緋弾のアリア -Knowledge is power- 作:ピュアドライバー
「おらおら、どうしたんや九重!もっと打ち込んでこいや!」
「っ…!言われなくても!!おらぁぁ!!」
「…そんなんじゃ全然あかんわ。そっちがそんなチンタラした攻撃ならこっちからいかせてもらうでぇ!」
「くっ…!」
やばい!一撃が重すぎて耐えられねぇ…!
「…ふぅ、ここまでや。今のでアタシが本気出してたらお前、合計10回は死んどるでぇ。」
「認めたくないけどそうみたいっすね…。」
今日は新歓依頼がとうとう明日にまで迫った3月7日。俺は午後の専門科履修の時間にアサルトで蘭豹に剣の稽古をしてもらっていた。といってもその内容は傍から見れば蘭豹が生徒に暴力を振るってるようにしか見えないかもしれないが。
「ええか、まずお前は攻撃するんも防御するんもとにかくワンテンポ遅いんや。その遅さが命取りになるでぇ。」
けど、悔しいが蘭豹の言ってることは正しい。俺はまだまだ動きが遅いんだ。明日いよいよ本番だってのに…。もっと気合い入れてかねえと!
「すいません!もう一回お願いします!」
「気合入ってるんはええけどやり過ぎもあんまし良くないでぇ。…ま、そういうがむしゃらなんは嫌いでもないけど。ええ、もう一回付きおうたるわ!その代わりこの一発で決めろや!」
「はいっ!—————」
「—————結局、最後もアタシに一発も決めれずかいな。けどまぁ、最後のは少しは惜しかったかもなぁ。…明日は新歓依頼当日やろ?もう帰って休んどけや。」
「はぁはぁ・・・。ありがとうございました。」
「まぁ、せいぜい死なんようにな。」
「はい。では、失礼します。」
ふぅ、今日も疲れたぜ。明日は新歓依頼だからな、さっさと寮に帰って休まねぇと。
ピロリロ、ピロリロ、ピロリロ・・・・・
ん、何だメールか?…あややから?
『やぁ九重君。あややですのだ!この前から預からせてもらっていたSIGと時雨のメンテナンスやらが終わったから帰りに
頼んでたメンテナンスがようやく終わったみたいだな。じゃ、取りに行くか。
ってことでアムドの工房にやってきた。
「ええっと、ここだよな?…失礼しまーす。」
「お、来たのだ!九重くーん、こっちなのだ!」
「あやや!受け取りに来たぜ。で、SIGと時雨ははどんな感じの仕上がりなんだ?」
「ふっふっふ…。まぁ見てのお楽しみなのだ。とりあえずこっちに来るのだ。」
そしてあややに連れられてアムドに併設されている射撃場なんかもある部屋に行った。
「じゃあお披露目なのだ!まずはSIGから。SIGは元々最新モデルで性能も良いから改造はせずに調整だけしておいたのだ。一応試し撃ちをしてみて欲しいのだ。」
「わかった。」
ドン、ドン、ドン・・・・・
「うん、特に問題は無さそうだぞ。」
「それは良かったのだ!…それじゃあお待ちかねの生まれ変わった時雨改なのだ!」
「おぉ!なんか見たことないトリガー?みたいなのがついてるぞ。」
「まさしくそれが時雨改の改たる所以なのだ!そのトリガーが何なのかというと—————」
「—————なっ!そんなことが出来るのか!?」
「もちろん!この天才あややにかかれば出来ないことなどないですのだ!それじゃ、試しに素振りをしてみるのだ。」
「おう!・・・・・これはスゲぇ…。今までとは全然違う武器みたいだ。スゲぇよ、あやや!!」
「いやー、照れるのだ。あ、それからお金は今回は初回サービスということでいらないですのだ。」
「マジか!それは助かるぜ!」
「その代わり明日の新歓依頼を成功させて無事でみんなで帰ってきて欲しいですのだ!」
「おう!任せとけ!成功させてさっさと帰ってくるぜ。」
「うん、楽しみに待ってるのだ!」
そうしてあややと別れて寮に帰ってきた。キンジもちょうど同じころ帰って来たので適当に寮の近くのコンビニで弁当を買ってきて食べて、明日に備えて直ぐに床に就いた。
そして翌朝。今回の任務の現地である茨城県土浦に早めに入って準備をするとのことで、武偵高の
ちなみにそのキンジはというと、リーダーが遅刻するわけにはいかないとか言って1時間も前に行ってしまった。何だかんだいってしっかりリーダーやってんじゃねぇか。
というわけでいつも通り武偵高まで一人で自転車を漕いでいると・・・
バンッ!
おわっ!…ビックリしたー。なんか聞き慣れてる音だったような…。
ってあれ?自転車の後輪がパンクしてるぞ。しかも中から空気が抜けてるとかじゃなくて派手に破裂しちゃってるよ。まさか!さっきの音とこのパンク…。銃弾が当たったのか?
ブルルル、ブルルル、ブルルル・・・・・
なんだ、こんな時に電話か?
「はい、九重です。」
「今カラ言ウ通リにシロ。サモナイトオ前ノ命ハ無イ。」
ん?何だ、機械音?いたずら電話か?
「お前誰だ?こちとら暇じゃねぇんだ。いたずら電話なら切るぞ。」
「アマリ騒グナ。」
「何言ってんだ?もう切るからな!」
ドンッ!
え?今のも銃声…だよな。っていうか銃痕が足元にくっきりついてるじゃねえか!
「騒グナト言ッタハズダ。次ハナイゾ。」
次はない?もしかして俺目がけて発砲してるのとこの電話の主は同一なのか…?だとしたら今は下手に抵抗しないほうがよさそうだな。
「…あぁ、わかった。で、用件は何だ?」
「今カラ誰二モ知ラセズニ横浜ヘ行ケ。話ハソレカラダ。」
「横浜?っておい!…切れてるし。」
なぜ横浜?そしてなぜこのタイミングなんだ?どうにも引っかかるな…。ただ、自転車のパンク、足元に放たれた銃弾、それから今の電話。恐らく俺が標的にされてるっぽいな。何でかはわからないけど。ただ、そういうことだととりあえずは相手に従うしか無さそうだな。
キンジ達には理由は話せないが先に茨城に行ってもらうしかないな。メールを入れておくか。
そうして裕介は電話の主の言う通りに横浜へと向った。
一方そのころキンジ達は・・・・・
ったく、もう8:30だぞ。武藤と九重以外は時間通りに集まったってのに…。あいつら何やってんだ?
「はぁはぁ、すまん!遅れちまった。来る途中で腰の悪そうなおばあちゃんに道を聞かれちまってよ。しょうがねぇから送ってやってたんだ。」
「…武藤。ばればれな嘘は吐くな。お前のその明らかに寝癖がついた髪がすべてを物語っているぞ。」
「…ばれてましたか。ってあれ?1,2,3,・・・あややと中空知さんは東京からの支援になるから行かないのは知ってるが、九重は強襲組だよな?なんでいないんだ?」
「あぁ、来るはずなんだがまだ来てないんだ。俺が部屋を出た時には起きていたから寝坊ではないはずなんだが…。…ん、メール?九重からか?」
『悪いキンジ!詳しくは話せないんだが、どうしても今そっちに行けない状況なんだ。だから茨城には先に向ってくれ。必ず任務の実行までには合流するから!』
「遠山君、九重君は何て?」
「どうしても今そっちに行けないから先に行ってくれ、だそうだ。ただ任務までには合流すると書いてある。」
「このまま予定通り待つか、それとも彼の言葉を信じて先に行くか…どうするのですか?キンジさん。」
「本来は待つべきだが、これ以上の遅れは作戦に支障をきたしかねない。だからひとまず九重抜きで行こう。…あいつのことだ、必ず後から合流してくるさ。というわけで武藤。早速だが茨城まで運転任せたぞ。」
「オーケーだぜ、キンジ。遅刻の分はきっちり取り返すぜ!」
そうして裕介抜きの強襲組+武藤の4人は現地である茨城県土浦へと向った。
* * * * *
『どういう事情かはわからんが、任務までには間に合わせてくれ。…あと、無茶だけはするなよ。』
どうやらキンジたちは向ってくれたっぽいな。んじゃ、俺も任務開始までには何とかしねえとな!
一応、さっきの謎の電話の言う通り横浜にやっては来たが…。…電話だ。
「横浜ニ着イタヨウダナ。デハ、次二ランドマークタワーヘト向ッテモラウ。」
「ランドマークタワーだと?一体俺に何をさせたいんだ?」
「…知リタケレバ言ウトオリニスルコトダ。」
プー、プー、プー・・・・・
また一方的に切られた。しかし横浜に着いてすぐに電話がかかってくるとは…。どうやって俺の動きを把握しているんだ?
そしてその後指示通りにランドマークタワー入口前までやってきた。すると、またしても着いた途端に電話がかかってきた。
「着イタヨウダナ。デハ、次ハ中華街ダ。」
「なっ?中華街だと?目的地はランドマークタワーじゃなかったのか!?」
「モウ一度言ウ、次ハ中華街ダ。」
何だ?何が目的なんだ?このまま指示に従い続けても時間が消費するだけで埒があかなそうだ…。そもそももしかするとこいつの狙いはただ俺の行動を制限して時間を稼ぐことなんじゃないか?だとすると余計に従えば従うほど相手の思うツボだ。何か打開策を見つけなくては…。
…最初俺が自転車をパンクさせられた時、あの時は相手の意にそぐわない行動をしたときは足元に威嚇射撃されて従うしかなかった。だが今なら、この人ごみの中なら…。俺を狙える位置に居たとしても撃てないんじゃないか?…危ない賭けではあるが試してみるしかないな。このまま一目散に走ってタワーの中まで入るんだ…!
「ドコへ行ク。タワーノ中ヘハ入ルナ。・・・聞コエナイノカ。タワーニハ入ルナ。」
よし、あと5メートル…!
ドンッ!
なに…!?
「モウ一度言ウ。タワー二入ルナ。」
クソッ!どこから狙っていやがるんだ!?それにこんな人混みの中でも正確に撃ってきた…相当な腕だな。マズいな、これで万策尽きたぞ…。
その後中華街に行きそこでも案の定電話がきて、別の場所に行くように指示された。それを繰り返すこと17回目。時刻は19:00を回った。
マズい、この足止めはいつまで続くんだ…。・・・また電話か。
「クソッ!どうせまた次の場所ってんだろ?お前の狙いはな・・・」
「裕介!俺だ、近江茂人だ!」
「え?茂兄?」
「今お前がどういう状況なのかはわかっている。お前を足止めしている奴らは俺に任せろ。だからお前は早く茨城へ迎え!仲間が危ないかもしれない!」
「俺の状況を知ってるってどういうことだよ!?それに仲間が危ないって…?」
「あまり時間が無いから手短に話すが、今回お前たちが遂行する予定の依頼だが、その情報がどこかから漏れていた可能性があるんだ。もし何らかの手段でその情報が任務の標的である組織に伝わっていた場合、お前の仲間たちは返り討ちになるかもしれない。だからこっちは俺に任せてお前は早く仲間の元へと行け!」
「でも、俺が奴の指示以外の行動をすれば狙撃が…。」
「俺を信じろ!」
「…わかった。」
茂兄がどうやって奴を止めるのかわからないが、茂兄を信じて行こう!
今は・・・19:20か。ここから直接バイクとかならなんとか間に合うか…。とりあえず武偵高に指示を仰ごう。
「もしもし、九重だ。緊急の用件が・・・」
「九重さん、話は聞いています。」
この声は中空知さん?何かいつもと雰囲気が違うような…。
「今は一刻を争います、九重さんの現在地はこちらでも把握していますが…その位置なら神奈川武偵高が近いです。話は通しておくので、そこでバイクに乗り直接現場に急行してください。」
「あぁ!わかった!—————」
—————神奈川武偵高、ここだな!
「東京武偵高の九重だ!」
「話は聞いている。これを使ってくれ!」
これは…!ホンダのブラックバードじゃねえか!あんましバイクに詳しくない俺でも知ってる世界でもかなり速いバイクだ。これなら間に合うかもしれねえ!
「あぁ!サンキュー!」
よし、待ってろよみんな!何とか間に合ってくれ!!
そうして裕介は茨城へと向かった。
<side・?>
はぁ、まったく
「はぁい!
「やっと終わりあるか。それにしても味気ない仕事だったネ。ヒヒッ、いっそのこと事故死ってことにして殺っちゃうかネ。」
「…!待って、標的がいきなり走り出した!」
「…言ってるそばからネ。でもこれで心置き無く殺っちゃえるネ!それじゃあ、さよならネ!九重裕介!」
「一の型、
「クッ!誰あるネ!?」
「武偵局所属の近江茂人だ。お前を殺人未遂で逮捕する。」
「ヒヒッ!逮捕?それ無理あるヨ。お前なんてその気になれば一瞬で殺せるある。けど今は気分が乗らないネ。
「クソッ!煙玉か!待て!ゲホッ、ゲホッ…。・・・逃げたか。…あれは、携帯?まだどこかに繋がってるな。」
「フフッ、モウ手遅レダ。」
「お前らは一体何が目的何だ!?組織ぐるみなのか!?」
「イズレ知ル時モ来ルダロウ。デハ、マタイツカ会ウ日マデ。」
「…切れたか。舐めやがって!だが今はそれどころではない…。俺も裕介の後を追わねば。俺が行くまで何とか持ちこたえてろよ…!」
<side・? 終>
次回、時雨改の力解放です!