえ及ばないのかもしれない。こんなにも自分の無力さを痛感するとは・・・

 

「遠山ぁ、何ボーッとしとるんや。そこに転がってる二人抱えてさっさと外出ろや。」

 

…!ダメだ。こんなこと考えてても仕方がない。今は二人を外まで連れて行かなければ。

 

「理子!九重!大丈夫か!・・・ダメだ、全く反応してない。こりゃ完全に落ちてるな。」

 

うんしょっと。流石に二人をいっぺんにともなると結構キツイな。

<side・キンジ 終>

 

* * * * *

 

「はぁはぁ…こんなに楽しかったのは初めてだよ。テニスって楽しいんだね!」

 

「そうか、それは良かった!それにしてもやっと笑ったな!今まで暗い顔ばかりしてたから…。君は日本から来ているってお父さんに聞いたけど」

 

「うん、裕介だ。」

 

「ユゥスケ…ユースケそれが名前なのだな?」

 

「そう!君は?」

 

「私…私の名前は・・・」

 

* * * * *

 

ベチン!!

 

「うわっ!!痛ってー・・・」

 

夢…だったのか。今の夢、久しぶりだったな。もうあれから結構経つよな…。あの子、どうしてるかな?フランスに行ったときに一度、一緒にテニスをしただけだったけど・・・

あれ?そういえば何で俺フランスなんかに行ったんだっけ?どうにもあの子以外のことが思い出せない。

 

…それにしても、せっかく良い夢を見てたってのに!誰だ、起こしてきたのは!それに起こし方をもう少し考えろよ。『ベチン!!』って何だよ!

 

「いつまで寝とるんじゃ、ボケぇ!もう他の奴らはとっくに帰ったでぇ。」

 

…って、アンタかよー!!

あれ?そういえば俺、何で寝てるんだっけ…?

…そうか、確かアサルトの試験で色々あって結局は理子と…相打ちになったんだっけか?

 

「す、すいません!あの、ちなみに試験の結果って…?」

 

「ん?あぁ、お前はラスト三人まで残っとったが、峰と相打ちになって結局勝最後まで残っとったのは遠山一人だけや。」

 

…そうか。やっぱり理子と相打ちになってそのまま気絶したってわけか。

 

「そう…ですか。やっぱり俺は勝てなかったんですね。」

 

「?まぁ、そんな悲観するような結果でもないやろ。というかむしろパンチュー出身やったにも関わらず、この結果は快挙やで。」

 

「そう…なんですか?」

 

「そりゃそうやろ。お前以外周りは全員、武偵中出身やったしな。それに一人、試験官も殺っとるやないか。これを快挙言わんで何て言うんや。」

 

「え…?試験官を殺った?何のことですか…?」

 

「気づいとらんかったのかいな。あれや、二階と三階をぶち抜いたあのトラップでお前が捕縛したんはウチの学校の教師やで。…ホンマ、こんなガキに遅れぇ取るなんてありえへんわ。」

 

あの人、教師だったの!?…って何だよそれ!聞いてねーよ!てか確か、あの人から先に仕掛けてきたよな?…まさに自業自得ってやつか。

でもまあ、茂兄がくれた罠を張ってたらナイスタイミングで来ちまったってことだったから、俺の実力で勝ったわけじゃないが。

 

「まあそういうことで、とりあえず今日は帰りいや。後日また連絡するからよぉ。」

 

「わかりました。・・・では、失礼します。」

 

* * * * *

 

そしてそれから数日後…

 

「裕介ー!例の武偵高から郵便が来てるわよ。」

 

「はーい。・・・あった、これか。」

 

えーと、どれどれ・・・

 

『入学試験 結果

一般中出身向け入学試験、英数国296/300、射撃テスト7/10。

続いて武偵中出身向け入学試験。強襲科第二班、2/15。

以上の結果よりこの者を合格と見なす。

入学希望者は二月末までに手続きをし、三月一日の入学式に出席すること。

また適正科については複数あり。よって、入学時の在籍科については本人の希望により決定するものとする。

入学時武偵ランクについては試験の結果よりAとする。』

 

Aランク…?それってSを除いたら一番上だよな?なんか高く評価してもらえたみたいだな。しかも、在籍科は俺が自由に決めていいのか。どうするかな…普通に考えれば試験も受けたんだしアサルトなんだろうけど、正直探偵科(インケスタ)もいいな。あー、めっちゃ迷う…

ん?封筒に何か他にも紙が入ってるぞ。

 

『九重ぇ、何や在籍科を自分で決めていいみたいになってるみたいやけど…当然お前はアサルトだよなぁ?もし、他行ってみぃ。そん時は、お前の寿命が大幅に縮まるゆうことを覚悟しぃや。』

 

…ハイ。モチロン、アサルトニシマスヨ。ハハハ…

って、こんなのアサルトしか選べねぇよ!チクショー!

なんかあの蘭豹って先生に相当目をつけられたらしいな。でもまぁ、考え方によっちゃあ先生に目をつけられるってのも悪くないかもな。コネはあればあるだけいいはずだ!

 

まあそんな感じで結局俺はアサルトに入ることに決めた。この選択によってあんな地獄の日々を過ごすことになるなんて知りもしないで…。

そして時は流れて三月一日になった。東京武偵高はほとんどの生徒が寮に入る。俺も家から毎日通うとなると少し遠いんで、寮生活をすることにした。

 

「んじゃ、行ってくるわ。」

 

「気をつけるのよ。あとたまには連絡してきなさいよ。…それからこれを持ってきなさい。」

 

「これは…お守り?」

 

「表面上は、ね。本当は何なのかはいずれ時がくればわかるわ。それまで肌身離さず持っていなさい。」

 

「…わかった。じゃ、行ってきます。」

 

あばよ、マイホーム&マイファミリー。しばらくの間お別れだ。

 

そうして家や家族に別れを告げ、東京湾に浮かぶ人工浮島にある東京武偵高へと足を進めた。

 

 

到着ぅーっと。今日から約三年間ここで武偵高生として生活するのか…。とうとう普通の人が乗る人生のレールには戻れないとこまで来ちまったな。この三年間でその先、武偵として成功するのかそれともデッドエンドであの世送りになるかが決まるようなもんだ。気合入れてくぞ!

とりあえずは…入学式か。体育館に新入生は全員集合みたいだな。

 

「おーい、九重!」

 

「おっ、キンジか!二週間ぶりだな。そういえばあの試験の後、医務室まで運んでくれたみたいでサンキューな。」

 

「あぁ、あの時か…。まあ運んでなかったら蘭豹に八つ裂きにされてたしな。」

 

「あいつならやりかねないな…。それにしても知り合いがいて良かったぜ。キンジが声かけてくんなかったら、長い入学式のずっとぼっちだったぜ。じゃ、行くか。」

 

そうしてキンジと話しながら体育館に行き、座席についた。

 

そこで知ったんだが、どうやらキンジは武偵ランクをSに認定されたらしい。まぁキンジとは戦ってないから見てただけだが、ハンパなく強かったからな。それに雰囲気も今とは全然違ったし。…ん?なんか引っかかるな…。雰囲気が全然違う?前にもこんなこと・・・そうか!もしかして…

 

「なぁ、キンジ。お前もしかしてあの時アレになってた(・・・・)?」

 

「・・・九重、まさか知っているのか?」

 

「やっぱり…か。金一さんがそうだったようにお前にもあるんだなあの体質、ヒステリア・サヴァン・シンドロームってのが。」

 

「そうか、兄さんから聞いてたのか。…そうだ。俺はあの時、俺は『ヒステリアモード』って呼んでいるあの体質を発現させていた…というよりさせてしまっていた、だな。兄さんから聞いてるだろう通り、この体質は自身の能力をありえないほど飛躍的に高める。だからあの時の俺は本当の俺じゃなかったんだ。だからSランクなんて本当の俺のランクじゃない。恐らく本当の俺じゃいいとこCあたりだ。…どうだ?幻滅したか?ホント、情けない話だよな。」

 

なんかいきなりしょぼくれ出したなキンジのやつ。本当だの、本当じゃないだのそれが何なんだ?

 

「おい、キンジ。いきなりどうしたんだ?お前はあれか、そのヒステリアモードの時の自分は本当の自分じゃないからSは自分のランクじゃないとか言いたいのか?」

 

「…そうだ。」

 

「俺はそれは違うと思うぜ。確かにヒステリアモードになってる時と今とじゃ別人みたいかもしれないけどさ、だからってヒステリアモードのお前は本当に別人って訳じゃないだろ?ならそれは紛れもなくお前自身だし、ヒステリアモードだって言うなれば武器の一つってことだろ。それならその状態になることは拳銃を使うのと同じことだ。だからSは間違いなく正当な評価だ。もっと胸張っていいと思うぞ。」

 

「…そんな風に考えたことはなかったな。ありがとう。おかげで少し気が晴れたよ。ただあの状態にはやっぱり積極的にはなれない、いやなっちゃいけないんだ・・・」

 

「…そうなのか?まぁ、いきなり180度考え方変えるのもキツイだろうから少しずつでいいんじゃないか?」

 

「…あぁ、そうだな。」

 

 

「…静粛に。ただいまより東京武偵高、入学式を始める・・・」

 

なんか、結構熱く話し込んじまってる間に入学式がはじまったな。そういや、金一さんは女装がヒステリアモードのトリガーとか言ってたが…キンジもそう…なのか?いや、でもあの時は普通の恰好だったよな…。まぁ、また今度聞いてみよう。

 

「・・・続いて入学生総代、星伽白雪。」

 

 

「ん、星伽さんじゃん!総代に選ばれてたのか。」

 

「なんだ、九重。白雪のこと知ってるのか?」

 

「あぁ、パンチュー試験の時に席が隣だったんだ。そういうお前も知ってるのか?しかも名前呼び…?」

 

「俺と白雪は家の関係で小さいころからの…いわゆる幼馴染みたいなもんなんだ。」

 

「なるほど、そうだったのか。」

 

そんな感じでくっちゃべってる俺たちをよそに式は着々と進行し・・・

 

「・・・以上で入学式を終了します。新入生のみなさんは掲示板に貼り出されているクラスを見て、自分のクラスに移動してください。」

 

いつの間にか終わっていた。

 

さて、それじゃあクラスを見に行きますか。知り合いが少ししかいないからな、なるべくキンジや星伽さんとは同じクラスであることを祈るぜ。

 

「えーと…あった、A組か。キンジはどうだった?」

 

「俺もA組だったぞ。」

 

「おぉー!めっちゃ運良いな!改めてよろしくな、キンジ!」

 

「あぁ、こちらこそ。」

 

そうして俺たちは一年A組の教室へと向かった。ちなみにさっき掲示板で確認しておいたが、星伽さんもA組だった!なんかツイてるぞ!

 

「ここか。ええっと、席は自由みたいだな。後ろの方にするか。」

 

「そうだな。」

 

 

「おやおや?キーくんとユーくんではないですか!」

 

「なっ、理子!?同じクラスだったのか!」

 

「もー、なにようユーくん!理子と一緒で嬉しくないの?」

 

「いやなんというか、あの時不意打ちみたいな感じで怒らせちまったろ?」

 

「怒った?理子が?んー、何のことかわからないのです。」

 

「いや、だからあの時…」

 

ん、なんだキンジのやつ。急にこそこそ話してきやがって。

『それ以上突っ込むのはやめとけ。理子を見てみろ。』

なに?理子を見てみろ?

 

…って、顔は笑顔なのにさりげなーく銃口をこっちに向けてるじゃないですかぁ!!え?何で?もしかしてあの時の狂乱っぷりを公にされたくないとか…?いやいや、今は理由なんてどうだっていい!早く銃をしまってもらわねば!

 

「…だからその、あの時も今も理子は元気だなーって。だからあれだ、同じクラスになれて楽しそうだなって…いやぁマジ最高っ!あは、あははは・・・」

 

「もー、ユーくんってば嬉しいこと言ってくれるではないですかぁ!理子も二人と同じクラスで嬉しいよ?…んじゃ、またねー!」

 

そう言って理子はもう仲良くなったのか、女子のグループの中に入っていった。

 

「キンジ…マジサンキュー。入学初日で命を落とすとこだったぜ。」

 

「…気にするな。まあなんだ、女子ってのは恐ろしい生き物ってことだな。」

 

「そう…だな。」

 

そうして、突然現れた死亡フラグをなんとかかわした俺たちはようやく席に着くことができた。すると・・・

 

「キンちゃーん!!」

 

ん?キンちゃん?

 

「白雪!?」

 

「同じクラスだね!嬉しいです!あぁ、キンちゃんにこれから毎日会えるなんて・・・」

 

「白雪!恥ずかしいからこんな大勢の前でやめてくれ!」

 

「はぅぅ、ごめんなさい!これからは二人きりの時にするね。」

 

「いや、そういうことじゃなくて…」

 

あれ?ナニコレ?なんでこんなにイチャイチャしてるの君たち?俺も…俺もいるんですけど…。

 

「おい、九重!しっかりしろ!目が虚ろになってるぞ!」

 

「あれ?九重君?久しぶりだね。九重君も一緒のクラスだったんだぁ!」

 

「あ、うん。そうだね。あはは、よろしく…。」

 

 

「はーい!みなさん席についてください!」

 

 

「あ!先生がきたみたい。それじゃあキンちゃん、九重君、また後で!」

 

「あぁ。…って、九重。お前さっきからどうしたんだ?」

 

「いや、何て言うかこの学校はハードだなって。」

 

全く、朝からスッゴイ疲れたぜ。主に精神的な方で。

 

「えーと、初めまして。私がA組を担任する高天原ゆとりです。一年間よろしくね。」

 

高天原先生か。なんだかすごくほんわかした人だな。こんな人もこの学校の教師なのか。

 

「とりあえず、これからの学校生活について。この武偵高は他の学校とは違うところがたくさんあると思うけど、その中でも特に違うのが授業形態です。皆さんは早速明日から授業を受けるわけだけど、一日全6時間の授業の中で午前4時間は一般の高校と同じように教養課程を履修してもらいます。だけど午後の2時間は普通とは違うことを履修してもらいます。それが専門課程です。皆さんは先月の入学試験の時にそれぞれ専門の科に分けられて合格証を受け取った時に通知されたと思います。その専門科ごとの授業や実習を午後に受けてもらいます。」

 

へー、そうなのか。てことは俺は午後2時間はアサルトってことか。

 

「それから他には・・・」

 

そうして高天原先生による説明は続いた。

 

「以上で説明は終わります。何か質問は…無いですね。ではここからは少し急ですが毎年恒例の新歓依頼について決めたいと思います。」

 

新歓依頼?なんだそりゃ?

 

「新歓依頼は各クラスで2人選出されたメンバーで構成された一年生のみのチームで依頼に当たってもらうというものです。ちなみに依頼の難易度はAランク相当なのでメンバーの条件は最低Bランク以上となります。」

 

なるほど、新歓依頼か。恐らく教師がその年の生徒の実力を大まかに見るためのものだろうな。ま、いくらAランクでも依頼を一度もこなしたことがないパンチュー出身の俺には関係の無い話だが。

 

「それから、ウチのクラスのメンバーについてですがアサルトの蘭豹先生からの指名ということで特に立候補者がいなければその人にやってもらうことになるのですが…。誰か立候補はいますか?…いなさそうですね。」

 

またあの蘭豹かよ。指名で強制とか可哀想なやつもいたもんだな。でも、仕方がない。ここは俺たちの生贄となって依頼を頑張ってきてもらおう。

 

「では、指名された二名に新歓依頼をやってもらおうと思います。その二人は・・・遠山金次君と、九重裕介君です。頑張ってきてね!」

 

「「え!?俺!?」」

 

俺は一瞬で悟った。物凄い厄介なことに巻き込まれてしまったのだと。




今回は小休止のような感じです。

次回は同級生のキャラが何人か登場します!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。