みぽりん「アンチョビさんが動画を投稿したからコメントしているんですよ。強敵(とも)として」
いまは亡きアイドルの息子、星野(ほしの) アクア。それが俺だ。俺は妹のルビーと共に芸能人として活動している。俺は俳優、そして妹は母と同じアイドルとして。芸能活動をしていると、多くのタレントと共演することがある。今回は、本家のシリアスな雰囲気とは関係ないような女の子たちと共演したときの話である。
星野兄妹「「おはようございます」」
スタッフ「おはようございます」
さて、今回俺たちは少女漫画を原作としたドラマの撮影にすることとなった。俺が憧れの先輩役、妹がヒロイン役だ。
監督「あ〜、おふたりとも。今回は多くクラスメイト役とか呼んだから。仲良くしてあげてね」
ルビー「えっ、初耳なんですけど?」
俺もだ。そして、誰がこの撮影にくるんだ?
監督「あの765プロの…」
ルビー「うそっ!?まさか、あまみ…」
監督「……新人アイドルたちなんだけど、さあ入ってきて」
ガチャ
「765プロ所属の春日 未来(かすが みらい)です」
「最上 静香(もがみ しずか)です」
「伊吹 翼(いぶき つばさ)です」
ああ、やっぱりレジェンドたちではないのか、忙しいものね。でも俺はほんのちょっとだけ期待していたんだよな。
さてこれから撮影だ。まずは俺に対して女子生徒が歓声をあげるシーンからだ。リアルではこんな「キャー」とか言われるような場面なんてまずないだろう。だがこれはドラマだから、そこは大目に見てほしい。
監督「はい、よーいスタート!」
スタスタ
俺は歩きながらあのアイドルたち目を合わせに手を振る。さて彼女たちの演技力は…。
未来「きゃー、先輩ステキー(棒)」
静香「結婚してー(棒)」
アクア「ずけーっ」 ズケー
あまりの大根役者レベルに倒れてしまった、俺が。彼女たちこういう展開は慣れていないのだろうか。
さて次のシーン、ルビーが恋のライバルである翼ちゃんと言い合いになるシーンだ。
監督「はい、よーいスタート!」
翼「あなたも先輩に目をつけているのね!」
ルビー「だ、だからどうしたってんですか」
翼「この泥棒ネコ!おたんこなす!」
ルビー「え、いや、その…」
あまりの低レベルの暴言にルビーは困惑している。いまどきの小学生でも口にしないぞ。
翼「えっと、その、お目々キラキラカラコン娘!」
ブチッ
ルビー「言ったなこのヤロー!!人の気にしていることを!!!」ガシッ
翼「ぎゃー!?」
監督「ちょちょちょ、カットカット!」
いきなり翼ちゃんの胸ぐらを掴み、殴りかかろうとしたルビー。監督が止めていなければ、どうなっていたことやら…。
さて撮影は順調(?)に進み、本日最後のシーン。ルビーが俺に対して想いを伝えるシーンだ。……あくまでドラマの中での話だからな!
アクア「話ってなんだ。こんな校舎裏にまで呼び出して」
ルビー「あの、先輩!ずっと前から」
ぐぅ〜
ルビー「私と…」
ぐぅ〜
ルビー「お付き合い…」
ぐぅ〜
アクア「てかさっきからお腹の音、聞こえてるんだけど!?」
未来「でへへ〜」ぐぅ〜
静香「ちょっと、未来」
翼「でも、女の子のお腹の音とかちょっとかわいいよね。萌える」
いやこんな恥じらいもしないで堂々とお腹の音を鳴らす女の子に、萌えもしないんだが…。
ルビー「撮影終わったらなにか食べに行こう。私がおごるよ」
未来「わ〜い、やったー!」
静香「ありがとうございます、ルビーさん!」
翼「すっごい楽しみ〜!」
さて、本日の撮影は終了。
一同「ありがとうございました!」
彼女たちの演技のレベルには疑問が上がるのだが、なぜこんな素人をドラマに出そうと思ったのだろう。いや、役者としてもっと疑問に思うことが…。
アクア「キミたち、ちゃんと脚本を理解して演技したのかい?」
未来「え〜、脚本なんて渡されてないよ」
静香「その、アドリブでかまわないと言われたので」
翼「だから、私たちの思うラブコメを意識して演技したの♪」
星野兄妹「「あぁ、そうですか…」」
こういう素人によるアドリブが一番厄介だ。こんなふうに、母の死の真相を追っていると多くのタレントと共演することがある。ただ、今度ドラマなどで共演するならプロの俳優がいいなと個人的に思った…。
後日、SNSにてこんな写真が投稿された。
「幽々子ちゃんとお花見なう 星野 アイ」
ルビー「お母さん、死んでも楽しくやっているね。お兄ちゃん…」
アクア「お、俺はこの投稿に対してどう対応すればいいと思う?妹よ…」