緋弾のアリア -Knowledge is power- 作:ピュアドライバー
08話 影
「なぁ、キンジ。俺らマジで新歓依頼とかいうのやらされんのか?」
「…やらなかったら、蘭豹に文字通りあの世送りにされちまうだろ。」
「確かに…。」
世界は…いや武偵高はこんなにも理不尽な所なのか…?
初の依頼がAランク相当とかマジで笑えないぜ。
そんなわけであのクソ教師のせいで入学早々から厄介事を押し付けられちまった俺とキンジは、各クラスから選出されたメンバーの集まりがあるとかで入学初日から放課後?に居残らされ、ミーティングルームとやらに集まるよう言われた。
クラスはAからGまでだから俺ら以外に12人いるってことか。せめてメンツは良い感じであって欲しいぜ。
「ここ…だな。じゃ、入るか。」
「「失礼しまーす。」」
「あ、君たちも代表の人…だよね?僕はC組代表の不知火亮、専門科はアサルトだよ。」
「あぁ、A組代表の遠山キンジと…」
「九重裕介だ。俺らもアサルトなんだ。これからよろしくな!」
「…!あ、こちらこそよろしくね。それにしても君たちが噂の遠山君と九重君か…」
ん?噂?なんすかそれ?
「噂ってなんのことだ?」
「入学試験の時のことだよ。遠山君は撃破数が全受験者の中でダントツで覆面教師も複数人撃破、九重君はパンチュー上がりにも関わらず特別措置でアサルト試験を受験して、激戦だった2班で最後の3人まで残った。で、ランクは遠山君はS、九重君はAでしょ?」
「本当に噂になってんだな…。でもあれは少し運が良かったというか…」
「運も実力の内ってよく言うよ?それに運とか抜きにしても周りは全て武偵中出身の中でその結果は掛け値無しですごいよ!」
「んー、そんなもんかな…?」
まぁ、あの蘭豹も快挙とか言ってたしな。その評価は有り難く受け取っておくか。
それに、この不知火ってやつは何だか良いやつそうだしな。純粋な意味で。
ガチャ
おっ、他にも誰か来たみたいだな。
「一年B組、武藤剛気っす!新歓依頼の代表に選ばれました!よろしくお願いします!」
なんか、スゲェ大柄で元気なやつがきたな。
「俺はA組の九重裕介だ。ちなみにまだ、俺らしかいないからそんなにかしこまらなくても大丈夫だぞ。」
「そうなのか?何だよ、挨拶損かよー」
「…!!あっ、思い出した!お前あの時の!!」
ん?キンジがいきなり大声上げ始めたぞ。
「なんだ?…ってお前もしかして遠山キンジか!?」
「なんだなんだ?お前ら知り合いなのか?」
「あぁ。中学の頃、神奈川武偵中と東京武偵中の共同任務をやった時に俺は神奈川のアサルト、そっちの武藤は東京の
「もう一年近く前のことだったからなぁ。まさかキンジにこんなとこで出くわすとは…。高校は神奈川じゃなくてこっちに来たんだな。」
「まぁ、ちょっと事情があってな…。」
それから4人で談笑していると段々と各クラスの代表が集まってきて、全員が集まった所で俺とキンジを陥れた大罪人がやってきた。
「全員揃っとるなぁ!んじゃ、新歓依頼についての説明始めるでぇ。」
またしてもアンタなのか!蘭豹!
「まずはこの新歓依頼の目的についてや。ま、要するにウチらがその年の生徒の実力を見極めるゆうことなんやけど、せやからって任務の難易度や危険度はフツーにA相当やから気ぃ抜いたら死ぬでぇ。」
やはり教師共が俺ら生徒の実力を把握するためのものか。それに当たり前っちゃあ当たり前だけど、新入生向けの依頼だからって難易度や危険度は変わらないか。これは気を引き締めねぇとシャレにならないな。
「んで、任務に関する詳しいことけど、その前にとりあえずA~CとDの片方の7人とそれ以外の7人に分かれてもらうで。そんでそれぞれ違う任務についてもらう。そうゆうことやからこっからの詳しい話は別々や。前半の7人はここに残れ。ウチが直々に見てやるわ。後半の7人は隣の部屋に移動や。」
そういうことで俺たちは言われた通り2班に分かれた。てか蘭豹さん。あんたどんだけ俺らのことが好きなんだよ。ここ来てから一番長く一緒にいる女性は今のところ間違いなくアンタだわ。スゲー嫌だけど。
「んじゃ、お前ら1班の任務についてや。日時は今から一週間後の3月8日。内容は違法に持ち込まれた銃器やらの武器の取引現場の抑圧、関係者の現行犯逮捕。場所は茨城県の土浦や。ちなみにこの任務は元々武偵高に依頼されたもんやなくてなぁ、武偵局から人手不足やらで降りてきたもんなんや。そうゆうわけでウチらもこの情報の出所なんかが調べられんのや。せやから取引の後ろにいるんが厄介な組織かもしれんが…ま、大丈夫やろ。…何か質問はあるか?・・・無いようやな。それじゃ、ウチからは以上や。あとは自分らで作戦でも立てて行ってこいや。」
…情報の出所が不明とかスゲぇ不安なんだけど…。てか密かに行おうとしてるはずの取引の情報がここまで掴めてるのっていくら武偵局でも少し不自然じゃないか?考えすぎなのか?
まぁ、もうやるしかなさそうだしな。その不自然さを拭えるくらいしっかりした作戦をせめて立てておかねぇと。
「じゃ、とりあえず軽い自己紹介と戦力確認からするか。俺は九重裕介、アサルトのAだ。」
「遠山キンジ、アサルトSだ。」
「おぅ!武藤剛気、ロジのAだぜ!乗り物って名のつくものなら何でも任せてくれ!」
「不知火亮、アサルトのBです。よろしくね。」
そうか、何だかんださっき話してた俺ら4人は一緒の班なのか。
「ええっと…あのぉ、中空知美咲って言いますぅ。こ、
中空知さん…か。なんかスゲぇおどおどしてるけど…。これでコネクトのBなのか?うーん。
「…レキと申します。
え、S!?キンジの他にも一年にいたのか!しかもその二人が同じチームか…。スゲぇ頼もしいな。
「平賀文っていいますのだ!
平賀さんはアムドなのか。ってことは裏方だな。それにしても背、小っちゃいなぁ…。ランドセル背負ってたら違和感無いぞ。マジで。
っと、これで全員か。
「戦闘員が4人で非戦闘員が3人か。かなりバランスがよさそうだな。」
「あぁ、この感じだと平賀さんと中空知さんに裏方をやってもらい、武藤に現場への輸送と退路の確保、レキさんには遠方からの狙撃、そして俺たち3人は正面からの強襲ってとこか。…ところで一応リーダーいわゆる指揮官を決めておいた方が良い気がするんだが。」
リーダーか。まぁここは武偵中出身の経験豊富そうな不知火やキンジ辺りにやってもらうのが妥当だろうな。
「そうだな。ま、ここは俺や平賀さん、それに中空知さんを除いた戦闘要員の誰かがやったほうが良い気がするぞ。なっ?」
「わ、私もその方が良いと思います。実際の状況が私たちには把握できないところがあるので…。」
「あややもそれが良いと思うのだ!その代わりみんなの武器のメンテナンスとかは任せて欲しいのだ!」
確かにその場に居なきゃ判断しかねることもありそうだな。
「ということは僕ら4人の誰かってことになるね。」
「私はスナイパー。その役目は遠方からの狙撃です。なので私もその役は引き受けられません。」
「…ってことは残りは強襲組の3人だな。だが、俺も候補から降りさせてもらうぜ。何せ経験が皆無なんでね。」
「確かに九重君は実力は十分あると思うけれど、経験は無いものね。じゃあ、僕か遠山君ってことになるけど…。その二択なら当然ランクがSの遠山君だと思うんだよね。ということでよろしく頼むよ、遠山君。」
「おい、ちょっと待て!俺はそういうのに向いてないんだ!」
「まぁまぁ、キンジさんや。落ち着いて考えてみろって。リーダー、かっこいいじゃないですか。」
「そういう問題じゃない!!」
そんなわけでその後もキンジは一向に承諾しようとはしなかったが、様子を見に来た蘭豹に無理やりリーダーって登録されて事態は強制的に収拾された。今回はグッジョブ、蘭豹!
そして決めたことや作戦の内容についてもう一度再確認して、ひとまず解散した。
「九重くーん!ちょっと待つのだ!」
「ん?どうしたんだ平賀さん?」
「あややでいいのだ!そうそう、九重君は武器の整備とか改造はどうしてるのだ?」
「改造はしたことがないな。整備は一応自分でやろうとしてるんだが…あまりそういうことを教えてもらったことが無くて…。」
「やっぱりだったのだ!なら、これからは九重君の武器の整備や改造はもちろん、装備に関してのことはこのあややに任せてはもらえないでしょうか?」
「え?いいのか?」
「もちろんなのだ!それにお代もお友達価格ということで安くしとくのだ!」
「それはありがたい!…じゃあお言葉に甘えてお願いするよ。」
「任せておくのだ!じゃあ早速今日預からせてもらっていいですのだ?」
「おぅ!よろしく頼むぜ!」
そんな感じで平賀さ…じゃなくてあややにこれからは装備関係のことを任せることにした。それでも整備くらいは自分で出来るようにしておかないとな。今度教えてもらおう。
そしてSIGと時雨をあややに預けた俺は今日から寝泊まりをすることになる寮に向かった。一部屋4人が目安らしいからな。誰が相部屋何だろう?
ええっと、ここだな。
「お邪魔しまーす…というかただいまー」
「おう、少し遅かったな。」
「キンジ!?もしかして同じ部屋なのか?」
「あぁ、そうみたいだぜ。ちなみにあと二人本来ならいるはずなんだが、今年は入寮者が少ないらしくてな。この部屋は二人だけで使っていいらしい。」
「めっちゃラッキーじゃねえか、それ!…でも俺らA組だろ?その俺たちのとこで端数合わせなんて少し変な話だな。」
「…そのことなんだけどな。実は…どうも蘭豹が手を回してくれたみたいでな。ポストにこれが入ってたんだ。」
蘭豹が?どれどれ・・・
『お前らぁ感謝せえよ?ウチが人肌脱いでその部屋、広く使えるようにしといたで。…まぁ、お前ら二人はホープやからな。それにウチ個人も期待しとるし…。何にせよありがたく思えや!それから褒美があったからって調子に乗るんやないでぇ。明日からは授業が始まるんや。少しでも動きが鈍ってたらぶち殺すからなぁ!』
蘭豹…先生…。あぁ、自分が恥ずかしい。なぜ気づかなかったんだ、あのお方の本質に。
「…俺、感動しちまったよ。」
「あぁ、正直俺もビビったぜ。」
「だよな。まさかあの人がこんなにも…ツンデレだったなんて!」
「えっ?ツンデレ?」
「くっ、なぜ今まで気づけなかったんだ!?出会った時から今までの高圧的な感じ…あれはすべて『ツン』だったんだ!そして今この瞬間『デレ』たというわけか。不覚にも少し萌えてしまったぜ…。」
ストライクゾーンの広すぎる裕介であった。ちなみに翌日からのアサルトの授業には『ツンデレ』蘭豹は居らず、通常モードの『ツンツン』蘭豹のみが存在していたことは言うまでもない。
* * * * *
新歓依頼に向けて各々が授業に、または修行に励んでいる一週間。
その間にとある犯罪組織とコンタクトを取ろうとしている一人の青年らしき人物がいた。
(私の
普段はこの世のすべてを見通して知っているかのような神秘的とさえ言える風格の青年が、珍しく疑問符を頭に浮かべていた。それもそのはずである。なぜなら未来に起こりうるあらゆる事象を予測する青年の条理予知はすさまじい正確性であり、普通なら一度予知した未来が変わっているなどあり得ないことだからだ。それが今、たった一人の少年の影響によって変わってしまっている。
(…わからない。いくら考えてもこの少年が本当に役者になり得るほどの力を持っているのか見えてこない。・・・ならば、直接確かめる他なさそうだね。一週間後に少年が動くのはわかっている。ならばそこで試させてもらおう。)
そうして青年はとある組織にやってきた。
「ちょっといいかな、君たち?」
「ぁん?何だテメェ、どっからわいてきやがった?」
「どこから、か。そうだな遠くの場所からとだけ言っておこうか。そんなことより少し頼み事があるのだけれど。」
「…なめてんのか?生憎お前みたいな奴に付き合ってる暇はねえんだ。とっとと失せろ。」
「それは出来ないな。」
「…なら死ね。」
そう言って拳銃を抜き放った組織の構成員らしき男の一人が青年に向って弾丸を発射した。…しかしその弾丸は青年の体に届くことは無かった。いや、正確には届いたのだが青年の体に着弾することは無く、すり抜けていった。
「な、弾丸が…!」
「…頼み事を聞いてくれるかな?」
「・・・」
「まぁ、聞くだけでもいい。君たちは一週間後に日本の茨城でとある取引をするそうだね。」
「な、なぜそれを!?」
「その取引を邪魔しに来る武偵たちがいる。私が頼みたいのはその武偵たちと応戦してほしいということだ。」
「武偵だと!?なぜ奴らがこの取引の情報を知ってやがるんだ…?まさかテメエ!」
「そこはご想像にお任せしよう。ただ、この話は君たちにも悪くないはずだ。元から来るとわかっている君たちのほうが彼ら武偵よりも有利なはずだからね。それから報酬を用意しよう。…そうだなざっと日本円で1億ほどでどうかな?」
「…まぁいいだろう。そもそも邪魔があるとしても取引を中止するつもりは無いからな。」
「それは助かる、感謝するよ。では一週間後、期待しているよ。」
そうして青年はその場から霧のように消えた。
(予定通り事は運びそうだ。それからこの組織の取引だけでなく、僕の生徒たちもあることを画策しているみたいだからね。否応なく結果が出るだろう。…さぁ、見せてもらおうか君が何者なのかを!九重裕介!)
裕介たちの知り得ない所でうごめく複数の影…。様々な企みが交錯しようとしている3月8日は直ぐそこまで迫っている。
今回は『あの人』が出てきました!
『あの人』関連の詳しいことを明かすのはまだ先になりそうですが。
また、原作を知らない読者様にとっては少しわかりづらかったかもしれません。
出来るだけ説明を挟むようにはしているのですが・・・
なのでわからない点や不明なことがあれば感想などで聞いてください!
次回は新歓依頼の任務開始です!