「ぐぇ〜」
開始早々で大洗学園に敗退し、視聴者のみんなにやられた姿を見せたかませ犬。それがこの私、アンチョビ。
凛「で、そのドゥーチェことアンチョビが何しに来たの?」
あ、「ドゥーチェ」とは私のことだ。確かイタリア語で「総統」とかって意味だったかな。私は仲間たちからそう呼ばれている。
アンチョビ「いや、あの、その…。私の高校、アンツィオ高校というのですが…。戦車道の強豪校なのに、活躍シーンがまったく描かれてないんですよ」
凛「そ、そうなの?結構激アツの試合とは聞いていたけど…」
アンチョビ「それでその、みんなもっと私のこと注目してくれてもいいんじゃないかと…」
メタいことを言うけれど、アンツィオ高校戦はテレビアニメではたった数秒程度しか描かれてない。そのため、私たちがどれぐらいの実力なのか知るファンが少ない。そこで私は、もっと大勢の人に知ってもらいたいと思いバーチャルシンガーの事務所に来た。
アンチョビ「あの、あなたが鏡音リンちゃんですか?」
凛「渋谷です、渋谷 凛です。いまうちの事務所に所属しているタレントで手が空いてるのは私だけなんですよ」
アンチョビ「ああ、そうなんだ。みんな忙しいものね」
凛「あ、私以外で手の空いている人がいた。プロジェクトセカイ最強生物のMEIKO先輩が…」
アンチョビ「結構です!!」
あんなパンチ一発で大男を殴り飛ばすヤバい人が力を貸してくれたら、私のほうもどうにかなっちゃいそうだよ。
凛「てかもっと注目されたいの?だったら踊ってみた動画とかはどう?」
お、具体的な方法。そうだよ、こういうアイデアを待っていたんだよ。
凛「あのみぽりんが踊ってたやつ」
アンチョビ「えっ、それはちょっと…」
あれは「あんこう踊り」だっけ?あれをやる度胸と勇気がいまのアンチョビには無いのだけど…。
凛「残念ながら、いまの私では力になれそうにないですね」
アンチョビ「そうですね」
凛「いや、そこはハッキリと言わなくても…」
どうもあまりいいアイデアは期待できそうに無いようだ。自分でなんとかすると言ったって、私には戦車道と統率力しかないからな…。
凛「いや、そもそもそんな戦車が好きならさ…。戦車を題材になにかすればいいんじゃない?」
アンチョビ「えっ、どうやって?」
〜いつもの採石場〜
アンチョビ「て〜!!」
ドン ドン キュルキュル
思いっきりぶっ放して、爆発させて、戦車を動かす!……なんてPVを制作した。自分でいうのもアレだけど、大迫力だ!ただ…。
アンチョビ「さ〜て、高評価はきてるかな?」
「爆発量がうんぬんかんぬん」
「この機体ではなんたらかんたら」
一部のマニアックな方からご指摘のコメントがあった。一般の方に戦車道のすごさを理解してもらおうとして、ちょっと編集を加えたのが少しまずかったかな…。
「本当に戦車がお好きなんですね。熱意が伝わります。 アンツィオ高校の強敵(とも)より」
アンチョビ「あ、ひとつだけ高評価きてた」
凛「ところでタイトルの「カタクチイワシ」って、今回の話となんの関係があるの?」
アンチョビ「カタカタイワシの塩漬けを「アンチョビ」って言うらしいよ。だから今回の話は、この私の葛藤」