【完結】逆転ヤンデレ変身ヒロインと洗脳闇堕ち復帰済みサド改造人間の勘違いドッカンバトルon地球空洞説ファンタジーSF異世界インモラルラブコメ 作:所羅門ヒトリモン
この世界の女性にとって、おっぱいはおチンチンなのかもしれない。
ミストレス・ガイナへの『お仕置』を終えた俺は、ふとそう思った。
おっぱい≒おチンチン
そんな推測が、絶賛俺のなかで急上昇トレンド入り。
クロエとSMプレイしていた時もちょっとだけ思ってはいたが、なんかこの世界の女の子って、おっぱい触られただけで感じ過ぎてないか?
いや、サンプルがクロエとミストレス・ガイナの二人だけなので、主語が大きすぎる過言かもしれないけれど。
あの後、ミストレス・ガイナにクロエを狙われて、ついうっかりムカッとしてしまった俺は、感情のままに極夜渦を出現させてしまった。
ミッドヴィンターメルカーのチカラで、T-REX怪獣もろとも、ガイアフォトン・ドラゴンブレスを消滅させて。
唖然として固まっていた軍服爆乳を、「こら!」てな感じで掻っ攫ったら、そのまま怒り心頭で説教タイム。
旧防衛軍基地跡地の近くにあった山小屋で、思わず変身も解除して、人道と倫理について懇々と語る一晩を明かしてしまった。
(なんだけど……)
途中からなんか、ミストレス・ガイナの様子が妙に艶っぽくなって……
──ひぐっ、ひぐっ、だってぇ、わたくしだって、寂しかったんですものぉ……!
──あなたと幸せな家族になりたかったんですわ……!
──うぅぅ、うぅぅ……!
大の大人が半べそになって謝るその姿に、嗜虐心を刺激され、気がついた時には!
(ハグした時に妄想したアレコレを、実際にやってしまっていた!)
ついでに目隠しオプションもつけた!
その結果どうなったかというと、ミストレス・ガイナ──いや、『ティファナ』は、マゾの扉を開いたみたいだった。
おっぱいモミモミ、おっぱいコネコネ、おっぱいチュウチュウ。
我ながら今後どうすんだよとノープランの見切り発車で、インモラルな遊びに耽溺してしまって。
「サトルくん♥ おはよう♥ 今日はぁ、わたくしぃ、何をして差し上げればイイですかぁ?」
「……ドスケベ女め」
「あふっ♥」
山小屋で迎えた朝。
すっかり出来上がってしまった爆イケ美女からのラブラブ光線に、俺は非常にマズイものを感じていた。
あー、あー、あー。
ヤッバイね、これ?
疾うの昔にドロップアウト済みとはいえ、元はアステリア王国でエリートなキャリアウーマンだった金髪美女が、自分の手でマゾメスに変わって語尾にハートマークつけてる。
なんならエッチなお仕置を期待した目でチラチラ見てくる。
(サド冥利につきるわ! こんなの!)
おっぱい≒おチンチンの可能性が高いためか、胸を攻めるとやたら悶えて喘いでくれるし、このままではR-18の官能小説みたいな展開になってしまう。
いけない。俺はあくまで、正統派金髪巨乳美少女幼馴染の白星クロエが、再び変身ヒロイン活動をできるように一芝居を打ちたかっただけなのに。
むにっ、むにっ、むにっ!
後頭部に押し付けられる爆乳。
両腕が兵器化しているせいだろう。
手が使えない分、ティファナは昨夜もおっぱいで〝懸命〟だった。
さては味をしめたのかもしれない。
高身長デカパイ女からの挑発に、朝から血圧が上がって血管がバキバキである。
なお、男女逆転して考えると、コイツいま人の頭にチンコ押し付けて来てるんだよな? は? なにそれ? キレそう……
「──おい。離れろ」
「! お仕置ですわね!?」
「……」
正座で跪いて、途端に呼吸を荒くするお嬢様口調のおっぱい。
とりあえず無視し、山小屋の中で一番離れた位置に移動しながら、どうするかなぁ……と今後の計画について考える。
おっぱいは驚いた顔で「ほ、放置!?」と勝手に慄いているが、そろそろ頭ピンクにしてないでちゃんと現実に向き合わないと、実際問題かなり困った状況である。
(俺、何やってるんだろう?)
ぶっちゃけた話、昨日の時点でクロエの元に戻っていれば、そのままプラン完了してたんじゃないか?
クロエを助けるために怪獣も消滅させちゃったし、極夜渦のせいで治安維持管制室の目は届かなかったかもしれないが、俺がミストレス・ガイナに反旗を翻したのは状況証拠的に判断可能だろう。
拘束されていたとはいえ、クロエも意識自体は回復状態だったはずだし、俺があの場で「思い……出した!」してれば、事態はすべて丸く収まっていた気がする。
(くっそー。そうしたら、今頃は幸せなキスをしてハッピーエンドだったじゃんね?)
何やってんだよ俺ェ!
あの場から二人で行方をくらましてしまったコトで、今頃、クロエたちが俺をどう考えているかが分からなくなってしまった。
操られていると思ってくれているなら良いが、実は最初から自我がハッキリしていて、全部演技だったってバレてたらどうしよう!?
元々頭の悪い計画だったものの、ガバガバすぎてこっからどうしたらいいのか、てんで分からないや。
第一、
ミストレス・ガイナを現状、マゾメスとして手懐けてしまった現在。
怒りのあまりに変身状態も解除して、めちゃくちゃ喋ってる姿も晒してしまったし、ティファナを治安維持管制室に突き出すと、連られて俺の罪状も明らかになって超絶マズイ。
可及的速やかなプランの修正と是正をしなければ。
千里眼による捜索と監視は、この山にいる限りは無いものと思って安心していい。
(極夜の〈
中学二年だったら、間違いなく中二病再発してた。
とはいえ、おかげでこの辺りに潜伏している限り、ファンタジーな方法による追跡からは逃れられる。
時間を稼げる内に、新しいプランを考えねば……ってか。
「なあ、組織の幹部連中って、いま何処にいるんだ?」
「え?」
「ティファナ昨日、ショゴスみたいな触手系のモンスターに襲われてたけど、もしかして仲間割れでもしてるのかよ?」
「……? サトルくん、ひょっとして今の組織がどうなっているか、何も知らないんですの?」
ティファナは怪訝な顔つきになって、逆質問してきた。
否定するのも面倒くさいので、素直に頷く。
「そうだよ。ぶっちゃけ俺、組織について何も知らない」
「え、でも、昨日はたしかフェーズ2とかおっしゃって、何やら計画に従って動いている様子でしたわよ……?」
「──そ、それは組織とは関係ない」
「そうなんですの? ……わたくし、てっきり組織の誰かがサトルくんを使って、わたくしに恩でも売りに来たのかと思っていましたわ」
「残念だが、それは違う」
「……となると、マスター権限って誰が握っているのかしら……見つけ出して奪わないといけませんわね!」
ヤンデレマゾがニコニコしながら、非常に不穏な空気を醸し出して来た。
(マスター権限、マスター権限……)
俺思うんだけど、それってたぶんとっくに壊れてるんじゃねーかなぁ?
じゃなきゃこうして、自我があるワケないはずだし。
見つけ出して奪っても? 意味は無い無用な長物な気がする。
「でも、そうか。マスター権限を持ってるヤツって線があったな……!」
「?」
ミストレス・ガイナを黒幕として据える作戦が失敗。
もとい破綻した今、ここは〝真の黒幕〟を擁立する方向性にシフトしていくしかあるまい。
制御鍵である極夜の星剣にマスター権限を持つヤツなら、ミッドヴィンターメルカーが再覚醒した理由付けにも丁度いいし、むしろどうしてコレを最初に思いつかなかったんだ? 俺ってばやっぱりヌケサクだな!
(よし。そうと決まれば──)
ティファナを襲っていた魔界の悪魔の召喚者。
そいつから糸を辿って、真の黒幕探しを始めるとしよう。
何なら、別にマスター権限を持っていなくても、クロエたちの前で
「おい。アンタを襲ったデーモンどもの主人だが、探し出してぶっ飛ばしにいくぞ」
「……え!? いいんですの!?」
やりましたわ! 勝ち確ですわ!
ティファナは「キャー!」とご機嫌な顔で山小屋内をスキップした。
「でしたら、こうしてはいられませんわね!? にっくき触手趣味の鬼畜眼鏡に、正義の鉄槌を下しにまいりましょう!」
「お、おう」
爆乳がバルンバルン揺れながらドアを開けた。
その瞬間、
「ミ°」
「ティファナ!?」
爆乳はドアの向こうから叩き込まれたボディブローに、反対の壁まで吹っ飛ばされた。
呼びかけに応答は無い。
し、死んでる……(たぶん気絶してるだけ)
が、唐突な
ドアの向こうには、
「フシュゥゥ……」
(──あ、終わった)
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!
怒りのオーラをまとった我が麗しの星。
白星クロエが、拳から白煙をくゆらせつつ立っていた。
耳には黒色のコードイヤホン。
たぶんだが盗聴器。
ハイライトの消えた緑色の瞳が、ブリキ人形みたいにこちらを睨んだ。
もう片方の手には、包丁が握られている。oh……
(やはりヤンデレといえば包丁。包丁といえばヤンデレなんですね?)
そういう日常の延長線上にある物騒なもの取り出されると、怖くて蛇に睨まれたカエルみたいに動けないや。
悲しいお知らせです。
どうやら、丸木戸サトルの人生はこれにて終わりのようです。
サドでもヤンデレには勝てない。自明の理でしたね?
ハイ。てなワケで、それでは皆さんさようなら!
来世でまた会いましょう。南無!
俺は裁きの時が来るのを目をつぶって待った。
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──
しかしながら、白星クロエの胸中にあったのは、嫉妬心から来る狂愛などではなかった。
丸木戸サトルが極夜の〈
一年間にわたって戦いを続け、最前線でその脅威と向き合って来たミッドナイトサンにとって、あらかじめ対抗策を用立てておくのは当然の話。
魔法に頼るのが当たり前のホロウ・アース人とは違って、クロエは地上の世界を知っている。
魔法が使えなくなり、白夜の〈
広大無変なホロウ・アースで、二度と見失わないと誓った幼馴染をまた見失ってしまう。
ならば、魔法に頼らない追跡のやり方。
盗聴器。
発信機。
仕込んでおくのは当然で、心音だって常時録音している。
その結果、たとえどんな真実が白日のもとに晒されようとも、クロエには究極、ただ少年の無事だけが分かっていればそれで良かった。
もちろん、ショックは大きかったし、心は千々に乱れて張り裂けている。
──私が先に好きだったのに。
──私の幼馴染のサトルなのに。
私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の私の恋。
誰かに盗られるなんて我慢できない。
少年が他の女のカラダと肌を重ねているとか、想像しただけで脳が破壊される。
それでも。
(守れなかったのは、私、ですから……敵にみすみすサトルを奪わせてしまったのも、すべて私の驕りと慢心のせい……!)
誰が悪かったのか? と話をすれば。
それは少年の近くで、最も長く傍にいた自分。
丸木戸サトルがあの日、地上から姿を消して極夜の〈
ホロウ・アースの罪なき人々に、恐怖と厄災を振り撒く悪魔のごとき事件を起こしまくったのも。
すべては白星クロエが、少年を危険な世界に引き摺り込んでしまったから。
好きになった男の子に、いつまでも自分の傍にいて欲しいだなんて、そんなワガママを続けて。
本当は地上とホロウ・アースで、住む世界さえ別にするべきだったのに、ついてきて欲しいなんて願望さえ口にして。
強い自分なら何でもできる。
危険な敵が現れても、いつだって彼を守ってあげられる。
──かんばれ、がんばれ。
──負けるな、ミッドナイトサン!
──やった、今回も勝ったなクロエ!
応援も声援も。
彼のものだけは特別で。
あの笑顔が見たくなるから、いつも戦場から帰らせるコトができなかった。
危険だからと忠告はしても、頑なに留まろうとするサトルに、いつからか〝かっこいいところを見せてあげたい〟って気持ちも膨らんで。
なんて、愚かだったのか。
クロエは思い上がり者だ。
だから、決定的なミスを犯すまで、気づきさえしなかった。
自分は最強で無敵の完璧な主人公なんかではない。
これまではたまたま、運が良かっただけで、世界は常に残酷なアギトを開け、愚者の失敗を待ちわびている。
だから、
「な、なにも……なにも理解できていませんけど……っ」
愛する少年が自我を取り戻していて、何の怪我もしていないなら、クロエはそれでいい。それでいいはずなのだ。
ミストレス・ガイナと両想いで、やがて結婚するのかもしれなくても、丸木戸サトルが幸せならば、喜んで身を引く。
いいや、引かなければならない。
「フゥゥゥ、フゥゥゥ……!」
気を抜くと包丁が暴れ出しそうになるが。
クロエはゾッと青ざめた様子の幼馴染に、でも、これだけはと質問した。
「ね、ねぇ、サトル? もし、もしも私が──今から貴方に告白して、『好き』だって言ったら……そこのミストレス・ガイナと比べて、どっちが一緒に幸せになれると思いますか?」
どんな答えが返って来ようとも、クロエは受け入れる覚悟だった。
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──
「ね、ねぇ、サトル? もし、もしも私が──今から貴方に告白して、『好き』だって言ったら……そこのミストレス・ガイナと比べて、どっちが一緒に幸せになれると思いますか?」
「クロエに決まってる」
包丁を突きつけられ、命の危険を感じていた俺は、目蓋を開くと即座にそう回答していた。
クロエは次第に目を見開き、うるうると涙を湛えながら、包丁の切っ先を震わせる。
予定とはまったく違うが、失敗は許されない。
俺は今この瞬間がフェーズ6の時だと悟った。
「! ほ、ほんとう、ですか……?」
「当たり前だろ? 俺もクロエが好きだよ」
さりげなく近づきながら、手を握って包丁の回収を試みる。
「で、でも!」
「ッ」
「私、聞いちゃいました。サトル、ミストレス・ガイナと昨夜……ていうか、一晩中ずっと! イ、イチャイチャ……してましたよね……?」
「──あんなの演技だよ。敵を騙すため、仕方なくさ」
危うく指を切られそうになったのを、慎重に躱しながら、再度接近して包丁の回収を試みる。
対象は精神的にひどく不安定であるため、決して興奮させてはいけない。
どうどう、どうどう。
スパダリASMRを意識した低音ボイスで話しかける。
「クロエが一番だ。不安にさせてごめんな? でも、信じてくれ。俺が好きなのはクロエだよ。これまでも、これからも、ずっとクロエが大好きだ」
「…………じゃ、じゃあ!」
「ッ」
「さっきまでの会話は!?」
「か、会話、って……?」
「サトル……ミストレス・ガイナと、さっきまでなんか楽しそうに話してましたよね……大の大人が、スキップなんかして、あんな風にはしゃぐなんて、バカみたいですし! 絶対に普通の仲じゃありえないと思います!」
「ッッッ」
対象の精神に危険な兆候を確認。
包丁の刃がギラギラと光る。
メーデー! メーデー!
至急、状況の打開策を実行されたし!
焦った俺は、思い切ってクロエの前で両腕を広げた。
「信じられないのも、無理はないよな……」
「ぁ」
「クロエがどうしても俺を許せないなら、その包丁で刺してくれてもいい」
──頼む。絶対に刺さないでくれ……!
「! そ、そんなコト、できるワケ……!」
「じゃあ! 代わりにこんなのはどうだ?!」
「ぇ? あっ、サトル──!?」
バッ! と飛びつき、俺は勢いよくクロエを床に押し倒した。
クロエは抵抗し、暴れ、逃げようとするが、
「なっ、ダメですよサトル……ッ、こういうのは、本当に好きな人とやらないと……!」
「──だから、俺はオマエが好きだって言ってるだろ! うるさい口だな! 黙って塞がれてろ!」
「ン──!?」
クロエはしかし、それでもなお首をよじって逃げ回り、しばらくのあいだ、キスのイタチごっこが山中で繰り広げられた。
俺は諦めず「愛してる」「好きだ」「可愛い」「キスしよう」と繰り返し呟き、恥ずかしさからいいかげん頭の中がグチャグチャして来た頃、
「──ちゅ、ン、もっとっ」
「!?」
「もっと、シて──!」
「……!」
炎が燃え上がった。
熱く、熱く、互いの唇を求め合い、カラダを重ねて絡ませて。
背中に手を回し、爪の痕が残るほど強く抱き締め合って。
この上のない愛を誓う。
「はぁ、はぁ……クロエ」
「はぁ、はぁ……サトル」
「「愛してる」」
二人は幸せなキスをして、物語はそこで終了だった。
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後日談の話をしよう。
まず、今回の騒動についてどういう決着が着けられたかというと、〝真の黒幕〟をやっつけて収拾をつけた。
「お、おのれミストレス・ガイナ! ミッドナイトサン! ミッドヴィンターメルカー!
よくも、よくも……我が覇道の邪魔をおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!」
触手魔導師ウォーロック・テンタクル。
魔界の悪魔を召喚する鬼畜眼鏡な銀髪イケメン怪人だったが、俺とクロエとついでにティファナの三人で、隠れ家ごと破壊してヤツを退治した。
「オーッホッホッホッ! わたくしを始末しようとした愚か者に、報いをくれてやりましたわ! オーッホッホッホッ!」
「戦ったの、ほぼ俺とクロエだけどなー」
「これぞ、尊い友情の勝利ですわね……!?」
「──あまり、調子に乗らないでください」
「ハイ」
てな顛末で、勝利は余裕で。
ストーリーはこういうふうに整理した。
①ミストレス・ガイナは元々、丸木戸サトルの改造に反対だった。
②組織の崩壊後、改造の主導派だったウォーロック・テンタクルから、ミストレス・ガイナは『マスター権限』を奪って逃亡していた。
③アステリア王国の旧防衛軍基地跡地で、追い詰められたミストレス・ガイナは断腸の思いでマスター権限を使用。
④極夜の〈
⑤ウォーロック・テンタクルの魔の手から無事助け出されたミストレス・ガイナだったが、マスター権限は故障していた。
⑥制御不能になったミッドヴィンターメルカーはミッドナイトサンと交戦し、この時はまだ敵対関係だったミストレス・ガイナも参戦。
⑦しかし、丸木戸サトルは愛する幼馴染の窮地に、不完全ながらも自我を取り戻し、ミストレス・ガイナとT-REX βドラゴンを攻撃&追撃。
⑧負傷したミストレス・ガイナは山中に逃げ延びる途中で、機を見計らっていたウォーロック・テンタクルに襲われてしまいマスター権限を奪取される。
だが、このとき咄嗟の判断でミッドヴィンターメルカーに、スリープモードを命令。
⑨山小屋で息を潜めていた俺とミストレス・ガイナだったが、白星クロエによる地道な捜索活動によって発見され、ここではじめて事件の真相が明らかになる。
⑩諸悪の根源はウォーロック・テンタクルだと分かった二人は、かつての敵同士ながらも一時的に協力関係を結び、奪われたマスター権限を取り戻すべく、ウォーロック・テンタクルの隠れ家を見つけ出して襲撃した。
(んで、戦いの途中、無事にマスター権限を破壊して、完璧に自我を取り戻した俺も加勢して)
真の黒幕は斯くして滅び、世界には再び平和が訪れた。
めでたしめでたし。
(……いやぁ、終わり良ければすべて良しとは昔からよく言われるが、なんともひどい辻褄合わせの捏造だよなぁ……)
哀れなウォーロック・テンタクルは、最後まで理不尽に対しキレ散らかしていたし、でも、誘拐監禁人身売買とクソ野郎な悪人だったから、特に同情とかはなく有無を言わさずやっつけられた。
俺とクロエを同時に相手したんだ。その心中は察するに余りにもあまりあった。
(貴重な触手枠だったけど、ガチクズ悪党はNGだよなー)
今回の件によって情状酌量の余地を認められたミストレス・ガイナ──ティファナと違って、ウォーロック・テンタクルには一切の情けが必要なく。
治安維持管制室のオンドゥール室長からも、きっと司法取引なんか持ち掛けられさえしなかっただろう。
ティファナは減刑された。
ちゃっかり取引に応じやがった。
今後は治安維持管制室で、危険な任務に優先動員されるコトを条件に、俺たちと一緒に働いていく『同僚』の立場に収まったそうだ。
(あの目は未だ、虎視眈々と俺を狙っている……)
悪い気はしないのが、地味に困った話だった。
もっとも──
「──緊急警報! 緊急警報!」
「組織残党の怪人たちが、ポータルへ侵入!」
「地上への逃亡と、征服活動に乗り出したものと思われます!」
「警備隊は何をやっていた!?」
「それが……警備隊員全騎、裏切った模様です!」
「な、なんだと!?」
「ッ、追加報告! ホロウ・アース
「ええいッ、今度はなんだ!?」
「ふ、二つ目のポータル出現します!」
「な、なにィ!?」
「あら。アレは何ですの?」
『──我はアルファの双子にして対の運命、オメガ。惑星地球の秩序を乱す我が弟の罪、この世界の滅亡によって無かったコトにしよう』
「グッ、かハッ──!」
「室長ーーッ!」
オンドゥール・ラギタデスカが胃痛に卒倒した。
そんななか、治安維持管制室からは一騎の〈
白と青のバトル・アーマー・ドレスに、黄金のドラゴンマスク。
優美にして流麗なる滑らかな曲線の騎士。
プラチナの直剣を片手に、空高く音遠く飛翔するのは、最強の名をほしいままにする伝説の〈
「──魔法式『
我は遍く闇を晴らす祝聖の星。
星光を廻す白夜の〈
ああ、輝く星が宙にて煌めく。
あれなるは無辜の民に希望を与え、どんな艱難辛苦が立ちはだかろうと、絶対に膝を屈さない少女の姿をした星。
地上でも、ホロウ・アースでも、どちらの世界でも最も尊く美しい、我が麗しのエトワール。
「ああ、そうだ」
『極夜』が対文明のデストロイヤーであるならば。
『白夜』は文明の守護者にしてインフィニティホープ。
沈まぬ恒星。
終わらない星明かり。
白夜が意味するモノとはそれすなわち、無尽のアステライト。
さあ、闇を斬り払い、如何なる絶望をも鏖殺する正義の騎士が征くぞッ!
白金の燃える星剣に、無尽の希望を湛えて。
「行けー! クロエ!」
可愛くてカッコイイ、俺の最高の変身ヒロイン。
一番星への愛情は、やっぱり他の何にも代えられない。
Fin.
完結です。
思いつきのネタでしたが、想像以上の反響を得られて嬉しかったです。
助太刀と拝読、ありがとうございました。